立憲民主党の外交安全保障政策こそ「変えよ」

外交

あまり気が進まないが、外交安全保障に関しても少し言及していこう。

立憲が外交・安保政策を発表 日米同盟を軸、辺野古新基地建設は中止

2021年9月24日 12時46分

立憲民主党の枝野幸男代表は24日、次期衆院選の公約第5弾となる外交・安全保障政策について発表した。「平和を守るための現実的外交」と題し、日米同盟を基軸とした外交・安保を掲げた。沖縄県名護市辺野古での米軍の新基地建設は中止し、沖縄における基地のあり方を見直すため、米国との交渉を開始することを盛り込んだ。

「朝日新聞」より

なんかもう、9月24日の方針発表で、「変わる」と銘打ちながら変化が見られないところに愕然とするんだけれども、何が変わったんだろうか。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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現実の見えていない外交安全保障政策

壊したのは誰?

何ともピントがボケた話をしているのだが、「外交安全保障の継続性」とはいったい何のことを言っているのだろうか?

枝野氏は「外交安全保障には継続性が重要だ」としたうえで「安倍・菅政権の9年近くの間に壊されてきたものを、従来の我が国の外交安全保障の王道に戻す」と強調した。

「朝日新聞”立憲が外交・安保政策を発表 日米同盟を軸、辺野古新基地建設は中止”」より

立民が主張する「王道」の外交安全保障というのはいったいどんなものだろう。

我が国周辺の安全保障環境を直視し、専守防衛のための自衛力を着実に整備して国民の生命・財産、領土・領海・領空を守ります。領域警備法の制定、周辺事態対処の強化などにより、主権を守るため現実的な安全保障政策を推進します。

主権と人権の重大な侵害である北朝鮮による拉致問題について、最後の一人の救出まで、解決に全力で取り組みます。

健全な日米同盟を軸とし、アジア太平洋地域、とりわけ近隣諸国をはじめとする世界との共生を実現します。世界の平和と安定と繁栄を推進するために、積極的な平和創造外交を展開します。

近隣諸国との人的交流を大幅に拡充し、国民各層の相互理解を深めます。

在日米軍基地問題については、地元の基地負担軽減を進め、日米地位協定の改定を提起します。

辺野古移設について再検証をし、沖縄県民の理解を得られる道をゼロベースで見直します。

非核三原則をこれからも堅持します。

防衛装備移転三原則を規制強化の方向で見直します。

国際連合など多国間協調の枠組みに基づき、国際社会の平和と繁栄に貢献します。国際連合をはじめとする国際機関の改革にリーダーシップを発揮します。

核兵器廃絶、人道支援、経済連携、文化交流などを推進して、人間の安全保障を実現するとともに、自国のみならず他の国々とともに利益を享受する開かれた国益を追求します。

「立憲民主党のサイト」より

よくわからないので、立民のサイトから箇条書きにされた外交安全保障の方針を引っ張ってきた。

立民の認識している世界というのは、僕らの認識とは違うらしい。

だいたい、1行目からオカシイだろう。「 我が国周辺の安全保障環境を直視し、専守防衛のための自衛力を着実に整備 」って、直視したら専守防衛はそもそも成り立たないことくらい何故理解が出来ない。

防衛白書から

日本で防衛のプロと言えば、自衛隊であることは国民の誰もが知るところ。したがって、防衛相の出している防衛白書が日本では最も信頼のおける防衛資料という事になるはずだ。

防衛省・自衛隊|令和3年版防衛白書|令和3年版防衛白書の刊行に寄せて
防衛省・自衛隊が行っている広範多岐に渡る取組について、図表・写真・コラムを活用してわかりやすく紹介。

さて、延々と防衛白書の中身を抜き出すのも詮無き話。ダイジェスト部分から引用していこう。

現在の安全保障環境の特徴

・既存の秩序をめぐる不確実性が増大し、政治・経済・軍事にわたる国家間の競争が顕在化

・「ハイブリッド戦」に伴う複雑な対応の発生

・グレーゾーンの事態の長期化

・テクノロジーの進化が安全保障に大きく影響

・宇宙・サイバー・電磁波領域の重要性

・戦闘様相を一変させるゲーム・チェンジャー技術(人工知能技術、極超音速技術、高出力エネルギー技術など)

