ロシア、ウクライナにサイバー攻撃

ロシアニュース

ロシア軍の一部が撤退を始めたというニュースが出たと思ったら、今度はサイバー攻撃である。

ウクライナにサイバー攻撃、ロシア軍一部撤収でも警戒続く 外交努力継続

2022年2月16日6:42 午前

ロシアとウクライナを巡る情勢が緊迫化する中、15日はロシア国防省がウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると明らかにした。一方、ウクライナは同国の国防省と銀行2行がサイバー攻撃を受けたと発表。侵攻はサイバー攻撃から開始されるとの見方もある中、警戒が高まっている。

「ロイター」より

クリミア侵攻の時にも、ロシア軍は似たような手法でウクライナに対するアプローチをしていたと言われているので、最近の戦争の在り方としてはスタンダードなやり方なのかもしれない。

スポンサーリンク
同カテゴリーの人気記事

この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

<同カテゴリーの人気記事>

スポンサーリンク
スポンサーリンク

ロシアの攻勢

ウクライナ国防省のウェブサイトがアクセス停止に

2月15日付けの記事で、ウクライナ国防省がサイバー攻撃を受けた旨の報道が世界を駆け巡った。

ウクライナ国防省にサイバー攻撃、ウェブサイトにアクセスできず

2022年2月16日3:52 午前

ウクライナの戦略コミュニケーション・情報セキュリティーセンターは、ウクライナ国防省が15日にサイバー攻撃を受け、同省ウェブサイトへのアクセスが停止されたと発表した。

サイバー攻撃を実施した主体は発表されていないが、声明ではロシアの関与を示唆した。

「ロイター」より

このニュースでは、国防省のウェブサイトが攻撃を受けたという内容を報じているが、海外メディアでは「銀行もサイバー攻撃を受けた」と、その様に報じている。

Ukraine says it’s been hit with cyberattacks amid military threat from Russia, reports say

Posted at 10:23 AM, Feb 15, 2022 and last updated 2:23 AM, Feb 16, 2022

Ukraine’s national cybersecurity agency says the country has been targeted with cyberattacks as the country braces for a potential invasion from neighboring Russia, ABC News and Reuters report.

In a Facebook post on Tuesday, Ukrainian officials said that a denial-of-service cyberattack had targeted the country’s Ministry of Defense and its armed forces.

The cyberattacks were also targeted at two of Ukraine’s largest banks, Privat and Oshchadbank.

「THE DENVER CHANNEL」より

この記事では、国防省の他に軍隊と、ウクライナの2つの銀行も標的になったとしている。どうやら、ロシアはウクライナのネットワークに対してDDoS攻撃をかけているようだ。

米ホワイトハウスは、ウクライナに対するサイバー攻撃に関する報告は承知しているとした上で、ウクライナ政府に対し調査と対応の面で支援を提供していると明らかにした。

「ロイター”ウクライナにサイバー攻撃、ロシア軍一部撤収でも警戒続く 外交努力継続”」より

アメリカはこの攻撃のことを把握しているようだが、DDoS攻撃というのは防御の難しい攻撃なので、金銭的な支援が関の山なんじゃないかな。

このまま攻撃が続くと、ウクライナ国内の混乱は更に拍車がかかるだろう。

ロシア下院、ウクライナ東部を「独立国家」に

そしてもう1つ。

ウクライナ東部を「独立国家」に ロシア下院、大統領に承認求める

2022年2月16日 0時40分

ロシア下院は15日、親ロシア派武装勢力が支配するウクライナ東部の一部地域を独立国家として承認するようプーチン大統領に求める決議を採択した。同地域では、親ロシア派武装勢力とウクライナ軍の紛争が続いており、緊迫するウクライナ情勢を巡って欧米を揺さぶる狙いがあるとみられる。

「朝日新聞」より

ウクライナ情勢についてはNHKがNEWS9で報じていて、こんな図を使って解説をしていた。ウクライナ東部の「独立国家承認」というのは、ロシア侵攻のシナリオの1つだという。

NHKは暢気に「ウクライナ東部の侵攻」の他にも、全土占領シナリオなども示していた。だが、ロシア下院のこの決議の採択は、クリミア侵攻の時のパターンに似ていて、より現実的なウクライナ東部の危機を示している。

クリミアの時には、サイバー攻撃とロシア側の独立国家承認、その次に住民投票が行われて独立が採択された。現状で、既にウクライナ東部のドネツクとルガンスクはそれぞれ独立を主張している。

