新聞が反対する「電波オークション」とクロスオーナーシップ

報道

結論から言おう。電波オークションの問題を解決する前に、クロスオーナーシップを禁止しよう。話はそれからである。

電波オークションに懸念、日本新聞協会 総務省に意見

2021年8月2日 22:15

日本新聞協会は2日、国が電波の利用権をより高い金額を提示した事業者に与える「オークション制度」について、放送用周波数への適用に懸念があるとする意見を総務省に提出した。「小規模な放送事業者が資金不足から応札できず、地方の情報発信の担い手が減少することにもなりかねない」としている。

「日本経済新聞」より

いやー、日本経済新聞、タイトルを読んで鼻からコーヒーを噴きそうになった。謝罪と賠償を要求する!いや、よく読んだら共同通信ソースだった。

日本経済新聞も、新聞のプライドがあるならこんな記事をそのまま載せるのを止めようぜ。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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インターネットの時代が新聞やテレビを追い詰める

時代遅れのクロスオーナーシップ

日本においてクロスオーナーシップと呼ばれる、新聞社がテレビ局を持つような状況となっている事には原因がある。日本の民放は昭和27年(1952年)に設立された日本テレビ(讀賣新聞グループ)を皮切りに、次々と民放テレビ局が設立されてきた。

讀賣新聞といえば正力松太郎なのだが、彼は原子力発電を国内で作る時にもその影響力を行使し原子力委員会の初代委員長となっていて、日本の原子力産業発展にも多大な貢献をしている。もちろん、放射性廃棄物処分場のことを全く考えずに見切り発車してしまった背景にも、彼の影響力は大きかっただろうと思う。

ともあれ、正力松太郎の存在の影響もあって、新聞社がテレビ局も持つという日本国内で万円していくことになる。特に地方のローカル局は県単位でクロスオーナーシップが整理されていったために、地方の新聞社がローカル局を持つというスタイルが確立していった。

こういった強固なテレビ局と新聞社の癒着が出来上がったことで、メディア同士で監視しあうと言うような事にはならなかった。テレビ局は新聞社の擁護を、新聞社はテレビ局の擁護をするスタイルが出来上がったのである。

なお、既に忘れ去られ始めているラジオも同様の傾向がある。

しかし時代は変わったのだ。

周波数オークションをすると何が起こるのか

さて、どう「時代が変わったのか」は後述するとして、周波数オークションをすると何が起こるのか?について少し言及しておきたい。

電波オークションに懸念

2021/8/2 16:46 (JST)8/2 17:04 (JST)updated

日本新聞協会は2日、国が電波の利用権をより高い金額を提示した事業者に与える「オークション制度」について、放送用周波数への適用に懸念があるとする意見を総務省に提出した。「小規模な放送事業者が資金不足から応札できず、地方の情報発信の担い手が減少することにもなりかねない」としている。

「共同通信」より

一応、同じ内容ではあるが共同通信のソースも引用しておこう。日本経済新聞はこれに肉付けをして記事にしているようだね。

で、先ずはここ。

「小規模な放送事業者が資金不足から応札できず、地方の情報発信の担い手が減少することにもなりかねない」としている。

~~略~~

新聞協会は、オークションは「過当な価格競争を引き起こす可能性のある制度」と指摘。小規模な放送事業者が電波を落札できなくなれば「憲法が保障する国民の『知る権利』をも損なうことにつながる」と訴えた。

「日本経済新聞”電波オークションに懸念、日本新聞協会 総務省に意見”」より

日本経済新聞はこんな事を書いているが、この話は少しオカシイ。

皆さんは「地デジ化」を御記憶だろうか?平成15年(2003年)12月1日に導入が始まって(平成23年)2011年7月24日に移行が完了したテレビ放送のデジタル化が行われた。

デジタル化したら何が起こるのか?当時は説明していたハズなんですがねぇ。

地デジ移行、期待の空き周波数利用はメド立たず

2011年7月23日 2:26

24日正午、テレビの地上波アナログ放送が東北3県を除いて終了する。地上デジタル放送への完全移行後はアナログ放送で利用していた電波の跡地を活用し、携帯端末向けの新放送や次世代高度道路交通システム(ITS)などの新サービスの準備が本格化する。ただいずれのサービスにも課題が残り、普及には時間がかかりそうだ。

地上デジタル放送はアナログ放送と比べて必要な電波の周波数帯を約3分の2に圧縮できる。

「日本経済新聞」より

そう、デジタル化することで電波の占有率が減るということを、日本経済新聞も堂々と説明していた。新聞では2/3になるよとしているが、実際はもっと減る。

つまり、空きスペースは既にあるのだ。そうすると日本経済新聞の冒頭の記事の意味がオカシイことはすぐにお分かりだろう。この事実1つとっても周波数オークションをしても「知る権利が損なわれる」などということは無いのである。

余っているスペースをオークション形式で入札して貰って利用者を決めるという話なのだから、「小規模な放送事業者が電波を落札できなくなる」などということは、妄言なのだ。寧ろ、小規模な事業者でも電波を落札するチャンスが生まれる。空きスペースを利用するのだ、当たり前だろう?

