カーブル空港爆破テロ発生で更に苦しくなる邦人救出

中東ニュース

コメントでは「反対だった」という意見を書いたけれども、少々現状で「反対だった」の意思表明は卑怯だったかも知れない。

制約のある中でも職務に邁進して下さる自衛隊員の方々には敬意を抱くと共にエールを送りたいという気持ちはあるのだ。

カブール空港で爆発、米兵13人死亡 ISの自爆テロ―バイデン氏「代償払わせる」

2021年08月27日09時52分

アフガニスタンの首都カブールの空港周辺で爆発が起きた事件を受け、米中央軍のマッケンジー司令官は26日、記者団に対し、少なくとも米兵13人が死亡、18人が負傷したと発表した。テロ組織監視団体SITEによると、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行を認めた。報道によれば、アフガン人にも多数の犠牲者が出ており、死者は計60人以上、負傷者は140人を超えた。

「時事通信」より

そんな状況でこのニュースである。事前に「危険だ」という情報は出ていたが、卑劣にも程があるな。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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頑張ってくれ……

撤退計画は元々危うかった

あ、一応言葉について最初に少し説明しておきたい。

「カブール」→「カーブル」、「イスラム」→「イスラーム」、「タリバン」→「ターリバーン」と、多くのメディアが使っている単語とは少々異なる言葉を当ブログでは用いているが、現地の発音により近い呼び方とのことなので、ご了承下さい。

で、日本にせよアメリカにせよ、大多数の国の判断に、ターリバーンの「撤退の邪魔はしない」と発言が影響していた可能性は高い。

軍事的には撤退作戦というのは極めて危険度の高い作戦ではあるが、民間人の国外退去を政権を握っている組織が邪魔をしないと明言しているのだから、ここを攻撃してくると言うことは即ちターリバーンが責任をとらねばならない話でもある。

が、ターリバーンはそれが出来ていなかったし、するつもりもないようだ。

バイデン米大統領は事件後に演説し「事件を起こした者を許さず、忘れない。探し出して代償を支払わせる」と述べ、報復攻撃を約束。一方で、予定通り米国民やアフガン人の退避支援と駐留米軍の撤収を続ける方針を示した。

「時事通信”カブール空港で爆発、米兵13人死亡 ISの自爆テロ―バイデン氏「代償払わせる」”」より

アメリカ大統領のバイデン氏も、情報を持っていながら事件発生を未然に防げず、無能っぷりを曝してしまったが、報復攻撃を約束したようだ。

だが、この話はそもそも計画自体が杜撰であったところに問題があった。早急に撤退作戦を完了しなければならない状況まで放置したのは、当事者のアメリカである。情報収集能力が衰えているのか、或いは別の理由なのか。ともあれ、アメリカの失敗は日本にも影響が出る。情報収集の大半をアメリカに依存しているからね。

そういう意味でも日本は、アメリカの情報を宛てにしない態勢を早急に整える必要があるだろう。

そして、「もっと早くに撤退すべきだった」と無責任なことをいうメディアもあったようだが、何を言っているのやら。

アメリカが予測できなかったことを日本に予測しろというのであれば、それなりの諜報機関を作る必要があるからね。

被害者はもっと増える

さて、冒頭で引用した記事では13人だったが、被害が明らかになってもっと被害者が増えている。

カブール空港でIS系爆弾攻撃、90人以上死亡 退避活動続けるとバイデン氏

2021年08月27日

武装勢力タリバンが制圧したアフガニスタンからの出国を希望する大勢が集まる首都カブール近郊の空港で26日、2回の爆弾攻撃があり、米軍関係者13人を含む90人以上が死亡した。過激派勢力「イスラム国(IS)」系の組織が犯行声明を出した。ジョー・バイデン米大統領は、出国を希望する人たちの避難活動を続けると言明した。

「BBC」より

冒頭のニュースでは死者が米兵13人を含む60人以上ということであったが、BBCニュースでは90人以上に訂正されている。

地図を見たところで、素人の感想しか出てこないのだが、空港は比較的住宅の多い場所と隣接してるようだ。テロが拡大すれば被害はもっと増えるだろう。

マケンジー司令官は、「IS-K」の脅威は依然として高く、これ以上の攻撃を防ぐため米軍はタリバンと協力しており、タリバンはすでに「IS-K」による複数の攻撃を阻止していると述べた。

「BBC”カブール空港でIS系爆弾攻撃、90人以上死亡 退避活動続けるとバイデン氏”」より

選択肢が無いとはいえ、米軍はテロリストのターリバーンと協力関係を結び、テロ組織IS-K(イスラム国ホラサン州)と対峙するという構図がそもそも終わっている。だってそれ、手を組んでいるのはテロリストだぜ。

