サイバー攻撃でミサイル防衛強化?!

防衛政策

サイバー攻撃でミサイル防衛の強化?!

自民・高市氏、「サイバー攻撃」も選択肢 ミサイル防衛の強化で

2021年11月24日17時56分

自民党の高市早苗政調会長は24日、東京都内で講演し、ミサイル防衛を強化するため、日本による「サイバー攻撃」を容認する可能性に言及した。「超音速でミサイルを撃ち込まれても防ぎようがない」と指摘。対抗手段として「今の法律ではできないが、サイバー攻撃を仕掛けて無力化する」ことを挙げた。

「時事通信」より

前回は電磁波だったけど、今回はサイバー攻撃かよ。記事が短く、高市氏が何を言わんとしていたのかは分からないのだが、案外それが時事通信の狙いだろう。

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電磁波攻撃で弾道ミサイルを防衛できない

えーと、前回は自民党総裁選の時だったね。

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敵基地攻撃能力の1つとして電磁波攻撃を例示されたのが前回で、EMP攻撃を想定していると思われる発言が報じられた。そして今回はサイバー攻撃である。

高市氏の主張が如何なるものであったかは分からないが、メディアは「おかしなことを言っている」というような報道にしたいようだ。

EMP攻撃の可能性

前回は指摘できなかったが、自衛隊もEMP弾の研究はしている。

https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/2021/pdf/jigo_01_honbun.pdf

「EMP弾構成システムの研究」は紹介している通り不発に終わってしまって残念なのだが、構想としては「敵のセンサ・情報システムの機能を一時的または恒久的に無力化」する為のEMP弾の開発が目指されていた。

だがこのEMP弾は、半径数十m程度の範囲に強力な電磁波を投射して、一時的に機器のシステムを撹乱するか、可能であれば電子回路に負荷をかけてショートさせる事を目指したものであるし、今のところ実現していない。

発生するエネルギー的に、基地1つ丸ごと影響を及ぼすということは不可能だろう。高高度での核弾頭爆発によって引き起こされる電磁波嵐を利用して敵を無力化するのが現実的な解だが、別の問題が生じるのでコレも無理だ。

他にも、電子妨害マイクロ波、高出力マイクロ波、レーザーに類する技術など様々な検討はなされているが、素人目に見ても実現のためのハードルは相当に高い。

理屈は簡単で、遠隔地からのマイクロ波照射やレーザー照射は大気中で減衰・拡散してしまうために極めて大きなエネルギーを必要として現実的ではないし、地球が丸いことも関係して高高度から行う必要があるが、その規模のエネルギー投射体を空に上げておくくらいなら、戦闘機で爆弾を落とした方が早い。

サイバー攻撃も難しい

では、サイバー攻撃は?というと、現実的にコレも困難である。

情けないことに、サイバーの分野では圧倒的に日本の技術はロシアや支那、北朝鮮に劣っている。攻撃する側は有利ではあるが、そのアドバンテージを持っていても安易にサイバー攻撃を仕掛ける事は、法律上も困難性が高い。

高市氏はサイバーセキュリティ対策本部長を勤めていた事もあり、サイバーセキュリティに対して造詣が深く、そんなことは百も承知のハズ。知識量について若干怪しいという指摘もあるが、まさか飛んできたミサイルにサイバー攻撃を仕掛けて無害化するなどというSFの世界でも実現にハードルがあるような事を考えてはいまい。

その上で、手段の1つとしてあり得るという話なのだろうけれど、即応性のある手段とは言えない事は確かである。

超音速でミサイルを撃ち込まれる

とまあ、おかしな点を2つ指摘したワケなのだけれども、多分メディアが意図的におかしな部分を切り取っているのだとは思う。

でも、その他にもおかしな点があるんだよね。

> 超音速でミサイルを撃ち込まれても防ぎようがない

弾道ミサイルであれば音速を超えるのは普通だし、巡航ミサイルでも亜音速で飛ぶのは普通である。コレを迎撃するのがPAC-3なのであって、超音速ミサイルを迎撃出来ないなどといったら、ミサイル防衛の根底から話が覆ってしまう。

多分、極超音速ミサイルのことを言いたかったのだと思うのだが、高市氏の発言はどうにも正確性に欠ける事が多いようだ。サイバー攻撃にしても電磁波攻撃にしても、そういう話なんだろうね。

弾道ミサイルは移動車両から発射される

そして、根本的な問題として、北朝鮮の弾道ミサイルは移動発射機より放たれるため、基地に狙いをつけてEMP弾を発射したところで意味はない。サイバー攻撃の場合はなお悪い。

