あまり注目されない野党の共通政策だが、中身を見て思わず顎を落としそうになった。
野党4党 衆院選で訴える共通政策 市民グループと締結
2021年9月8日 15時29分
立憲民主党など野党4党は8日、衆議院選挙で訴える共通政策を市民グループと締結しました。 新型コロナウイルス対策の強化のほか、消費税の減税や原発のない脱炭素社会を追求することなどを盛り込んでいます。
「NHKニュース」より
これ、NHKニュースを引用したのだが、不思議なことに内容についてはフワッとしか触れていない。
NHKニュース読む限りでは、あまりおかしな事は言っていない気もするが。
それでいいんだ
野党共通政策の提言(骨子)
いろいろ探したら、しんぶん赤旗にその内容が掲載されていた。
野党共通政策の提言(骨子)
衆議院総選挙における野党共通政策の提言―命を守るために政治の転換を―
1、憲法に基づく政治の回復
2、科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化
3、格差と貧困を是正する
4、地球環境を守るエネルギー転換と地域分散型経済システムへの移行
5、ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現
6、権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する
「しんぶん赤旗」より
……は?
そりゃ、NHKも言葉を濁すわ。こんなもの正直に説明したらむしろ野党に批判が集まってしまう。
立憲民主党の「すぐやること」と矛盾
なんかもう色々酷いが、そういえば先日の立憲民主党の「直ちに決定する事項」とも矛盾しているな。
前回は随分と腐したが、まあそれは棚に上げておいて、おかしな点を言及していく。
武漢ウイルス対策はどうしたいのか?
例えば4党合意の「科学的知見に基づく新型コロナウイルス対策の強化」だが、立民の「新型コロナ対策の司令塔の設置」とは、微妙に方向性が異なる。
何しろ、政治家に「科学的知見」を求めるのは酷というもので、今の自民党でもその議員の殆どは武漢ウイルス対策の科学的知見を持ち合わせてはいない。一部、現役医師で国会議員という異色の存在もいるが、大半はド文系で科学的センスのない議員である。
もちろん、文系議員が悪いという意味ではなく、「科学的知見」からほど遠いという意味である。
そこで自民党は、分科会を作って意見を聞くというスタイルにしたのだが、途中から尾身会長の意見をただ反映させるだけの機関に成り下がって、およそ政治的判断を適切にしたとは言い難い状況になった。
そこを鑑みて立憲民主党は「司令塔」などと言い出したのだろうと思う。
とこが、それは政治主導という意味であって、専門家の知識に基づく「科学的知見」とは路線が違う。政治家が政治的に判断し指令をだすのと、科学分析に基づく判断は似ているようで違う。
だいたい、「ゼロコロナ」などと科学的にありえないスローガンを掲げていた野党が、よくもまあ「科学的知見」などといえたものである。
それどころか、現状分析も随分と見誤っている。
共通政策では、政府の新型コロナウイルス対策を通じて医療提供体制のぜい弱さが浮き彫りになったとして医療費削減の流れにある路線を転換し、病院や保健所などの整備を迅速に進めていくとしています。
「NHKニュース”野党4党 衆院選で訴える共通政策 市民グループと締結”」より
悪いのは頭ですか?
一見、良さそうなことが書かれているが、今回の騒ぎの最大の問題点は保健所がボトルネックになったところで、その保健所は民主党時代に予算を削って削減方向に向かわせた部分である。保健所にしても病院にしても、「増やせ」といってもすぐに増えるものでもないし、病院については「足りないわけじゃない」という事に気が付いていないのは致命的だろう。
足りないのは、発熱外来や感染症対策専門の医療機関で、こうした部門は平時にはむしろ病院経営のお荷物になってしまう。そのバッファ部分に国費を投入して維持しましょうという話ならまだ分かるが、そんな感じでもなさそうだ。
「医療費削減の流れにある路線」というのも根本的な考え違いであり、一部高齢者の二割負担などは「病院の数が足りない」という話とは次元が根本的に違う。
よくもまあ、科学的見地に基づくなどと言えたものだ。
権力の私物化の話は勘違い
更に、「モリカケサクラ」を再びやると息巻いているのが立憲民主党なのだが、これこそ権力の私物化である。「公平で透明な政策の実現」というのも、「赤木ファイル公開」や「スリランカ人女性関連資料の公開」と、一見同じ路線に見えて、その実、「公平」とは言い難い。
何故ならば、「透明性」を進めるがあまり、他の入管施設収容者や赤木氏の人権を尊重しないやり方になっている。それは、公平でないばかりか権力の私物化に他ならないのだ。
もちろん、何かバランスを取りながらという事は意識するだろうが、しかし、日本共産党のやり方を見ていると、例えば国会で一般市民の住所を勝手に公開してしまうなど、凡そ人権に対する配慮があるとも思えない。
目標どころがスローガンにすらなっていない項目
そして残念なのは、「憲法に基づく政治の回復」とか、「ジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現」とか、「権力の私物化を許さず、公平で透明な行政を実現する」とか、フワッとしたことを言っているけれども、具体性のかけらもない主張であることに驚く。
野党共通政策 具体化への道筋明示を
09/09 05:05
立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党4党は、次期衆院選に向けた「共通政策」に合意した。消費税減税や原発のない脱炭素社会の追求を盛り込んだ。
