岸田政権初の日米首脳会談は、テレビ会談にて

外交

時期的な問題もあって、岸田氏がバイデン氏との会談をテレビ会談方式で行う事について、結果的には良いのかも知れない。が、問題は中身である。

日米首脳テレビ会談についての会見

先ほどバイデン米国大統領との間で約80分間、日米首脳テレビ会談、実施いたしました。

会談ではまず、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日米が連携し、同志国との協力を深化させることで一致するとともに、バイデン大統領の訪日を得て、次回日米豪印首脳会合を本年前半に日本で開催する考えを伝え、支持を頂きました。

「首相官邸のサイト」より

早速首相官邸のサイトより、その中身について確認していきたい。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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形だけの日米首脳会談開催される

外交安全保障が中心

真っ先に話題に上ったのは、やはり外交安全保障関連の話であったようだ。

  • 「開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米連携の深化
  • 次回の日米豪印首脳会合は、本年前半に日本で開催する

この2点は日本が主導すべき内容であり、アメリカ側もそういった意識であったと思われるので、安倍晋三・菅義偉路線を承継する岸田政権としても、この方針は嫌も応もない事であったと思われる。

アメリカ側も基本的な点についての支持を貰ったようだ。

地域情勢に関する議論では、東シナ海、南シナ海、香港、新疆(しんきょう)ウイグルを含む、中国をめぐる諸課題や北朝鮮の核・ミサイル問題について、日米の緊密な連携で一致するとともに、バイデン大統領から拉致問題の即時解決に向け、強い支持を得ました。

「首相官邸のサイト」より

そして、対支那路線及び対北朝鮮路線については「緊密な連携で一致」という回答を貰っているようだが、バイデン氏も岸田氏もコレに関して積極的に動きたくない印象は受ける。

その理由は、「緊密な連携」だけを謳って、具体的な方針については何も言及していないからだ。岸田氏としてはアメリカの方針に追従するような意向が見て取れ、自ら動く気のない雰囲気が伝わってくるが、日本側の方針が見えていないことは、余り良い事ではないと思う。

唯一、拉致問題の即時解決だけ「強い支持を得た」とあり、これは人権を大切にするバイデン氏にとっても「強う支持」を出しやすい内容だが、気をつけて貰いたいのは、これは日本の課題だと言うことだ。日本が積極的に動くべきで、その場合には支持するよということなのだろうが……、岸田氏が何か積極的に動くと思えない。

となると、対支那・対北朝鮮問題は、拉致問題を含めて何も前に進まない可能性は高そうである。何しろ、コレに関する岸田氏のビジョンは何も示されていないのである。

支那の反応

ちなみに、この辺りの事案に対して、支那はこんな感じの反応を示している。

中国、日米首脳会談に反発 「悪意をもって中国を議題に」

2022/1/22 16:07

在日中国大使館は22日に発表した報道官談話で、21日に行われた日米首脳によるテレビ会談で中国を念頭に連携強化の方針が表明されたことに対し「中国に関する議題を悪意をもって取り扱い、中国の内政に乱暴に干渉した」と反発した。

「産経新聞」より

ほうほう。

支那に関する議題を悪意を持って取り扱っている感じには見受けられないのだけれど、取り敢えず噛みついてみたというのが支那の態度らしい。

談話は、日本に対し「ある時期から、日本は地域や国際的な場で絶えず中国に関する議題を騒ぎ立てている」と主張。その上で「両国政治の相互信頼を損ない、中日関係の改善、発展に深刻な妨げとなっている」と一方的に日本側を非難した。

「産経新聞」より

そして日本側に照準を合わせて恫喝してきたな。流石に分かっているな!

岸田氏を脅せば、親支那3人衆がぶれてくれると、その様に考えているのだろう。弱味を見せたからこそこんな事になっているのだが、特に「日本と支那との関係改善・発展に深刻な妨げ」というフレーズを使った辺り、外務大臣に対して牽制球を投げていると考えて良いだろう。

日本の外務大臣と言えば、林芳正氏である。茂木氏の時も随分と舐められてはいたのだけれど、それでも安倍氏、菅義偉氏の重しが効いていたから良かったのだが、今や岸田氏がトップで「日中友好議連」の会長であった林氏が外務大臣となっている。

流石に外務大臣就任後に友好議連会長の座を退いたが、「日本と支那との関係改善・発展に深刻な妨げ」のフレーズを主張されれば、「頑張って改善しなければ」という風に焦ってしまうことは想像に難くない。

