クワッド首脳会議で話し合われた半導体輸出の行方

外交

クワッドが具体的に動き出しているようだけれど、これ、ヤバイやつなんじゃないかな。

バイデン氏、日豪印をまとめ中国ににらみ利かす 「クアッド」首脳会議

2021.09.24 Fri posted at 20:54 JST

日本と米国、豪州、インドの4カ国による協力の枠組み「クアッド」の首脳会議が24日、米首都ワシントンで開催される。アジアにおける米国の影響力の行方を占う重要な節目と位置付けられている。

クアッドの首脳会議が対面方式で開かれるのは初めて。バイデン米大統領と日本の菅義偉首相、インドのモディ首相、豪州のモリソン首相が「自由で開かれたインド太平洋」への取り組みを協議する。

「CNN」より

バイデン政権がAUKUSに舵を切ったことで、事態は表面化して動き出したようだ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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対支那防衛戦略

協調的安全保障

いくつか興味深い単語が並んでいるのが冒頭に引用したニュースなのだが、クワッドの本質が対支那であることは間違いがない。

クアッドはジョージ・W・ブッシュ政権時代の2007年に提案されながらいったん保留になった。中国の経済、軍事大国としての台頭を受け、トランプ前政権下で17年に復活。アジア太平洋の主要な枠組みとして存在感を発揮するようになった。

「クアッドはアジア版の北大西洋条約機構(NATO)ではない。だが一方で、明らかに協調的安全保障の方向へ進んでいる」と、デービス氏は指摘する。

「CNN”バイデン氏、日豪印をまとめ中国ににらみ利かす 「クアッド」首脳会議”」より

協調的安全保障ねぇ。悪い話ではないのだが、足並みが揃わないと威力を発揮しない手法なので、不安な面も少なくはない。

僕の予測では、対支那工作をある程度進めるための期限は北京冬季オリンピック開催の1月前くらいまで。五輪ボイコットの動きが出てきたなら、この話は一気に動き出す必要があって、そのための仕込みが今非常に忙しく動いているのだろう。

菅義偉氏「異例の」外遊

ところで、日本では総裁選挙が盛り上がっている中、菅義偉氏はアメリカに外交交渉に赴いている。「外遊」という言葉には悪意を感じるが……。

菅首相、退陣直前に訪米 異例の外遊、与野党疑問視

2021年09月10日07時14分

菅義偉首相は9月下旬の訪米に向け調整に入った。中国の海洋進出への対処が主要テーマとなる日米とオーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)首脳会談出席が主目的。バイデン米大統領との個別会談も調整する。ただ、退陣を目前にした首相の外遊は異例で、与野党から疑問の声が上がっている。

「時事通信」より

自民党総裁選挙直前にこんな外交交渉というのは確かに極めて異例だが、しかし菅義偉氏は次期総裁に出馬しないことを決めている。したがって、外交のために渡米したからといって総裁選挙に何ら影響はない。むしろ、このタイミングでクワッド首脳会議をやることが分かっていたのだとすれば、それこそ総裁選挙どころではなかっただろう。

だから、野党の疑問の声など、勝手に吠えさせておけばいい。何故行ったのか?極めて重要な会議だったから、という理由以外になにか必要なのだろうか。

「辞める人が行っても」という意見は一理あるが、しかし自民党が与党である限りは連続性のある政治を続けるだろう。むしろ、今、新しい人が行っても役には立たないのだから、ここで菅義偉氏に「仕事」をしてもらうのが正解だ。

幸いにも、国内的な武漢ウイルス対策は、第4波が落ち着きを見せている為に緊急性の高い課題は少ない。いや、むしろ次の第5波のためには新しい首相の初仕事として仕切ってもらえればいい。

AUKUSとのバランス

さて、このクワッド首脳会談をアメリカ主催で開いた理由なのだが、CNNの記事にこんな一文があった。

スコット氏はまた、クアッド首脳会議のタイミングについて、米国にとってはアジアへの幅広い関与を示すまたとない機会になるとの見方を示した。英語圏だけの協定という面を持つAUKUSに対し、インドネシアやマレーシアが最近、相次いで警戒感を表明しているためだ。

