韓国の尿素水騒ぎが沈静化

大韓民国

11月始めに韓国で大騒ぎになった「尿素水が不足する事態」だが、ひとまずは沈静化する見通しであると報じられた。

尿素水、今月15日に68万リットル生産…一日平均使用量を超えた=韓国

登録:2021-11-16 20:25 修正:2021-11-17 06:51

尿素水の生産量が急速に正常化され、今月15日には一日の平均使用量を超えた。100カ所余りの拠点ガソリンスタンドの他に、2千カ所余りのガソリンスタンドにも10リットルの小分け製品も供給され始めた。

「ハンギョレ」より

韓国国内では、一時期「この世の終わり」のような騒ぎになり、実際にトラックが動かなくなって一部の流通が麻痺する事態に発展した。

この騒ぎは韓国政府の尽力によって沈静化した印象で報じられたが、そもそもこの騒ぎの正体が「何だったか」というところは気がかりではある。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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沈静化したのは「何」なのか

チャイナリスク顕在化

この問題で中央日報がこんなコラムを紹介していた。

【コラム】コスト最小化は昔話、部品・素材供給網から広げなくては=韓国(1)

2021.11.23 11:22

中国の輸出制限で起きた尿素水不足は何を残したのか。

ディーゼル車から出る窒素酸化物を減らす触媒剤である尿素水はバスやトラックなどディーゼル車の運行に必須だ。これらディーゼル車に装着された排出ガス低減装置に尿素水を定期的に入れなければならない。尿素水が不足すると警告ランプが点灯しエンジンがかからなくなる。このように致命的に重要な尿素水を作る原料である尿素の大部分を中国から輸入してきた。中国産尿素は韓国の尿素輸入量の3分の2、尿素水の原料になる産業用尿素の97.6%を占めるという。

「中央日報」より

コラムの中では3つの点が重要であると分析されている。

  1. 特定国に集中した過度な輸入依存の多角化
  2. 国内生産基盤の確保
  3. 米中覇権競争の加速化にともなう飛び火が韓国経済のどこに飛ぶのかに対する分析の重要性

え?今気が付いたの?!

韓国の貿易のやり方が、素材を輸入して組み立て品を輸出する加工貿易であることと、貿易偏重で依存度が6割強の貿易立国であることで、一部の原材料の輸入が止まるだけで経済が瓦解しかねない状況なのは理解していたハズだ。

一時期、貿易依存度9割という危険な時期があっただけに、輸出不振もあって少し落ち着いてきたようだ。これを自らの体質に関するリスクと考えて意図的に減らしてきていたものと思っていたが、少し買いかぶり過ぎだったらしい。

中央日報のコラムは、「コスト最小化という経済的効率性を至高至善の価値と崇め奉った時代に構築されたグローバルサプライチェーンはいまや変化を求められている」と結論づけているが、残念な事に韓国製品はこれまで価格競争力のみで市場を勝ち抜いてきた。

いきなり方向転換しろと言われてもどだい無理な話である。

尿素水の話はどのように決着したのか

ところで、「沈静化」と報じられているけれども、コレまで何度か言及してきた流れを見るに韓国内のこの騒ぎがそう簡単に沈静化出来るとは思えなかった。尿素が割と簡単に生成できる物質であるとはいえ、余剰在庫を韓国に売りつけるチャンスにはなっても、恒久的に販売できるほどストックされる部類のものでもないからね。そしてその最大の供給国が支那だったのだから、支那からの供給ストップはある意味致命的である。

実際、コレまで触れた記事で、支那からの尿素輸入にある程度は目処が付いたような印象もあったが、ハッキリとは事態解決に向かうかどうか明かされてはいなかったのである。

が、その目処がたったという報道がでた。

尿素水需給関連省庁合同対応会議を開催、需給は安定へ

2021年11月22日

韓国の企画財政部は11月18日、尿素水需給関連省庁合同対応会議を開催した。政府による「緊急需給調整措置」(2021年11月11日記事参照)の告示による申告結果と100カ所以上の重点ガソリンスタンドの在庫状況を基に、尿素水の生産・流通・配分などの需給状況を点検し、輸入に関しては搬入・契約などの進行状況を確認した。

