ソロモン諸島ので暴動発生

オセアニアニュース

暴動の発生は数日前なのだけれど、金曜日にはこのニュースに触れていなかったので軽く取り上げておきたい。

ソロモン諸島でデモ暴徒化 親中路線に反発

2021/11/26 19:11

南太平洋の島嶼(とうしょ)国ソロモン諸島の首都ホニアラで政府に反発するデモが相次ぎ、一部が暴徒化している。デモ隊はソガバレ首相や同氏が推進する親中国的な政策に反発を強めており、中国人が経営する商店などを襲撃した。事態を重く見た中国政府は「重大な懸念」を表明。反発の拡大を警戒している。

「産経新聞」より

そもそも、「ソロモン諸島はどこにあるのー」、とかそう言うところから突っ込みを入れなければならないほど、現代の日本にとってあまり馴染みのない場所であるようには思う。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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暴動の根底には支那の影

イギリス連邦の一員

オーストラリア周辺の地域は、結構イギリス連邦の国々が多い。

ソロモン諸島もイギリス連邦の一国で、首都ホニアラはガダルカナル島に位置している。

この図だと、「ソロモン諸島」と赤字で示されている下に位置するのがガダルカナル島だ。

ソロモン諸島、ガダルカナル島で「ああ、そういう」と、ピンと来た方もいるかも知れないが、実は大東亜戦争時には日本軍に所縁の深い地域となった。

ガダルカナル島の戦い(昭和17年:1942年8月~昭和18年:1943年2月7日)では日本軍が消耗戦を展開して多数の餓死者を出した事でも有名であるが、旧日本軍がこの土地を占領を維持しようとした理由は地政学的の重要拠点であったからである。

当時の日本軍にとってアメリカとオーストラリアの分断工作は必須であり、その意味でこの周辺を抑えておく意味があったのだ。

結局、戦後のソロモン諸島は、イギリス連邦の加盟国として独立(1978年)するに至り、国家元首はエリザベス2世女王が、その権限は総督が代行する形で議会制民主主義により統治している。行政の長は首相で、議会によって選出される形になっている。

暴動の理由

さて、今回の暴動、どんな切っ掛けで起こったのだろうか?

ソロモン諸島の暴動、中国人街で焼死体3体を発見

2021.11.28 Sun posted at 15:15 JST

南太平洋のソロモン諸島の首都ホニアラで反政府デモを契機に起きた暴動で、地元警察は27日、市内にあり略奪や放火の標的ともなっていた中国人街の焼失した建物の中から焼死体3体が見つかったと発表した。

ソガバレ首相の辞任などを求め24日から3日間続いた抗議デモで死亡者が報告されたのは初めて。逮捕者は27日の時点で、100人以上に達した。

「CNN」より

デモは反政府組織が主体となって、ソガバレ首相の辞任などを求めて行われたらしい。

そして、中国人街の焼失した建物の中から焼死体3体が見つかったと。

実は、ソロモン諸島の首相のマナセ・ソガバレ氏、首相は4期目のベテランなのだけれども、4期目に入ってその外交方針を大きく変え、それまで重要な外交相手として位置づけていた台湾との関係を清算(断交)して、支那との国交を回復している。

ソロモン諸島が台湾と「断交」 中国と国交

2019/9/16 20:13

台湾の呉燮外交部長(外相に相当)は16日、南太平洋のソロモン諸島と外交関係を断絶すると発表した。中国が掲げる「一つの中国」原則を認めない民主進歩党の蔡英文政権が2016年5月に発足して以降、中国の圧力による「断交」は6カ国目で、台湾と外交関係のある国は16カ国となった。

「産経新聞」より

この背景にあるのは、ソロモン諸島の経済悪化と支那からの金銭支援である。ソロモン諸島は現在、国家財政破綻状態であり、オーストラリアからの経済支援を主に受けている状況なのだが、経済的に改善する見込みは薄い。

おそらく、支那からの経済支援はインフラ整備であり、日本からも毎年多額のODA支援が行われているが、これに輪をかけた美味しい支援が支那からあったのだと思われる。

RAMSIと民族紛争

ソロモン諸島の歴史において、独立後の政権維持はさほど順調に行われてこなかった。貨幣経済に染まらない島民が多数を占めるため、ソロモン諸島という国家に帰属する意識が薄い島民達が多いのである。