・一国のみでの対応が困難な安全保障上の課題が顕在化

・宇宙及びサイバーなどの新たな領域の安定的利用の確保、海上交通の安全確保、大量破壊兵器の拡散への対応、国際テロへの対応

・新型コロナウイルス感染症に関し、自らに有利な国際秩序・地域秩序の形成や影響力の拡大を目指した動きも指摘。安全保障上の課題として重大な関心をもって引き続き注視していくことが必要

「令和3年版防衛白書」より

概略はこんな感じで、安全保障環境も近代化が著しい。

・わが国周辺には、質・量に優れた軍事力を有する国家が集中。軍事力のさらなる強化や軍事活動の活発化の傾向が顕著

・インド太平洋地域は、十分な安全保障面の地域協力の枠組みなし。領土問題や統一問題といった従来からの問題も依然として存在

・近年、領土や主権、経済権益をめぐり、グレーゾーンの事態が長期化するとともに、明確な兆候のないまま、より重大な事態へと急速に発展していくリスクを内包

「令和3年版防衛白書」より

その上で、周辺国家の軍事力にさらされているために、対抗する必要性を説明している。

わが国周辺の安全保障環境等2

どの国を意識しているのか一目瞭然だな。

img

さて、世界の軍事費ランキングがこちらで、9位が日本になっているが、基本的にはランキングに乗っている全ての国はすべて警戒すべきである。アメリカとて例外ではないのだ。

その上で、一国だけで戦うことは妥当でないことを鑑みれば、ぶっちぎりで世界1位の軍事費を使っているアメリカと組むのが妥当である。基本的価値観を共有できる国であるし、何より同盟関係を結んでいるのだから。

そして、アメリカと支那は対立関係にあり、日本と支那もシーレーンをめぐって極めて深刻な利益対立がある。今や、子供でも知っている話だ。

立憲民主党の外交安全保障政策の矛盾

その上で、立民の外交安全保障政策に関する文書を引用してみよう。

立憲民主党の外交・安全保障政策
2018年4月19日基本的立場グローバル化する世界の新時代を見据え、国民生活を真に豊かなものにし、国際社会において名誉ある地位を占めるため、国際社会との連携

出ている文書は2018年のものと少し古いのだが、ここから立民の基本的スタンスは変わっていないようだ。

基本的立場

グローバル化する世界の新時代を見据え、国民生活を真に豊かなものにし、国際社会において名誉ある地位を占めるため、国際社会との連携を一段と強化し、世界の平和と安定、繁栄に大いに貢献していく平和創造外交を積極的に展開する。

専守防衛を逸脱し立憲主義を破壊する、違憲の「安保法制」を前提とした現行の外交・安全保 障政策を断ち、専守防衛に基づく平和的かつ現実的な外交・安全保障政策を築く。

アジア太平洋、そして世界の中で、共生や国際協調に基づきながら、国際政治・経済・資源・エ ネルギー・食料安全保障などを含めた総合的外交力を確固としたものにする。

「立憲民主党のサイト」より

何というか、書いてある日本語の意味はよく分からない。

「平和」とか「専守防衛」とか「総合的外交力」とか適当な言葉を使えば国民をだませると思ってるのかな?

・北朝鮮の核・ミサイル開発は、我が国にとり極めて深刻な脅威であり、断じて容認できない。 国際社会と緊密に連携し、あらゆる外交力を駆使して、最終的に核・ミサイルを放棄させる。

・主権と人権の重大な侵害である北朝鮮による拉致問題について、最後の一人の救出まで、解決に全力で取り組む。

「立憲民主党のサイト」より

北朝鮮のミサイル問題に関しては、「あらゆる外交力を駆使し」て、「核・ミサイルを放棄させる」って、今まで散々失敗してきたんだが、これが「継続する」という事なのだろうか。

交渉が無駄だったという認識は一切ないのかね?それとも、俺たちがやれば交渉は成功できるとでも?どんな根拠が?民主党時代もミスターXがどうこうという話もあったが、実に胡散臭かったな。

拉致問題についても具体的解決手法は書かれていない。民主党政権時代、拉致問題解決に何か手を打ったという話を聞かないのだが、一体何を予定しているのだろう。

そして、気になるのは支那に関する記述がこの1行だけだということだ。

中国の海洋進出に対しては、国際社会とともに国際法遵守をあくまでも求め、同時に戦略的互恵関係を踏まえ、平和的解決に向けて日中ハイレベル対話を緊密に行う。

「立憲民主党のサイト」より

ここに出てくる「戦略的互恵関係」という用語は意味不明だが、その説明は外務省にある。

外務省: 「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明

なんと、福田内閣の時に出した日中共同声明に基づく話だったようだ。

今や日中両国が、アジア太平洋地域及び世界の平和、安定、発展に対し大きな影響力を有し、厳粛な責任を負っているとの認識で一致した。また、双方は、長期にわたる平和及び友好のための協力が日中両国にとって唯一の選択であるとの認識で一致した。双方は、「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、また、日中両国の平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展という崇高な目標を実現していくことを決意した。

