オーストラリアのシンクタンク、潜水艦入手に驚きの提案

防衛政策

オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)がビックリするようなことを言い出した。

Second-hand Japanese boats could rapidly expand Australia’s submarine force

23 Dec 2021

Australia may have a way of very cheaply and quickly expanding its submarine force, improving its defences this decade and preparing for its planned nuclear-powered boats.

We might do this by buying good second-hand submarines from Japan. The possibility would present some problems and could in fact be unworkable, but it offers such great potential advantages that we must look hard at whether it could be achieved.

「The Strategist」より

日本製の中古潜水艦をオーストラリが海軍に買うようにオーストラリア政府に進言しているのである。いや、それは無理……、でもないかな?難しい問題は色々あるけれども、中継ぎとしては悪く無いか。

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原子力潜水艦建造計画

オーストラリア戦略政策研究所

提案を行っているのはオーストラリア戦略政策研究所(ASPI)で、オーストラリア国防省にも影響を与える公的な機関である。

従って、オーストラリア軍としてもこの提案は一考の価値があると判断されるだろうとは思う。

で、「Second-hand Japanese boats」つまり日本の中古潜水艦を繋ぎに買え!という話をASPIがしているのだが、この話はオーストラリアがアメリカに原子力潜水艦を作って貰う話から派生している。

2021年9月に、オーストラリアは急遽AUKASという枠組みを作った。そして、それまでフランスと組んで次期潜水艦を作るとして頑張ってきたアタック級潜水艦建造計画をキャンセルして、アメリカ、イギリスから潜水艦技術の提供を受けて次期型潜水艦を原子力潜水艦として製造することにしたのである。

フランスは怒り心頭だったが

流石にフランスは怒り心頭だったようだが、どうやら電磁式カタパルトの技術で手打ちにしたらしい。

フランスの有望な核空母はアメリカの電磁カタパルトを受け取る

12月22 2021

フランスの有望な核空母は、アメリカの電磁カタパルトと航空機フィニッシャーを受け取ります。米国国務省は、フランスへの対応する機器の供給を承認しました。

フランス人は、EMALSタイプの甲板に取り付けられた電磁式カタパルト、新世代のAAG空気検出器、およびそれらの設置に必要なその他の機器を受け取ります。 これらすべてがパリに1,321億XNUMX万ドルかかるでしょう。 この装置は、Porte Avion Nouvelle GenerationまたはPANGプログラムの一環として、Charles deGaulleに代わる建設中の有望な原子力空母を対象としています。

機器の供給に加えて、契約は、テスト、認証、人員のトレーニング、およびサポートサービスを提供します。 カタパルトと航空機フィニッシャーの空母への設置、およびこの機器を使用したその他の作業は、2033年からアメリカの専門家によって実施されます。

「TOP WAR」より

フランスがアメリカの技術をゲットするに至った経緯が、本当にこの潜水艦受注関連の話と関わりがあるかは不明ではあるが、商売上手のフランスのことだから、カードとして使ったことは間違いあるまい。

米英豪3カ国がフランスを「裏切った」本当の理由。対中包囲網に小型原子炉輸出という国益

Sep. 22, 2021, 07:05 AM

米政府は9月15日、アメリカ・イギリス・オーストラリアによる新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」創設を発表。同時にオーストラリアに原子力潜水艦の建造技術を供与することを明らかにした。

オーストラリアはフランスと締結したディーゼル潜水艦開発契約の破棄を通告。対するフランス政府は、駐米・駐豪大使を召還する強い報復に出た。

バイデン米大統領が同盟国であるフランスを犠牲にしてまで、この決定に踏み切った理由は何か。対中包囲網の質と量の強化に加え、小型原子炉の輸出という、「一石二鳥」の狙いが透けて見える。

「BUSINESS INSIDER」より

こんな分析もあるが、アメリカとしては小型原子炉を潜水艦に搭載してオーストラリアに提供しようという話だけでなく、支那包囲網を強化する狙いの動機の方が強いとは思う。正直、支那の海洋進出を阻む上では、オーストラリアを抑えておくことは必須なのだから。

そんな訳で、この話はアメリカの潜水艦技術をベースにした国際取引が進んだというような流れで理解すれば良いと思うのだが、フランスとしても損だけしたわけではない。そろそろ支那と手を切る潮時であった上に、アメリカからのカタパルト技術をゲットしたのだから。

原子力潜水艦就役は2035年以降

ただ、この話はそう簡単に纏まるものでもなかったようだ。それは時期的な問題である。

そもそも、オーストラリア海軍が保有しているコリンズ級潜水艦がダマしダマし使ってももう数年で退役させなければならないというところにまで来ているから、潜水艦の更新という話が持ち上がったワケで。

