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盗んだものを返さない韓国

大韓民国ニュース
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ちょっと前の記事になるのだけれど、取り上げようと思っていたがあまりに韓国の記事が多かったので少し遠慮していた内容である。

対馬の盗難仏像「韓国は早期返還を」と松野官房長官

2021/11/24 13:09

松野博一官房長官は24日午前の記者会見で、9年前に長崎県対馬市の観音寺から盗まれ、その後、韓国の浮石寺に持ち込まれた仏像の所有権をめぐる韓国高裁で係争中の控訴審に関し、日本政府として早期返還に向けて対応する方針を改めて示した。「いまだ返還が実現していない仏像が早期に返還されるよう韓国政府に対して強く求めてきており、引き続き韓国側に適切な対応を求めていく」と述べた。

産経新聞より

このニュースは、仏像を盗まれた観音寺が韓国の裁判所に補助参加人として参加する意向を示したことに絡んで、官房長官の松野氏がコメントを出したという事を報じている。

韓国に文化財が渡ると帰ってこない

盗まれた仏像

仏像盗難に関する話はなかなか込み入った話、というよりは理解できない部分の多い話である。

もはやあまり触れたくもない状況ではあるのだが、簡単に要約するとこんな感じである。

  • 2012年10月8日 対馬市の観音寺から仏像が盗難されたとの報道がなされる
  • 2013年1月29日 窃盗と密輸の容疑で韓国人窃盗団5人が韓国警察に逮捕され、韓国国内で仏像2体が回収される
  • 2013年2月27日 文化財専門の窃盗犯が盗んだ仏像は、観音寺が政党に取得したことを訴訟で確認するまでは返還してはならないという裁判所の決定が出る
  • 2013年3月 韓国で訴訟を起こしている浮石寺の住職や市民団体メンバーが、日本の観音寺に訪れて仏像を渡すように要求する計画をするも門前払いされる
  • 2020年10月 浮石寺の住職が長引く訴訟の中で、坐像に金彩を施す「改金仏事」をしたい意向を韓国の高裁で示す
  • 2020年12月 韓国政府が、対馬市観音寺の住職に対して裁判への参加を促す書類を外交ルートで送る

ちょっと意味が分からない展開である。

基本的に、日本と韓国との間では文化財不法輸出入等禁止条約が結ばれている。これ、1970年にユネスコで採択されたユネスコ条約に基づくものであり、批准する96カ国のうちには日本と韓国が含まれているため、韓国政府は不法に日本から持ち出された文化財を、日本に返却する責務がある。

もう1つ、日韓請求権協定(1965年)と文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(1965年)によって、日韓における文化財の返還が完全かつ最終的に解決済みであり、また正式の手続きにより入手した文化財に返還義務はないとするのが日本側の基本的な立場であるため、原則的に韓国政府は日本に対して仏像を返還しなければならない。

ところが韓国政府はこれらの条約、協定を全て無視なのである。

驚異的なロジック

そんな訳で、原則的には韓国政府は裁判の帰趨に関わらず日本に対して早々に仏像を返還すべきなのだが、2012年から早8年も経過している。

ところが韓国政府は裁判所の主張を盾にして、未だに返還してはいないのである。

そんな訳で冒頭に紹介した様に官房長官が「ハヨ返せ」と言及するに至ったわけだが、未だに返還は実現していない。

だが、浮石寺は数百年前に倭寇が略奪した仏像だとして所有権を主張し、引き渡しを韓国政府に求めていた。2017年1月の1審判決では、仏像から見つかった記録などを理由に浮石寺への引き渡しを命じたが、韓国政府側は記録の信憑(しんぴょう)性に疑問を呈し、控訴した。日本政府は韓国側に仏像の返還を求めている。

産経新聞より

そうそう、ここの記述について少し説明しておきたい。

「仏像から見つかった記録」という下りだが、どうやら仏像の内部に結縁文が隠されていて、「高麗国瑞州浮石寺」「天暦三年」などの記述があったそうだ。

長崎県の文化財

つまり、高麗国瑞州の浮石寺由来の仏像であるという事が示唆されるわけだ。

韓国裁判所は第1審で「仏像に『高麗国瑞州』という記録はあるが、対馬の観音寺に移転された記録がない」とした。また、「1330年以降『倭寇(日本の海賊)』が5回、瑞山地域に侵入したとの史書があり、贈与・売買ではなく、盗難・略奪などで搬出されたと判断される」とし、2017年に浮石寺の所有権を認める判決を出した。

リンク切れ

それを悪用して韓国の第1審では因果関係不明なロジックを使って、浮石寺の所有権を認める判決を出しているのだが、こんな判決を出すのは国際的に極めて不見識なことである。まさにOINK(Only in Korea)判決だな。

結局、不法にこれを維持し続けることで、浮石寺が実質的な所有権を得るという流れにしたいのだろう。韓国に現存する国宝級の史跡・美術品はかなり少ない。理由を付けて、自国のものにしたいという意識が働いているのだろう。