米軍のように高速データリンクで繋がって指揮されている命令系統があり、一部自動化されているのであれば、サイバー攻撃の意味も出てくるが、北朝鮮の兵器はかなりレガシーを感じる年代物の兵器が多い。弾道ミサイルを発射する移動式車両は、基地にいる時ですらネットワークに繋がっているとは考えにくい。

サイバー攻撃は、万能ではないのだ。

サイバー攻撃の分野に予算を付ける必要はある

一方で、彼女の言うように防衛装備品に予算をつぎ込む必要はある。特にサイバーの分野にはお金を注ぎ込んでいく必要があるだろう。日本はまだまだ遅れているのだ。

高市氏はこれを踏まえ、「防御体制の強化にお金を掛けないといけない」と強調した。

「時事通信」より

しかしそれにしたって、指揮官がポンコツでは話にならない。技術を理解しないまま、「サイバーだ」「電磁波だ」と言われてもねぇ。

自民党総裁選挙の時も少し話題になっていたが、ここのところ再び敵基地攻撃能力についての議論がなされている。ちょっと古い記事だが、岸田氏も首相に就任した後に敵基地攻撃能力の保有について言及をしていた。

【独自】「敵基地攻撃能力」の保有、首相が明記意欲…改定時期「できるだけ急ぎたい」

2021/10/16 07:42

岸田首相(自民党総裁)は15日、読売新聞のインタビューに応じ、敵のミサイル発射基地などを自衛目的で破壊する「敵基地攻撃能力」の保有について、改定する国家安全保障戦略への明記に意欲を示した。米国のバイデン大統領との首脳会談に向け、年内の訪米を模索する考えも表明した。

「讀賣新聞」より

ポーズだけの可能性はあるものの、岸田氏に「その気」はあるようだ。

ただ、何をするかと言えば、「敵基地攻撃能力の保有に関する内容を国家安保戦略に明記をする」という話だけで、保有を決定したということでは無い。議論は大切なんだけどね。

敵基地攻撃能力とはなんですか?

高市路線

再び高市氏の話になるのだが、もともとこの岸田氏の発言は、高市氏の発言に引っ張られての事であった。そう、高市氏は自民党総裁選挙に出馬して破れたわけだが、その時に敵基地攻撃能力の保有に言及している。

報道に仕方が悪かったのか、別の理由があったのか、マジですか?というレベルの高市氏の発言ではあったが、国民や国会議員には一定の理解を得られたといえると思う。総裁選挙も第3位の得票率だったし、存在感も見せつけられただろう。

一方の岸田氏、世論も多少は盛り上がったため高市氏の発言を無視出来なくなって、この度、敵基地攻撃能力に言及したと言うことだろうと、そう僕は理解している。

河野太郎路線

ちなみに、防衛大臣を経験している河野氏だが、こんな話を自身のブログで説明していた。長いよ……。

簡単に要約すると、「敵基地攻撃能力」ではなく「抑止力を持て」が望ましいらしい。が、どうやら中身はアメリカの攻撃力に期待という意味合いが強い。

この抑止力を成立させるために、日本ができることは何でしょうか。

一つのシナリオでは戦域内での米軍の行動の自由を確保するために、米軍を攻撃してくる中国の艦船や航空機に対して自衛隊が対艦、対空ミサイルで防御支援をします。

中国のレーダーの覆域や対空火器の射程が拡大し、自衛隊の航空・海上優勢の確保が難しくなるなかで、長射程ミサイルの導入による脅威圏外からも対処できる能力またはスタンドオフ能力の向上が必要となります。

~~略~~

その際、「では日本は米軍を支援しない」などということになれば同盟は崩壊します。

この場合は、「有事には日本は米軍を支援する」、ただし「中国本土を攻撃することは念頭に置いていない」という示し方ができます。

「ごまめのはぎしり」より

言っていることは間違ってはいないと思うが、これ、アメリカが日本防衛に動いてくれることが前提なんだよね。アメリカが「オラやらね」と結論を出したら、日本はその次の手が打てないでは困る。

大体、この手の議論はそれこそもう古いんじゃないの?アメリカ頼み一辺倒の防衛手法は既に破綻している。

抑止力になり得るのか

河野氏がブログの中で言及しているが、敵基地攻撃能力の保有というのはさほど簡単な話ではない。

敵基地攻撃能力は、北朝鮮などで迎撃困難な新型ミサイルの開発が進んでいることを踏まえ、2020年に当時の安倍首相が検討を表明した。ミサイル発射基地に対する攻撃能力を備えることで、発射を思いとどまらせる抑止力を強化する狙いがある。だが、同年9月就任の菅前首相は議論を棚上げしていた。