だが、テロリストであろうとアフガニスタンという国のトップに立つ組織である以上は、アメリカ軍としても手を組む相手は他にいないのである。いや、他国の軍隊と連携をとるという事はもちろんやるのだろうけれど、何をするにしてもその国の許可を受ける必要はあるのだ。

そういう意味でもアフガニスタンはヤバい。

自衛隊も手を拱いている

そんな状況なので、自衛隊としてもなかなかミッション遂行というワケには行かない。

自衛隊機カブールに2度到着、移送は断念 期限は27日

2021年8月26日 22時18分

アフガニスタンに残る国際機関で働く日本人や日本大使館の現地スタッフらを国外へ退避させるため、航空自衛隊のC130輸送機が26日、首都カブールの空港に到着した。ただ、退避対象者が空港にたどり着いておらず、移送を断念。前日に続き、少なくとも2回は不調に終わったが、なお移送の機会を探っている。

「朝日新聞」より

何というか、「法律上の縛り」ってバカバカしい話だが、しかしルールを守っているからこそ軍隊は活動出来るのである。

安全面や法律上の制約から、自衛隊は空港外での移動の支援活動を想定していない。政府関係者は「空港まで来てもらうところで苦労している」と明かす。イスラム主義勢力タリバンの検問所があるため、政府は退避対象者に証明書を発行。タリバンに所持者の通過を認めるよう働きかけるなどしている。

「朝日新聞”自衛隊機カブールに2度到着、移送は断念 期限は27日”」より

残念ながら自衛隊の限界がここにあるとも言える。

他国の軍隊だって自国民救出に苦慮しているのだから、縛りの多い自衛隊が苦慮するのは仕方が無い面はあるが、それでも救出できる命があれば何とかして欲しいとは思う。エールを送るしかないのだが。

ターリバーンも苦戦

なお、この手の自爆テロはなかなか防ぐ事が難しい。

アフガニスタン爆発 死者85人に タリバン戦闘員28人含む

2021年8月27日 16時08分

ロイター通信は、アフガニスタンの首都カブールの保健当局者とタリバンの関係者の話として、カブール国際空港付近で26日起きた大規模な爆発で、これまでに72人のアフガニスタン人が死亡したと伝えました。

この中には、タリバンの戦闘員28人が含まれるとしています。

「NHKニュース」より

テロ組織ISの活動拠点がアフガニスタン東部にあるようで、これまでも首都カーブルでのテロ活動を活発化させていたようだ。

これによってアフガニスタン市民や少数派のシーア派を狙って爆破テロが行われ、被害者がでているようだ。テロ組織ターリバーンはテロ組織ISとも敵対関係にあるとのこと。

アメリカとアフガニスタン双方にダメージを与えるという点では、この撤退作戦の邪魔は非常に意味のある行為だというわけだ。迷惑この上ないな。

避難民に紛れてテロリストが活動することは、実に容易い。

当然、この事態を受けて日本人の国外退去作戦にも支障がでている。現地に待機している自衛隊員は、粘り強く多くの制約の中でやれることを考え続けていると思う。チャンスがあれば、という事なのだろうが、そろそろタイムリミットが近づいている。

現地において精度の高い情報があればまた違うのだろうが……。

追記

続報である。

自衛隊、カブール空港外活動に制約 退避作戦、1人のみ

2021年8月28日 7時30分

国際機関で働く「若干名」の日本人や、日本大使館の現地スタッフらをアフガニスタンから国外へと連れ出す自衛隊の「退避作戦」は、日本人1人だけという結果に終わった。対象者として、約500人規模を想定していたが、大半を占めるアフガニスタン人がイスラム主義勢力タリバンの検問を通過できずに空港にたどり着けなかったとみられる。

「朝日新聞」より

邦人をカブールから自衛隊機で隣国へ移送 アフガン人14人も

2021/8/28 10:58(最終更新 8/28 11:36)

政府は27日深夜、アフガニスタンからの退避を希望した少なくとも日本人1人を首都カブールの国際空港で自衛隊機に乗せ、隣国パキスタンへと移送したと発表した。関係者によると、ほかにも米国の要請で14人のアフガン人も退避させた。政府は派遣した自衛隊輸送機と政府専用機計4機をパキスタンで当面待機させ、退避活動を模索する。ただ、28日には、空港を警備する米軍が撤収作業を本格化させる見通しで、活動は厳しさを増しそうだ。

「毎日新聞」より

報道の仕方に悪意を感じるが、しかし今回の自衛隊による撤退作戦に関しては、現時点において失敗であったと、その様に結論づけて良いだろう。期限は31日迄らしいが、撤退作戦が続行できるような状態であるとも思えない。

僕は部外者であるので勝手な論評しか出来ないのだが、作戦実行のために派遣された方々の努力に頭が下がる想いである一方で、作戦の失敗の評価は甘んじて受けるしかなさそうだと思っている。

