インドネシアに石炭火力発電技術を輸出する日本

外交

いいぞー、もっとやれ!

脱炭素 燃料にアンモニア混ぜる技術 インドネシアに導入支援へ

2022年1月10日 13時15分

政府は東南アジアでの脱炭素を進めるため、石炭火力発電の割合が高いインドネシアに対して燃やしても二酸化炭素を出さないアンモニアを火力発電所の燃料に混ぜる技術の導入を支援していくことになりました。

「NHKニュース」より

このブログではそもそもSDGsなどの技術に対して批判的な立場を採っていて、二酸化炭素排出量の削減も「出来ればやれば良い」という立場である。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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技術提供と関係強化

アンモニアは燃料になる

そもそも石炭火力発電をメインでやっている国に「明日から石酸火力発電を止めろ」というのは、「死ね」というのと同義である。

したがって、時間をかけて石炭火力発電を別の発電方法に更新していく必要があり、この「時間をかけて」の所は、設備が古くなって次の設備を作る場合に、と読み替える必要がある。

インドネシアの電源別発電設備容量比は石炭火力発電46.7%、ガス火力発電29%、石炭火力発電11.8%とまあ火力発電の比重が87.5%となる。水力発電は8.7%だが、ここを増やす余地はあまりなさそうだし、太陽光発電は増やすべきでは無い。よって、即時に火力発電から脱却ということはインドネシアとしてはかなり難しかろうと思う。

この様に、国情によって簡単に火力発電から抜け出せない所もあるので、何でもかんでも再生可能エネルギー発電を押し付けるというのは、余りに御無体である。

さて、そうなってくると火力発電をナントカすべきだ。

アンモニアが“燃料”になる?!(前編)~身近だけど実は知らないアンモニアの利用先

2021-01-15

「アンモニア」といえば、思い浮かぶのは「刺激臭のある有毒物質」というイメージでしょう。昔から畑の肥料として利用されてきたことを思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、実はアンモニアには、肥料にとどまらない、次世代エネルギーとしての大きな可能性が秘められているのです。燃料としての可能性にも注目が集まるアンモニアについて、前・後編に分けてご紹介しましょう。まずは、あまり知られていないアンモニアの基礎知識を見ていきましょう。

「資源エネルギー庁のサイト」より

そして、日本はアンモニア燃料に力を入れているわけだ。ある程度目処が付く所までは技術開発が進んでいるのだが、冒頭の話はアンモニアを燃やすのでは無く、石炭とアンモニアで混合燃焼する話だ。

アンモニアは肥料に使える

さて、その前にアンモニアそのものの話を少ししておきたい。

去年末辺りから尿素の騒ぎが韓国にあって、日本国内にもその影響が出ていると言う状況ではある。尿素の話に関しては、自国で製造出来ない韓国に比べ、日本国内の「不足騒ぎ」は構造が違う。寧ろ「不足を叫ぶ情報」によって、価格が変動している節がある。

とまあ、そんな騒ぎがありつつも、この際に尿素の合成について言及し、石炭が関係しているよという話に触れた。

そして、インドネシアでは石炭がとれるのだ。で、この石炭を巡った騒ぎがあって、これ1つで1本か2本記事が書けそうな話となっているが、ここではリンクだけ貼って言及は避けておく。

石炭の最大輸出国インドネシア 月末まで輸出の一時禁止を発表 | NHKニュース
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【NHK】世界最大の石炭の輸出国、インドネシアが一時的に石炭の輸出を禁止し、日本など輸出先への影響が懸念されていますが、インドネシ…

要は、インドネシアで石炭がとれて、アンモニアも尿素も合成できますよという話が理解して頂ければ良いのである。

そして、アンモニアはこれまで肥料としての利用が主流であったが、新たに燃料としての用途に目処が付いたと。その技術が日本にはあるのだ。

そろそろ構図が見えてきただろうか。

インドネシアにとって、石炭をそのまま輸出するよりもアンモニア合成をして輸出した方が価値が高くなる上、一部を燃料として使う事ができて、更に二酸化炭素の削減に繋がる。まさに、その環境の整備が出来ることはインドネシア経済にとっても大きなメリットとなるのだ。

尿素合成によって新たに生まれる利益のことを、インドネシアが放置する理由は無い。ここに日本が技術提供と関係強化を図ることは実に有益なのである。

石炭輸出とのバーター

さて、解説していないのだが、インドネシアの石炭輸出の禁止と、日本側からの禁止措置撤回要請、そして冒頭の記事に何れも関係しているのが経済産業大臣の萩生田氏である。

政府は東南アジアでの脱炭素を進めるため、燃やしても二酸化炭素を出さないアンモニアを火力発電所の燃料に混ぜる技術の導入を支援していくことになりました。

ASEAN=東南アジア諸国連合の加盟国を訪問している萩生田経済産業大臣が、インドネシアのエネルギー相と覚書を交わすことにしています。

「NHKニュース”脱炭素 燃料にアンモニア混ぜる技術 インドネシアに導入支援へ”」より

NHKのニュースではアンモニアの利用方法については「燃料に混ぜる技術」程度にしか解説していないので、ここも補足しておきたい。

石炭ボイラにおけるアンモニア高混焼技術の開発・実証について

2022-01-07

株式会社JERA(以下「JERA」)および三菱重工業株式会社(以下「三菱重工」)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築プロジェクトにおいて、石炭ボイラにおけるアンモニア高混焼技術の開発・実証に関する事業の応募を行い、このたび採択を受けました。

