韓国に迫る「アフガン化」の未来

大韓民国

なかなか衝撃的な記事を読んだ。なる程、この記事を読むと、韓国軍が如何にアフガニスタン事態に真剣に取り組んだのかが感じられる。

引用するのは、デイリー新潮の記事である。

「韓国のアフガン化」を恐れる保守 左派は「自主国防の強化」を訴えて米軍撤収を画策

2021年8月27日掲載

同盟を強化して米軍を引き留めよう、と主張する保守。自主国防を唱え、同盟弱体化を狙う左派。アフガニスタン陥落は韓国の左右対立をさらに鮮明にした。韓国観察者の鈴置高史氏が展開を読む。

「デイリー新潮」より

記事自体は読み応えのある鈴置高史氏のコラムなので、特に説明をする必要も無いだろう。突っ込み不要。

……なのだけれど、この話は「今さら」の話題でもあるんだよね。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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現実味を帯びる在韓米軍撤退

中央日報の社説

さて、鈴置氏も引用しているのが、中央日報のこのコラム。

【社説】アフガン事態が韓米同盟の重要性を見せた

2021.08.17 10:39

アフガニスタン事態はアフガン政府の無能さや腐敗、政治的分裂が作った悲劇だった。アフガンで20年間精魂を込めてきた米国が手を引くようにアフガンから米軍を撤収したのは冷静な国際社会の一面を見せた。昨日、アフガンの首都カブール国際空港は阿鼻叫喚そのものだった。ベトナムの崩壊(1975年)が再現したかのようだった。2001年アフガンのタリバン政権は同時多発テロ事件を犯したアルカイダに関連して注目を集めた。また、米国主導の恒久的な自由作戦でタリバン政権を押し倒し、再建の過程に韓国も参加した。韓国の茶山・東医(タサン・トンウィ)部隊、アセナ部隊が10年以上アフガンに駐留しながら医療支援と再建を助けた。韓国は2011年から昨年までアフガン軍隊と警察力を強化するために7億2500万ドル(約792億円)を支援した。

アフガンからの米軍撤収は不信と失望によることだ。

~~略~~

米軍が撤収してからアフガン政府軍は戦闘の意志もなかった。タリバンとまともな戦闘もできず降参した。米国がアフガンに莫大な費用を投じても撤収を決めた背景は、いくら助けても成果がない「底の抜けた瓶に水を注ぐようなこと」という事実に一歩遅れて気付いたからだ。

「中央日報」より

なかなかしっかり分析されている。特に興味を引くのが、多くの日本人の知らない韓国軍のアフガニスタン駐留と、その支援を続けていたことに関する指摘だ。

このことが、いざアフガニスタンから撤退するという話になった時に、ミラクルを実現する事に繋がったことが推察される。

韓国、アフガンから390人脱出成功 特殊部隊「ミラクル」作戦

2021/8/27 19:37(最終更新 8/27 20:03

韓国政府は27日までに、アフガニスタンで韓国政府に協力していた現地スタッフとその家族390人を脱出させ、韓国で難民ではなく「特別功労者」として受け入れた。作戦名は「ミラクル」(奇跡)。首都カブールの国際空港への接近が難しい状況下で、在アフガニスタン韓国大使館職員以外に60人余の特殊任務部隊を編成し、希望者全員を脱出させることに成功したという。

「毎日新聞」より

だが、このアフガニスタンで起こった事態は、韓国としても「他人事ではない」と分析されている。

アフガン事態は他人事でない。まず、強い軍隊を維持するのが重要だ。最近、空軍と海軍で相次ぎ起きたセクハラ事件や警戒の失敗、韓米合同演習の縮小などをみると懸念せざるを得ない。

