元首相の安倍氏、支那に怒られる

外交

いやー、安倍氏の発言が支那の指導部には刺さったようだよ。

中国、安倍氏の「日本有事」発言に「でたらめ」猛反発

2021/12/1 20:40

安倍晋三元首相が、台湾のシンクタンクの招きに応じてオンラインで講演し「台湾有事は日本有事だ」などと発言したことに対し、中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は1日の記者会見で「台湾問題で公然とでたらめを言った」と非難した。「強烈な不満と断固とした反対」も表明し、外交ルートを通じて日本側に厳正な申し入れを行ったことを明らかにした。

「産経新聞」より

苛烈な反応をすると、逆効果だ。「その攻撃はオレに効く」と暴露したようなものだぞ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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台湾問題は支那の逆鱗

安倍氏の発言

先ずは、安倍氏がどんな文脈での話をしたのかというのを紹介しておきたい。

「台湾有事は日本有事」 安倍元首相が台湾のシンポでオンライン講演

2021年12月1日 18時00分

安倍晋三元首相は1日、台湾で開かれたシンポジウムに日本からオンライン参加した。緊張が高まる中台関係について、「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と述べ、中国側が軍事的手段を選ばないよう、自制を促す取り組みの必要性を訴えた。

「朝日新聞」より

安倍氏がオンラインで参加したのは台湾の民間シンクタンクが主催したシンポジウムであり、この場で安倍氏は「新時代の日台関係」と題した基調講演を行った。

その中でこの様な発言があったらしい。

安倍氏は講演で「日本と台湾がこれから直面する環境は緊張をはらんだものとなる」と指摘。「尖閣諸島や与那国島は、台湾から離れていない。台湾への武力侵攻は日本に対する重大な危険を引き起こす。台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を(中国の)習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。

さらに、中国側が軍事的手段に訴えた場合、「世界経済に影響し、中国も深手を負う。私たちは経済力、軍事力を充実させて決意を示すと同時に、理性的に、中国が自国の国益を第一に考えるなら、中台関係には平和しかないと説かねばならない」と強調した。

また、台湾の環太平洋経済連携協定(TPP)加入については、「台湾の参加を支持する。台湾には資格が十二分に備わっている」と述べ、世界保健機関(WHO)など国際機関への参加についても、「台湾はふさわしい発言権を手にしていくべきだ」と語った。

「朝日新聞”「台湾有事は日本有事」 安倍元首相が台湾のシンポでオンライン講演”」より

いやー、ハッキリ言ったね。

支那側からのメッセージ

で、冒頭のニュースに戻るわけだが、支那からは報道官の汪文斌氏が出てきて発言をしたという。

ああ、その前に基礎知識としてこちらの記事を参考にして欲しい。

簡単にまとめておくとこうだ。

  • 趙立堅氏 外交部報道局副局長
  • 汪文斌氏 新聞司副司長

何れも報道官なのだが、趙立堅氏はキャンキャンと噛みつく戦狼外交の旗手として設定されており、以前良く出てきた華春瑩氏がマイルド担当だったのに対し、趙立堅氏はとにかく攻撃的である。

一方、もう少しお堅い抗議をする担当なのが汪文斌氏で、彼が出てきたと言うことはレベルは低いが正式な抗議という扱いという印象だ。趙立堅氏よりはちょっとグレードが上である。

ただ、どちらも下っ端なので彼らの言っていることを鵜呑みにする必要は無い。ああ、支那にとって都合が悪いんだな、とその様に理解すればいいからだ。

  • 王毅氏 第11代外交部長、国務委員兼外相

で、その上のグレードになるのが王毅氏だが、この人は交渉の場に出てくる担当なので、報道官として外国に対して物申すシーンではあまり見かけない。ただ、出てこれば前出の二人の場合よりは強い意思表明となる。

しかし、王毅氏は外交担当としては下っ端なので、外交シーンでは外交トップの楊潔篪氏が出てこないと話は動かない。報道段階で楊潔篪氏が出てきたことはない。最終兵器だからね。

そうした知識を踏まえておくと、話が分かりやすいだろう。

中国外務省の汪文斌(おう・ぶんひん)報道官は1日の記者会見で「台湾問題で公然とでたらめを言った」と非難した。「強烈な不満と断固とした反対」も表明し、外交ルートを通じて日本側に厳正な申し入れを行ったことを明らかにした。

