首相補佐官に中谷氏を起用へ

政策

人権担当の補佐官を置くという約束を果たした格好だね。

首相補佐官に中谷・元防衛相起用へ…中国念頭に国際的な人権問題担当

2021/11/08 10:41

岸田首相は8日、中国を念頭に国際的な人権問題を担当する首相補佐官に自民党の中谷元・元防衛相(64)を起用する方針を固めた。10日の第2次岸田内閣の発足に合わせて任命する。

「讀賣新聞」より

中谷氏か、面白い人事ではあるが。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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バランス人事か?

当初からの約束

少し前の話だけれど、自民党総裁選に岸田氏が出馬した際に、「人権問題担当の首相補佐官を置く」と言及していた。

岸田氏「人権問題担当の首相補佐官を」 中国念頭に

2021年9月12日 17:15

自民党総裁選に出馬を表明した岸田文雄前政調会長は12日、動画投稿サイト「ユーチューブ」で国民からの質問に答えた。中国によるウイグル族への人権侵害などに対処するため、人権問題担当の首相補佐官を設ける考えを示した。

~~略~~

党内には人権侵害を理由に制裁できるようにする法整備を求める声がある。岸田氏は同日、都内で記者団に「国際的な動きも考えながら議論を続けていきたい」と提起した。

「日本経済新聞」より

えーと、これは9月12日の記事で、「人権侵害を理由に制裁できるようにする法整備」というのは、アメリカのマグニツキー法のことだろう。

セルゲイ・マグニツキー氏は、ロシアの税務弁護士であったが、ロシア税務当局が関与した不正を捜査した後に、2009年にモスクワの刑務所で死亡している。

マグニツキー氏は、獄中で胆石、膵臓炎、胆石性胆嚢炎を発症したが、治療を拒否された上に暴行を加えられ続け、獄中死したとされている。

こうした人権侵害について、アメリカ政府の中でロシアに対するペナルティーを与える事ができるような法制度を作るべきだという話になって、2012年にマグニツキー法と呼ばれるトンデモ法を作った。

何故トンデモ法か、というと、本来、法律は国内で発生した事案に対して取り締まることを目的としていて、外国人が外国で人権侵害を受けて死亡したからといって、アメリカの法律を適用するという事にはならないのである。やってしまえば内政干渉になりかねないからだ。

しかし、この手の法律はカナダやヨーロッパでも作られた。

人権が「外交ツール」として利用されているのである。それが良いことなのか悪いことなのかは、議論が必要だろうが、多くの国が外交ツールとして持っている法律を、日本が手にしていないというのは余り宜しいことではない。

日本版のマグニツキー法

当然、先進国で取り入れられ始めたマグニツキー法だが、日本でも作ろうという話が持ち上がった。

日本版マグニツキー法 日中関係悪化の懸念より普遍的価値

2021年5月14日

中国の新疆ウイグル自治区での少数民族弾圧、香港での民主化勢力の弾圧、ミャンマーの軍部による民衆弾圧など深刻な人権侵害が発生している。人権は人類の普遍的価値だ。国際社会で解決すべき問題であり、一国の内政問題にとどまるものではない。

当然、日本も中国に対して説明を求めたり、懸念や憂慮を表明したりしている。先日の日米首脳会談でも香港や新疆ウイグル自治区の状況に対して深刻な懸念を表明し、ミャンマーについて民主的な政治体制の早期回復を求めることで合意した。

「毎日新聞」より

前述したように、内政干渉ととられかねない法律ではあるが、人権を盾に国際協調をする上では必要なツールとなるのも事実。人権問題は国境を越えるなどと言う寝言を言う気はないが、平然と人権侵害を行う国と真っ当な付き合いをするというのは、日本がその人権侵害を容認して助長する可能性が高くなる。そこに一定の歯止めをかける外交ツールはやはり持つべきだろう。

そんな訳で、超党派の議員が集まって「日本でもマグニツキー法を作ろう」という動きになって、そのトップに座ったのが中谷氏なのである。

外国での人権侵害「制裁の法制化を」 超党派議連が発足

2021年4月6日 18時56分

外国で起きた深刻な人権侵害に制裁を科す「日本版マグニツキー法」の議員立法をめざす超党派の国会議員連盟が6日、設立総会を開いた。日中関係を重視する立場から慎重とみられていた公明、共産両党からも議員が参加した。

