電力不足を深刻な問題だと捉えて解決に動き出す支那

支那

電力不足は放置すべきじゃないよ。

中国停電は「解決困難」で長期化の予測…構造問題が解決を妨げる

2021年10月5日(火)18時06分

<世界的な石炭価格の高騰だけが原因ではない。中国政府による電力産業への圧力など複雑すぎる背景が解決を難しくする>

バブル崩壊の懸念が高まる中国が、電力危機にも見舞われている。電力供給不足が深刻化し、9月末には全31省・自治区・直轄市のうち20で停電や供給制限が発生した。

中国は石炭火力発電の比率が高いが、新型コロナ禍で石炭価格が世界的に高騰。電力価格が政府の管理下にあるため電力各社は石炭価格の上昇分を自由にコストに転嫁できず、供給制限して赤字を回避するしかない。

「Newsweek」より

しかしこの記事、「構造問題が解決を妨げる」などとタイトルに書いておきながら、どんな構造なのかさっぱり書いていないぞ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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近代化が進むと電力が不足する

電力消費に対する石炭供給不足

で、色々調べてみたのだけれど、Newsweekは別の記事で説明していた。

中国停電の真相──背景にコロナ禍を脱した中国製造業への注文殺到も

2021年10月4日(月)13時30分

中国各地で停電が続いている。背景には世界的石炭価格の高騰以外に、世界に先んじてコロナ禍を脱した中国製造業への注文殺到による電力消費に対する石炭の供給不足がある。火力発電依存が高い中国が脱炭素を競う習近平のジレンマも見え隠れする。

「Newsweek」より

この記事では、支那の火力発電依存度の高さについてまず言及している。

支那は石炭火力発電に55.9%と過度に依存しており、石炭価格高騰が発電コストに跳ね返るので、予算の決まっている火力発電所は発電量を絞るしかないという事になるらしい。

石炭価格の推移

この辺りの下りは、前の記事にも書いた。

短期的には石炭の国内生産量を上げて解決する事も難しいので、外国から買うしか無いという状況になっているのだが、外国だって突然生産量を増やすことは難しい。

更にオーストラリアからの禁輸措置を採っていたので、石炭価格は高騰することに。皮肉なことにオーストラリアの石炭の方が価格が上がっているね。

オーストラリアからの輸入解禁

流石に「マズイ」と思ったのだろう。ここ最近でこんなニュースがあった。

[FT]電力危機の中国、豪州炭の輸入をひそかに解禁

2021年10月6日 16:36

中国は、オーストラリア産石炭の輸入を非公式に禁止しているにもかかわらず、少量の荷揚げに着手したことが、アナリストらの指摘で明らかになった。世界第2位の経済大国が直面する電力危機の厳しさが浮き彫りになっている。

「日本経済新聞」より

中国、港に足止めの豪州産石炭を活用 電力不足で=業界筋

2021年10月6日10:40 午前

石炭の供給逼迫などを受けた電力不足への対応に追われる中国が、約1年前から非公式に輸入を禁止している豪州産石炭を保税倉庫から放出する動きを見せていることが、事情に詳しいトレーダーの話で分かった。

貿易業界幹部によると、中国政府による昨年10月の非公式な輸入禁止を受け、税関を通過していない100万トンの豪州産石炭が中国沿岸部の保税倉庫に何カ月も保管されているとみられている。

「ロイター」より

禁輸措置をして、オーストラリアからの石炭を港に足止め(オーストラリアに帰るとその分コストがかかるので、足止めされていたと思われる)されていた石炭を放出し始めたようだ。それも、時刻に入れるのではなくてインドなどの市場に回し始めたようなのだ。コストを下げることを狙った措置なのだろう。

中国は電力不足の緩和に向け、鉱山大手に石炭の増産を求め、電力会社に「秩序ある形」で石炭輸入を拡大するよう指示しているが、豪州からの直接的な輸入再開には踏み切っていない。

100万トンの在庫は中国の石炭輸入のわずか1日分に相当するため、保税倉庫からの放出だけでは供給不足の解消にはほとんど寄与しない見通しだ。

「ロイター」より

ただ、プライドが許さないのか直接オーストラリアから買い付ける事はしていない模様。

国内生産量を急ピッチで上げる

もちろん、支那国内で生産される石炭を増やせばこれが解決可能なのだと思うのだが、大気汚染などの問題から数年にわたって石炭産出量を抑えてきた支那にとって、直ぐに「生産拡大」というわけには行かないようだ。

加えて、中国は今年3月1日に刑法を改正し、無許可の石炭採掘に対して1年以下の懲役刑を科すことが可能となった。詳細は中華人民共和国刑法修正案(2021年3月1日起施行)に書いてある。

石炭採掘企業は国に対して採掘量計画を事前に報告する義務があるが、中国では報告の数値を遥かに上回った量の採掘を「秘かに」行なってもさほど厳しい処罰を受けない状態が続いていた。しかし炭鉱事故が相次いだこともあり、「闇採掘」をした者を刑法で罰するという厳しい措置に出たのである。