「讀賣新聞」より

「発射を思い止まらせる抑止力」は存在するんですか?それが「アメリカによる攻撃」だとしたらもはや古い議論だ。トランプ氏は「世界の警察を辞める」路線を堅持したし、バイデン氏だってそれを覆す気はなさそうだ。

そして敵基地攻撃能力の獲得は難しい。何故なら、前述したように北朝鮮ですら発射車両(TEL)によってのミサイル運用が行われている。当然、支那も同様の構成を採っていて、ミサイルのサイロというのも基本的には地下に隠されているので、ミサイル攻撃などで破壊するというのも困難である。

中国でまた核ミサイル発射施設110基を発見──冷戦以来「最も大規模な」軍備増強

2021年7月29日(木)12時10分

中国が、西部新疆ウイグル自治区の砂漠地帯に、核ミサイルサイロ(核ミサイル用地下発射施設)を新たに110基建造していることが、7月26日付の調査で判明した。専門家はこの動きを、冷戦以来「最も大規模な」建設活動だと表現している。

「Newsweek」より

地下に建造されたミサイルサイロの場合、発見が困難な上にピンポイントで地上部分を爆撃できたところでダメージはほぼ無い。このため、地下貫通型のミサイル(バンカーバスター)などの運用も行われている国もあるが、日本には無い。

つまり、現時点で自衛隊に対地ミサイルを配備したところで、敵が脅威と感じることはなく、抑止力になり得ないという問題がある。

この辺りは前回も指摘している。

サックリ説明すると、「そもそもミサイル保有しても、狙いを付ける情報獲得能力に欠ける」という話をさせて頂いている。

敵は誰だ?

そもそも敵基地の「敵」って何処よ

で、それ以前の議論として、「敵基地攻撃能力」の「的」となる相手、つまり、「敵」とは一体何なのかという議論は避けられている。でもこれは報道ベースでも割と知られている話。まあ、既に上で触れているんだけどね。

公明代表「敵基地攻撃は古い議論」 岸田首相を牽制

2021/10/19 21:02

公明党の山口那津男代表は19日のNHK番組で、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受け敵基地攻撃能力の保有検討に言及した岸田文雄首相を牽制(けんせい)した。「敵基地攻撃能力というのは昭和31年に提起された古めかしい議論の立て方だ」と述べた。

「産経新聞」より

先日、こんなニュースがあってこれにも本ブログで言及させて頂いている。公明党が武器保有に押し並べて反対意見を述べるのは、公明党が「平和の党」であるからではない。アレは敵側だからだ。

北朝鮮のミサイルもそれなりには脅威である。完成していないと言われている弾道ミサイルではあるが、精度の問題はともかく日本に届く核兵器は数が少なくとも「ある」と理解した方が良かろう。だが、それは本質的な敵ではない。

中国の核「日本1800万人即死」 米と費用対効果協議

2020年8月3日 7時00分

中国が核実験に成功した1960年代、米国が日本に対し、中国の核攻撃を米国製兵器で防ぐ「費用対効果」を文書で示していた。当時は冷戦まっただ中で、日米ともに中国と国交正常化していない。米国は甚大な被害想定で日本に対応を促していた。

~~略~~

こうした中、米側の想定文書では、76年にかけての中国の核戦力増強を予測し、弾道ミサイル100機と爆撃機150機による爆発規模計15万5千キロトン(広島型の約1万倍)での日本の主要都市への核攻撃を想定。防空態勢がそのままなら1800万人が即死するとした。

「朝日新聞」より

真の敵は支那であり、それも随分と前から支那の弾道ミサイルは日本の都市を攻撃するように照準を定めて配備されている。

これは分析に基づくものではあるが、支那はこの事を否定しない。

核開発に関する毛沢東ら国家指導者の発言や科学者の偉業を紹介する展示の中で、当時、核開発を必要とした理由について「米国が日本に核ミサイルの発射基地を造ったため」と説明していると聞いて驚いた。

「西日本新聞」より

かつて支那が核開発を急いだ理由がコレ。「アメリカが日本に核ミサイルの発射基地を造った」だ。これが建前であったにせよ、核ミサイルが日本に向いて居ることを示唆していることは間違い無い。

中国、30年に核弾頭1000発 米国防総省が報告書

2021年11月4日 1:30 (2021年11月4日 5:26更新)

