インドネシアの高速鉄道、予算を大幅にオーバー?

インドネシア

曰く付きのインドネシア高速鉄道の話だが、進展がないと思っていたら予算超過とかいう話が。

インドネシア高速鉄道で新たな問題、「予算を大幅にオーバー」=中国

2021-07-22 11:12

インドネシア初となる高速鉄道の建設計画は、工事の進捗状況が7割とも8割とも報じられているが、問題続きなのも事実であり、ここにきてまた新たな問題も出てきているようだ。中国メディアの騰訊はこのほど、中国が手掛けるインドネシアの高速鉄道計画は「さらにコストが膨らむ見通し」と伝えている。

「サーチナ」より

記事を読んでまず驚いたのは、工事の進捗率である。なんと、すでに7割、8割が進捗しているというのである。いやー、完成間近じゃないっすか!

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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本当に完成するの?

インドネシアと支那のだまし討ち

この話は思い出すだけでも腹が立つのだが、概略はこちらの記事で纏めている。

掻い摘まんで説明すると、以下の流れである。

  • 2008年 日本、インドネシアに対して新幹線の輸出を働きかける
  • 2009年 インドネシアでジャカルタ – スラバヤ間730kmを走る高速鉄道計画が持ち上がり、現地調査開始
  • 2014年1月 詳細な事業化調査の開始
  • 2014年10月20日 ジョコ・ウィドド氏、大統領に
  • 2015年1月 ジョコ政権、高速鉄道計画の中止表明
  • 2015年3月 支那、インドネシア高速鉄道計画の受注競争に参加を表明
  • 2015年3月22日~25日 ジョコ氏、訪日し安倍氏と会談
  • 2015年3月26日 ジョコ氏、支那訪問
  • 2015年4月 支那、インドネシア高速鉄道計画の入札を表明
  • 2015年8月 支那からの技術提案と共に金額の開示あり、ただしその内容は日本案のカーボンコピー劣化版だった
  • 2015年9月3日 インドネシア、高速鉄道計画の凍結を発表し、代わりに低速鉄道計画の提案
  • 2015年9月中旬 支那、インドネシアに対して、政府財政支出や債務保証を必要としない新提案
  • 2015年9月29日 インドネシア政府、支那案を採用することを発表

7年かけて現地調査した日本の見積もりを蹴って、「どこからか」の情報を得て日本より安値で出した支那の受注を許したのがインドネシアのジョコ・ウイドド政権である。

日本から出た見積もり資料を支那に横流ししたのはインドネシアしか考えられないので、実質的に支那がインドネシアと握ったと考えるのが妥当だろう。

だまし討ちのような状況である。

予算超過は14億ドル分?19億ドル分?

さて、支那が受注できた理由は2つ。

1つは、日本より工期を短く設定したことだ。

日本の提案した工期は試運転期間を含めて5年で、2018年着工で2023年に運行開始が可能。総事業費64兆ルピア(5346億円相当)で、うち75%を金利0.1%の円借款で賄うというものだった。

支那の見積もりでは工期3年で、2015年着工で2018年に運行開始できるとした。総事業費74兆ルピア(6182億円相当)で、金利2%だが費用負担は全額支那企業であるというものだった。

Japan's Rail Project Loss To China: Why It Matters For Abe's Economic Diplomacy And For China's
That China is willing to take the risk speaks volumes about how China views infrastructure aid in the Asian region. According to press reports China sweetened ...

工費は割高だが、全てを支那が負担するので、インドネシア側からの持ち出しは無しという、破格の条件だったのである。ただし、借金である事には変わりが無いので、何らかの形で返済が発生する契約となっていたわけだ。

さて、この様な条件をまさかインドネシアが飲んでしまうとは思えなかったのだが、恥知らずにもインドネシアはこれを飲んだ。工期が短かったことは先述した通りだが、インドネシア政府の持ち出し分がなかったというコスト的な面も指摘されている。

ところがフタをあげたら工期は遅れる、費用は膨らむと散々である。

記事の伝えている新たな問題というのは、コストの問題で、予算を大幅にオーバーしているという。その額は、14億ドル(約1530億円)から19億ドル(約2080億円)に上ると指摘した。このため、インドネシア政府は中国側と交渉し、借款の形で不足分を埋め合わせる必要があると伝えている。