「中央日報”【社説】アフガン事態が韓米同盟の重要性を見せた”」より

米韓同盟の強化と教軍維持に全力を尽くさないと、アフガニスタンのように米軍が撤退してしまうと分析しているのだ。

あれ?それは大酋長のムン君の願いだったんじゃないんですかね?そして、延いてはその公約を掲げて選挙したムン君を選んだ韓国国民の願いでもあったはずだ。

北朝鮮も「現実味がある」と判断

さて、こちらの記事は内容を素直に信頼できるかどうかはちょっと怪しいが……。

カブール陥落に「ソウル無血開城」を重ね合わせる北朝鮮の野望

2021.8.20(金)

今月アフガニスタンで政変が起きた。タリバンは米軍がアフガニスタンから撤退するや否や、瞬く間に首都カブールを制圧、政権を奪取した。このタリバンの一連の勝利を目の当たりにし、一番羨ましがっている人物こそ、北朝鮮の金正恩総書記だ。金正恩総書記は韓国から在韓米軍さえ撤退すれば、タリバンのようにソウルに無血入城できると信じているからだ。

「JBPress」より

金正恩氏がこの様な事を本当に検討しているかどうかは知らないが、可能性としては「アリ」だろうね。

少なくとも、前々から米軍撤退を求めている事は、よく知られた事実である。そして、トランプ氏も朝鮮半島からの米軍撤退はプランの1つに入っていると言及している。アフガニスタンと同様に、だ。

「在韓米軍の撤退」を対話の条件とした 駐ロ北朝鮮大使…「中・ロとの密着」を誇示

2021/08/12 12:04配信

米韓合同軍事演習を名分に、南北通信連絡線を遮断し 強硬基調を正当化している北朝鮮が、今度はロシアとの協力基調を誇示し「在韓米軍の撤退」を要求した。

ロシア駐在のシン・ホンチョル北朝鮮大使は11日(現地時間)、ロシア官営タス通信とのインタビューで「朝鮮半島の平和を成そうとするなら、まず米国が 韓国に配備した攻撃的な軍隊と軍事装備を撤収すべきだ」と主張した。つづけて「在韓米軍が撤退しないかぎり、朝鮮半島状況が周期的に悪化する主な理由が 絶対に消え去ることはないだろう」と語った。

「WowKorea」より

北朝鮮がロシアに対して、朝鮮半島の平和のために在韓米軍の撤退実現を要求している。

確かに北朝鮮はアメリカと交渉するにあたって、「朝鮮半島の非核化」を要求し、韓国もそこに拘っている。北朝鮮の非核化ではないところがポイントである。

韓国の外相は、建前として「在韓米軍の撤収」「核の傘除去」は考えていないと明言しているのだが、ムン君の本音ではないだろう。ムン君も大統領になるにあたって在韓米軍の撤退や、有事作戦統制権の奪還を目標に掲げていた。

左派による在韓米軍追い出し画策

鈴置氏の記事では、韓国左派は在韓米軍撤退を画策していると指摘されている。

僕の目から見たらそれは「自殺願望」にしか見えないのだが、彼らにとっては交渉材料になるようなのだ。「優遇してくれなければレッドチームに行くぞ」と。でもそれさー、既にレッド認定されているの気が付いていないって事だよね?

この世論調査(調査期間は2014年3月7―9日)では「韓米同盟が弱化しても中国との関係を強化すべきだ」と答えた韓国人が31・7%もいました。一方、「中国との関係に支障をきたしても韓米同盟を強化すべきだ」と答えた人は53・4%でした(30-31ページ)。

当時、韓国の「離米従中」は世界ではさほど知られていませんでしたから、3割以上もの韓国人が「米国よりも中国との関係が大事だ」と考えていることに、日米で驚きが広がりました。

