韓国物流危機前夜、世界最強労組がストライキ開始か

大韓民国

まだ、ストライキが起きるかどうか決まったわけではないが、非常にその可能性が高まっているということらしいぞ。

HMM労組、スト可決…輸出物流「台風前夜」=韓国

2021.08.24 08:03

韓国海運最大手のHMMがストに向けた手順を踏んでおり物流大乱が現実に近づいている。

HMM海上労組は23日、前日正午からスト賛否投票をした結果、組合員92%の賛成で可決されたと明らかにした。組合員453人のうち434人が参加し投票率は96%で、このうち400人がストに賛成した。

「中央日報」より

韓国のストライキは容赦ないからなぁ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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韓国の労働組合は強い!

世界最強のストライキ

何が凄いのか、世界最強なのかというと、韓国のストライキは非常に法律で優遇されていて、ストライキ期間中も普通に賃金が支払われることになっている。

韓国の「ストによる労働損失日数」は 日本より「193.5倍」も多い…労使協力では「最下位圏」

2021/07/08 13:03配信

「韓国が “雇用率70%”を達成するためには、協力的・均衡的な労使関係、低い雇用負担および労働市場の柔軟性が整(ととの)っていなければならない」という主張が出された。

~~略~~

この10年間(2009年から2019年)における「賃金労働者1000人あたりのストライキによる労働損失日数」をみると、韓国は 年平均38.7日で最も多かった。英国は18日、米国は7.2日、ドイツは6.7日、日本はわずか0.2日であった。韓国の労働損失日数は 日本の193.5倍、ドイツの5.8倍、米国の5.4倍、英国の2.2倍に達するものであることが明らかとなった。

韓国経済研究院は 韓国の労使関係が対立的である原因の一つとして、労働組合に傾いた法制度を指摘した。「韓国は 5070国家たちとは異なり、使用者による対抗権の争議行為時の代替労働は禁止しているが、労働組合の部分・並存的な職場占拠は許容されていて、法制度が労働組合側に有利に傾いている」と、韓国経済研究院は分析した。

「WowKorea」より

日本は労働者に厳しい感じの法体系になっているのに対して、韓国は労働者に有利……、ではないな、労働組合に有利な構造になっている。

どちらが良いのかは一概には言えないのだが、外国企業にとっては韓国はリスクが高すぎるという点が問題となっている。

韓国GM撤退?

数年前からGMが韓国から撤退するという話がチラホラと持ち上がっていて、実際に韓国内のいくつかの工場は閉鎖される流れになっている。

「韓国の工場は信頼できない」…GM役員、労働組合の面前で苦言

Jun 18, 2021 (Gmt+09:00)

「労使対立で工場の稼働停止が繰り返されれば、韓国GMは、非常に不利になるだろう」。

ゼネラルモーターズ本社の役員ドニク・マクドウェル労使関係総括副社長が、韓国GM労働組合指導部の面前で「世界40か所のGM工場が、物量を確保しようと激しく競争している」と強調した。

自動車業界によると、GMの役員らは11日、米デトロイト本社で韓国GM労使代表と面談し、苦言を繰り返した。役員らの共通した憂慮は「不安定な労使関係が、韓国GMの仕事を終わらせることもある」だった。

「THE KOREA ECONOMIC DAILY」より

何しろ、韓国国内工場は直ぐにストライキで機能が止まってしまうのである。GMだって撤退を検討するのも無理はないのである。

韓国GM労使、ベア・奨励金で暫定合意

2021/07/26(月)

韓国完成車大手・韓国GMの労使が22日、現代自動車に続いて2021年の賃金交渉で暫定合意した。聯合ニュースが伝えた。 同社労使は14回目の交渉で、3万ウォン(約2,870円)のベースアップのほか、奨励金として250万ウォンの即時支給、年内の追加200万ウォン支給で歩み寄った。

「NNA ASIA」より

取り敢えず今年も韓国GMは乗り切ったようだが、ここ数年、毎年のように「撤退」が囁かれている。GMの車が韓国国内でシェアを落としている事も影響しているようだが。

現代自動車も苦戦

ちなみに、ストライキで苦戦しているのは韓国企業の現代自動車も同じである。

「賃金年1000万ウォン引き上げ」破格提案を拒否した現代自労組

Jul 01, 2021 (Gmt+09:00)

現代自動車の労働組合が、3年ぶりにストライキをする見込みだ。現代自は、今年の団体交渉で基本給の月5万ウォン引き上げなど1000万ウォン水準の賃上げ案を30日に提示したが、労働組合はこれを直ちに拒否した。労働組合は交渉決裂を宣言し、ストの準備を始めた。

業界によると、現代自はこの日、蔚山(ウルサン)工場で行われた交渉で、基本給の月5万ウォン引き上げ、成果給100%+300万ウォン、激励金200万ウォンなどの賃金引き上げ案を労働組合に提示した。総額基準で1人あたり平均1114万ウォン(約110万円)にのぼる。