「外務省のサイト」より

脳みそが腐っているんじゃないのかな。こんな古い話を持ち出して、外交安全保障政策は連続性だって。

いや、こうした共同声明を踏みにじっているのは他ならぬ支那なんだが。

「変わる」って、すでに支那の外交安全保障政策はこの頃と大きく異なっている。もはや、集団指導体制ですらない習近平政権を見て、まだそんな寝言が言えるとは驚きである。

もはや、支那とは話し合いで何かを解決できる次元の立場ではないのである。にもかかわらず「積極的平和外交」ってバカなのかな。

アメリカとの連携

さて、バイデン政権が日本に何を求めてきたかというと、防衛負担である。

実際に兵器を装備して、東アジア方面の防衛力を日本の力で強化しろと。米軍はこの地域から手を引きたいと。

米国については「対等で建設的」な関係をめざすとし、「抑止力を維持しつつ、米軍基地の負担軽減や日米地位協定の改定を進める」とした。

「朝日新聞”立憲が外交・安保政策を発表 日米同盟を軸、辺野古新基地建設は中止”」より

言っていることが支離滅裂である。「抑止力を維持しつつ」って言いながら、辺野古の基地は作らせない。普天間基地の返還は求める。さらに、核兵器禁止条約へのオブザーバー参加を目指すとか。

いや待てよ、核兵器禁止条約にはアメリカも支那も賛同していないんだぞ。いったい何の意味があるんだ?

さらに、米軍基地負担の軽減や、日米地位協定の改定って、そりゃ、見直すべき面はあるんだろうけれど、アメリカはむしろ日本に負担を求めてきているんだが。今までの外交交渉を全く知らないわけではあるまい?話が出来ない子か?

日本がさらに負担を増やさずに、アメリカに防衛力だけ提供させようというのは、「対等で建設的な関係」とは言わない。

なにかもう、支離滅裂すぎてどこがどうダメなのかというレベルではないよ。あえて言えば現実を直視できていないので、すべてが破綻している。泥棒が家の中の物を狙っているのに、その泥棒と今後の防衛計画を練ろうというのだ。そりゃ、どうしようもないだろう。

アメリカの犬になれとは言わない。アレは酷い国で、世界中で多数の被害者がいる。だが、それでもまだ信頼関係を構築できるだけの理性が相手にはある。だが、支那はダメだ。

そして、アメリカと手を組むなら、日本も防衛力を差し出す必要がある。直ぐにフルスペックの、とは言わないまでも、その一歩くらい踏み出せるようにしようぜ。

そして一番肝心なのは、外国の手を借りるとはいえ、基本的な防衛は日本主体で行われなければならない。立民にはそれが欠片も感じられぬのである。ダメだ。

ちなみに、立憲民主党の外交政策においてはインドや中東のことは全く眼中にないようだ。欧州やオセアニアとの関係すら言及されていない。本当にどうなっているんだ?

追記

防衛政策でガッカリニュースがあったので、追記しておきたい。

「辺野古新基地は中止」立憲民主党が外交・安保の政権公約を発表

2021年9月24日 21時18分

立憲民主党は24日、外交・安全保障に関する衆院選公約を発表し、米軍普天間ふてんま飛行場(沖縄県宜野湾ぎのわん市)移設に伴う名護市辺野古へのこの新基地建設中止を掲げた。枝野幸男代表は記者会見で「いったん工事をやめ、ゼロベースで米国と議論する」と述べ、地元の反対を押し切って計画を推進する政権との違いを打ち出した。

「東京新聞」より

コメントでも頂いたが、辺野古への基地移転を中止する気らしい。

バカヤロウだな。

民主党政権時代に何をやったかと言えば、建設中で8割か9割完成していた八ッ場ダムの建設中止とゼロベース見直しであった。「コンクリートから人へ」という馬鹿げたスローガンの犠牲になったのが八ッ場ダムで、散々検討をした挙げ句に「やっぱり作る」という話になった。

こちらの記事で紹介したが、球磨川氾濫の話は川辺川ダムの建設が完了していれば違った可能性があった。実際に八ッ場ダムと川辺川ダムの事例を比較した記事を紹介しておく。

【八ッ場ダムを考える】八ッ場ダムと川辺川ダムは何が違ったのか?(後):【公式】データ・マックス NETIB-NEWS
八ッ場ダムが洪水防いだ? ※いずれも国交省資料を基に作成  八ッ場ダムは20年4月に運用開始した一方、川辺川ダムは本体工事がストップしたまま現在に至っている。腑に落ちないのは、...