そこを狙われている事を考えても、この外務大臣人事は失敗だったと思うし、そこを狙われているのは、支那は「よく分かっている」のだろう。

日中友好議員連盟 米が警戒 古森義久

2021/11/22 18:28

岸田内閣の林芳正新外相が就任と同時に日中友好議員連盟の会長辞任を表明した。この動きの背後には、米国側で中国共産党政権が対日政治工作のために同議員連盟を使うことへの警鐘が鳴らされてきた事実がある。

「産経新聞」より

こういうニュースもあったしね。

中国については、かなりの時間をかけてやり取りを行いました。中国をめぐる諸課題について意見交換を行い、東シナ海、南シナ海における一方的な現状変更の試みや、経済的威圧に反対する、そして諸課題について緊密に連携していく、こうしたことで一致いたしました。

台湾につきましては、台湾海峡の平和と安定の重要性、これを強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す、こうしたやり取りはありました。これ以上詳細は控えます。

「首相官邸のサイト」より

支那としてはこの辺り、「台湾海峡の平和と安定」「両岸問題の平和的解決」というフレーズに特に反応したのだろうけれど、この時代にこの発言では弱いよねぇ。

ウクライナ情勢に

次に、ちょっと気になるのはこの1文である。

また、ウクライナ情勢について、引き続き日米で連携していくことで一致いたしました。

「首相官邸のサイト」より

連携……ねぇ。

米国務省、在ウクライナの米外交官家族に国外退避指示

2022 年 1 月 24 日 10:10 JST 更新

米国務省は23日、ウクライナに駐在する米外交官の家族に対し、国外への退避を指示した。また在ウクライナ米大使館の一部職員による退避も承認した。

今回の決定は、ロシア政府がウクライナとの国境近くで軍備増強を続ける中で発表されたもの。米政府当局者らはいつ攻撃が仕掛けられてもおかしくないと警告している。

「WSJ」より

アメリカはすでに在ウクライナ米外交官の家族に対して国外退避指示をしている。しかし、日本は未だ何も動いていないんだよね。日本とウクライナの関係を考えて行動するという事にはなるのだろうけれど、アメリカとの会談によって「国外退避指示」は避けられない情勢になるはずだ。

寧ろ、退去指示が出せないのであれば、「あの会談は何だったんだ」という事になりかねない。

私とバイデン大統領は、ロシアによるウクライナ侵攻を抑止するために共に緊密に取り組むこととして、いかなる攻撃に対しても強い行動を採ることについて、米国や他の同盟国、パートナーとの緊密な連携を継続していく、引き続きしっかりと意思疎通を図っていく、こうしたことについて確認したということであります。外交上のやり取りのため、これ以上の詳細は控えたいと思います。

「首相官邸のサイト」より

日本の対ウクライナ方針に関しては、アメリカ側から特に注文が付けられた節がある。このフレーズの中には特に含まれていないが、この部分のタイトルとして「バイデン大統領からの要請」という文言が選ばれている。つまり、何らかの強い要請があった可能性が高い気がする。

「詳細は控えたい」と言葉を濁しているけれども、実際には具体的な指示があったんじゃないだろうか。

新しい資本主義

さて、経済分野に関して、岸田氏の意味の分からないフレーズ「新しい資本主義」が、今回の階段でも岸田氏によって使われたようだ。

経済分野については、私から、新しい資本主義の考え方を説明し、大統領から強く支持するとの発言がありました。また、米国の経済政策の考え方について説明があり、今後、膝を突き合わせて政治家同志として密接に意見交換を続けたいという発言もありました。今後、持続可能で包摂的な経済社会の実現のための新しい政策イニシアティブについて議論を深めていくことで一致したほか、閣僚レベルでの経済版2+2を立ち上げ、包括的な日米経済協力を推進することといたしました。

「産経新聞」より

バイデン氏が一体「新しい資本主義」の何に支持の表明をしたのかは知らないが、その後でアメリカの経済政策の考え方について説明されたところを見ると、「うーん、岸田君の話は理解出来ないけど、アメリカではこうなんだ」という、外交的な遠回しのNoが突きつけられたのではないかな。

「今後、膝を突き合わせて政治家同志として密接に意見交換を続けたい」って、やっぱり理解されてないと思うぞ。

だって、日本人だって、誰も「新しい資本主義」を理解出来てないんだから。え?誰か理解してる?だったら解説して欲しい。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/kaigi/dai1/shiryou3.pdf