しかし一部地域で経済的に発展したために格差が大きく広がることになる。その結果として民族紛争が勃発(1998年~2003年)。これの鎮圧に動いたのが、オーストラリア主導で行われた地域ミッション(RAMSAI)だった。2003年7月に、オーストラリア中心となった大規模な軍隊と警察が動員され、ソロモン諸島の紛争を鎮圧させるに至り、ソロモン諸島の治安は劇的に改善する。

ところがこのRAMSAI、2017年に撤退が決まった。

RAMSIの撤退で中国人社会が秩序維持に不安視(ソロモン諸島)

2017.07.11

1998年から2003年にかけ発生した民族紛争の終結と社会秩序安定のため、派遣された豪州主導の地域ミッション(RAMSI)が6月に撤退することに対して、2006年に首都ホニアラのチャイナタウンが暴動により放火された在住中国人社会は不安を感じている。中国人社会協会の委員長は、RAMSI指導で組織された新しい警察が市民を保護できるのか危惧しており、将来の深刻な暴動・騒乱を想定して緊急避難対策を検討しなければならないと述べている。

「PACIFIC ISLAND NEWS」より

この撤退に危惧を示したのがチャイナタウンを仕切る委員長である。

実は、2006年4月に行われた首都ホラニアでの首相選挙を切っ掛けとして似たような暴動が発生していて、この時も華人の経営する商店が襲撃されている。

華人はソロモン諸島の政治に大きく関わっていて、ソロモン諸島で一大経済圏を築いているのだが、このことに不満を持つ人が少なくなかったのだ。

特に首都ホラニアのあるガダルカナル島と隣にあるマライタ島の島民同士の対立が大きく、ガダルカナル島は華人が多く住み経済的にも発展している一方で、マライタ島の方はRAMSIの駐留などでも恩恵を受けることは少なかった。それが影響してか、マライタ島の州長であるダニエル・スイダニ氏は台湾との関係を維持することを主張している。

中国との国交樹立に反発、住民投票へ ソロモン諸島の州

2020年9月5日 13時00分

太平洋の島国ソロモン諸島で、人口最多のマライタ州が「中央政府が人々の声を聞かずに中国と国交を結んだ」として、独立の是非を問う住民投票を今月実施すると発表した。ソロモンは昨年9月に台湾と断交し、中国と国交を樹立したばかり。同州はこの決定に批判的な立場を取り続けており、「中国との国交を選んだ国の一員であるべきなのかを問う」としている。

~~略~~

1978年に英国から独立したソロモンは、83年から台湾との外交関係を維持してきたが、昨年9月に中国と国交を樹立。背景には中国によるインフラ整備への期待がある。中国は2023年にソロモンで開催される太平洋諸国のスポーツ大会に向けた屋外スタジアムの建設支援を約束している。

「朝日新聞」より

何というか、支那も露骨だな。

根本的な民族対立の裏側にアメリカや支那の影がチラチラすると言うのが、現在のソロモン諸島の抱える問題ということだろう。

ちなみに、マライタ島側に付いているのがアメリカと台湾で、ガダルカナル島側についているのが支那だという構図らしい。

不満の構図

さらに産経新聞はこんな解説を加えている。

デモ隊の多くは、ホニアラのあるガダルカナル島の北東部に位置するマライタ島の住民だという。両島住民は1990年代以降、対立が続いており、マライタ島住民グループは2019年に政府が台湾と断交し、中国と国交を結んだ決定に強く反対している。

国内には中国企業が地元住民を雇用していないことへの不満もくすぶっている。ソガバレ氏は26日、「中国との関係を望んでいない国々がマライタに影響を与えている」と述べ、海外の勢力がデモ隊を扇動しているとの見方を示した。

「産経新聞」より

うーん、島民グループの対立の構図と説明されている。

支那企業が地元住民を雇用しないのは何処の国でも見られる構図ではあるが、ソロモン諸島では島同士での発展の格差が生まれていて、インフラ整備の度合いの違いなども影響していると見られる。