米国防総省は3日、中国の軍事力に関する年次報告書(2021年版)をまとめた。中国の核弾頭保有数は30年までに少なくとも1000発と、20年時点の保有数の推計である200発から5倍に増えると見積もった。ロシアを交えた軍拡競争が一段と激しくなる恐れがある。

「日本経済新聞」より

そして、未だに次々と核ミサイルを増やしていて、まさかアメリカや台湾だけに照準を合わせてあるわけもない。確実に日本も標的になっている。それが1000発である。開いた口がふさがらない。なお、ロシアも1,570発の核弾頭を保有していると言われており、その一部が日本にある在日米軍基地に向いていることは言うまでもないだろう。

ミサイル配備と狙い

さて、ロシアの狙いは分かり易いが、支那の狙いは何なのか?という事であるが、表向きは日本にある核ミサイルの発射基地ということが報じられている。

参考までに北朝鮮の射程距離と保有ミサイルとの関係を示す図を1つ紹介しておこう。北朝鮮が多数保有するとされているノドンがあれば、日本全土何処でも狙えるとされている。ノドンは開発に成功しているとされる声もあるので(核弾頭が搭載可能)、日本を攻撃するには6~11分程度で着弾するとされているので、攻撃精度の問題はあれど核弾頭が搭載されていれば「利用」は可能だ。

ただ、ノドンの保有数はさほど多くないと見積もられており、200基程度保有し、発射するためのTELは20輌以下だとされている。

20発程度のノドンが同時に発射されると、自衛隊が迎撃可能なのか?という問題はあるけれども、北朝鮮にとって常に日本に狙いを付けておくことにメリットはさほど無いと思われる。狙われることはあるが、常に狙っている可能性は低いと考えられる。

ただ、狙うとすると首都東京か自衛隊の重要拠点がある都市であると思われる。狙い通りの位置に着弾できるのはどうかはまた別なのだけれど。

では、ロシアや支那は?というと、アメリカ仮想的に想定していると思われるので、在日米軍基地を狙っていると、その様に考えるべきだろう。その他に日本の都市にも狙いを付けている可能性は高い。

核弾頭が日本に着弾すれば市民が巻き込まれる

問題は、こうした核弾頭を搭載したミサイルはピンポイントで狙いを打ち抜く可能性はあるが、その周囲の街を巻き込む可能性が高い点である。

支那のミサイルで日本に狙いを付けているのがどれかは分からないが、DF-21辺りは確実に日本に届き、その破壊力は500kT程度であるとされている。

日本のトラウマ、広島に投下された「リトルボーイ」で12~18kT、長崎に投下された「ファットマン」で18~23kTである。

リトルボーイの被害範囲はこんな感じではあるが、東京都に落ちた場合の図もあるので紹介しておこう。

たかだか12~18kTでこの範囲にダメージが及ぶのだから、500kTの核弾頭であればどうなるか?リトルボーイでも東京は壊滅するが、DF-21だと確実に東京外環まで巻き込んでの破壊活動が行われるだろう。

アメリカも戦時中にやらかしたが、ロシア、支那、北朝鮮も同じ事をする意思がある。特にロシアや支那は日本の都市に狙いを付けている可能性は高い。アメリカだってそうで無いとは言えない。

要は、日本が相手にしている国は、こういう兵器を日本に突きつけている国なのである。

迎撃用のミサイルが足りない

そろそろ書いていて絶望的な気分になってきたのだが、残念な事にミサイルのスイッチを握っているのは、自国の人民を兵器を用いて平気で虐殺できる独裁者の方々である。民主主義を標榜しているアメリカでさえ、日本に核兵器を落としたのだから、まさか共産主義の独裁者達がミサイル投下に良心の呵責を覚えるとも思えない。

さて、こうした背景を考えていくと、河野氏の主張は方向性は違えど荒唐無稽と切って捨てるべきではない。つまり、毒をもって毒を制すというわけで、「平気で核弾頭をぶっ放した実績のある国」を味方に付けるというのが正解なのである。

米軍司令官「中国への抑止力が低下」  予算増額求める

2021年3月10日 13時01分

米インド太平洋軍のデービッドソン司令官は9日、上院軍事委員会で「中国に対する抑止力が低下している」と証言し、インド太平洋地域の軍事力増強のための予算増額を求めた。