「CNN”バイデン氏、日豪印をまとめ中国ににらみ利かす 「クアッド」首脳会議”」より

なるほど、たしかに英語圏だけで「勝手に進める」という印象の強いAUKUSよりは、日本やインドが加わり、「自由で開かれたインド太平洋戦略」というわかり易い看板があった方が印象は良かろうと思う。

AUKUSも、対支那という意味では重要ではあるが、ファイブアイズの枠内の話に留まっているとも言える。そして、肝心の潜水艦をオーストラリアが手に入れるのはまだ先の話。

クワッド主体の安全保障というのは必然的な話だね。

朝鮮半島絡みの話

クワッドで北朝鮮の話題?

ところで、5月頃にこんな噴飯ものの記事があったのをご存知だろうか?

日米豪印と韓国の連携協議へ 21日に米韓首脳会談

2021年5月17日 16:25

米国と韓国は21日にワシントンで開く米韓首脳会談に向け、議題などを巡る水面下の協議を続けている。日米豪印4カ国の枠組み「Quad(クアッド)」を巡っては、韓国との連携が協議される可能性が高まっている。米国は対中政策で韓国側に連携強化を求めているが、韓国側は中国の猛反発を呼ばない程度の協力にとどめたい考えだ。

「日本経済新聞」より

この時期、韓国はやたらとアメリカに秋波を送っていたような気がするが、バイデン氏は相手にはしなかったようだ。ただ、韓国としてはクワッドに対してかなり興味を示してはいる。

クワッド首脳「北、挑発自制して、実質的会話取り組まなければ」(総合)

記事入力2021.09.25。午後12:51 最終修正2021.09.25。午後12:58

米国・日本・オーストラリア・インドの4カ国が中国牽制安保協議体として知られている「クワッド」(Quad)初対面サミットで、北朝鮮に挑発自制と実質的対話を促した。

「NAVER」より

そして、こんな珍妙な記事が。

しかし、日本の報道ではそんな話には一切触れていない。外務省のサイトを調べてみると、こんな一文があった。

北朝鮮について、菅総理から、先般の弾道ミサイル発射は安保理決議に明白に違反するものであり、強く非難したと述べ、4か国の首脳は、国連安保理決議に従った北朝鮮の完全な非核化へのコミットメントを再確認した上で、北朝鮮に対し、国連の義務に従い、挑発行動を控えるとともに、実質的な対話を行うよう求めました。また、菅総理から拉致問題の即時解決に向けた各国の理解と協力を求め、各国から支持を得ました。

「外務省のサイト」より

韓国の報道では、あたかも4カ国が共通の認識として北朝鮮の問題に退治する印象が強かったが、外務省の発表では菅義偉氏がこの話題に「触れた」だけとなっている。ある意味これ、菅義偉氏の定型文だろう。

にもかかわらず韓国メディアがあのような表現をした理由は、朝鮮半島の南北問題に注目して欲しいからなのだろう。

だが、正直な話、南北問題は別に喫緊に解決すべき話題ではない。韓国のムン君が「今こそ南北和平を」と国連で訴えたが、「何故、今なの」と、みんなにスルーされた。

国際的な注目度は極めて低いのだ。

サプライチェーンの話題

そして、これに絡めて気になるニュースが。

同盟論に隠れホワイトハウス狙い… 「サムスン機密提出」圧迫なぜ?