韓国にとってデメリットの方が大きくなる

だが、果たしてそれが本当に韓国の国益に繋がるのかというと、そうではないだろう。

仏像盗難、日韓にしこり 九博「百済展」開催断念へ

2013/5/2 15:27

九州国立博物館(太宰府市)の三輪嘉六館長は1日、来年春に計画していた特別展「百済展」の開催を断念する方針を示した。長崎県対馬市の寺から盗まれ、韓国に持ち込まれた仏像の返還問題が影響したという。

~~略~~

百済展は、日韓共催の形で同博物館や韓国で百済関連品を公開する計画だったが、日本側の出品予定者から韓国での展示を懸念する声が出ていたという。

西日本新聞より

実際に、日韓共催の展示会は盗難事件以降激減している。

尤も、何かの切っ掛けに復活させるところもあるので、済し崩し的に日韓友好を演出したい人は多いのかも知れない。だが、この話は日本だけではない。

フランス「直指の韓国展示、差し押さえの恐れがなければ積極的に検討」

Posted November. 19, 2021 09:09, Updated November. 19, 2021 09:09

フランス政府が、自国の国立図書館が保有している「直指心体要節(直指)」の韓国展示について、「差し押えの恐れがなければ、積極的に検討する」と明らかにした。最近、欧州各国の文化財返還が活発な中、このような空気を追い風に直指の韓国内展示が開催される可能性に注目が集まっている。

東亜日報より

フランスと言えばルーブル美術館で有名な国だ。

ただ、あの美術館、かなりの割合で盗品を集めていることもあって、割とそういう面での悪評もあるのだけれど、しかし盗難品である事と収蔵・展示を続ける事は別問題である。

そんなフランスから、「韓国は美術品を貸しだしたらそのまま差し押さえて自分のものにする可能性がある」と、その様に判断されているのである。

文化体育観光部(文化部)の黃熙(ファン・ヒ)長官は17日(現地時間)、フランス・パリで記者懇談会を開き、2日前、フランスのロズリン・バシュロナルケン文化長官との会談でこのような意見を交わしたと明らかにした。当時、黄長官が直指の韓国展示を要請すると、バシュロナルケン長官は「韓国に送れば、差し押えされることが懸念される」と答えた。これに対し黄長官が「そんなことがないよう、韓国政府が保証する」と言うと、バシュロナルケン長官も、「それなら(直指の韓国展示が)できないことがあるのか。前向きに検討する。直指を保有するフランス国立図書館にも実務協議を要請せよ」と述べたという。

東亜日報より

なかなかフランス側は辛辣な指摘だが、これが現実なのである。

フランス側はこれまで、「直指は略奪または盗難文化財ではないため、韓国に返還される名分が少ない」と主張してきた。2018年も国内展示が推進されたが、フランス側が韓国に海外文化財を国内に持ち込んで展示する際、差し押え・没収を禁じる法案の立法を要求し、実現しなかった。

東亜日報より

2018年にも似たような話があって、この時もフランスから文化財が貸し出される事は無かった。

なお、日本の場合、壱岐から高麗版大般若経が盗まれて(1994年7月)、韓国で国宝認定されてそのまま、なんてこともあったので、流石にコレに懲りて文化財不法輸出入等禁止条約を批准したという経緯があったのだが、余り意味は無かったね。

出廷してはいけない

盗んだものは返してほしい

記事を書いているうちに腹が立ったので、当初予定していた記事を引用することをすっかり忘れてしまっていた。

申し訳無い。

今回、官房長官の松野氏がコメントした背景には、こんな話がある。

対馬で盗まれた仏像、「倭寇に略奪」と所有権主張の韓国内訴訟に被害者の寺が出廷へ

2021/11/23 20:01

2012年に長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像「 観世音菩薩坐像かんぜおんぼさつざぞう 」を保管する韓国政府に対し、同国の 浮石プソク 寺が所有権などを求めた韓国内の訴訟で、観音寺側が韓国政府の参考人として出廷する意向を伝えた書類を今月、日本の外務省に送ったことが分かった。

讀賣新聞より

2022年1月にこの裁判が再び開かれる予定になっているのだが、仏像を盗まれた対馬市の観音寺側が韓国政府の参考人として裁判に出廷するらしいという報道があった。

裁判の構造上、この裁判に盗難被害にあった観音寺側が参考人として出廷することはなく、あくまで参考人としての出廷ということになるらしい。

観音寺によると、外交ルートを通じて韓国政府から観音寺に裁判参加を促す書面が昨年12月に届いていた。前住職の田中節孝さん(75)は23日、本紙の取材に対し、「出廷日は分からないが、盗んだものは返してほしいと主張する」と語った。

讀賣新聞より

ただ、何となく上手く利用されるだけのような気がするんだよね。

この件は一義的に韓国政府が現在仏像を勝手に所有する浮石寺から仏像を回収して、日本側に引き渡す話となっていて、裁判はそもそも成り立たない。何故ならば、浮石寺には請求人適格がないからだ。訴訟を起こすことが出来ない立場にあって、どう転んでも真の所有者としては認められないハズなのである。

ただ、韓国なのでどうなるのかは分からない。アノ国の法理はさっぱり不明だからだ。

そう言う意味では、観音寺は上手く韓国政府に利用されるだけなんじゃないかな。ちょっと心配である。個人的には日本政府が止めて、外交的に「先ずは条約に基づいて返還を」という風に迫るべきだったと思うんだけど。

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