特に中国最大の生産量を誇る内モンゴルの石炭採掘業者に対して、過去20年に遡って調査が入った。これを受けて関係業者が突然「闇採掘」を自粛し始めたので、石炭生産量が減少したという側面もある。

「Newsweek」より

更に闇採掘を止めさせる方向で動いていたこともマイナスに作用したようだ。

国内で無許可の石炭採掘が行われ、質の悪い石炭が国内で出回り、これを燃やして暖をとる人民が多かった事が問題視されてから、闇採掘は厳しく取り締まるようになり、特に内モンゴルで厳しい取締りをやった。

こうした厳しい姿勢をとっても、国内生産量自体は4.4%増となっているのだから、凄いとしかいいようがない。

今年1-8月期の全国発電量は、昨年同期の11.3%増で、石炭の供給量が発電のために必要とする量に達しておらず、激しい「石炭供給量不足」を来たしている。

「Newsweek」より

そして、こうした電力増産体制を採っているにもかかわらず、それを上回る消費量の伸びがある。一方で、石炭コストが上がって発電すればするほど赤字が出るので、業者は発電したがらない。

構造的な悪循環が生まれたわけだ。

世界に先駆けて武漢ウイルスを「押さえ込み」、正常な生産体制に戻ったと宣伝された。その結果、支那の製造業に注文が殺到する結果になる。

非常に読み取りにくいかもしれないが、中華人民共和国海関(税関)総署の「輸出入商品総額表(人民元建て) B:月度表」によると、2021年1-8月の輸出額は昨年同期比23.2%増となっている。ドル建てに換算すれば25.6%増だ。

「Newsweek」より

輸出量が増えたのならば、ある意味喜ばしい事なのだが……。

見て頂くと分かるが、ハイテク製品の輸出が増えたというよりは原料系の輸出が多くなっている感じである。利益が高そうなのは医薬くらいだろうか?

そして、比較的電力需要の高そうなラインナップになっていることも、今回の停電と関係があるのだろう。

電力需給バランスが崩れる

そもそもこの話、計画的にやられた部分ではないところに問題がでるのだ。

東北三省は改革開放の波に圧されて、建国以来の重工業は何とか保っているが、今や花盛りの、軽やかに舞うハイテク産業などに関しては取り残されたままだ。したがっていわゆる海外の需要が殺到している「製造業」に関する電気消耗が普段からない。

そのため東北三省における石炭による火力発電の電気量を、近隣の華北省や山東省などに売り、送電によって地方財政の一部を支えているような側面がある。

「Newsweek」より

しかし製造業への電力供給を止めるわけにはいかないので、民生用電力をカットするという愚策に出て、これが大問題に発展するのである。

たとえば南方の、深圳がある広東省などは製造業が真っ盛りの地域だ。中国のハイテク産業の生命線でもある。こういった地域は普段から「有序用電(秩序を以て電気を用いる)」という習慣がついているので、電気量が足りなくなった時には、どのラインを止めるとか昼夜逆転などの時差操業をするなど訓練ができている。

しかし東北三省には、日ごろの、そのような心構えも準備態勢もないので、慌てふためいて民生用電気に手を付けてしまったのである。

「Newsweek」より

まあ、見える形で失敗が表に出てしまったので、世界的なニュースになるよね。

カーボンニュートラル政策を裏から焚き付けていた支那だが、実はその分野で市場のくれているのも支那である。そして、カーボンニュートラル政策を進めるためには、莫大な電力が必要なのだ。

石炭で暖をとらないように電化を進めたことも、マイナスに作用している。自動車産業を牛耳るためにEVシフト加速の政策もマイナスに作用した。支那は、ハイテク化を進めれば進める程、首を絞めることになるのである。

ビットコインマイニングとデジタル人民元

ちなみに、今年に入ってビットコインのマイニング業者が色々摘発されるような話があった。

ビットコインのマイニングは世界の8割ものシェアを占めていたのだが、流石に問題だとして取締りがされるようになったようだ。

中国の暗号資産マイニング業者に壊滅の危機 当局が禁止令

2021年08月13日 07時00分 公開

暗号資産の代表格である「ビットコイン」の運営に、大きな地殻変動が起きている。必要なコンピューター処理を行い、新たな仮想通貨を生み出すマイニングという作業を中国の習近平政権が全面禁止したためだ。背景には世界的な普及を狙うデジタル人民元との競合を避けたい思惑がある。中国の採掘業者はかつて世界全体のコインを生み出す能力のうち4分の3を占めるなど運営を牛耳ってきたが、壊滅に追い込まれる可能性が出てきた。

「ITメディア」より

一方で、デジタル人民元の普及に動き出しているのも事実だ。

デジタル人民元発行近づく:中国人民銀行が白書を公表

2021/07/19

中国人民銀行(中央銀行)は16日、「中国におけるデジタル人民元(中国数字人民币、e-CNY)の調査研究の進展」と題する白書を公表した。正式導入に向けたスケジュールは定めないと説明しているものの、発行時期が近付いていることをうかがわせるものだ。