「デイリー新潮”「韓国のアフガン化」を恐れる保守 左派は「自主国防の強化」を訴えて米軍撤収を画策”」より

記事を読むと、思った以上に韓国の「病気」が進行している様子が伺える。

今すぐ、という事は無いかも知れないけれども、ムン君がトップに座ってから随分とアメリカは「細管米軍の価値が下がった」と実感したに違いない。

アフガニスタンは重要拠点

そもそも、アフガニスタンだって地政学的にはアメリカにとって重要拠点であった。

支那の中東進出を抑えておくためにも、重要地点であり、それ故に多額の支援を突っ込んだという事実があったのだが、2兆ドル以上を注ぎ込んだアメリカが、アフガニスタンから撤退する。損切りのタイミングは最悪であったが、しかし、もう時計の針が戻らないところに来てしまっているのは事実。

多分、アフガニスタンとしても、どれだけふざけた状況を続けてもアメリカから金を引き出せると思っていたのだろう。

それほど地政学的に重要ポイントであったわけだ。ところが、流石にアメリカの堪忍袋の緒が切れてしまった。

当然、同じ事は韓国にも言えるわけで、だからこそ韓国の左派も右派も、「在韓米軍撤退」が現実的に理解されたというのが冒頭の記事なのである。韓国も、地政学的には重要拠点だが、既に日本は韓国を軍事的に「重視していない」し、アメリカも「負担感が強い」のだ。

なるほど、「アフガン化」は、さほどおかしな話では無いというわけか。

日本にとって韓国のアフガン化の意味は

日本が懸念すべきは「同じ失敗を繰り返さない」こと

さて、鈴置氏の考察は説得力のあるものであったが、話としてはここまでだ。

しかし、日本人としてはその「韓国のアフガン化」の意味を考えておく必要がある。つまり、韓国が「アフガン化」したからといって、いきなりターリバーンが登場して政権奪取をするという話ではない。

鈴置氏の分析では、在韓米軍撤退、つまり米軍に見捨てられる可能性に言及している。

「米国はもう、自由や人権という理念のためだけには戦わない」と韓国人に警告を発したのです。ただ、この社説では「韓国も見捨てられる可能性」にまで言及しませんでした.

 しかし、同紙は翌18日の社説「バイデン氏『米国に国益なく、戦う意思がない国のために戦争しない』」(日本語版)で「韓国のアフガン化」に焦点を当てました。ワシントン時間の8月16日、J・バイデン(Joe Biden)大統領がはっきりと「国益のない戦争には関わらない」と宣言したからでしょう。

「デイリー新潮”「韓国のアフガン化」を恐れる保守 左派は「自主国防の強化」を訴えて米軍撤収を画策”」より

しかし、そのことが「何を意味するのか」までは直接的には言及をしていない。では、何を意味するのか?米軍の朝鮮半島からの撤退は、すなわち韓国の民主主義の消滅を意味する。

既に、最近2つほど韓国の民主主義に対する危機について言及する記事を書いたが、このような傾向は、大酋長のムン君が選挙に勝ったあたりからかなり鮮明になってきていた。

日本が「基本的価値観を共有する隣国」と、外交青書に書かなくなってきた理由はそれなりに根拠があるのだ。

思えば、戦後の日本は大きな間違いを繰り返してきた。そう、いわゆる土下座外交によって引き起こされた数々の失敗である。そして、憲法改正を怠って有事への備えをやらずに過ごしてきた。

アフガニスタン撤退作戦の結果を繰り返すな

その結果が、アフガニスタンからの邦人輸送作戦の初手の躓きである。

もちろん運が悪かった面もあるし、現時点で「完全なる失敗だった」などという積りはない。ただ、自衛隊派遣を過去の事例と比べれば電撃的と言える速度で決定したものの、自衛隊を送り出す時点で必要な情報と準備を揃えることが出来ず、成功できる可能性の低い状態での派遣となってしまった。

韓国から米軍が撤退した後、朝鮮半島で何が起こるのか?韓国の民主主義の消滅などと書いたが、実際に起こることは高麗連邦の設立である。

文在寅政権の悲願であった民族統一は、一先ずは高麗連邦という形で結実するだろう。韓国のレッドチーム入りはすでに行われてしまったので、もはや「米韓同盟」側に戻ってくることはないだろう。