~~略~~

輸入に関しては、中国と既に契約済みの尿素輸入量(2021年11月11日記事参照)のうち、11月17日時点で1万1,310トンについて輸出前検査の申請が完了したことを確認した。また、ベトナムから購入した尿素198万トンは11月17日に仁川港に到着した。さらに、5社のうち1社がロシアで車両用尿素320万トン、別の1社がアラブ首長国連邦(UAE)で車両用尿素水150万リットルをそれぞれ確保した。

「JETRO」より

約束が怪しいと言われていた各国からの輸入の目処が立ったという事なのかも知れないが、色々見ていくと、やはり大きかったのは支那の関税出泊められていた尿素が輸入出来たことなんじゃないだろうか。

冒頭の記事を読むとこんな事が書いてある。

韓国政府は16日午前、第9回尿素水需給関連汎省庁合同対応会議を開き、今月15日の尿素水生産量が68万3千リットルを記録したと明らかにした。これは一日平均の国内消費量である60万リットルを上回る物量で、今回の尿素水事態以後、一日平均使用量以上を生産したのはこの日が初めて。政府は「現場点検などを通じて、尿素水メーカーの障害を直ちに把握し迅速に解消するなど、生産能力が最大化されるよう支援を続け、今後も尿素水の生産・流通・販売量が急速に増加するよう誘導する」と明らかにした。

「ハンギョレ」より

韓国国内で「尿素水の生産」をしたと、その様に書かれている。

残念ながら、韓国国内で現在の設備で尿素そのものを生産ができないと報じられていたので、したがって尿素水の製造は、尿素に水を足すだけ(ちょっと悪意的な説明だが、手順は色々あれどそういう事になる)となるはず。

尿素を供給してくれたのは支那なので、したがってこの問題が「解決した」という結論に至るにも支那の影響が大きかったと分析できる。

危機感はあったハズなのに

さて、こうした状況を予言するようなコラムがあったので、コレも紹介しておきたい。

韓国、コロナで対中輸出依存度さらに強まる…「不確実性も高まり憂慮」

2021.01.20 11:43

昨年の韓国の対中国輸出額が1325億5500万ドルと集計された。対中国輸出は2019年(1362億300万ドル)に比べて減少したが、中国への輸出依存度はむしろ高まり、輸出業界の悩みも深まっている。中国の成長する大きな市場を無視できず、進出を増やすほど韓国経済の不確実性も高まるしかないという懸念のためだ。

韓国貿易協会によると、昨年の韓国の全体輸出額は5127億8873万ドルだった。新型コロナウイルス感染症の影響で前年(5422億3161万ドル)比5.7%減少した。全体輸出の減少額に比べて対中国輸出の減少幅(2.8%減)は小さく、対中国輸出比率は25.8%と、前年(25.1%)よりも高まった。

「中央日報」より

武漢ウイルスの影響で韓国貿易に大打撃となったはずなのに、いち早く武漢ウイルスの影響を脱したと宣伝した支那に頼って貿易依存度を増す選択を韓国はしたのである。

2021年1月の時点でこの判断をしたというところが注目すべきところなのだけれど、この時点で危険視する意見も出てはいたんだよね。

対中国輸出依存度が高まった中、中国市場に対する見方は分かれている。特に2017年の高高度防衛ミサイル(THAAD)国内配備で中国の経済報復を経験した後、輸出市場多角化の必要性を指摘する声が出ていたが、中国への依存度がまた高まっているからだ。

「中央日報」より

まあ、その心配が現実のものとなってしまったところに問題があるんだけどね。

「正常化」とは一体……

で、こういった流れであることと、解決の報道には何度も「正常化」という言葉が使われていて、その事が少し不自然に感じている。

韓国政府、「先週末に減少していた尿素水、22日から再び正常化の見通し」

2021/11/23 06:35配信

韓国政府は22日、尿素水の流通は同日から再び正常化すると見込んだ。先週末には尿素水の生産・流通量が減少したが、工程整備・休業など一時的な現象という説明だ。

韓国政府はこの日、政府ソウル庁舎でイ・オクウォン企画財政部第1次官の主宰で「第14回尿素水需給関連省庁合同対応会議」を開き、このように明らかにした。週末の間、主要生産会社5社の工場整備や流通会社の休業などで尿素水の生産量と流通量が減ったが、同日からは再び安定化すると見通した。