「朝日新聞」より

ところがその肝心のアメリカの「やる気」が減退しているのが実情である。

そもそも、アメリカの国益のならない事に対してアメリカ軍が動いてくれるのか?という疑問は常に付きまとうのである。

しかも、現状の自衛隊では飛んできた弾道ミサイルを撃ち落とせるかどうかもちょっと怪しい。迎撃率100%は信用出来ず、良くて7~8割ではないか?という気もするが、一度に数百発同時に打ち込まれたら高い確率で撃ち漏らすし、1000発以上のミサイルを保有しているロシアや支那を相手にすると、迎撃するためのミサイルが先に尽きるのは日本側である。

少なくともロシアや支那はそこまで読んでいるし、一方で自国の人民の多少の損耗は気にしまい。要するに、敵基地攻撃能力の保有は日本が抑止力を持つことにならない可能性が高いのである。

どんな抑止力が考えられるか

手段を増やすしかない

基本的には外交努力での抑止という必要があるのは事実である。

しかしその外交努力の背景に武力がある必要があって、そのための対地ミサイル保有というのは考えるべきだろう。対艦ミサイル、対地ミサイルの保有は絶対条件であると思う。核兵器が必要かどうか?ということも議論はしていくべきだ。対地ミサイルの一態様としてEMP弾の開発をしていけば良いだろう。

攻撃手段を持ってこそ、外交ができる。「刃物をちらつかせながら外交をするなど、平和を蔑ろにしている!」と激昂される方もいると思うが、そもそもその相手が刃物をちらつかせている現実に早く気が付いて欲しい。武器を持った相手に丸腰で交渉するアホは何処の世界にもいないのである。

結局のところ、電磁波攻撃だろうがサイバー攻撃だろうが外交ツールの1つとして開発し、手段として保有しておかねばならない事実を政治家自身が語らねばならない。敗戦後、日本はそれをタブーにし過ぎたのである。

MD構想は、あくまでもダメージ軽減する手段に過ぎない

では、ミサイルディフェンス構想は無駄かというと、そんなことはない。100%迎撃できなくとも、少なくとも日本国土に着弾するミサイルを減らす効果は期待できる。

我が国に飛来する弾道ミサイルに遅滞なく対応するため、JADGE(ジャッジ)と呼ばれる自動警戒管制システムが、全国各地のレーダーがとらえた情報を集約・処理しています。これにより、着弾地点の計算などを自動的に行い、はるか洋上のイージス艦などに瞬時に迎撃を命令することができます。

「防衛省のサイト」より

防衛省のサイトの一文を紹介しておくが、あくまでも日本に飛来する弾道ミサイルに対処を目的としていて、その効果はダメージ軽減である。

それだけなのだ。

それを敵基地を破壊したらミサイルが飛んでこないというような誤解を生むことはおかしいのであって、ミサイル防衛の一環として敵基地攻撃能力を論じるからおかしな話になる。

そもそも国連は侵略戦争を否定し、一方で防衛権(集団的自衛権、個別的自衛権の両方を含む)を国固有の権利だと認めている。では敵基地攻撃能力は?というと、防衛の範囲において可能であると解釈され、そのことは国連も認め、日本国憲法も容認している。

だからこそ、手始めに敵の基地に手が届く槍を手に入れる。それは爆撃機であろうと、ミサイルであろうと手段は問わないのだが、そこが外交の第一歩であると理解しなければならない。その前段階として憲法や法律を改正する必要があるんだけどね。

自衛隊に敵基地攻撃可能なミサイル部隊の創設を急げ

さて、これは前日のニュースなのだが、コレに絡むニュースがあったので、最後に紹介しておきたい。

自衛隊の無人機が行方不明だという話なのだけれども、何故陸軍がここで演習していたかというとこちら。

19日から自衛隊統合演習 米海兵隊も参加へ

11月17日 12時16分

19日から始まる自衛隊の大規模な演習で、県内では種子島や奄美大島で電子戦を想定した訓練などが、鹿屋航空基地でアメリカ海兵隊のミサイル部隊も参加した訓練が行われる予定です。

~~略~~

県内では種子島で、陸上自衛隊の水陸機動団などおよそ600人が上陸作戦や空からの部隊の展開を想定した訓練を行うほか、奄美大島の瀬戸内分屯地では、電磁波を使って相手の通信やレーダーの利用を妨害する「電子戦」を想定した訓練を行います。

「NHKニュース」より

この話、僕自身のアンテナには引っかかっていなかったのだが、JSF氏が記事で解説をしていた。

米海兵隊「地対艦ミサイル部隊」が鹿屋基地に展開訓練(JSF) - 個人 - Yahoo!ニュース
米海兵隊「地対艦ミサイル部隊」が鹿屋基地に展開訓練しましたが、実際には地対艦ミサイル部隊そのものではありません。