「新しい」と名前を付けたら旧来の手法の問題が解決するようなミスリードは、止めていただきたい。デジタル化推進なら、直接的にそう言えば良い。

核軍縮に関して

次に「核軍縮」に関するテーマを話し合ったようだが、コレも中身はなかった模様。

また、核軍縮については、本日朝、発出されたNPT(核兵器不拡散条約)に関する日米共同声明の発表を歓迎し、核兵器のない世界に向けて共に取り組んでいくことを確認いたしました。

「首相官邸のサイト」より

誰でも言えるよね、そんな台詞は。

これに絡んでいると思われるのが、こちらのニュースだ。

北の核に「CVID原則」、米・日が韓国抜きで共同声明

記事入力 : 2022/01/22 08:44

米国のバイデン大統領と日本の岸田文雄首相がテレビを通じた首脳会談を行った21日、米日両国は「核兵器不拡散条約(NPT)に関する米日共同声明」を発表し、その中で北朝鮮に対し核兵器と全ての弾道ミサイル廃棄を要求した。米日両国はこの声明で「我々は国連安全保障理事会の決議に基づき、北朝鮮の全ての核兵器、それ以外の大量破壊兵器、全射程距離の弾道ミサイルとそれと関連したプログラムおよび設備の完全かつ検証可能、不可逆的な解体(CVID)を強く決意する」と伝えた。北朝鮮が核実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射再開の検討を発表した翌日から即座に共同で対応に乗り出したのだ。

「朝鮮日報」より

韓国にとっては、韓国抜きで日米でCVIDの原則(北朝鮮の全ての核兵器、それ以外の大量破壊兵器、全射程距離の弾道ミサイルとそれと関連したプログラムおよび設備の完全かつ検証可能、不可逆的な解体)を貫くことを確認したことが、とてつもない屈辱に感じているようだ。

これまで「韓半島の完全な非核化」というあいまいな表現を使ってきたバイデン政権が今回CVIDという強い表現を公式に使い始めたのは大きな変化だ。

「朝鮮日報」より

ムン君にとって、朝鮮半島の非核化というフレーズが最大限譲歩したラインで、北朝鮮の非核化は許容できない話。

トランプ氏は、トランプ政権時代に「朝鮮半島の非核化」(=在韓米軍撤退)に前向きだったのだけれど、バイデン氏はその事にメリットは無いとその様に判断しているようだ。ムン君はその事が「寝耳に水だ」と言う訳だ。

「韓半島の完全な非核化」は「米国による韓国への核の傘提供」あるいは「戦略資産の配備」を認めない根拠としても使用可能なため、北朝鮮がよく使ってきた言葉だ。北朝鮮に提案した「前提条件のない対話」を実現させるためバイデン政権が一部譲歩したと解釈されてきた。しかし北朝鮮は20日に事実上の核実験とICBMの発射再開を予告したため、米日首脳会談を通じて文在寅政権とは相談なくCVIDに復帰したと考えられる。

「朝鮮日報」より

アメリカは同盟国である韓国としっかり話をしておいて欲しいところだが、アメリカにとって韓国と話を付けることはメリットがないと感じているのだろう。

だからこその、韓国抜きのCVID合意なのだ。

そう言う意味で意義がある会談であったとも言えるのだが、実現可能性は低いという点で「絵に描いた餅」を掲げたに過ぎない。この問題は棚上げという意味だろうね。アメリカ民主党はこの手の腹芸を良しとしない部分があるので、下手すればここで軍事的な衝突はありうるかも知れない。戦争を始めるのはアメリカ民主党のことが多いのだから。

在日米軍のコロナ感染防止対策への言及

で、今回の会談の中でこのフレーズに触れられていなかったら、もはや総理にしておくことが害悪だろうという程度には重要な内容だったと思う。

何しろ、日米同盟の根幹を揺るがす話になりかねない。

それについても意見交換、そして私から触れさせていただきました。新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、引き続き緊密に協力することで一致したということであります。既にこれは具体的に対応、公表になっていると思います。

「首相官邸のサイト」より

ただ、会談の内容について具体的に踏み込まれてはいない模様。これをもって評価することは難しいが、「新しい事は何も無かった」という風にも捉えられる。

……やっぱり、岸田氏は辞任すべきじゃないかな?