「WowKorea」より

16日と同じ事を23日にも記事になっている。「正常化」したんだぞ、と。

ただ政府は「今日からは(重点ガソリンスタンドの)入庫量および販売量が正常な水準を回復するものと予想される」とし、「契約量1万8700トンの他に、別の物量も中国から輸入されている」と明らかにした。

「WowKorea」より

そして、ここでも出てきた「支那からの輸入」である。

結局のところ、支那から尿素を輸入することが正常であるというのが、韓国政府の考え方なのだろう。それが正常化したから韓国の国内流通も改善したという話に繋がる。じゃあ、チャイナリスクは何処へ行っちゃったんですか?

そして「沈静化」したのは一体何なのか?という事になのだが、韓国国内で沸き起こった「尿素水不足による狂乱」が沈静化したのであって、尿素輸入が難しくなった状況は沈静化していないと見るべきだろう。

竹島騒ぎは無関係か

さて、ここからは完全に憶測である。

ここのところこのブログでも集中的に取り上げた竹島への警察庁長不法上陸問題だが、この外交カードは唐突に切られ、そして、見事に日米韓次官級協議は不調に終わり、共同記者会見はお流れになった。

やり方はともかく、かなり大きな効果が得られたこの外交手段について、誰が一体絵を描いたのか?という事は気にかかる。何故なら、日米韓次官級協議が不調に終わって一番大きな利益を得られたのは支那だからだ。

アメリカ政府の都合である可能性は高いのだが、アメリカと支那との関係は悪化してきている。支那にとってこの状況が加速すると五輪開催が危うくなるのではないか?という危機感を持っている。

こちらの記事で少し触れたが、西側諸国は概ね外交ボイコットで固まってきていて、しかしテニスプレイヤーの発言を支那共産党が封じてしまったことで更に選手ボイコットに繋がるリスクが出てきてしまった。

ここで流れを止めたいというのが、支那の願いであって、そこで都合が良かったのが日米韓次官級協議だったのではないか?と思う。

個人的に韓国警察庁長が竹島に訪問するタイミング、人選、その理由、どれをとっても都合の良いカードであったと思うのだが、それを準備してこのタイミングで韓国外交部が画策できたことが「スゴい」と思っていて、それがコレまでの韓国外交部の手管とは一線を画す印象があった。

では誰がその道筋を付けたのか?最大の受益者となった支那からの示唆があったとすれば、尿素絡み、或いは貿易全体を人質にとられた可能性も加味して、筋が通ってしまう。真相は何処にあるのかは知らないが、韓国がこれまで以上に支那依存症になっている可能性が高いのでは無いかと、そう睨んでいる。

かねてから、本ブログでは「韓国はレッドチームに行った」と書いていたが、それが顕著に表れた話なんじゃないかな。そのことは、アメリカも気が付いていると思うよ。

追記

えーと、追記する記事を2本。

Exclusive: U.S.-China tech war clouds SK Hynix’s plans for a key chip factory

November 18, 202110:16 AM JST

SEOUL, Nov 18 (Reuters) – Plans by Korea’s SK Hynix to overhaul a huge facility in China so it can make memory chips more efficiently are in jeopardy, sources familiar with the matter told Reuters, because U.S. officials do not want advanced equipment used in the process to enter into China.

「ロイター」より

1つ目はSKハイニクス関連の記事で、SKハイニクスは支那に半導体工場を持っているのだが、この工場のアップグレードをしようとしたらアメリカからストップがかかったという記事である。

アメリカが許可を出さないので、SKハイニクスはオランダの会社ASMLが製造した最新の極紫外線リソグラフィーチップ製造機を無理矢理支那に持ち込もうとして怒られたという話である。

サムスン電子 米国に半導体工場新設を発表 約2兆円投じる

2021年11月24日 12時59分

韓国のサムスン電子は2兆円近くを投じてアメリカに先端の半導体の工場を新たに建設すると発表しました。半導体は需要の伸びが見込まれる一方、世界的に不足が続いていて、大手の間で新工場建設の動きが相次いでいます。