「THE KOREA ECONOMIC DAILY」より

今年は随分と苦戦したようだが、なんとかストなしで交渉妥結に至ったようだ。

労使の暫定合意案は、7万5000ウォン(約7140円)のベースアップや、成果給200%プラス350万ウォン支給、品質向上と労働災害防止への激励金230万ウォン支給などを盛り込んでいる。

「聯合ニュース”現代自動車労使の賃金交渉妥結 3年連続ストなしに”」より

日本のようにベースアップが数年単位で見られないというヤバい展開よりは、成長が見渡せない中でもベースアップ出来ている韓国の方が、労働環境としては健全のように思える。

ただまあ、外資としてはたまったものではないし、韓国企業の国際競争力も低下していってしまうという負のスパイラルは避けられない。これで潰れていった企業も少なくないしね。

物流危機

とまあ、ただでさえ韓国の労働組合のストライキは「ヤバい」と言われてはいるが、冒頭のHMM労働組合のストライキは別次元の問題を抱えている。

労使間の妥協がなければ25日から物流への影響が予想される。海上労組は25日から「団体辞表提出」を始め順法闘争を繰り広げると明らかにした。この日からは団体辞表提出のほかにも釜山(プサン)港にHMMの船舶が入港したら船員が無条件で下船することにした。船員法では乗船最大期間は6カ月だが、HMMは船員不足を理由にこれを守っていない。また、荷役作業員のPCR検査証明を提示するまでは船員や作業者を乗船させないことにした。船員法上、運航中の船舶の船員はストなど直接的な争議行為ができないため、順法闘争方式を選んだとみられる。

「中央日報”HMM労組、スト可決…輸出物流「台風前夜」=韓国”」より

記事にあるようにストライキが始まってしまうと、韓国の物流に大きなダメージが生じる。

更に興味深い事に、HMM労働組合はストの理由を「賃金ではない」としている。どうやら「PCR検査をやれ」「船員の基本権保障をしろ」ということらしいのである。

ああ、そういえば、こんな事件があったな。

凄い話ではあるが、これも船絡みの事件ではある。

武漢ウイルス蔓延は、船舶の乗組員にとっては脅威になるのは分かるのでこの主張も分かるのだが、労働組合の主張が正しければ、労働環境は劣悪なようだ。

これに先立ち海上労組は今月中旬から乗船契約書の延長も拒否している。チョン委員長は「最大6カ月船に乗ったら下船するのが原則だが、HMMは休息期間なく再び船に乗ることが続いている」と主張した。海上労組によるとHMMが運用する2万4000TEU級超大型コンテナ船の乗組員は23人だが、これは最小人員に当たる。

「中央日報”HMM労組、スト可決…輸出物流「台風前夜」=韓国”」より

酷いね。

賃金も上げろ!

当然ながら、賃金に関する要求もでている。

賃金交渉案の労使間の開きは依然として大きい。HMMは最近賃金交渉修正案として賃金8%の引き上げと激励金300%、生産性奨励金200%支給を提示した。最初に提示した賃金5.5%引き上げと激励金100%より進展した案だ。交通費5万~10万ウォン引き上げと福祉ポイント約50万ウォンの支給も含まれた。会社者側関係者は「交通費と福祉ポイントを合わせれば実質賃金引き上げ率は約10.6%」と説明した。しかし労組は賃金25%引き上げと成果給1200%を要求している。

「中央日報”HMM労組、スト可決…輸出物流「台風前夜」=韓国”」より

……すげーな。とても折り合える条件だとは思えないんだが、何処かで折り合わないと混乱必至という状況である。

世界最大の海運会社MSCは最近韓国国内の代理店を通じ大々的な人材採用に乗り出している。超大型コンテナ船の勤務経歴があるHMMの航海士、甲板員、調理師などが対象だ。業界によると両社の平均賃金格差は2倍水準だという。

「中央日報”HMM労組、スト可決…輸出物流「台風前夜」=韓国”」より

賃金の面での折り合いがつかなければ、HMMからMSCへ移籍を仄めかしているようだが、その方が幸せかもね。

世界はコンテナ不足

支那にコンテナは向かう

話は少し脱線するが、最近、武漢ウイルスの影響もあってコンテナが不足しているようだ。

コンテナ不足で運賃高騰 解消は早くて秋以降か 海運大手3社

2021年8月4日 17時12分

新型コロナウイルスの感染拡大で船による運搬に必要なコンテナが不足し運賃が高騰しているため、国内の海運大手3社のことし4月から6月までの決算は最終的な利益がいずれもこの時期としては過去最高となりました。一方で、コンテナ不足の解消は早くてもことしの秋以降になる見通しです。