水素を低コストで効率良く輸送・貯蔵できるアンモニアは、エネルギーキャリアとしての役割に加え、火力発電の燃料として直接利用が可能であり、燃焼時にCO2を排出しない燃料として、温室効果ガスの排出削減に大きな利点があると期待されています。脱炭素社会の実現には、イノベーションによりアンモニアの混焼率を拡大し、火力発電から排出されるCO2を削減することが重要です。

「三菱重工」より

この技術を持っているのは三菱重工で、何ができるのかと言えば、石炭にアンモニアを加えて混焼することで、発生する二酸化炭素の量を削減することが可能となる。

このために必要なのは、アンモニアの生産・運搬・貯蔵技術と、それに加えた安全性への対策やガイドラインであり、混焼するためのバーナーを作る技術である。

本事業は、石炭ボイラに適したアンモニア専焼バーナを開発し、実機で実証運転することを目指すもので、事業期間は2021年度から2028年度までの約8年間です。

「三菱重工」より

実験室レベルで二酸化炭素削減に繋がる事は確認されていて、これからやるのは実機での実証運転と、アンモニアの専焼が可能なバーナを開発と言うことのようだ。

具体的にはこの分野で高い技術を持つ三菱重工業がことし4月からインドネシアの電力会社とともに導入調査に乗り出し、日本政府は資金支援を行います。事業が実用段階に入れば東南アジア全体で数十億ドル規模の市場になると政府では見ています。

「NHKニュース”脱炭素 燃料にアンモニア混ぜる技術 インドネシアに導入支援へ”」より

その一部の導入調査にインドネシアに一枚噛ませるという話になって、「その資金も出すぜ」という話らしい。至れり尽くせりだな。

そして日本にメリットが無いかというと、そうでも無い。敷地や燃料の調達が楽になるからね。

インドネシアとの関係構築は、国防にも大きな影響を及ぼす話となるので、経済安全保障という観点からインドネシアとの関係を深めることと、この技術が支那に流出しないように囲い込むことは、非常に重要なポイントとなると思う。

インドネシア大統領のジョコ・ウィドド氏は非常に親支那派の厄介な人物ではあるが、インドネシア抜きで日本のシーレーン防衛は覚束ないところがあるので、少なくとも独立した国として振る舞って頂かないといけない。したがって、こうした関係構築は、とても大切な外交なのだと思う。

多分この件で、色々な層から批判が出ることだろう。「石炭火力発電を輸出するなんて何を考えているのだ」と、批判的な意見が出ることも想像に難くない。しかし、石炭火力発電そのものの技術も日本には優れた技術があるし、アンモニア混焼技術は日本よりも寧ろインドネシアに大きなメリットがある話。

二酸化炭素排出量削減等クソ食らえと思ってはいるが、減らすための現実的な手段を追いかけていくのであれば、「原子力発電も火力発電もダメだ!」とアホな事をぬかしていないで、現実的にやれることをやるべきだろう。

コメント

  1. こんにちは。
    本記事、いろんな情報が含まれてますね。
    ・本邦における尿素不足→元々尿素は需要変動の少ない商品で国内生産で充分まかなえていた、が、昨年末に南朝鮮が本邦から結構な量を買っていったために品不足が発生。朝鮮人は「それ見たことか!」と笑ってるらしいが、お前等のせいだろがクソが!というのが当方の意見です。
    ・アンモニア燃焼は、燃料としては有望らしいですが(かのX-15もアンモニア燃焼ロケットエンジン)、Noxの問題はどうなるのか、後処理で解決出来る目処があるから誰も問題視しないのでしょうけれど、心配&疑問ではあります。
    ・インドネシアは、東南アジアではぶっちぎりで信用のおけない国家ですが、これを機に外堀から埋めていって、赤→青に染めて行ければ……と期待する部分もあります。

    なんにせよ、本邦の技術が役に立つなら良い事です。

    ※欧州も、手のひら返して「原始力はクリーンエナジー!」とか言い出しましたしね……
    ※SDGsがうさんくさい、欧州主導のゲームチェンジャー(技術で勝てないからルールを変えちゃう欧州の得意技、最近ではハイブリッドに負けてディーゼル→EVが、別分野ではラリーもF1もスキージャンプもスケートも枚挙に暇がありませんね)の役割を担う者であろう事は、当方も同意であります。

    • 本邦の尿素水の話はもう少し複雑なのだとは思いますが、増産によって対応可能な程度の需要のようで、一部価格の上がっている所はありますが、全体的に見ると「足りていない」というのは一時的な話だったようです。
      韓国側からの影響はあったと思いますけどね。

      で、日本に売れる技術がある以上は、外交政策としてきっちりと利用していけばイイと思うというのは、記事に書いた通りでして。頑張って欲しいと思います。