個別に読んで頂くとして、ここに紹介されるように「アメリカ海兵隊のミサイル部隊」というのは存在しない。

将来的に作られる部隊を想定した訓練であるという事になるのだが、アメリカ海兵隊としても地対艦ミサイルの配備は必須であると考えている事を意味し、陸上自衛隊もその必要性を認めているという理解で良い。

陸自、ミサイル部隊を沖縄本島にも計画 離島を含め4拠点 「最前線」に置かれる住民は反発 | 沖縄タイムス+プラス プレミアム | 沖縄タイムス+プラス
[フォローアップ] 防衛省は沖縄県うるま市の陸上自衛隊勝連分屯地に地対艦ミサイル(SSM)部隊を配備する方針を固め、市に計画を伝えた。沖縄本島へのSSM部隊配備は初めて。奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島の4拠点態勢で島しょ防衛を強化する。

沖縄タイムスはおかしな理論で反対しているが、沖縄が最前線になるからミサイル部隊を配備するのであって、ミサイル部隊を配備したら最前線になるわけではない。話が逆さまなのである。

同様に、敵機基地攻撃能力を備えたミサイルを配備するから戦争になるのではなく、戦争になるのを抑止する為に敵機基地攻撃能力を備えたミサイルを配備するという話で、それが本当に抑止力になるかを議論する必要はあるが、何らかの抑止力を備えなければならない現実は変わらないのである。

ミサイル部隊が保有するミサイルが、敵基地にまで届く。それだけの話でパワーバランスは大きく変わってくるのだ。だって、相手のミサイルは日本の主張都市に届くんだぜ?

尤も、残念ながら主力はやはり同盟国に期待するしかない流れである。ただ、同盟国が危機に陥った時に日本が兵を出せないのでは話にならないので、やっぱり法改正からスタートせざるを得ない。

追記

ネットで拾った恐ろしい図を紹介しておきたい。

ハッキリと明示はされていないが、この図は軍事社会学者の北村淳氏が作成したもののようで、その信憑性については怪しい部分がある。

ただし、アメリカや台湾の諜報機関は支那のミサイルが日本の都市に狙いがつけられていると明言しているようなので、荒唐無稽と切って捨てるような図でもないだろう。

こうした中、米側の想定文書では、76年にかけての中国の核戦力増強を予測し、弾道ミサイル100機と爆撃機150機による爆発規模計15万5千キロトン(広島型の約1万倍)での日本の主要都市への核攻撃を想定。防空態勢がそのままなら1800万人が即死するとした。

「朝日新聞」より

こういう国が相手なのだと言うことは、想定しておくべきだろう。

コメント

  1. 木霊様 皆様こんばんは!

    高市氏の「サイバー攻撃」は「攻撃」と持ち上げておいて「防衛強化」を落としどころとして狙った発言ではないでしょうか?

    台湾有事を考えるならば、韓国が中国に逆らえないであろうことはほぼ明確ですし、ならば、

    米国が
     チャイナテレコム、TikTok、Zoomに行ったような 強権発動や、少なくとも圧力を
    日本では、
     LINE、Yahoo等に加える権限をもつ組織や法的根拠は、急務と私には思えます。

    特にLINEは、支那的手法で利用されれば、多くの官公庁、企業、そして要人、を社会的抹殺するのに最適なサイバー攻撃ツールとなりえる。
    このとき支那は「日本的なハメ技の手口」など知らなくても良い。日本の恐喝専門家:詐欺師・暴力団等を先にハメ、彼らに要人へのサイバー攻撃を下請けさせれば良い。

    のではないでしょうか?

    • 高市氏の言う、「サイバー攻撃」を法整備する必要性はありますし、自衛隊の予算の積み増しも必要です。
      何より新しい分野への投資を怠るとろくなことはありません。

      彼女の場合残念なのは、言っていることが見当違いなのではないかという懸念を持たれることですかね。少なくとも報道内容を見ると「何言ってるのこの人」と思わず感じてしまいます。あれは記者がアホだからなのかもしれませんが。しかし、彼女の関連ニュースですから圧倒的に損です。河野太郎氏のように即座に間違いについてTwitterで指摘するなどの対応ができれば違ってくるのでしょうが。

      あと、支那を念頭において「サイバー攻撃」と言ったのであれば、北朝鮮に対してやるよりは現実的だと思います。
      ただ、サイバー攻撃部隊は圧倒的に敵方の方が上ですから、気合いを入れてやって欲しいですね。

  2. >気合いを入れてやって欲しいですね。
    相当な覚悟、どころか「壮大な戦略」が必要じゃないでしょうか?

