北朝鮮が新型SLBM発射したとの報道

政策

ここのところ再び活発にミサイル実験をやり始めた北朝鮮。だが、今回のコレはいつものミサイル発射とはまたフェーズが異なる。

北朝鮮、新型SLBMは潜水艦から発射と報道

2021年10月20日 7:33 (2021年10月20日 8:21更新)

北朝鮮の朝鮮中央通信は20日、兵器の開発機関である国防科学院が19日に新型の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を試験発射したと伝えた。ミサイルは誘導技術を高めており、2016年に発射実験を成功させた潜水艦から撃ったと説明している。金正恩(キム・ジョンウン)総書記は発射に立ち会わなかったもようだ。

「日本経済新聞」より

報道では、金正恩氏が発射に立ち会っていないと報じている点にも注目しておきたい。この「立ち会っていない」という意味は、「未だ最終段階にはない」という意味で良いと思う。つまり、SLBMは完成品の域に至ってはいない状態なのだ。安心ができるワケでは無いが。

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潜水艦から撃てる弾道ミサイル

SLBMの意味

潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM: submarine-launched ballistic missile)は、文字通り潜水艦から発射される。

それまで北朝鮮人民軍は満足な潜水艦を持っていなかったとされている。ロシア製の旧型潜水艦を運用していたという話はあったが、VSLを持っている艦はなかったはずだ。

北朝鮮 SLBM搭載の潜水艦、建造終了か

2021年4月12日 17:42

北朝鮮がSLBM(=潜水艦発射弾道ミサイル)を搭載できる潜水艦の建造を終えたと韓国メディアが報じ、韓国国防省は「動向を鋭意注視している」と述べました。

「日テレNEWS24」より

ところが今年の4月に北朝鮮がSLBMを使用可能な潜水艦を持っていると報じた。

SLBMは安全上、水深50メートルより深い場所から発射する必要があり、そのためには3千トン級の潜水艦が必要だという。朝鮮中央テレビが報じた写真では、潜水艦上部の部分にモザイク処理がされていた。この専門家は「ここがSLBMの発射管だろう。ゴルフ級であればSLBMを3基搭載できるはずだ」と語った。

北朝鮮はどうやってゴルフ級潜水艦を手に入れたのか。北朝鮮の潜水艦技術は高度とはいえず、1800トン級の建造が限界とされてきた。船体の直径が大きくなるほど、より高い水圧に耐える技術が必要になるという。

「GLOBE+」より

そして、その正体はゴルフ型潜水艦ではないかと言われている。ゴルフ型は水中排水量は3553tで、弾道ミサイルの搭載数はI型が3発、II型が6発、III型は4発ということのようだ。そして通常動力潜水艦なので、長距離を潜水航行することは難しいだろうが、発射地点を絞る事が難しいという意味では厄介である。

潜水艦から弾道ミサイルを発射するということは、そういう利点があるのだ。

今月初めに韓国との通信回線を復旧させるなど対話再開を示唆しつつ、軍備増強は継続する姿を見せつけて米韓を揺さぶる狙いもありそうだ。

米インド太平洋軍司令部は声明で、今回のミサイル発射を糾弾し、北朝鮮に地域を不安定化させる行為をやめるよう要求した。

新浦には潜水艦の造船所があり、北朝鮮はSLBMを搭載可能な3200トン級の新型潜水艦の建造を事実上終えたとみられている。

「産経新聞」より

産経新聞は3200t級の新型潜水艦だったと指摘しているので、ゴルフ型潜水艦が元になったのかも分からないけれども。

変則機動のミサイル?