発表によりますと、サムスン電子はアメリカ南部テキサス州に170億ドル、日本円でおよそ1兆9500億円を投じて先端半導体の受託生産の工場を建設するということです。

5GやAI=人工知能といった分野に向けた製品を生産する予定で、来年前半に着工し2024年後半の稼働開始を目指すとしています。

「NHKニュース」より

一方で、サムスンはアメリカに最先端の半導体工場を作る決定をしたとか。

これ、ムン君が以前に約束させられたヤツで、これによって利益が出るかどうかは不明だが、少なくともSKハイニクスは半導体工場のアップデートを封じられてしまったので、それよりはマシだろう。

そもそもSKハイニクスは支那に工場を作ったことで大きなハンデを背負っている。チャイナリスクを抱えたという意味ではなく、日本の輸出管理の厳格化によって支那に持って行ける素材が厳しくなったという話である。

ここでもアメリカに付くか支那に付くかで明暗が分かれる事になった。嫌が応にも踏み絵を踏まされるような事になる。それもアメリカと支那の両国からだ、というところが韓国の辛いところである。

コメント

  1. こんにちは。

    中国が脚本を書き、日米韓が舞台に上がったと。
    そこまで巧妙なことが中国に可能かというと、かつての中国なら出来たでしょうが、今は……習近平体制の今は、あっちもこっちもグズグズで、そんな回りくどい戦術が打てるとは思えないのですが、いや、今だからこそ、韓国が骨抜きになっている今だから成功した、と言えるかも知れません。
    いずれにしても、敵を侮るのは愚の骨頂ですし。

    なかなか面白い、「その発想はなかった」的な視点で、大変参考になります。

    今まさに、テレビのニュースでちらりと「竹島への警察庁長官上陸に制裁を検討」なんて見出しが躍ってましたが、だとしたら、韓国としては高い出演料になるかも知れませんね……

    • 習近平氏はあまり裏側工作をやらない(出来ない)印象ですが、党幹部の中にはそうした手管に長けた方もいらっしゃるでしょう。
      良くも悪くも支那における政治とはそういった工作込みでの手腕が評価されるようですし。
      ただ、何か証拠があるワケでもないので、あくまで「その可能性が高い」と、それだけの記事なんですけどね。

  2. 木霊様 こんにちは
    11/19の記事で「韓国にも頭の切れるやつが・・・」とコメントを書いた者です。

    日米韓外交次官級協議の一件、木霊様の言う通り、中国がシナリオを書いたとするのが一番しっくり来るようです。
    (こういう状況に陥る韓国、やっぱり無能?)

    おっしゃる通り憶測の域を出ませんが、シナリオは鮮やかですね。
    表向き中国の関与は一切見られず、日米韓外交次官級協議を骨抜きにし、一応竹島の件で韓国の顔を立てる。(韓国は日本に責任転嫁し、台湾問題に言及しなくて済む)
    日米から韓国への制裁が強まれば、ますます韓国の中国依存が深まることに。
    さらに、尿素の件で中国の関与を匂わす。
    違和感があるとすれば、尿素禁輸の件が唐突だったことと、シナリオがちょっと出来すぎている事くらい。

    どう見ても中国の一人勝ちで、韓国は自分の立ち位置を思い知らされたことでしょう。

    このことからも、中国は経済を武器に韓国を取り込んだ、と見て間違いないですかね。
    今回の一件、実は中国から日米へのメッセージだったのかもしれません。
    ま、やっぱり憶測の域を出ませんが。

    • はい、その節はありがとうございます。
      この記事も、774R様の示唆より裏がとれないかと調べた結果という事もありまして。

      青瓦台の中にも切れ者がいる可能性は当然ありますが、外交部からの判断でという事になってくると外と連携している可能性は高そうです。
      蓋然性は高いと思いますが、証拠は出てこないんでしょうね。

      • 日本でも現在アドブルー入手困難になってます…
        いつもは3000円/20リットルだったのが、Amazonで16,000円…と転売ヤーらしき事態です。
        いつも買ってるところが入荷未定となり、重機は大量に使用するんで、確保出来ないと止まってしまう事態は日本も変わらないようです。