    サイバー「攻撃」
     どう取りつくろっても相手国からすると違法行為で、諜報機関的な性格を帯びざるを得ない。必要ですが、絶望的に遅れている上に、ものすごく困難。方便としての政策決定・投資が現状必要なことではないでしょうか?

    私の考える必要項目をあげます。

    法整備
     「おとり捜査」を合法とするより、更に高度なレトリックや特例を、告訴されても泥沼になるような、複雑な法整備が必要、、、短期間に詰めるのは逆効果にならないか心配

    制度・組織・機構整備 – 何年かかることやら。でも始めないと始まらない。
     支那・露のような大国にサイバー攻防で対等に立とうと思えば、最低限のスタートラインとして、Five Eyesに正式加盟して、彼らと同等権限でエシュロンシステム等にアクセスでき、かつギブ&テイクできる組織・装備の立上げと維持、すなわち継続投資が必要。

     ただ、英・米がEU脱退や国内混乱で対日本警戒してる場合じゃない今。は見方を変えれば日本にとってチャンスですが、日本的ノロノロ行政で間に合うか? 

    人材
     兵卒となれる天才は幸いなことに日本にもまだまだいます。それより
     「トップ、中堅が最も難しい」
      生半可な人が、高度成長期モデルで組織を率いると、デジタル天才達は腐るか海外に行ってしまう。
     最低限「Jリーグ、プロ野球」方式で、才能あるトップに天才達を率いさせかつ「Jリーガー、プロ野球」選手なみの報酬を与えることが必要。 
     トップは下の「兵卒候補」にあげたような天才達を、技術実力で従えられるサイバー豪傑で、かつ、世に知られていないトップ、、候補はいるか(世に知られることはマズイ)

     例えば
      ・台湾デジタル担当大臣オードリー・タン氏に匹敵する方、権力が与えられるか。
      ・トップ候補
        サイバーセキュリティーセンターでは高木浩光氏はなぜトップじゃないのか。
          (本人が辞退してるような気もしますが)
      ・中堅候補
       小川晃通 https://www.geekpage.jp/
       江添亮 自由ソフトウェア主義者 C++標準化委員 ドワンゴ社員 予備自衛官  
         https://cpplover.blogspot.com/
        言動は「自由民主主義原理主義者」てな感じでアナーキーな香りもしますが
         旧来の左翼でも右翼でもない。
      ・兵卒候補
          某一流大の某実習感想雑談:実習課題のFPGAベース独自仕様CPUは完成した。
          これだけじゃつまらない。それ用フルセットCコンパイラを
          2日ほどの徹夜で一人で作成した。チームは触発され、これ使って
          フルセットLinux移植。述べ2週間以内。
            スゴサが伝わりにくいと思いますが、1.5流企業のIT部門が同じことを
          しても3年は余裕でかかると思います。

        
    敵基地攻撃能力

     そもそも「抑止力」とは、報復をちらつかせたチキンレース、または相手国人質、であり、敵「基地」 攻撃能力なんてのは方便としか思えない。

      他人事に感じれば、日本のジャーナリストも「台湾:雲峰ミサイルの狙いは支那、三峡ダム」と普通に推定する。相手の弱点を狙えるのが抑止力。

      ならば日本の抑止力としてのICBMの狙いは、木霊さん追記の地図の逆。 北京や支那原子炉、三峡ダム、平城や濃縮設備、原子炉、が常識。もちろんICBMのプリセット照準先など軍事機密で公開の必要なし。

    ただし、日本がICBMを持つとなると、支那どころか欧米も妨害しかねない。するとエプシロンロケットベースになるし、米英が国内で困ってる今のペース上げが必要。 

      対空防衛
       これと
         http://www.jspf.or.jp/Journal/PDF_JSPF/jspf2016_05/jspf2016_05-323.pdf
       これ
         https://www.mod.go.jp/atla/research/ats2019/doc/nishioka.pdf
      を融合させたマイクロ波迎撃は、弾数で飽和迎撃できるし、長い目で見れば低コストだし、平和利用の方が恩恵大きいのでいくらでも言い訳立つ。必要電力をメガフロートソーラーセル等で賄い、日本買いで打上、太平洋側で回収、とか言って日本海に多数配備は面白いかも。