~~略~~

国会内で開かれた「人権外交を超党派で考える議員連盟」の設立総会で、共同会長に就いた中谷元(げん)・元防衛相(自民)が訴えた。総会には衆参53人の国会議員が参加。

「朝日新聞」より

つまり、岸田氏が「人権問題担当の首相補佐官を設ける」と発言した時点で、中谷氏をその座につけることは頭の片隅にあったハズだ。

外務大臣人事とのバランス

さて、一方で、外務大臣には林芳正氏を起用する方針であるという発表があった。

林芳正氏を外相に起用へ 岸田首相 意向固める

2021年11月6日 11時57分

岸田総理大臣は、今月10日にも発足させる第2次岸田内閣の外務大臣に、林芳正 元文部科学大臣を起用する意向を固めました。

先の衆議院選挙で、小選挙区で敗れた甘利前幹事長が辞任したことを受けて、岸田総理大臣は、後任に外務大臣を務めていた茂木幹事長を起用し、第2次岸田内閣を発足させるまでの間は、みずからが外務大臣を兼務しています。

「NHKニュース」より

この林氏、日中友好議連(日支と書きたいところではあるが、固有名称の通りに表記しておきたい)の会長でもある。なお、副会長が日本共産党の志位氏で、事務局次長は近藤昭一氏である。更に言えば、甘利氏も平井氏も会員である。また、林芳正氏の父親、林義郎氏も会長経験者である。

つまり、親子二代で筋金入りの親支那派議員なのだ。

林氏が外務大臣の職に就く話は、随分と自民党内でも反対が叫ばれたようだ。その理由は、支那との関係ではなく、大宏池会構想の実現に繋がる話だったからである。岸田氏が宏池会のトップ、林氏は宏池会のナンバー2である。まあ、要は派閥の論理である。

岸田政権の方向性を決める重要な人事

そんな感じで岸田政権は、先に報じられたように幹事長に茂木氏を起用する決断をしている。

「切れ者」の政治家、茂木自民党幹事長 強みと課題

2021年11月08日

衆院選に勝利した岸田文雄首相は、小選挙区で落選し辞任を申し出た自民党の甘利明前幹事長の後任に茂木敏充前外相(66)を起用した。永田町や霞が関での茂木評をまとめると、実務能力や状況判断、先読みに優れた「切れ者」の半面、周囲に厳しく怒りっぽい面もある。「ポスト岸田」を目指すには、中堅、若手議員や官僚との距離を縮めて「茂木ファン」を増やし、ソフトで「切れる」政治家となることが課題のようだ。

「時事通信」より

シェイシェイ茂木と揶揄された茂木氏だが、切れ者であるのは事実だ。でも、親支那派なんだよねぇ。

更に林氏の起用で、支那よりの側面が高まった感じである。岸田氏も親支那派だしね。そこで首相補佐官には中谷氏を採用してバランスをとった感じだが、中谷氏も割と中道よりで左派というわけではないんだよね。

日本版のマグニツキー法実現に向けて動いてくれるとは思うけれど、岸田政権の先行きはどうなるのやら。防衛大臣には要となる岸氏を置いているけれども、今後防衛費の増大とか「支那の嫌がる方針」というものを何処まで実現してくれるかがポイントだろう。最大の課題は憲法改正なんだけどね。

そして、これらの方針は何れも公明党が乗れない話である所が一番の問題なのかも知れない。

あと、もう一つ心配なのは、どうにも岸田氏はこれまでの自民党重鎮からの影響力を嫌っている節がある事だ。二階氏を遠ざけ菅氏と距離を置き、林氏の起用は安倍氏との関係悪化が懸念される。甘利氏が幹事長の段階ではある程度は影響力があったと思うが、今回の選挙の影響で甘利氏も要職から離れることになった。

これで岸田氏がフリーハンドで動く事ができれば良いのかも知れないけれど、決断力のない人なので先行きは不安である。どうなる?岸田政権。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    林氏の外相起用には党内でも抵抗が強いようですし(おそらく安倍元総理あたりかな)、記事でご指摘の通り中谷氏起用でバランスを取った一面もあるでしょうね。

    少なくとも林氏には(茂木幹事長もですが)政府としての対支那戦略の根幹に反する言動は許さない、というメッセージとなれば中々意味深長な人事と評価していいんじゃないかな。

    >そして、これらの方針は何れも公明党が乗れない話である所が一番の問題なのかも知れない。

    いずれにせよ一番重要な憲法改正もありますから、そろそろ真剣に公明党=カルト創価学会を切り捨てる戦略まで考える時と考えます。

    まずは、公明党が選挙公約で勝利した事を盾に強硬主張で迫る、論外な「未来応援給付・10万円」を叩き潰す事から始めて欲しいもんです。

    さっそく高市政調会長が強く反発しており(自民党の政策とまったく合致しないのですから当たり前です)、その影響力・発信力で総理・党トップの幹事長以下をどう説得するか...、僕は注目しています。