~~略~~

汪氏は、台湾について「中国の神聖な領土だ。第三者が勝手に手を出すことを絶対に許さない」と主張。その上で「軍国主義の道へ再び向かい、中国人民の譲れない一線に挑む者は誰であれ、必ず頭をぶつけ血を流すだろう」と猛反発した。

「産経新聞」より

で、汪氏が何を言ったかというと、「でたらめを言った」ということである。「何を」ということは言っていないのだが、個人的には産経新聞が分析したような「日本有事だ」という発言について不満を示したとは思っていない。

どちらかというと、TPP加入容認発言やWHO加入容認発言にキレた可能性が高いだろう。これはワンチャイナポリシーに反する話だからだ。

「支那共産党の譲れない一線に挑む者」に対しては攻撃するぞと脅し、「強烈な不満と断固とした反対」を表明したことは、いつもの事だからあまり意味はあるまい。

「乱暴に内政干渉」中国、安倍元首相の台湾発言で駐中国大使に厳正な申し入れ

2021/12/2 11:03

安倍晋三元首相が、台湾のシンクタンクの招きに応じてオンラインで講演し「台湾有事は日本有事だ」などと発言したことに対し、中国の華春瑩(か・しゅんえい)外務次官補は1日夜、垂秀夫(たるみ・ひでお)駐中国日本大使を呼び出して、「厳正な申し入れ」を行った。中国外務省が2日に発表した。華氏は「極めて誤った言論で、中国の内政に乱暴に干渉した」と猛反発した。

「産経新聞」より

なお、華春瑩は駐中国日本大使の呼び出しをやったと報じられている。「支那の内政に干渉した」と、そのように主張するわけだ。

日本側の内情

台湾有事は日本有事はもはや常識

さて、残念ながら日本の政治家であっても台湾有事が日本有事に直結するという事実を認識されない方が多い。

安倍氏の発言にもあったが、台湾と尖閣諸島や先島諸島はほど近い環境にある。台湾侵攻をする上では尖閣諸島や先島諸島は確実に支那からの火の粉が降りかかる場所となる事は確実なので、だからこそ自衛隊の能力強化をしている。

自衛隊 離島奪還想定 種子島で上陸作戦などの訓練公開

11月25日 15時43分

離島奪還を想定した自衛隊の上陸作戦などの訓練が種子島で行われ、25日、水陸両用車などを使った訓練の様子が報道関係者に公開されました。

自衛隊は今月19日から30日まで全国各地で大規模な演習を行っていて、県内では、種子島や奄美大島の瀬戸内分屯地、それに鹿屋航空基地などで訓練が行われています。

「NHKニュース」より

宮古島の弾薬庫 ミサイルとみられる弾薬搬入 市民50人余が抗議

2021年11月15日 2時00分

陸上自衛隊のミサイル部隊の配備に伴って新たに宮古島に建設された弾薬庫に14日、ミサイルとみられる弾薬が運び込まれました。宮古島の港や弾薬庫の前では、ミサイルの搬入に反対する市民合わせて50人余りが抗議の声をあげました。

「NHKニュース」より

<独自>米軍が最新鋭砲空輸へ 離島防衛を想定

2021/11/27 20:45

米海兵隊が12月に陸上自衛隊と実施する共同訓練で、中国のミサイル脅威を想定した新たな作戦構想「遠征前方基地作戦(EABO)」に基づき、最新鋭の高機動ロケット砲システム(HIMARS=ハイマース)を日本国内で初めて長距離空輸することが27日、分かった。

「産経新聞」より

実際に自衛隊もアメリカ軍と共同作戦を行えるように様々な訓練をやっているが、この訓練をやっている意味は、台湾有事が現実的な問題として表面化していることと無関係ではない。

もちろん、武力衝突が本当に起きるかどうかということを心配する必要は無くて、むしろ武力衝突が起きないように、具体的な軍事演習をしてみせることで抑止力として機能させるべきなのである。

ここで、「むしろ軍事演習をすることで相手を刺激する」などと主張する人がいるが、現実を見ろといいたい。支那は軍事演習をするしないに関わらず、台湾に軍事的な圧力を執拗にかけ続けている。