総務省は電波利用を促進したい

メディアから巨大な圧力はかかっているが、総務省としては限りある電波資源の有効利用を図りたいというのが本音だ。

総務省がオークション制度の導入を「引き続き検討する」とした報告書案を6月に公表し、今月2日まで意見を募集していたことに応じた。

「日本経済新聞”電波オークションに懸念、日本新聞協会 総務省に意見”」より

特に、これから無線通信は経済発展の鍵を握ることになる。

日本政府としても6G推進のためには、電波の利用状況の整理を製無ければならず、その技術に関しても目処は付いている。

実は、従来の方法の場合、電波同士の干渉が問題であったが、現在はデジタル化などのを導入したことで、電波の空きスペースを技術的に作り出すことが出来るようになっている。

これは電波利用効率の向上のイメージだが、目処は付いている。

オリンピックが切っ掛けで進むか?ネット配信

さて、電波利用の話もそうだが、テレビ局や新聞が戦々恐々としているのはインターネットである。今回、オリンピックが開催されているが、多くの競技がネット配信されることになっている。

東京オリンピックをネット配信で視聴する方法

2021年7月21日 08:30

いよいよ23日より「東京2020オリンピック」が開催。ここでは、各競技をネット視聴で楽しむ方法と、注目の競技をピックアップして紹介する。なお、一部競技は23日の開会式に先駆け、21日から開始される。

オリンピック競技をネット配信するサービスは、主に、オリンピック公式競技動画配信サイト「gorin.jp」、民放公式テレビポータル「TVer」、NHKの配信サービス「NHKプラス」の3つ。

「AV Watch」より

インターネットを使えば、テレビ放送の内容の多くはネット配信可能である。現在はテレビ放送のオプション的な扱いで商売のツールとしているが、既にユーザーはネット配信をメインで利用するようになってきている。

五輪視聴率、開会式が56・4%…柔道・阿部兄妹「金」は21・6%

2021/07/30 12:46

 東京五輪のテレビ中継は、NHK総合が23日夜に放送した開会式の世帯視聴率で56・4%(個人視聴率40・0%)を記録。その後も高い数字を維持している。

「讀賣新聞」より

オリンピックはテレビコンテンツとしては非常に需要が大きい。

オリンピック開催を批判していたメディアだが、掌返しで日本人選手の活躍を報道している姿勢にはビックリする。しかし、そこまでコンテンツとしては優秀なのである。

だったらもっとネット配信を巧く使って、ネット配信の強みを活かす番組を作れば良いのにと思うわけだが、その辺りは巧いこと出来ていないようだ。その事が数値になって現れるのはもっと先の話なのだろうね。

ネット配信にこそ大きな可能性が

これはスポーツ全般に言えることだが、実はスポーツ観戦というのはかなりの需要がある。これが、小学生のスポーツイベントであったとしても、テレビ素材としては局地的にせよ需要があるのだ。大きな大会になればなる程、コンテンツとしては価値が高い。

例えば小学校の運動会などにテレビカメラが入ったとして、仮に放映されるとしたら、その小学校に通う生徒の親は絶対にその放映を観るだろう。生徒が800人程度の規模であればその地域の家族みんなと、周辺地域の人々は観る可能性がある。

ただ、需要はあっても実際に電波に乗せて放映するとなると話は別だ。もっと大きな需要がないと宣伝の価値無しとしてスポンサーが付いてくれないのである。

しかし、小規模、或いは個人でやっているような配信であってもネット配信であれば話は変わってくる。

素材の扱い方で、大きく化ける可能性を秘めている。

テレビの全国放送のように大規模な放映主体では掘り起こせないものを、個人のネット配信では掘り起こすことができる。そろそろ、地域性に合わせた放映というものがあっても良い時代が来ていて、素材を巧く使う事で全国放送との棲み分けは可能なのだ。

新聞やテレビが「オークション」を恐れる理由

さて、ネット配信の話を少し出したが、現代の小中学生は余りテレビを観ない。何を見ているかと言えばネット配信である。

個人的には下らない番組を垂れ流しているようにも思えるが、しかし、ニーズはその個人や年代によって大きく異なるので、ニーズに合った素材をチョイスして見られるという事は彼らにとっても嬉しい事なのだ。

そして、我が家にもFire TVの魔の手が押しよせていて、テレビ画面に映っている映像の多くはAmazonさんに依存する割合が大きい。もはや、地上波放送はあまり見ない時代になってきているのである。