~~略~~
ただ、消費税減税分の財源をどう手当てするかなどは明確になっておらず、スローガンにとどまっている印象が拭えない。
「北海道新聞」より
道新の社説にすらこんな風に書かれて呆れられる始末である。
しかし、野党4党は方向性を同じくするためには、とにかく目標をあいまいにするしかなかった。その弊害によって「スローガンにとどまって」と道新にすら馬鹿にされる結果となったわけだ。
「市民連合」は、新型コロナ禍の政策の破綻は安倍・菅政権の9年間の帰結だとして、次の総選挙で野党協力を広げ、安倍・菅自公政権を倒して、新しい政権の実現を求めて野党共通政策を提言しました。市民連合運営委員の山口二郎法政大学教授は、共通政策の合意で「本格的な野党協力の体制を確立できた。日本の民主主義を回復する貴重な一歩だ」と発言。コロナ危機を解決するには「政権交代が不可欠」だと述べ、「選挙を協力してたたかう野党と市民の信頼感が来たるべき政権の最も重要な土台になる」と述べました。
「しんぶん赤旗」より
「安倍を叩ききってやる」で有名になった山口二郎氏(敬称など付けたくない人物だが)が市民連合のトップに名を連ねている辺り、もはや救いは無い感じだ。何しろ、憲法を守って国民を守らないのが彼らのスタンスである。アレはもはや政治ではなく宗教の域にある。
宗教的な意味合いでは、日本共産党などとは相性がいいのかもしれないが、まっとうな政治をしようと思ったら現実に目が向けられないのは致命的である。
こんな状況では次々と具体的な政策や目標を掲げる自民党総裁候補と差が開くばかりだ。
結局、選挙互助連合
で、ここに国民民主が乗ってくるかと思ったら、流石に懸命にも名を連ねる愚を犯しはしなかったようだ。
安保分野では、集団的自衛権行使を容認する安保法の違憲部分の廃止や、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設中止を掲げた。
「北海道新聞」より
安保政策や反原発路線は、野党の中では比較的現実路線に近い国民民主党とは相容れないのである。
更に野党4党は、支那の人権侵害や軍拡路線は、まさに国民の関心事なのに、市民連合と手を組んだばかりにそこに踏み込むわけには行かなくなった。人権侵害と軍拡がセットになった支那に触れるのはあまりにリスクが大きいのである。
当然ながら、アメリカ追従型の姿勢を批判するという展開も難しい。何故ならば、その話をするためには支那の横暴を口にしなければ成立しないからだ。
既に「護憲」と「国防」は相容れない状況にまで来てしまっているが、それを説明できない時点で政治家としては終わっている。
共通政策の合意を受け、立憲と共産は衆院選小選挙区の候補者一本化に向けた調整を加速させる。
共産は一本化の条件として「野党連合政権」樹立の合意を立憲に迫っている。これに対し、立憲の枝野幸男代表は共産との連立や閣外協力を否定する。
枝野氏は「共産とは理念が違う部分がある」と説明する。
「北海道新聞」より
そして、それでも「選挙協力はやろう」というところ、ソレすら話がまとまらない状況にあるというから、もはやどうしようもない状況である。多分だが、前回のように早々に空中分解するのがオチだろう。
よくもまあ「手を組んだ」などと言えるね。
コメント
野党はいまだに共産党式思考法
とにかく上の立場から「やれ」と命令すればそれでいいと思ってる
うまくいかなきゃ非難すればいいだけのカンタンなお仕事
そうですねぇ。
それだと国政が切り回せないのは、民主党時代にハッキリしましたよね。
政策にもなっていないみたいですけど、これで野党を支持する人にも受けるのでしょうかね。これが「素晴らしい政策」に見えている人って、どこの国の人? と思ってしまうのですが。
案外、「ふわっとした」感じの政策が嬉しい人々もいるのでしょう。
占いみたいなものですね。
木霊さん、おはようございます。
これが野党の共通政策って...、日本国民と日本国の権利を愚弄し危険に晒しかねないトンデモな内容で呆れるしかないないですね。
こんな連中の野合そのもので唾棄すべきなんですが、野党特に立憲民主党の支持母体である連合は、極左の共産党・社民党他訳の判らぬ怪しい政党との連立・連携を許すつもりなのかには関心があります。
自民党総裁選の結果にも左右されますが、総選挙で絶対に勝たせてはいけない危険な勢力ってことだけは間違いないですね。
与党の自民・公明への積りに積もった不満はありますし(特に公明党の存在)、そもそも現選挙制度への疑問もありますが、目先の不満だけで国の方向性だけは間違っちゃならないと思います。
ちなみに私の選挙区は自民現職ガチガチですが支持できないアホですし、対抗馬は共産党の泡沫候補だけという実情で、選挙区は自民党への批判票を投じる候補すらいません。
故に、選挙区は白票とし、比例区は好きになれませんが維新の会という、ほとんど選択肢がないのが悔しいですね。
それでも選挙権行使は国民に与えられた大きな権利でもあり、国政に対する責任を担う義務でもあります。
子供達にはこれだけは口を酸っぱくして選挙権行使の大切さを説いています。
今回の選挙で気になるのは、そろそろ公明党との連携を考え直すべき時期に来ていると言うことです。
選挙において公明党の、というか創価学会の動員力は侮れませんが、これ以上政権の足を引っ張られるわけにも行かないと思います。
そう言う意味でも、選挙はもっと大胆な政策を打ち出した首相の後に続ける人材が選挙に出てくれると嬉しいですね。
えーと、僕の選挙区の候補は……、んー、ああ、自民党議員になるのかな?ちょっと他の候補は予想がつかないのだけれども。