予算がオーバーした理由について記事は、用地買収が難航したことや、初期の計画が楽観視しすぎていたことを挙げた。記事では指摘していないが、新型コロナウイルスの感染拡大も建設が遅れた要因となっており、特にインドネシアでは2021年6月ごろから感染者や死者数が急増しているため、この先も建設計画に狂いが出る可能性はありそうだ。

「サーチナ」より

14億ドル~19億ドル上がったからといって、支那が全部被ってくれれば問題ないのだが、残念な事にどうやら増加分はインドネシアが被らなければならない模様。

14億ドル増加って、当初の日本の見積もりだとインドネシア負担分は1336億円相当だったハズだから、それを超過してしまっては話にならない。

更に、納期も2018年完工どころか、2021年の半ばも過ぎた今でも完成度は7割~8割という事を考えると、未だこれからも費用が発生する可能性が高いだろう。

2022年開通も難しい?

さて、ではいつまでこの工事は時間を要するのか?という事が取り敢えずは問題となる。

インドネシア初「高速鉄道」中国主導で建設の背景

2021/06/01 21:00

インドネシアのジャカルタ・バンドン高速鉄道の建設が完成に近づきつつある。同鉄道は中国が初めて海外で建設を主導する高速鉄道だ。中国の国営通信社である新華社は5月18日、インドネシアのジョコ大統領が同日、ジャカルタ・バンドン高速鉄道の建設現場を視察し、「インドネシア側は2022年末の開通と運行開始を望んでいる」と発言したと報じた。

「東洋経済」より

インドネシア側は今年中に完成して、来年には運行が出来る様にしたいという事のようだが、この記事に紹介されている記事を見て「チョット無理なんでは」と。

これが工事の様子らしいんだけど……、これっていつの写真ですかね?

工事開始時点での計画費用は80兆ルピア(55億米ドル)と報じられていて、起工式は2016年1月21日であった。この時点では2018年末までに工事完了の予定だったが……。

前出の新華社の報道によると、現在、同鉄道の土木工事は全体の83%が完了したという。全線で13カ所あるトンネルのうち8カ所がすでに貫通し、主要区間の大部分の連続高架橋およびその支柱の施工は完了した。今年6月からはレールの敷設を開始し、年末にはすべての高架橋の建設を完了する予定だという。

「東洋経済」より

取り敢えず、今分かっている情報だと、工事進捗率は全体の83%で、レールの敷設は既に始まっていて、年末までには工事完了の予定っぽい。

工事が完了しても、そこから試運転に半年から1年の期間を要する。2022年度中の開通というと、なかなかのハードスケジュールになりそうだね。

6月1日のニュースで83%(土木工事)ということなんだけど、他にも参考になる記事があった。

ジャカルタ〜バンドン高速鉄道 大統領視察 進ちょく73%

2021/05/19

ジョコ・ウィドド(通称ジョコウィ)大統領は18日、西ジャワ州ブカシ市でインドネシア・中国高速鉄道(KCIC)が進めるジャカルタ~バンドン高速鉄道の建設現場を視察し、進ちょく率は73%に達したと発表した。大統領は2022年末の試運転実施を目指すとした。地元メディアが報じた。

「じゃかるた新聞」より

ここではインドネシア側の認識で進捗率が73%とある。両方が正しいとすると、20日あまりで10%進んだことになる。

なんだ、9月には完成するよね!

もともと、用地買収に非常にトラブルを抱えていたという事なので、それが無事に終わった以上は後は支那の実力だけなんだけど、様々なインドネシアの政治的な事情も影響はするだろう。記事には武漢ウイルスが問題だとしているけれど、それは支那が原因なんだよなー。

開通は2024年か

ちなみに、完成が5年遅れという予測も出ている。

更新記事・中国に吹かされ「後悔インドネシア」高速鉄道の完成は5年遅れで、2024年開通か!?