船のコンテナをめぐっては、新型コロナの感染拡大の影響で自宅で使う商品の需要が拡大し荷物が増えていることなどから、コンテナ不足が深刻となり運賃も高騰しています。

「NHKニュース」より

かなりのコンテナ不足に陥っているのだが、このNHKのニュースではどうしてそうなっているのかがハッキリ書かれていない。「自宅で使う商品の需要が拡大し荷物が増えていること」等と書かれているが、実はそんな単純な理由だけではないのである。

中国からの輸出、コンテナ運賃高騰が続く

2021年07月30日

世界的なコンテナ不足などによりコンテナ運賃が高止まりし、各国の輸送コストを押し上げている。中国から北米向けの輸出に関しては、2020年7月以降、貨物量は前年同期比で大幅な伸びをみせ、コンテナ運賃も2021年1月にかけて高騰した(2021年4月9日記事参照)。3月に入ると、コンテナ運賃は若干の下落傾向を示したが、その後は再び高騰している(添付資料図参照)。

中国の交通運輸部の発表によると、中国の輸出コンテナ船市場は7月も引き続き好調だった。中国航運(水運)交易所(SSE)が発表した中国輸出コンテナ運賃指数(CCFI、1998年1月1日=1,000の受注価格ベース)によると、6月のCCFIは2483.60で、前月比13.9%上昇した。スポット市場を反映した上海輸出コンテナ総合指数(SCFI、2009年10月16日=1,000の決済価格ベース)も3,712.69と、11.1%上昇した。

「JETRO」より

もう1つ。

中国から米国向けのコンテナ船運賃が2万ドル超え、過去最高値

2021年8月6日10:26 午前

中国から米国向けのコンテナ船運賃が、40フィートコンテナ1個当たり2万ドルを超え、最高値を更新した。米国の商戦期を前に小売業者からの注文が増加し、世界的なサプライチェーン(供給網)を圧迫している。

複数の国で新型コロナウイルスの感染拡大が加速し、コンテナの回転率が下がっている。

中国南部沿岸沖で7月下旬から今週にかけて台風が発生したことも影響している。

「ロイター」より

アメリカの景気が回復基調にある事と、支那でのコンテナの滞留(人手不足による)に加えて、港湾施設における回転率の低下(防疫絡みの仕事が増えた)など、複合的な要因があるようだ。

そのお陰で、7月から8月の1月で貨物の運搬コストは7%以上上がっているという。

その結果どうなるかというと、船便コストが見合わなくなって出荷を港で泊める企業が続出して、コンテナが更に港に積み上がる事態に。

貿易依存の韓国には死活問題

韓国は半島国家でありながら、根元の方の国と戦争状態にある。

南北対立は貿易面でも影響があって、事実上陸路を使う事ができない韓国は海洋国家のような体制で貿易を行う必要がある。

韓国、コロナで対中輸出依存度さらに強まる…「不確実性も高まり憂慮」

2021.01.20 11:43

昨年の韓国の対中国輸出額が1325億5500万ドルと集計された。対中国輸出は2019年(1362億300万ドル)に比べて減少したが、中国への輸出依存度はむしろ高まり、輸出業界の悩みも深まっている。中国の成長する大きな市場を無視できず、進出を増やすほど韓国経済の不確実性も高まるしかないという懸念のためだ。

韓国貿易協会によると、昨年の韓国の全体輸出額は5127億8873万ドルだった。新型コロナウイルス感染症の影響で前年(5422億3161万ドル)比5.7%減少した。全体輸出の減少額に比べて対中国輸出の減少幅(2.8%減)は小さく、対中国輸出比率は25.8%と、前年(25.1%)よりも高まった。

「中央日報」より

船体的な貿易依存度は近年減少傾向にある様だが、支那依存度は高まっているという事を指摘する記事であるが、何にせよ内需が高まらない韓国経済において貿易が滞ることは死活問題となる。

つまりHMM問題が長引けば、韓国経済に深刻なダメージがでかねないのである。

「ストライキ避けたい」…青瓦台を訪問した韓国海運大手HMM労働組合

2021.08.06 09:26

グローバル海運業界が好況期を迎えているが、韓国最大手海運会社HMM(旧現代商船)はむしろその好況のために労使が対立している。「職員らの長期間の犠牲に対価を支払うべき」として労働組合は今年の賃金・団体交渉で25%の賃上げを主張している。しかし会社側は「会社正常化作業に注力すべき」として5.5%の引き上げで対抗する。

「中央日報」より

なんと、HMM労組は青瓦台にも圧力をかける始末である。ただでさえ韓国企業の労組は強いのだが、韓国経済の構造上、海運を握るHMMの労組は相当な力を持っていると言えよう。まさに世界最強である。

流石にムン君もこの事態は早々に収束させたいだろうから、何らかの手を打ってくるとは思うのだけれども、それにしても要求との乖離が酷いので簡単に収められるかどうか。

今のところ未だストが始まったというニュースは見ないんだけど、どうなることやら。

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