さて、発射されたミサイルに関しては、変則機動の飛行ができるという報道があった。

北朝鮮ミサイル、潜水艦発射型か 変則軌道で探知困難 米軍も非難

2021/10/19 20:59(最終更新 10/19 21:34)

府は19日、北朝鮮が同日午前10時15、16分ごろ、弾道ミサイル2発を同国東部から日本海に向け立て続けに発射したと発表した。岸信夫防衛相は記者団に、そのうち1発は最高高度約50キロで約600キロを変則軌道で飛翔(ひしょう)し、日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したと想定されると説明。発射の兆候の探知が困難な「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の可能性がある」と述べた。

「毎日新聞」より

ミサイルそのものはイスカンデルミサイルの改造版であると言う事のようで。

北朝鮮が新型SLBMを公開、イスカンデル型に酷似(JSF) - 個人 - Yahoo!ニュース
20日、北朝鮮が前日19日に発射した新型SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)を公開しました。

JSFさんが分析されているが、イスカンデルをベースにしてのミサイルであればそこそこの性能は期待できるのだろう。問題は、600km飛行するミサイルが海から撃てると言うことだ。

発射する海域によっては日本の大半を射程に収めることになる。

尤も、キャリアたる潜水艦の性能がまだまだ怪しい感じではあるので、直ぐにコレが可能になると言う訳ではないのだろうけれど、少なくともその懸念はあるよという事ではある。

敵基地攻撃能力……?

さて、そんな状況で、我が国の首相はどんな反応をしたのか?というと、こちら。

岸田首相、敵基地攻撃能力保有も選択肢 北朝鮮ミサイル技術に危機感

2021年10月19日18時00分

政府は19日、北朝鮮の弾道ミサイル発射を受けて、国家安全保障会議(NSC)を開いた。この後、岸田文雄首相は首相官邸で記者団に「既に『国家安全保障戦略』などの改定を指示しており、敵基地攻撃能力の保有も含め、あらゆる選択肢を検討するよう改めて確認をした」と語った。

「時事通信」より

えっと、敵基地攻撃能力に関しては、ちょっと前にも記事にした。

ここでも書いたのだけれど、敵基地攻撃能力はまあアリだと思う。ただ、攻撃の手段というのは着弾点をどうやって決定するのかが問題である。

敵基地の位置を特定して照準を合わせるということが必要なので、人工衛星で位置情報を特定する程度の話だけではなく、実際に現地の状況などを調査する必要があると思う。多分、色々偽装されているだろうし、外側から分からない事も結構あると思う。

そう言う意味で、潜水艦にアドバンテージがあるのだけれど、そうすると敵基地攻撃能力を持っていてもSLBMに対処出来ないという事になる。

だから、岸田氏の発言には疑問を持たざるを得ない。

ここで、原子力潜水艦を検討する!とか言ったら、未だマシな様な気もするけれども、実際には通常動力潜水艦で対処するのが正しいと思うので、P1哨戒機での哨戒活動を活発化させるという感じに対処になって、必要に応じて潜水艦を出すというようなことになるんだろうと思う。

とまあ、そんなわけで日本の防衛に関わってくる大きなニュースだったとは思う。未だ完成していないうちに対策できるようにして行くべきだろう。

コメント

  1. 敵基地攻撃能力ももちろんだけど、結局のところ行き着く先は「核武装・若しくはそれと同等以上」の武力を持つしか方法は無いんですよね。

    経済制裁にしても相手がそこそこの国力を持っていたら、単純に暴発を誘発させる可能性もありますし。(日本が太平洋戦争に突入して行った流れ) 「やられたらやり返すよ」と言う姿勢を取ることが必要なんだと思います。

    米国との間に、軍事面に関してどこまで突っ込んだ約束があるのか分かりませんが、憲法改正も含めてそのあたりの議論も(真剣に)行うべき状況だと思います。

    • 核兵器保有というのはハードルが高そうですが、高威力のミサイル開発となると、やはり核兵器に準じる破壊力は欲しい所。
      そうなると現実的には、イヤでも核シェアリングを視野に入れざるを得ない。
      借り物であっても運用から何から学ばねばならないことは多いのだと思います。

      次に進むための準備くらいは、始める時期なんじゃないかと思いますよ。