このブログでは、その兵器に関して散々扱き下ろしている韓国軍はというと、400人弱の救出に成功している。明暗を分けたのは、作戦実行のタイミングと、現地の協力態勢が構築できるアドバンテージが韓国軍にはあったからだ聞いている。アフガニスタンに駐留していた軍が居たのは大きかったね。

それに比べて日本は1人だけ。素直に韓国軍を称賛すべきだろう。

日本の場合は外交官の脱出が早すぎたことで、現地での情報収集が疎かになった可能性なども指摘されているが、反省会は後でも出来る。派遣された方々は、批判に挫けることなく最後まで任務を果たして欲しい。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    空自C-130が待機していても空港まで来られないという残念な状況のようです。

    100人以上が犠牲になったISの大規模テロを見ると、益々時間と移動手段の制約が厳しい状況ですね。

    相変わらず卑怯で身勝手なのがマスメディアで、早く避難させるべきだったとか今になって無責任な煽り記事を垂れ流していますね。

    カブール陥落の速さはアメリカですら把握でいていなかった訳で、情報網組織が脆弱な日本なんか到底予測不能だった。
    もし、まだ安全な5~6月に退避させてたら、それこそ国際社会から非難を受け笑いものなったたでしょうに。

    今回卑劣なテロを首謀したISを初めアルカイダなどの過激派が、大規模にアフガニスタンに入ってきているのはタリバンにとっても想定外の早すぎる不味い展開じゃないかな。
    逆説的に日米他連合国がタリバンと一時的にでも手を結び、カブールの安定を保証させアフガン人を含む退避優先の協力体制をとるしかないように考えます。

    まだ残されいる日本人はもちろん自衛官の皆さん、そして出国を希望する一人でも多くのアフガンの人達に犠牲が出ない様祈るばかりです。

    • マスメディアの報道は、本当にこの件に関しては情報量が少ないので苦慮しています。
      報道する気があるのかな。
      ただまあ、これもやっぱり現地に拠点がないことが影響していますから、構造としては今回の自衛隊と似たところがあります。
      そして、そういう意味でもマスコミには批判する権利がないんですけどね。

  2. この件に関してコメントしようとすると、罵詈雑言しか出てこないのですが。あえて言うなら。

    >しかしルールを守っているからこそ軍隊は活動出来るのである。
    >残念ながら自衛隊の限界がここにあるとも言える。

    これこそがシビリアンコントロールが効いている証左であり、自衛隊が憲法上は軍隊とされていないことの証左でもあり、平和主義者という方々の理想論の結果でありますな。

    飛車角落としどころではない状態で激務に当たる現場の自衛官の苦労を思うと、この国の平和ボケに一納税者として忸怩たる思いがあります。
    と同時に、自分たちがそう望みそう縛った自衛隊を卑下する者達に、何とか鉄槌を下す方法はないかと、歯軋りする次第です。

    • 今回、厳しい立場で記事を書いているので、もしかしたら本ブログの記事を読まれて不快な想いをされたかもしれません。
      正直、今回の失敗の責任は、政府の決断の方にあって、自衛隊の能力は全く無関係でありまして、そういう意味でも派遣決定は当然にせよ、何故もう少しマシな態勢で望めなかったのかという話になります。
      当初、政府も民間機で何とかするとか、海外の軍に協力要請という弱腰の姿勢を検討していた背景に、現地の受け入れ態勢の構築が出来ていなかったことが大きかったように思います。
      今さら言っても詮無きことではありますが、自衛隊に今回の吸湿作戦の失敗を押し付けるようなタイミングでの派遣になってしまったことは、後tから考えても「ダメだった」のではと感じています。

      • >木霊様

        お気遣いありがとうございます。

        記事に対してではなく、
        ・タリバーンの侵攻を止めるどころか、真っ先にケツまくったアフガン軍
        ・同様に、真っ先に脱出した本邦外務省職員(イギリス紳士のケツを舐めろ!)
        に対して怒り心頭ですが、記事自体は至極まっとうであると思っております。
        ある意味、初の「海外派兵」なのですから、これを教訓に、来るべき台湾有事あるいは半島有事に備えてもらえれば、と思う次第です。

    • こんにちは
       アフガンから大使館員がさっさと逃げ出したのは正解だと思います。
       内戦となった地に留まっていて何ができただろうか!
       自衛隊でさへ正当防衛を強要される我が国の愚かな軍事法制だろうがなかろうが
       内戦状態の地、大津波の でんでんこ のように大使館員は、早々に逃げ出して正解!
       まして大使が残って拉致されたら大変どころではなくなる。

  3. 毎度おなじみのグークランドでは大量の難民に苦慮しています。
    日本もこのご時世で彼らを医療も含め手厚くもてなす事が出来るのでしょうか。

    • 訂正します。
      日本も ではなく 日本は です。