原子力潜水艦を手に入れるにせよ、今から建造しているのでとてもコリンズ級潜水艦の退役には間に合わない。だから、それまでの繋ぎが必要だという話になっている。

しかし、それだと就役は早くても2035年以降になる。中国もその間に原潜建造を加速するので、隻数で勝る展開は望めない。

ダットン豪国防相はその点について、米英両国からの「リースや購入も検討している」と述べ、建造以外の方法で原潜就役を前倒しする可能性にも言及している。

「BUSINESS INSIDER」より

そんな訳で、当初jはアメリカから原子力潜水艦のリースをお願いするんだなんていう話もあった。

実際にアメリカは多数の退役した原子力潜水艦を保有していて、モスボール保管をしているんだろうと、その様に思われる訳だが、正し原子力潜水艦を動くようにするためには、潜水艦をぶった切って核燃料の交換をやらねばならない。これがそれなりに手間がかかるので、果たしてオーストラリア用の潜水艦まで手が回るのか?という不安要素はあったようである。

他にも、コリンズ級潜水艦の延命措置も必要となり、直ぐにでも潜水艦を手に入れる必要があるのだが、原子力潜水艦を戦力補充のためにリースするとなると、それ専用に訓練が必要となることから戦力的な穴が空くのが避けられないという問題もでてくるようだ。

We might do this by buying good second-hand submarines from Japan. The possibility would present some problems and could in fact be unworkable, but it offers such great potential advantages that we must look hard at whether it could be achieved.

It should not be summarily dismissed as unconventional and managerially complicated.

Australia’s first nuclear submarine won’t be ready until about 2040 if it’s built in Adelaide. By importing nuclear boats, that might be brought forward to 2031 or even 2030. But that would still leave the submarine force at its current, inadequate level in the 2020s, which are looking increasingly dangerous.

「The Strategist」より

そこで、「使える通常動力潜水艦を調達してこい」という事になるのだが、マシな通常動力潜水艦を保有しているのは日本以外に見当たらないと言う。

で、導入するには結構ハードルがあるのだけれど、「簡単に諦めるべきではない」と。それに見合うだけの価値はあるという分析なのである。

日本の中古潜水艦は未だ使える

で、日本は潜水艦を早めに退役させて「予備選力」と位置づけるのと共に、潜水艦建造技術を失わないために、定期的に潜水艦建造を発注しているという実態がある。

したがって、退役した「おやしお型潜水艦」は、7年ほどの寿命を持っていると分析されている。

Second-hand Japanese submarines, by contrast, might be acquired very quickly and cheaply, and, having perhaps seven years of life left in them, wouldn’t hang around as doubtful assets into the 2060s.

The Japanese Maritime Self-Defense Force takes delivery of one submarine a year. For any other navy, that would imply a fleet of about 30 boats, since a submarine can typically serve for something like 30 years. But the force is not funded to operate so many and instead retires them early.

Until a few years ago, the fleet comprised 18 submarines. The number is now 23 and soon due to rise to 24, including two training boats.

「The Strategist」より

「安価に良質な潜水艦を手に入れられる可能性があるのは、日本からだ!」って、それはどうなのよ。

ただ、「じゃあ、新しい潜水艦を建造してくれ」と言われても、なかなか日本の造船業界の実情を考えても、潜水艦を余分に作るだけの余裕があるわけではない。「そうりゅう型潜水艦を作ってくれ」といわれても困るし、安く提供する事も困難である。

オーストラリアと潜水艦技術を共有することは、日本の国益としてもそれなりのメリットがあることなので、AUKUSに入るバーターとして「おやしお型潜水艦」を貸し出す判断は、アリではないか?という気はする。

オーストラリアとの連携を強化する上でも

なお、日本はオーストラリアとの防衛関係を強化しようとしている。

日本の防衛政策として、オーストラリアとの協力は、もはや避けては通れないのである。

【独自】日豪部隊の共同訓練で「円滑化協定」…中国念頭に安保協力、来月にも締結へ

2021/12/27 05:00

 日豪両政府は、自衛隊と豪州軍が互いの国に滞在した際の法的地位を定める「円滑化協定」(RAA)を来年1月にも締結する方向で最終調整に入った。海洋進出を強める中国を念頭に、日豪の部隊が相互に訪問しやすくし、安全保障協力を強化する狙いがある。

「讀賣新聞」より

そりゃ、共同訓練やるのも大切だし、円滑化協定を結ぶことも大切だと思うんだ。それはそれでやるべきなのだけれど、もっと関係を深化させるためにはもう一歩深入りしても良いんじゃないかな。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    迷走の果てアメリカから原子力潜水艦の供給(ライセンス生産になるのかな?)が決まったとはいえ、1番艦就役が2035年以降ですからその間10~15年以上ポッカリと潜水艦能力に穴があきますね。

    欠陥品と酷評されたコリンズ型も退役間近ですから、その間の繋ぎとして退役が始まった海自の「おやしお型」は合理的な選択肢の一つじゃないかな。

    日本の命綱である海自潜水艦は軍事機密の塊りとはいえ、対支那包囲の準同盟国であればそれほど問題ないかと考えます。

    既に次々主力の「たいげい型」が2022年から順次就役しますから、退役まで就役25年近くなる「おやしお型」を売却するのは、日本の武器輸出にとっても良い事じゃないかな。
    だって、肝であるリチウム電池技術も年々向上するでしょうし、探知ソナーや攻撃魚雷の能力も上がっていくでしょう。
    つまり、万が一重要機密が漏洩したとしても、今や準同盟国であるオーストラリアに力を貸すのは正解って事です。