「たられば」の話なので、あくまでも可能性の問題ではあるが、備えておくに越した事は無い。その有効性について議論する必要はもちろんあるのだが、建設が始まってしまったものを途中で止めて話しを蒸し返すのは無駄でしかない。

今さら辺野古基地建設を止める理由は何で、普天間基地の返還を遅らせるメリットは何かという話である。

枝野氏は建設中止の理由について、2019年の県民投票などで反対が多数を占めたことや、海底の軟弱地盤の影響で完成が十分に見通せない点を挙げた。「普天間の固定化は周辺住民の安全を考えると容認できない」とも訴え、危険性の除去に向けた代替策を米側と協議する考えを示した。

「東京新聞」より

普天間の固定化は許せないが、辺野古僻地の移設をするのもダメって、どこまでアホなのかと。

コメント

  1. 本日党役員人事発表→4日臨時国会召集・首班指名・組閣発表→天皇陛下による親任式→5日所信表明演説→6~7日各階派の代表質問...、再来週連休明けに衆議院解散→11月第一週に総選挙・投開票って流れになるのでしょうか。

    記事についてですが、野党第一党の立民は共産党と組もうとしたら連合にキッチリ拒否され、閣外協力を前提が精一杯さらに選挙区協力調整に右往左往。
    さらに、虚しいだけでしかない首班指名でも国民民主に門前払い喰らって、惨め過ぎる状況ですから、正直いって枝野氏の支離滅裂なトンデモ政策なんかスルーしときたいところですね。

    とはいえ、比例区投票先は未だ決めていませんから(対立候補が共産党しかいない一人区は白票にします)、一応野党各党の政策は知っておく必要があります。
    その意味でも木霊さんに重要案件毎に主張のポイントと、その問題点を記事にして頂けるのは助かります。

    できれば、維新の会編・国民民主党編など追加記事にして頂けたらと、欲張りで勝手なお願いしたいです。(苦笑)

    • 国会のスケジュールもなかなか興味深いです。

      が、今回の記事に言及したように、野党第一党の認識がこれなんですよね。
      なお、国民民主の政策に目を通しましたが、これの後だったので、随分とマシに思えました。共産党はもはや化石ですね。

      ご要望頂きましたので、維新の会と国民民主の方は手を付けたいと思いますよ。まだ、ストレスが少なそうですしね。

  2. 人類を一つに。系の「時代遅れの理想に立ち返ります。」宣言でしょうかね。
    全体的に周回遅れ感が否めないと言いますか…90年代のお話かな?という感が拭えないと言いますか。世界的には、今は過度なグローバリズムはやっぱ無茶。昔ながらの国境…に、限らず、「境」というモノを弁え、互いに尊重する事の大切さ。を、再確認しているところな気はするんですよね。
    話し合いで全部解決できるほど言葉自体も万能便利ツールでもないですし、そもそも話し合いって本当に殴り合いよりもコミュニケーション手段としていうほど高等で平和的か?って感もありますしねぇ…厳しくも楽しいですね。現実って。

    • 国連で平和を!というのは、既に破綻気味なので、事前の手を用意するというのが現状なのだと思います。
      日本も、いつまでも自前の戦力は持たないというスタンスではダメなんですよね。

  3. 間違っても政権を奪る可能性が無いって、素敵です。
    矛盾だらけの戯言を安心してほざける。

    枝野ンは、政権を奪るつもりはないと思う。

    • 何というか、一貫性が無いのが困るんですよねぇ。
      そして、これで騙されちゃう人がいるのも。
      何か難しい言葉を使っておけばいいという雰囲気がアリアリと。

  4. 辺野古を引っ掻き回したのは何処の政党だよ!!!
    ゼロベースとか言ってまた移転を遅らせる気ですかね…

    • 多分、「腹案」があるのでしょうな。