記事入力2021.09.25。午前6:00

「半導体同盟論を前面に出したにも越えた要求」

米国ホワイトハウスが23日(現地時間)、半導体不足を解決するために、グローバル大手企業を招集した会議で、サムスン電子などの半導体メーカーに在庫と注文・販売履歴などの内部情報を要求したことをめぐり、懸念の声が出ている。米国政府は、世界各国の民間企業に並びを強制することを越えて、企業の機密まで要求し、市場介入を予告したという点だ。

企業は、米国政府の顔色をうかがう公式的な立場を自制しながらも、戸惑いを隠せない雰囲気だ。ジョー・バイデン政権が情報を送信時限的に提示したの11月初めまで、業界の悩みが続くと予想される。

「NEAVER」より

クワッドでサムスンなど韓国企業の半導体愛顧や注文・販売履歴などが話題にのぼったというのである。

確かに半導体のサプライチェーンの見直しは各国共通の思いはあると思うが、しかし韓国企業の売上高を見て戦略を練ったというよりは、輸出先などが疑われた可能性も考えねばならない。

たしかに韓国の半導体産業は高いシェアを占めてはいるが、どちらかというと取引内容の不透明感が疑われた可能性のほうが高いと僕は考えている。つまり、ホワイト国認定を外したアレと同じパターンだ。何故なら、韓国の半導体産業が製造している商品は、世界的に不足が叫ばれるアイテムとは傾向が違うからだ。アメリカがサプライチェーンを見直すにしても、韓国企業の監視をするのはちょっと不自然である。

そう考えると、韓国は既に西側諸国から「味方だと思われていない」のではないか?という気がしてしまう。

地域防衛のための再編は、いま音を立てて変わり始めたのである。

コメント

  1. 韓国は何というかもう正体バレちゃってるスパイというか、こっちの好きに泳がそう状態になっちゃってませんかね。既に。英国圏の諜報網の老練さは伊達ではなさそうといいますか。

    • 正体のバレているスパイというのは、なかなか面白い表現ですね。
      彼の国は地政学的な利点があるので、なかなか放置というわけには行かなかったんですが、最近は「要らない子」扱いが顕著になってきていますよね。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    対支那に対する安全保障(軍事的な意味合いが主)を目的とした枠組みであるQUADの第一回首脳会談の成果は、半導体を含む経済安全保障の具体化で静かにスタートしましたね。

    >しかし韓国企業の売上高を見て戦略を練ったというよりは、輸出先などが疑われた可能性も考えねばならない。
    >そう考えると、韓国は既に西側諸国から「味方だと思われていない」のではないか?という気がしてしまう。

    木霊さんのご推測が案外当たっているような気がしますね。

    さて、QUAD本来の目的である軍事的なコンセンサス醸成には、未だ距離を置きハッキリしないインドがいる以上、拙速に具体案をまとめるのは難しいし慌てても仕方ないでしょう。(水面下ではいくつものプランは進行中と想像しますが)
    今はせいぜい、眼に見えるアピールは定期的な共同演習に相互に参加くらいで留まるんじゃないでしょうか。

    それでも火急の懸案である、宇宙戦略・サイバー戦等に関する一致した協力は確認できたようですから、首脳レベルの最初の合意としては大きい。
    今後、米印・日印でGSOMIA締結までいくなら本格的に前進ですが、それにはまだまだ紆余曲折があり時間が必要でしょうね。

    唐突に話題となった感があるAUKUSは、QUADの完成を待つまで補填・強化する為の、アングロサクソン民族による軍事的な枠組みと考えています。
    日本は地勢的に主導権を持つべき立場なのですから、まずQUADに認められる強力な国防・経済両面の安全保障政策を打ち立てないといけないですね。

    >何故行ったのか?極めて重要な会議だったから、という理由以外になにか必要なのだろうか。

    QUAD首脳会談の日程は決まっていたはずです、総選挙を控えて総裁選という政局絡みとなった以上、政治日程はタイトでしたから菅総理が出席するのは当たり前の話です。
    毎度のクダラナイ揚げ足取り連中は放っときゃいいでしょう。

    P.S.
    総裁選への選挙権のない蚊帳の外の僕達なんですが、誰が総裁になり派閥調整を含めた役員人事・組閣人事に僕は興味がありますし、その結果を総選挙の選択肢にしようと考えています。