実際に独立を主張したのはドネツク州の一部である。「ドネツク人民共和国」を主張する分離・独立派が支配する地域には、親ロシア派がロシア軍の支援を受けてウクライナ政府に反発する活動を行っている。散発的に戦闘が発生するため、外国人は特別許可証を発行された報道機関に属する人々しか近づけない地域となっている。

同様の状態になっているのがルガンスク州の一部で、「ルガンスク人民共和国」を名乗っている。不思議な事に、「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」は別々の組織として支配されていて、お互いに国家承認をして「ノヴォロシア人民共和連邦」を組んでいる。そして、ロシア連邦はこの何れも国家承認をしていない。

軍事的なアプローチはあるだろうが、ウクライナ東部が自発的に独立するというのが、今回の一番ありそうなシナリオだと思う。全土占領というのはほぼあり得ない話だと思っている。

NY原油先物価格が乱高下

さて、このような動きをうけて、NY原油先物価格は激しい動きを見せている。

NY原油先物価格が下落 ウクライナ 軍撤収の発表受けて

2022年2月16日 9時39分

ウクライナ情勢をめぐりロシアが軍の一部の部隊の撤収を発表したことを受けて、ニューヨーク原油市場では国際的な原油の先物価格が下落したほか、株式市場ではダウ平均株価が値上がりしました。

「NHKニュース」より

今朝のニュースでも、原油先物価格が下がったと報じられていたが、ここのところはこんな感じの値動きとなっている。

ロシアの動きで原油先物価格がかなり動いているけれども、これ、ウクライナに圧力をかけることで株価を操作できるので、随分儲けているロシア人もいるんじゃないだろうか。

複数箇所にロシア軍を動員しておいて、原油価格をコントロールするというのは、それだけの目的であればコストがかかりすぎて現実的ではない話だが、ロシアの政権中枢にいる人間にとってはインサイダー情報を利用して儲けることは造作もないだろう。

ただ、実際にロシアがウクライナに侵攻してしまうと、ロシアが負担するコストは莫大になるので、余り現実的ではないように思える。

「ロシアが原油の先物取引に手を出している」というのは冗談だが、ロシアが原油と天然ガスの価格のつり上げを狙っているのは間違い無かろうと思う。

やり過ぎはダメだが、原油にしても天然ガスにしても現在は高値を維持している。ロシアにとって外貨獲得の手段であるこうした地下資源の高騰は歓迎すべきことである。買って貰えなくなってしまえば身も蓋もないのだが、ギリギリのところを攻めている感じはする。

NHKではウクライナ東部への侵攻シナリオを推しているが、正直、僕自身はそんなことをするメリットは無いと考えている。コストとメリットが薄いからである。「新たな鉄のカーテンが引かれる決定的な分かれ目になる」などと浸っているところ申し訳無いが、現状ではやらないだろうとその様に考えている。「ロシアならやるかも知れない」と思わせることこそが狙いだと思うのである。

ウクライナ侵攻の時、バイデン氏はどうするか

さて、この話でキーになるのはアメリカのハズなのだが、そのアメリカはバイデン氏がハンドリングをしているので、どうにも動きが鈍い。

全てのアメリカ人は直ちにウクライナを出るように=バイデン米大統領

2022年2月11日

バイデン氏は米NBCニュースとの単独インタビューで、「アメリカ国民はただちに(ウクライナを)出るべきだ」と述べた。「テロ組織を相手にしているのとはわけが違う。世界最大級の軍隊が相手だ。状況は全く違うし、事態はたちまち制御不能になることもあり得る」と、バイデン氏は警告した。

司会のレスター・ホルト氏は大統領に、自国民保護のためにウクライナに米軍を派遣するシナリオは何かあるのかと質問。これに対してバイデン氏は、「そういうシナリオはない。アメリカとロシアがお互いに発砲し始めたりしたら、それは世界大戦だ」と慎重な姿勢を示した。

~~略~~

米国務省は同日、ウクライナについての渡航勧告で、「アメリカ政府はロシアがウクライナのいずれかの場所で軍事行動を起こした場合、アメリカ国民を救出することはできない」と警告。「軍事行動は何の警告もなく、いつ始まってもおかしくない。その場合、ウクライナを出国するアメリカ国民への支援を含め、アメリカ大使館が領事的支援を提供する能力は大きく打撃を受けることになる」としている。

「BBC NEWS」より

バイデン氏は、なんと「ウクライナへの米軍は兵は無い」と断言し、「ウクライナ有事において、アメリカ国民の救出はできない」と言ってしまったのである。

軍のトップとして、そういう発言はどうなのだろうか。世界のどんな地域でアメリカ人が危機に陥ったとしても、アメリカ軍が助けてくれると、そういう確信があるからこそ、アメリカ人はアメリカ軍を信頼し、大統領を尊敬するのだ。それを「出来ない」と切り捨てたというのは、かなりマズイ様に思う。ロシアは「アメリカは動かない」という確信を得ただろう。