つまり、いつもの支那のやり方で暴れたので、流石にソロモン諸島の人々も恨みをつのらせたということなんだろうね。

中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は25日の記者会見で、中国人が関わる商店が相次ぎ襲撃を受けたことに懸念を表明し、「中国とソロモン諸島の関係の正常な発展を破壊しようとするいかなるたくらみも無駄なものだ」と牽制(けんせい)した。

~~略~~

中国の習近平国家主席は9月下旬、ソガバレ氏と電話会談し、国交樹立後の両国関係の発展を称賛した。中国側の発表によると、ソガバレ氏は「台湾、新疆(しんきょう)ウイグル自治区、香港、人権などに関わる問題で引き続き中国側を断固支持する」と応じたという。

「産経新聞」より

うーん、ダメな臭いしかしない。

ソロモン諸島で暴動 豪が軍派遣

2021.11.28 Sun posted at 14:32 JST

南太平洋のソロモン諸島で暴動があり、オーストラリアが安維持を支援するため軍や警察の要員を派遣する。

「CNN」より

オーストラリアの駐ソロモン諸島大使は同日、豪州軍部隊が26日に到着したと確認した。地元警察を支援する任務に当たる。部隊の派遣はソロモン諸島政府の要請に基づく。

パプアニューギニアのマラペ首相も声明で、同国がソロモン諸島政府の求めに応じて警官らから成る治安維持チームを派遣し、26日に現地に到着したと発表した。

「CNN」より

RAMSAIのメンバーが再びソロモン諸島の鎮圧に乗りだしたようだが、いつまでもこれが続けられないのが辛いところである。

結局のところ、ソロモン諸島が独立した国家で存続していくためには、自前の警察権で暴動の鎮圧を実現出来るようにならねばならない。だが、そのための行政予算が確保出来ないという悪循環がある。

支那のやり方はシロアリと同じである。一度入られたらボロボロになるまで食い尽くされる。日本も他人事では無いのだけれど。

コメント

  1. こんにちは。

    アフリカ諸国で起きていることと、基本的に同じ匂いしかしませんね。
    さほど時間をかけず、これら地域では「チャイニーズ」≒「鼻つまみ者」の意味になるのでは無いでしょうか。
    そこの、ハニトラにズブズブの政権が倒れるかどうかが鍵、ではありますが。

    スリランカも港湾使用権を持ってかれたそうで。
    一路一体構想のぶり返し、思ったより早く、同時多発的に起こるかも……とwktkしてます。

    • アフリカ諸国でも支那は随分やらかしたようなんですが、あそこまで露骨な印象ではないですよ。
      ただ、この話が進んでいって、ソロモン諸島が支那に取り込まれてしまうと、オーストラリアとしてもニュージーランドとしても困ることになるでしょう。流石にアメリカも黙っていないのでしょうね。
      実際に暗躍しているようですし。

      • 失敬、スリランカもですが、上記の、七面鳥が見たのはウガンダでした。

        >https://hosyusokuhou.jp/archives/48914395.html
        >【中国債務の罠】中国、ウガンダのエンテベ国際空港を差し押さえか 「一帯一路」の債務返済の不履行で

        「鉱山でやりたい放題してた中国人が拉致殺害された」なんてニュースも目にしましたから、あちらこちらで閾値を超え始めた印象があるんですが、どうなんでしょうね。

        オセアニアは、豪州の親中政権が入れ替わったことで潮目が変わった感がありますが、さて、ここからの西側資本主義国の巻き返しがどこまで出来るか。

        正直、ここ数年~十数年の動きについて、100年後の歴史の教科書が見てみたいと、本音で思ってます。

      • エンテペ国際空港の話はそう言えば見ましたよ。
        ウガンダを押さえるのは鉱山の利権絡みだという話はありますから、そろそろ気が付いて漢人排除に動くというのは理解できます。
        アフリカ大陸では人民元が流通し始めているという話も聞きますから、なかなかスゲーなと思います。

        オセアニアの綱引きも注目したいところですね。

        そして、100年後の歴史の教科書ですか。今の歴史の教科書でも近代史の評価は様々で、あまり言及されない傾向にある様ですから、100年後では案外記載が排除されている可能性も。ただ、それも踏まえて見てみたいですよね。