「記録的な数の」中国軍機、台湾の防空識別圏に侵入

2021年4月13日

台湾は12日、「記録的な数の」中国軍の戦闘機が、台湾の防空識別圏に侵入したと発表した。

「BBC」より

中国の戦闘機など台湾防空圏に24機侵入 TPP申請に反発

2021年9月23日 18:03 (2021年9月23日 21:06更新)

台湾の国防部(国防省)は23日、中国の戦闘機など24機が防空識別圏(ADIZ)に大量侵入したと発表した。台湾が同日、環太平洋経済連携協定(TPP)加盟に向け、正式に申請手続きを行ったと発表し、中国が強く反発したものとみられる。

「日本経済新聞」より

日本側が軍事的アクションを止めたら、例えば沖縄から軍事力を撤退させたら、支那からの嫌がらせはなくなるのか?といったら、そんなはずも無いだろう。

実際に支那が侵略して植民地化した土地は、チベット、ウイグル、内モンゴル、満州と列挙できる。そしてその犠牲になった人々の数は、既に億単位の人数となってきている。

外務大臣の尻ぬぐい

さて、話を戻して、この安倍氏の基調講演の裏には一体何があったのか?というと、外務大臣の林氏の発言である。

台湾側の出席者からは、岸田政権の林芳正外相に中国から訪中要請があったことについて質問があった。安倍氏は「日中関係は重要であり、外相間の対話は行わねばならない。訪中については何も決まってないと承知している」と述べたうえで、「日本としては言うべきことは中国に言いながら、日中関係を発展させていきたい。同時に、地域の平和と安定に資する形で進めていかねばならない」と台湾側への配慮をみせた。

「朝日新聞」より

この林氏の失態について、このブログで整理していなかったので、一度簡単にやっておきたい。

林芳正外相「中国側から訪中招待」 日中電話協議で 応じるかは未定

2021年11月21日 15時15分

林芳正外相は21日、フジテレビの番組で、18日の日中外相による電話協議の際、王毅(ワンイー)国務委員兼外相から訪中要請があったことを明らかにした。応じるかどうかについては、「現段階で何も決まっていない」と述べるにとどめた。

「朝日新聞」より

11月3日に外務大臣になってから直ぐに支那の外相との電話会談をしている。通常は外相会談の内容というのは、公にする必要があるケースは別だが、テレビ出演した番組の中でぽろっと公表するようなことではない。

ところが、余程嬉しかったらしく、「支那においでよ」と言われたとテレビ番組で漏らしてしまった。

番組で電話協議に触れた林氏は「中国側からインビテーション(招待)もあった」と述べる一方、「具体的な調整が始まったわけではない」とした。

また、来年2月の北京冬季五輪をめぐり、バイデン米大統領が「外交ボイコット」を検討していると発言したことについて、林氏は「我々は我々として考えていく」と述べた。

「朝日新聞」より

多分これ、確信犯であると思う。林氏は迂闊な失言するタイプではないのだ。

支那とこれだけ仲が良いのだというアピールをテレビでやらかしたと。出すべきではない情報を出して、悦に浸っているわけだが、このアピールは即ちこれまでの安倍・菅外交の道筋とは事なり、支那と仲良くやっていきますよというメッセージに他ならない。

これで台湾やアメリカは、「日本は支那側に付くのではないか」という不信感を抱かせたわけだが、それを払拭する為のメッセージを出したのが安倍氏だというわけだ。

流石に、支那としてはそれは困るのである。

昨日の記事にも書いたのだが、支那は割とヤバい山を踏もうとしている。五輪開催の成否によっては習近平氏の失敗が色濃く出てしまい、支那皇帝の座を追い落とされる可能性すらある。

支那はそこまで力(金)を入れて五輪準備をしてきたのである。

したがって、安倍氏の発言は「迷惑」以外の何ものでもないということになる。

追記

良く言った!