在日米軍が感染防止対策を強化 日本到着時の検査・マスク義務の徹底

2022年1月6日 14時55分

東京の在日米軍司令部(米軍横田基地)は6日、同日時点の基地関係者の新型コロナウイルス感染者数は1784人(うち判断保留中29人)だったと発表した。最多は岩国基地(山口県岩国市)関係者の529人で、キャンプ・ハンセン(沖縄県金武町など)282人、横須賀基地(神奈川県横須賀市)213人と続いた。

基地関係者の感染増を受け、在日米軍はこの日、全国の基地で健康保護態勢の警戒レベルを1段階引き上げた。また、検査で陰性が確認されるまでのマスク着用の義務化▽軍用機で日本到着時の検査の実施▽基地外でのマスク着用義務を改めて徹底――などの対策を実施する。

「朝日新聞」より

だって、現状採られている方針って、この程度だぜ。

日米安全保障協議委員会(「2+2」)共同発表(仮訳)

令和4年1月7日

2022年1月7日(日本時間。米国東部時間6日。)、東京とワシントンDCそれぞれにおいて、林外務大臣、岸防衛大臣、ブリンケン国務長官及びオースティン国防長官は、バーチャル形式で日米安全保障協議委員会を開催した。

~~略~~

閣僚は、新型コロナウイルス感染症対策、事件・事故に関する適時な情報共有、地元の影響軽減及び地元との強固な関係の後押しに係る二国間の連携の重要性を再確認した。

「防衛省のサイト」より

実際に、今回の日米首脳会談前に外務、防衛大臣級会合(2+2)が開かれており、この時課題が話し合われているのだが、岸田氏はここに全てをぶん投げた格好だ。

改めて日本側から何かを申し入れたという形になっていないのである。

ダメダメである。

環境問題について

そして、バイデン氏も岸田氏も大好きな「環境問題」に関して話し合われた模様。

僕にとってはこれはどうでもイイ内容だが、「じっくり時間をかけて意見交換」したらしい。

今回、信頼関係構築、個人的な信頼関係も含めて、関係を確認する上で大変有意義な会議であったと思います。電話会談、そしてグラスゴーでのCOP26(第26回気候変動枠組条約締約国会議)に続いて、3回目のバイデン大統領とのやり取りでありますが、今日は、よりじっくり時間をかけて様々な課題について意見交換ができた、大変有意義であったと思います。

「首相官邸のサイト」より

今、これに時間を割いている場合か?

まあ良いんだけどさ、結局のところ二酸化炭素排出に関する話は支那の姿勢に帰結するハズなんだけど、そこは話し合ったのだろうか?

前回も施政方針演説でガッカリした旨の記事を書いたのだが、首脳会談でもこの程度だった模様。岸田氏に期待してもダメっぽいが、それにしたってねぇ。

そうした意味で、期待出来る内容だったかといえば、余り身の無い日米首脳会談であったように思うが、それでもやらないよりはやった方が良かったとは思う。今後の日米の付き合いの上で、「やらない」という選択肢はなかったのだから。

ただ、中身は薄かったよねぇ。そこは残念ではあったが、岸田政権に何か重い期待をしてはいけないのだろうから。でも願わくば、クワッド開催の約束を取り付けたのだから、これを早めに実現して、日本の存在感を示した上で、4カ国の関係の深化を進めて欲しい。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    電話会談とはいえ80分もやったわけですが、あれもダメこれもダメのオンパレードの中で、僕が一番不満なのが対支那人権非難決議の発信力が弱かった事です。

    五輪開幕前の2月1日に決議案採決とのニュースがありますが、特にウィグルへのジェノサイド認定&非難という強いメッセージとなるのか不透明です。

    引導を渡した二階氏幹事長時代より、この三馬鹿親中派の方が問題なのですからブラックジョークですもんね。

    安倍氏・高市氏・佐藤正氏など対支那強硬派に頑張ってもらい、自由主義の根源である人権問題意識をもっと拡げてもらうしかありませんね。

    党内親中派・公明への配慮と刺激を恐れる経済界の反対勢力には、日本として譲れない根源的な問題と目先の実利・しがらみとはまったく別時限の話である事を、心底から性根を入れ替えるまで叩き込む気概が必要です。

    後はご指摘の通りグダグダな内容ばかりで、QUAD首脳会議日本開催があるくらいの低レベルな総理を露見しましたね。

    • 本来であればアメリカ側の発表も精査した上で、記事にすべきだったと思います。
      ただ、英語のニュアンスまでは分からないので、僕の力不足で触れておりません。

      その分を差し引いても、対支那の姿勢を鮮明にすることを求められているはずの日本側の発表がアレというのは、残念です。