    日本が誇る潜水深度・静寂性・索敵能力は「おやしお型」でも10年後も世界屈指の十分な能力ですし、メンテナンス力まで考慮すると少なくとも10年以上は運用可能でしょう。
    ご破算になった「アタック級」は12隻の建造予定だったので、「おやしお型」の11隻(2隻は練習艦)から5~7隻武器輸出し、メンテナンス支援を手厚くすれば即戦力ですから。

    今はオーストラリアのシンクタンクの提言段階ですが、日本はこれをチャンスに秘密裏に積極的にアプローチしてもいいと思いますね。

    • 実際、面白いアイデアだとは思います。
      リチウム電池を搭載した潜水艦の実力がどの程度か?というところを海上自衛隊は明かしていないわけですが、「おやしお型潜水艦」に比べて「そうりゅう型」「たいげい型」がどの程度アドバンテージがあるのか?は重要なポイントであります。
      その辺り次第ではありますが、「おやしお型」をオーストラリアに貸し出すというのは、アリだと思いますよ。十分に使えると思いますが、オーストラリア側がどう考えるか、かはちょっと知りたいですね。

  2. 豪州…って、元々売り込んでませんでしたっけ。どっかの新幹線みたいな既視感が。

    • ええ、リチウム電池搭載のそうりゅう型を、オーストラリアは欲しがっていましたし、安倍政権はそれを得るつもりであったようです。
      「最新の潜水艦を差し出すのはどうなの?」と、その当時は思いましたが、結局ご破算になっちゃいましたねぇ。

  3. 同感です。
    順次、安全保障に関する法的な整備もしっかり進めて、自衛隊が防衛軍として活躍できるようにしていただきたいですね。

    • 結局、オーストラリアとはそれなりに良好な関係を続けるしかないのが日本の立ち位置でありまして、兵器を格安で出しても良いと思うんですよね。

  4. こんにちは。

    オーストコリアの手のひらクルクルにも困ったものですが……まあ、政権変わって割と正常化あるいは清浄化したという事で納得しておきましょう。
    木霊さんも御存知の通り、本邦潜水艦は年イチで更新、退役後は練習艦としてしばらく保管、という、他国から見たらよだれが出るほど羨ましい環境にあるのは確か。
    20年オチの艦なら、最新技術と言ってもタカが知れてるでしょうし、整備分解の類いも基本は日本に戻して、と言う話であれば、外殻関係の機密も何とかなるでしょう。
    装備品はローカライズ必要かもですが、基本は同じ西側規格、アメリカ製も多いでしょうから、それ程苦労は無い……かな?

    こういうのは即断即決で、さっさとレンド&リース決めちゃった方が色々と良いと思いますが、さて、現政権にそれだけの踏ん切りがありますかどうか。
    ※手続きその他の諸問題は、政権トップからのトップダウンによる大鉈でたいがい解決できますから。

    • 防衛大臣の岸氏が積極的に動いてくれれば、ワンチャン?とは思っています。
      割と岸田氏は主体性のない方のようですから、押せば何とかなると思いますし。

  5. 木霊さん、おはようございます。

    国民は年末のバタバタの折なんですが、敵基地攻撃能力の為に潜水艦に1000km以上の巡航ミサイルを搭載する約400億円の開発費が計上されましたね。
    1000km以上の巡航ミサイルを潜水艦に搭載すれば、東シナ海北に潜水艦を潜ませれば首都北京も射程内ですから。

    当然VLS搭載も視野に入れているでしょうから、ついに海自初の「攻撃型潜水艦」が誕生しそうです。
    2020年後半配備とスケジュールもかなり具体的。

    健在建造中の「たいげい型」は5番艦まで決定していますが、VLSを搭載するには排水量が足らない訳ですから、MAX6~7隻で終了なのかもです。

    VLSを搭載するなら次期潜水艦は最低でも4000tクラス、最短で1番艦が2025年起工なら、2020年後半に間に合いますから、どんな仕様になるのか今から楽しみですが、なにより対支那抑止力強化の為には一刻も早くやらねばなりません。

    しょせん言葉遊びの政治的表現としか思っていませんが、「敵基地攻撃力」では抑止力にはならないので、あっさりと「敵重要拠点への反撃力を有する事」で、戦争回避の為に必須な抑止力の一つとすればいいんじゃないかなァ~。

    • あー、敵基地攻撃能力の話は出ていましたねぇ。
      潜水艦に巡航ミサイルを積む話は、まだまだ不透明な部分が多いように思いますが、敵基地攻撃能力の方はミサイルだけ考えるのであれば、割と短期間で用意出来るのでは無いかと。
      VLSの搭載はそれなりにハードルが高いのですが、研究からさっさとやって欲しいところです。予算は付きましたしね。
      ただ……、もっと革新的な兵器の搭載というところまで踏み込んで欲しいなーと、個人的には思っています。