それはたとえ、政権トップが変わったとしても実現される可能性が高い。もはや、韓国は引き返せない所まで来ているのである。

そうなれば、朝鮮半島からの邦人脱出作戦を実施しなければならない時が来るのだ。残念ながら、それが絵空事ではない事態が韓国では進行している。そして、その時こそ自衛隊は失敗できないのだから、現実のものとして準備をしていかねばならない。

コメント

  1. >金正恩氏がこの様な事を本当に検討しているかどうかは知らないが、可能性としては「アリ」だろうね。

    アリアリのアリ、ですね。
    というか、北にとって一番望ましい結果でしょう。無血開城。
    最近ならともかく、ちょっと前の文在寅なら、国境越えて進軍してくる北の戦車部隊を、国境のコンクリの対戦車障害物を自前でどけて、花束持って迎えるくらいやりかねない勢いでしたから。
    ※勢いとしては今でもやりかねないと思います、情勢がそれを許さないだけで。

    韓国軍の士気自体はよくわかりませんが、最高司令官が「盗人が倉の番」なのですから。

    あと、
    >多くの日本人の知らない韓国軍のアフガニスタン駐留
    既にアフガンに展開していた韓国軍と、法的に自縄自縛の上に押っ取り刀で駆けつけざるを得なかった自衛隊を比較するのは余りに可哀想です。
    マスコミは、そのあたりを正確に報道しろよと小一時間。
    ※それをやると、改憲論議が盛んになってしまうのでやりたくないのでしょうけれど。
    ※それはさておき、やはり韓国軍も、末端の実戦部隊は侮りがたい行動力、判断力がありますね。かつての「陸自に弾を借りた」時からそう思ってましたが。実を取るのにどうすればよいかを判断し行動出来るのが素晴らしい。

    • 北朝鮮にとっての理想的展開であり、支那にとっても狙っている線だと思います。「無血開城」は。
      そして、困った事に支那、北朝鮮、韓国の何れも当事者で、アメリカが当事者でなくなろうとしている事を諸手を挙げて歓迎していると。

      アフガニスタン問題は、日本のマスコミにとっては結構タブーを含んだ話なのですよね。
      真摯に向き合うべきなんですが。

  2. 高麗連邦が成立する前後に
    日本と韓国を主戦場とした代理戦争の可能性はあるのでしょうか?
    また、韓国からの密入国が発生するとして強い対応は出来ないものでしょうか?
    差別主義者にはなりたくはありませんが、10年後20年後を妄想すると
    対応する法の改定、9条の再検討を切に願うばかりです。

    • 「日本と韓国を主戦場とした代理戦争」ですか。考えてみたことはありませんでしたが、その可能性は低そうですよ。
      しかし、ご指摘の様に韓国からの密入国という問題は非常に大きな問題として捉えておく必要があると思います。
      密入国に断固たる措置を講じることはもちろん必要ですし、その体制を整える意味でも「移民法」の制定ということも視野に入れるべきでしょう。
      「移民法」とかくと、「積極的に移民を認めるつもりか」と言われるかも知れませんが、寧ろ、しっかりした制度がなくてなあなあで入国させてしまうような状況を続けることの方が害悪が大きいと思います。もちろん法整備には非常に慎重になるべきなのですが。

  3. >猫さま、木霊さま
    横合いから失礼します。
    >密入国……
    そのためのマイナンバー制度だったはずなのですが。
    マスコミの横やりで普及が進んでませんね。
    通名がバレると、複数の銀行口座が作れなかったり、運転免許が取れなくなったりしますからね。
    無辜の一般国民には、メリットしかない制度なんですけどね。

    • マイナンバーですか。
      デジタル庁発足で、方向性が変わると良いのですけれど。