2021年07月22日 13時00分

2021年7月21日、中国の高速鉄道計画は、中国国内では比較的順調に伸びており評価も高まっているが、海外への高速鉄道輸出プロジェクトは、惨憺たる状況で胸を張って誇れるプロジェクトは皆無。

~~略~~

この悲しい状況になっているのは、高速鉄道計画(ジャカルタ―バンドン間・約140Km、当初計画2019年開業予定)だ。現在の進捗状況から早くても開通するのは2024年と見られている。再選を目指すジョコ大統領の実績として、選挙対策のPRにしようとの目論見は崩れ去った。

「niftyニュース」より

……この記事はダメだ。

意味が分からない。というか、新しい情報が殆ど無いことと、記事の導き出している情報の根拠が不明なのだ。

多分、完成予想2024年というのは、インドネシア政府のズルフィクリ局長の予想の事だろう。今分かった話では無い。

バンドン高速鉄道、さらに遅れて24年完工も

2018/02/14(水)

インドネシア政府は、中国が受注した首都ジャカルタと西ジャワ州バンドンを結ぶ高速鉄道事業の完工時期が、当初見込みからさらにずれ込む可能性を示唆した。一部閣僚は、2024年になるとの見方も示している。13日付ビスニス・インドネシア(電子版)が伝えた。

運輸省鉄道局のズルフィクリ局長は13日、全閣僚が出席した調整会議で、バンドン高速鉄道事業の完工が24年までずれ込む可能性があるとの見解で一致したと説明した。

「NNA ASIA」より

ニフティニュースの記事の一番下に「(2018年7月21日 13時30分配信記事を更新しました)」とあるので、このNNA ASIAの情報に基づいた内容なのだろうが、この時点の予測は殆ど意味が無いと思う。

進捗状況が83%が正しいなら、年内完成予想が出ておかしくない。この進捗率を疑う情報があるならばそれを提示すべきだよね。

というわけで、2024年開通説は現時点ではチョット採用できない。

予算オーバーは工期完了時期次第

というわけで、冒頭のニュースのコストの話に戻っていくのだが、2022年開通で2021年末に完工という条件で14億ドル~19億ドル増という事が予想されていると考えられる。

工事にかかる費用の大半は人件費であるので、特に工事の後半にかかってくる費用は殆どが人件費だと思われる。つまり、工期が延長すればするほど費用が膨らんでいくだろうという予想となる。

そもそも工事開始が2017年1月以降であるので、3年工期を最初に謳っていたことを考えると、2020年に完工くらいのスケジュールで進んでいたはずである。結果的には1年遅れたが、大きなトラブルが無ければ本年度末には完成するだろう。

それでも日本の提案した5年工期よりは早く終わるのだから、良かったのではないかな?

膨らんだコストは勉強代として諦めるしかなさそうである。ただ……、根本的な問題は高速鉄道ができた後の方がトラブルが多い様に思うのだ。

トラブルは完工後に

理由は簡単で、上の方で引用した記事でこんな下りがある。

全線で13カ所あるトンネルのうち8カ所がすでに貫通し、主要区間の大部分の連続高架橋およびその支柱の施工は完了した。

「東洋経済」より

全区間140kmのうち13箇所にトンネルがあると書かれている。

つまり、支那の高速鉄道とは違って、かなり起伏の激しい地理条件での高速鉄道建設をしていることを意味する。

これは、日本の見積もりがそうなっていたからという理由なのだろうけれど(支那は見積もりをするのに日本の調査データを丸パクリしていて、他のルートを検証していない)、しかし日本の見積もりは日本の新幹線を採用するのが前提で作られている。

支那の高速鉄道は日本の新幹線のコピー商品だとはいえ、起伏の激しい場所に線路を敷設するという経験がない。そうすると、車体の強度から何から支那とは全く違うのだ。トラブルの起きる素養は十分あると思う。

技術屋目線だとそういう事になるよね。そうなると、インドネシアがその辺りをキッチリと担保できているか?が問題になる。なるのだけれど、その辺りをキッチリと考えられているのかなとそんな勝手な心配をしてしまう。予算よりもそっちを心配した方が良いよ。

日本に頼るのは止めて欲しいけれどね。

コメント

  1. コレ既に日本に尻を拭かせる為に更なる路線延伸計画をぶち上げてソレに日本をかませる計画を勝手に発表していませんでしたかね?どうなったかは調べてませんが。
    まあインドネシアも海千山千の玄人なので詐欺師同士存分にやり合えばよろしいかと。
    後に続発するであろうトラブルを理由に代金の値切りや踏み倒し、支那は支那で未払い金を理由に敷設済みの設備の撤去などの何でも有のバトルロイヤルになる予感がします。

  2. 土木工事 は 8割くらい。と、いうのが微妙に気になるところ。レールや送電線系統なんかはまた別口…に、なるんでしょうかね?