中国側の抗議「受け入れられず」 安倍元首相の“台湾めぐる発言”で

12/2(木) 15:01配信

安倍元首相の「台湾有事は日米同盟の有事」などの発言をめぐり、松野官房長官は、中国側から抗議があったが、「一方的な主張は受け入れられない」と反論したことを明らかにした。

~~略~~

垂大使は中国側に、「政府を離れた方の発言の1つ1つに説明する立場にない」としたうえで、「日本国内にこうした考え方があることは、中国として理解する必要がある。中国側の一方的な主張は受け入れられない」と反論したという。

「yahooニュース」より

在支日本大使の垂氏が「支那側の一方的な主張は受け容れられない」と、突っぱねたことが報じられたが、これまでの大使がなかなかこうした発言が出来なかった事を考えると、評価したい。

もちろん、これは政権側が腰を据えて対応する姿勢でいてくれてこそ意味があるため、岸田氏の口からもハッキリと伝えるべきだと思うんだが。

コメント

  1. こんにちは。

    >苛烈な反応をすると、逆効果だ。「その攻撃はオレに効く」と暴露したようなものだぞ。

    あの人達、高圧的な割に煽り耐性低いっすよね。
    高圧的だからこそ、かな?国内だと噛みついてくるヤツ居ないから、中華序列的に。上は怖いけど。

    岸田は風見鶏の腰抜けだし(それを知った上での宰相採用でしょうけれど。自民の奥の院としては)、林は鼻薬でも嗅がされてるんでしょうけれど、
    「ドタマカチ割って血ぃ見るどワレ!(意訳)」
    って言ってきた中共に対し、安倍さんも、
    「私には良い医者も居るし、頼りになる友人も多い。分かるね?」
    とでも言い返せば……とか思ってしまいました。

    やはり、もうしばらくは安倍さんが居てくれないとダメですね、この国の外交は。

    • あまり安倍氏を持ち上げたくはないのですが、実績を考えるとやっぱりねぇ。
      安倍氏を持ち上げたくない理由は簡単で、何か起こったら全て安倍さんお願いという、脆弱な政治体制になってしまう気がするのですよ。菅氏も相当仕事をしてくれたので高く評価はしているのですが、同様に出来るだけ触れないようにしたいところ。
      岸田氏には特に頑張って頂きたいですからね。

  2. 木霊さん、今日は。

    対支那に対してこういう強硬論をハッキリと明言できるのは、今は安倍氏・麻生副総裁くらいじゃないかなァ~。
    岸田総理&林外相&茂木幹事長はイマイチ信頼できないですから、日本がしっかりとした立場を示す事は良い事ですね。

    >台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を(中国の)習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。

    かなり具体的に踏み込んだ習キンペーへのダイレクトメッセージなんですが、下っ端の汪文斌氏のいつものキャンキャン吠えしか打つ手がない事実...、習キンペーはけっこうジレンマの真っ最中じゃないかな。
    今は北京五輪の強引な成功が最優先だし(国内向けプロパガンダ)、その後に突然の台湾侵攻は警戒しなきゃなりません。

    安倍さんがそこまで先読みしての一連の発言なら、僕は高く評価したいですね。

    • 支那相手にはガツンと言うべきなのですよね。
      ただ、習近平氏は今までとタイプが違うので、ガツンと言ったらどのような反応をするのやら。

      正論を突きつけて痛がるのはどこも同じですが、習近平氏がそれで引き下がるとも思えません。
      政治駆け引きなのでしょうが、最近は色々な事があちらこちらで置きすぎて。

  3. 木霊様

     安倍元首相の「台湾有事は日本有事だ」は日本国民にも言ったのじゃないかな?でもネット等の反応を見ると、個人的にはイマイチ 
    「台湾の次は尖閣、沖縄だ」じゃなくて「同時or先」じゃないのかな?

    ・台湾ー与那国,尖閣 間距離 110-170km マッハ1で5-8分 その気になれば3-4分
    ・台湾ー沖縄、フィリピンクラーク基地 623-740km      その気になれば 15分

    シロート考えからすると15分到達範囲なんて少なくとも同時、出来れば先に、制圧または牽制が必要な気が、、私には現代戦闘の制空権の知識がないのですが、どんなものなんでしょう?

  4. 木霊様 みなさま

    汪文斌氏は下っ端だそうですが、それにしても品がない。 北朝鮮のオネーサンも相当下品ですが、独特の皮肉に知性の片鱗を感じさせますが、汪文斌氏の物言いは、殆どチンピラレベル。 一応国を代表するスポークスマンとして不自然すぎ。
     もしかしてこれらは「日本のジャーナリストの劣化」が原因で、暴言の正体は中国古典を引用した高度な皮肉であるのに機械翻訳を直接日本語に直している。「日本のジャーナリストは中国番記者でさえ中国古典を知らない」のが原因じゃないか? と疑ってしまいます。