      いずれにせよ、JAXA投資の拡大は防衛上重要と思います。

    • ご指摘の話は勝手に要約させて頂くと2点に集約されるかと。
      1点目は、サイバー攻撃を行う事のできる人材の育成
      2点目は、サイバー攻撃が行う事のできる条件設定とそのための法整備
      こんなところですかね。

      後段の敵基地攻撃能力に関しては、まあ、持つ議論をするところから始めないとダメですね。
      未だに敵基地攻撃NGというところから一歩も動きたくない方々が多いですから。

      JAXAだけでなく、国内での兵器開発を含めた宇宙開発への投資の拡大な必須でしょう。

  3. 木霊さん、おはようございます。

    まだ素案状態の検討段階の個々の策について、今から重箱の隅を楊枝でほじくる様なご意見に思えて残念です。

    国民の命・財産と国土(領土・領海・領空)を守るという決意表明は決して間違っていないと思いますし、これまで憲法改正というハードルがあったにせよ、今まで具体策さえ論議されなっかったのが悲しい現実だったのではないですか。

    総裁選を経て感じるのですが岸田総理のここまでの安保政策関連に踏み込んだ発信は、良くも悪くも高市政調会長の意に沿った内容と思いますし少しづつですが前進じゃないかな。

    敵支那のミサイルに対抗する為にはサイバー攻撃・マイクロ波攻撃・新規迎撃ミサイル配備で防ぎ、反撃の為の敵基地攻撃(僕は首都北京他戦略拠点を含める敵拠点とした方がいいと思います)は、間違いなく今すぐに着手しなければならないのが、棚に上げられた具体的な事案なのですからね。

    要するに考えられる全ての防衛&敵拠点攻撃能力を、多角的かつ早急に実現させる事こそが肝要なのですから、いちいち「これは今は現実的でない」とあげつらい否定的に考える事に凄い違和感がありますね。

    今こそ日本人の叡智を結集できる経済安保&国土安保の為に、強力な組織の構築が必要な時でしょう。

    >そして敵基地攻撃能力の獲得は難しい。何故なら、前述したように北朝鮮ですら発射車両(TEL)によってのミサイル運用が行われている。当然、支那も同様の構成を採っていて、ミサイルのサイロというのも基本的には地下に隠されているので、ミサイル攻撃などで破壊するというのも困難である。

    支那の先制攻撃を察知する為の多数の監視衛星網の構築は、既に日米は連携して進めるているんじゃないかな。
    これにアメリカの助力を得てサイバー攻撃による支那のミサイル統合システムに侵入できれば、たとえ緒戦で千発撃たれようとも半分以上を無力化できればいい。

    残りの弾道ミサイルはイージス&PAC3で迎撃、メディアが盛んに不安を煽っている巡航ミサイルには、アメリカのHIMARS地対地ロケットと開発中のNMESIS地対艦ミサイル、さらに陸自の新近SAM等で近距離対抗する戦力を整え、地対地ミサイルを装備できれば、抑止力として何とかなるんじゃないかなと考えています。

    北京の軍事司令部まで最短の対馬に最新の地対地ミサイルを配備すれば約130km、精密誘導で地下破壊能力のある弾頭を使えれば支那の打つ手は核しかなくなるだろう。
    そんな愚かな最終手段を使ったなら支那は世界中を敵に廻し、完全に滅亡するしかない。

    習キンペーがどんなに覇権にしがみついたとしても、中国共産党だって許さないと思うけどね。

    • ご指摘の「素案状態の検討段階」での細かい指摘は無粋であるという点については、たしかにその通りではあると思います。
      しかし高市氏の発言に不整合があることは、国論を導いていく上では不利なことではないでしょうか。

      改めて読み直してみると、長々と記事を書いた上に、結論にイマイチ着地していない感じが強いため、本論にたどり着いてそれをお伝えできているかは不安の残る記事のできとなっているので、そうした点を含めてお叱りを受けるのは甘んじて受け入れるべきだと感じております。

      ただ、本質的には、自衛隊が保有する兵器についての議論は枝葉末節ではありますし、そこは研究機関に任せて予算をしっかりつけていく必要があると思いますが、サイバー攻撃にせよ敵基地攻撃ミサイルにせよ電磁波攻撃にせよ、それらを実現するために欠けている要素があり、それを政治的に解決するということこそ政治家の役割であると思いますし、どのような条件となったら敵基地攻撃に踏み切ることができるのかを含めてしっかり議論し、法整備していく必要はあると思います。
      そうした議論こそ、政治家にはして欲しいとそんなふうに思います。そういう観点から、我々も些少ながらも知識を身に着けねばならないと思います。