白書では、2014年に始まるデジタル人民元のプロジェクトを振り返ったうえで、設計、システム開発、システムテストを終え、いくつかの地域でパイロット実験を行っていることを改めて説明している。実験では、データセキュリティと個人情報保護を強化するとした。

「NRI」より

技術的にはビットコインだろうがデジタル人民元だろうが、ブロックチェーン技術を使う点に変わりは無い。分散型台帳を使った暗号資産のシェアをとるためには、それなりの電力と安定的なサーバーが各地に必要となる。

ビットコインのマイニングのように無秩序にやられるよりはマシだろうが、電力消費をそれなりに必要とする点では変わらない。

この他にも、巨大な国内サーバーをあちらこちらに維持しようとしているし、人民監視システムの整備にも電力を使う。ハイテク化を積極的に進めて、電力消費も積極的に上げているわけだ。

この調子だと、まだまだ混乱は続きそうなんだけれど、今年の冬は更なる混乱を生みそうだ。

韓国は束の間の喜びに沸く

ちなみにこれの影響を喜んでいるのが韓国らしい。

中国電力不足の一番の被害者は韓国?韓国ネット「空気がきれいでうれしい」

10月4日(月)6時30分

2021年10月1日、韓国・ニュース1は「中国の電力難で最も多くの被害を受ける国は韓国だ」と伝えた。

~~略~~

韓国は中国から中間財を輸入して完成品を製造し、輸出することに特化しているため、「中国が電力不足で供給網が崩壊すれば、そのまま被害が韓国に及ぶ構造」だと説明している。中国は韓国の最大輸出国であり、最大輸入国でもある。

世界第2の経済大国・中国と最も密接な経済関係を結んでいる韓国は、中国の電力不足が長期化する場合、被害を免れない。記事は「中国の苦境を内心喜んでいる韓国人も一部にいるが、笑っていられる状況ではない」と警鐘を鳴らしている。

「BIGLOBEニュース」より

韓国の識者は、支那からの中間財の輸入が途絶えることで経済的にヤバくなりそうだという警鐘を鳴らしているようだが、韓国民は「空気がキレイになる」と喜んでいるようだ。

それとは別に、支那と競争関係にある業種が多い為に、支那経済の冷え込みで韓国の輸出が増える可能性はある。一時的には潤う可能性は確かにあるのだが、長期にわたる電力不足で支那経済が冷え込むと、輸出で食っている韓国のダメージは甚大なんでは?と。

まあ、無邪気に喜んでいられるうちに支那の経済が回復してくれれば、メリットだけ享受出来るのかもしれないね。

コメント

  1. 木霊さんこんばんは!

     支那が電力不足事態に陥っているのは確かだけど、原因は石炭不足じゃなくてキンペーちゃんの気まぐれのせいだ、てな報道もありますね。

    https://gendai.ismedia.jp/articles/-/88058?imp=0  (冗長なので2ページ目を見ると良い)

     記者さんも支那統計情報の不確かさに苦しんでらっしゃるようですが、何とか出した推計値をざっくり引用しますと

     支那の発電用石炭の輸入割合は 7%弱、支那輸入石炭のオーストラリア産割合は 10%程度 ∴ オーストラリアタ炭禁輸の影響 1%以下。困るかも知れないが、これほどの混乱が起きるほどのものではない。 原因はキンペーちゃんの、「もう今年はCO2出すな」指令のせいで、オマケとして資本主義国のサプライチェーンが乱れそうなのを見たキンペーちゃんは喜んでイロイロ乱してる。

     とのこと。 支那の情報不透明で真偽のほどはわかりませんが、敵を困らせるためなら自国の下々はどうなってもよい。ような施政がますます強くなって来ているようで、恐ろしい。

    • ご指摘の記事は読ませて頂きました。
      本記事の中で引用した前の記事に習近平氏の気まぐれ環境政策で「やっとまった」という旨の内容にも触れています。

      今回の記事は寧ろ石炭を確保出来たとしても、構造的に供給不足が解消しにくいという構図になっている辺りにスポットを当てました。

      • 申し訳ありません。木霊さんの記事をちゃんと読めていなかったようです。

  2. こんにちは。
    本音を申し上げると、支那で電気が不足しようが、その延長線上でこの冬に暖房用石炭が不足して凍死者が出ようが、知った事ではありません。
    なんですが。
    電力不足で支那国内の外国企業の工場の創業に影響が出たり、経営に影響が出るのはノーサンキューです。
    ましてや、最終的に支那経済破綻で世界中に迷惑かけられるのが一番困ります。
    死ぬにも死に様ってのがあるわけですが、最悪の形で断末魔を迎えそうですよね……

    • 今年の冬は支那の状況もかなりヤバいと思いますよ。
      電気はないけど石炭も燃やせないという。
      凍死者が出たとしても報道はしないと思いますが、外国企業が逃げていく切っ掛けにはなるでしょう。世界経済にどのような影響が出るんでしょうかねぇ。
      JPモルガンが恒大集団の外資がヤバいという話をしていた報道を見かけました。きな臭い感じですね。