それでも電波を独占しているテレビ局にあっては、オークションによってその独占が崩れるのは我慢がならないのだろう。テレビ局や新聞社は斜陽産業になりつつも、その存在意義を否定されることが我慢的内のである。

それと、電波利用料が上がることをテレビ局は恐れていると言われている。

テレビ局はなぜ「電波オークション」を恐れるのか 市場原理で周波数を配分すれば誰も損しない | JBpress (ジェイビープレス)
今、オークションで電波を買って、放送に使おうという会社はない。携帯端末で放送もできるからだ。問題は今のように日本だけのガラパゴス周波数で電波を浪費していると、電波が絶対的に不足するこ(1/3)

この記事でもその様な話に言及されているので僕はこれ以上説明する気はないが、電波オークションと電波利用料の話は別問題であるのは事実だ。

独占が崩れ、コストがかかるようになるというのは、既得権者のテレビ局にとっては恐るべき話なのだろう。

ニーズが変わってきている

正直、多くの人々にとっては全国規模のニュースというものには関心が薄い場合が多い。どこそこの地区で交通事故があった、などというニュースはその規模が大きくなければ見向きもされないわけで、「特殊な事案」こそが格好のターゲットになる。

人々はニュースそのものよりも娯楽性を重視するわけだ。

ところが地域直結の素材となってくると、扱いは難しいけれども人々の興味は変わってくる。自分のみにも関係してくるだろう現実がそこにあるからだ。

また、地域のお得情報などは、自分達の生活に直結してくる話になる。

だから「関心」は高い。

しかし、テレビ局にしてみたら、ローカル局であってもそういった素材は扱うが、コストに見合わないので積極的には扱いにくいという事情がある。

かつてはみんなでテレビを観ることがトレンドではあったが、今やそういう事が家族の団らんという状態でも無くなってきている。

あまり報じられないノーベル賞受賞者

そして、余り報じられなかったール・ミルグロム氏とロバート・ウィルソン氏のノーベル経済学賞受賞のニュースだが、これもテレビ局の恐れが反映されていると思う。

2020年ノーベル経済学賞に 「電波オークション」貢献の研究者2人

2020.10.12

2020年のノーベル経済学賞に、電波の周波数の割り当てなどに使われるオークションの研究や実用化に大きく貢献したアメリカ・スタンフォード大学の2人の研究者が選ばれました。

スウェーデンの王立科学アカデミーは、日本時間の10月12日午後7時前、2020年のノーベル経済学賞の受賞者を発表しました。

受賞が決まったのは、いずれもアメリカのスタンフォード大学の、ポール・ミルグロム氏、それに、ロバート・ウィルソン氏の2人です。

「NHKニュース」より

NHKは電波オークションに直接関係しないから、この程度は報じても問題ないと思っているのだろうが、オマエのところの受信料の問題はまた別にあるからな?

おっと、失礼。

2人の研究成果は、1990年代のアメリカで、それまでは政府の認可手続きが必要だった電波の利用免許について、より高い金額を示した事業者に割り当てる、「電波オークション」の制度設計に役立てられました。

電波の周波数は地域や帯域によってさまざまで、事業者ごとに必要な種類や数も異なりますが、多くの周波数と買い手から、オークションによって、最適な組み合わせを導き出せるようになったということです。

電波オークションは手続きの透明性や効率性を高めるとして、現在までに世界各国で実施されているほか、日本でも一時、検討されるなど、大きな影響を与えました。

「NHKニュース”2020年ノーベル経済学賞に 「電波オークション」貢献の研究者2人”」より

ともあれ、「ノーベル経済学賞」は一般人には余り馴染みのない賞ではあるが、この受賞者二人が研究していた分野は皆さんに大きな影響をもたらす可能性がある。

曰く、電波オークション実施によって、最適な組み合わせを導き出すことが可能だという経済理論を打ち立てたとのこと。つまり、みんなの利益となるという話なのである。

その上で、オークション制度の導入には「これまでも各方面から懸念の声が上がっている」とし、「真に国民の利益にかなう制度となるよう、幅広い観点で具体的な制度整備を進めることを要望する」と結んだ。

「日本経済新聞”電波オークションに懸念、日本新聞協会 総務省に意見”」より

つまり、ドヤ顔で「真に国民の利益にかなう制度となるように」などとご高説を垂れているが、実は電波オークションの実施こそが、新に国民の利益になるということは、ノーベル賞受賞者が保障してくれている。

経済学は、既に存在する事象を整理して読み説く学問である。つまり、彼らが言う理論はアメリカで実証されているのである。

そうすると、新聞やテレビというのは、実は自らの利益を失いたく無いために、国民の不利益を望んでいる団体だということになる。なる程、そりゃ反日も捗るわけである。

そしてその様な構図を作ってしまったのがクロスオーナーシップなのだから、電波オークションをやるためには、ここに手を入れるのは急務で、テレビと新聞は相互監視をする状態になってもらわねば困る。

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