    憲法改正に積極的な維新・国民民主党と基本政策で合意し、案件毎に閣外協力という形でスタートするという戦略を模索できるんじゃないかな。
    3党合わせると衆議院で313議席で2/3以上、参議院で現有150議席で60%ですから、何度も言及している通り来年の改選結果が天王山となりますね。

    2022年の改選は3党合わせて77議席ですから、2/3の164議席確保には3党で91議席必要で相当高いハードルなのは確かです。(+14議席)
    棲み分けされた選挙区の調整は中々困難とは思いますが、自民党が国是を優先と腹を括り真剣に調整する覚悟なら、比例区で維新・国民民主党が躍進する可能性は十分にあると考えますから。

    • 人事に関していえばバランスをとった感じはしますが、しかし中谷氏が自らの主張を声高に岸田氏に迫るという構図は考えにくいです。
      岸田ー林ー茂木のラインで押し切られる可能性は高いんじゃないかと心配しています。
      僕が時々動画を見ている青山氏も、威勢は良いですがなかなか影響力という意味では弱いです。何しろ当選1回の平議員ですからね。護る会にも所属している中谷氏が影響力を発揮するのに、護る会が機能するか?というとその辺りもあまり期待は出来ません。安倍氏が動いても影響力は限定的でしょうねぇ。

      で、給付の話ですが、どうにもしょっぱい話になりそうな流れですね。
      経済効果を期待するのであれば、もっと大きな予算を組むべきですが、そういう決断は岸田氏に求めても無駄でしょう。意外性を期待したいところですが……、どうかなぁ。

      で、ココで躓くと参院選で批判票が相当流出して野党躍進という結果になって、伸びる可能性があるのが上手いことやれば維新ですかねぇ。ただ、維新は旗頭が必要なので、党首選で巧いことやらないと危うい気がしますし、国民民主の玉木氏は直ぐに失速しますから、どうなるのか……。

      • 木霊さん、おはようございます。
        レスありがとうございます。

        僕は何もやらないより失敗覚悟でやった方がマシというのが基本です。(もちろん、勝算有りの戦略が前提です)

        >岸田ー林ー茂木のラインで押し切られる可能性は高いんじゃないかと心配しています。

        当たり前に予想されるご懸念は理解しますが、自民党幹部には麻生副総裁・高市政調会長という対抗する重鎮がいますから、党内勢力は今はイーブンじゃないかな。

        >安倍氏が動いても影響力は限定的でしょうねぇ。

        安倍派となる既定路線もですがマーレーシア特使派遣など、アメリカとの強い繋がりは健在だと思いますし、岸田政権への影響力は続くんじゃないかな。

        >経済効果を期待するのであれば、もっと大きな予算を組むべきですが、そういう決断は岸田氏に求めても無駄でしょう。

        何事にも完璧はありませんが無駄とは思いませんね。
        逆に「無駄」と切り捨てられる根拠を教えて欲しいもんです。

        確かに子供手当は公明党の公約に押し切られそうですが、基本的に経済再生予算30兆円は立案済ですし間違いなく実行するでしょう。
        もし30兆円で足りないなら追加すればいいだけ、ポイントはどこに・優先的に使うかだと思います。

        >維新は旗頭が必要なので、党首選で巧いことやらないと危うい気がしますし

        維新が抱える最大の争点になるのは間違いないでしょう。
        現代表の松井氏は辞任を表明したのに、代表選で再出馬すればブレブレとなり政党の信頼が揺らぐでしょう。
        公認は吉村氏しかいないと思うけど固辞していますから、後はどんな人材がいるのかサッパり判らない浮ついた政党でもあります。

        >国民民主の玉木氏は直ぐに失速しますから、どうなるのか……。

        これも根拠不明で残念なご意見です。
        前原氏・大塚氏という実力者と反りが合わないから分裂必至とか、情報を知っていらっしゃるなら出し惜しみせずにお願いしたいです。
        所詮、弱小政党の話なんですから遠慮される必要はないんじゃないかな。

      • あー、経済効果だとか、国民民主の話だとかは、コメントにはあまりハッキリは書きませんでした。
        しかし思う所はあるわけで、その辺りは記事にしてみましたよ。

        ただ、僕個人はたいして情報を持っているわけではありませんし、報道から外れたソースを使うのはいつも通り希であります。
        したがって、お気に召す話になるかは分かりませんが、少なくとも国民民主と維新の協力体制如何で、政治の流れが変わるくらいの期待感は持っていますよ。