バイデン氏はこの後に及んで「外交で解決」などと寝言を言っているあたり、本当に寝ぼけているのだろうか。

ロシアがウクライナ侵攻を選択すれば、米国と同盟国は「強力な制裁を科す準備ができている」と警告する一方、緊張緩和に向けて「外交の余地は十分にある」と語り、ロシアと協議を継続する姿勢を強調した。

「毎日新聞”バイデン米大統領 露軍の一部撤収「確認できていない」”」

尤も、アメリカには未だ経済制裁という強力な武器があるので、軍隊を動かさないとしてもアメリカが全く何もしないと言うことにはならない。

お手軽経済制裁は効果があるか

ただ、アメリカはともかく欧州は経済制裁に動かない可能性は高い。

G7、対ロ経済制裁の用意 ウクライナ情勢で共同声明

2022年02月14日20時18分

先進7カ国(G7)財務相は14日、共同声明を発表し、ロシアがウクライナに侵攻した場合には「ロシア経済に甚大かつ即時の結果をもたらす経済・金融制裁を共同で科す用意がある」と表明した。ウクライナ情勢が緊迫化する中、G7が協調して対ロ圧力を強めた格好だ。

「時事通信」より

G7でメッセージは出したものの、実際に動けるのはアメリカとカナダ、イギリスくらいではないかな。日本はアメリカに追従するとは思うけれども、岸田氏は……。

クリミア侵攻の時にもG7からの声明が出たけれども、効果は無かった。

そして、アメリカが本気で経済制裁に動き出せばそれなりの効果を出せそうにも思えるが、ロシア金融機関のSWIFTへのアクセス切断をやるとなると、オオゴトになり過ぎる。ノルドストリーム2の承認中止は、ドイツの反対もあって実現は難しかろうと思う。

そもそもロシアに対してはアメリカは既に経済制裁を課している。これ以上の経済制裁というのは手札に乏しいのが実情なので、経済制裁は発動したとしても効果の程は如何に、という事になりそうである。

昨日も言及したが、事態はロシアがハンドリングしているなぁと、その様に思う。

そすると、日本は何ができるのか?というのが気になるのだが、現状はかなり情けない。

貿易経済に関する日露政府間委員会共同議長間会合

令和4年2月15日

2月15日、午後6時から約45分間、林芳正外務大臣は、レシェトニコフ、マクシム・ゲンナジエヴィチ・ロシア連邦経済発展大臣(H.E. Mr. Reshetnikov, Maksim Gennadyevich, Minister of Economic Development of the Russian Federation)と貿易経済に関する日露政府間委員会共同議長間会合をテレビ会議形式で行ったところ、概要は以下のとおりです。

「外務省のサイト」より

貿易経済に関する協議って、いまこのタイミングでやるかね。アメリカが「経済制裁をするぞ」とそういうタイミングで、平和条約締結問題を含め、幅広い分野で日露関係全体を発展させるって、ちょっとどういう神経をしているのかと。

ウクライナに関する懸念も伝えてはいるようだが、タイミングはどうなんだろうか。流石、林氏というべきか。

コメント

  1. 木霊氏の緻密な考察に頭が下がります。
    ウクライナ危機は、ロシアが主導していることは明らかですが、
    いまの焦点は、米欧側とロシア側の”落し処”の調整だと思われます。
    いまだ双方による手打ちが為されていないことは、
    バイデンとプーチンの舌戦やロシア側の戦力増強から推測できますが、
    当然水面下では、本音の話し合いが行なわれているはずです。
    どちらも現在の緊張状態を、延々と続けるつもりはないでしょうから。
    ただ、どちら側も、ただウクライナを犠牲の祭壇に供えるだけでは、
    対外的・国内的に最適解を得ることは難しそうです。

    • 恥ずかしながら丁寧なニュース解説を目指しているものの、自説の披露程度に留まっている状況であります。
      自身の文章力の無さを恨めしく思うワケですが、お付き合い頂けている方には感謝に堪えません。

      で、落とし所の調整に関しては、本日書いたミュンヘンの会議がどうやら不調に終わったようで、改めて米露での外相会談はあるようですが、現状ではロシア優位に見えますねぇ。
      水面下での成果物がよく見えてこないこともヤキモキする一因ですが、果たして何処を目指しているのやら。