盛り上がるESG投資と実態の無い炭素バブル

政策

このブログで取り扱うネタとしては異色だが、中身は寧ろいつものヤツである。

ESG投資、知っている人は約14% コロナ禍でサステナブルな意識は高まる

2021年06月23日 09時38分 公開

資産運用会社のフィデリティ投信(東京都港区)は、従来の財務情報だけでなく、環境、社会、ガバナンス要素も考慮した「ESG投資」に関する意識調査を実施した。その結果、コロナの影響で48%の人が「地球規模の問題についてより深く考えるようになった」と回答した。一方で、ESG投資について知っている人は全体の約14%と、一般的にはまだ浸透していないことが分かった。

「ITmediaビジネスONLINE」より

最近、欧米で流行っているのがESG投資というヤツで、多くの日本企業も取り組みを始めている。本日のネタはそんな話。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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実態は炭素バブル

中身はSDGsと大差無い

まずは、ESG投資とは何か?という話なのだが、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の頭文字をとった言葉で、要は環境に配慮した企業運営をしましょうというヤツだ。

ESG投資は、その指向のある企業を応援しようという緩い感じの理解で良いと思う。

世界で広がる“ESG投資”

2021年6月16日 15時57分

「環境・社会・企業統治」の頭文字を取った「ESG投資」。環境や社会的な課題への取り組みを重視して投資先を選ぶことで、いま注目が高まっています。

「NHKニュース:WEB特集」より

もうちょっと具体的に言うと、例えば二酸化炭素削減技術などに投資をするとか、水質改善技術などに投資するとか、そういう感じの話である。

ソフトバンクニュースに、それを纏めた表があるので参考になると思う。

環境(E)社会(S)ガバナンス(G)
・二酸化炭素(CO2)排出量の削減
・廃水による水質汚染の改善
・再生可能エネルギーの使用
・生物多様性の確保 など
・職場での人権対策
・ダイバーシティ
・ワーク・ライフ・バランスの確保
・労働災害対策
・児童労働問題の改善
・地域社会への貢献 など
・業績悪化に直結する不祥事(政治献金や賄賂を含む)の回避
・リスク管理のための情報開示や法令順守
・社外取締役の活用 など

SGDsは企業や政府などの団体から個人を含め対象とした努力目標なのだけれど、ESG投資は企業のスタンスを問う投資となる。

大雑把に言ってしまえば、将来的なリターンを増やすためにESGの観点を少しでも入れた投資は、すべてESG投資と定義されるため、範囲はかなり広い。

スコアがある

ただし、それだけだと名乗ったもの勝ちなので、ESGスコアなるものが定められており、コレが投資家の投資の基準になるという具合だ。

「ESGスコアが高ければ、投資の対象になりやすくなる」といえば、「何が起こるか」は想像がつくだろう。

ムーディーズESGソリューションズのV.Eが英国政府のグリーン・ファイナンスの枠組みと発行に対してセカンド・パーティー・オピニオンを提供

July 5, 2021 00:05 UTC

ロンドン & パリ–(BUSINESS WIRE)– (ビジネスワイヤ) — ムーディーズESGソリューションズは本日、V.Eが英国政府のグリーン・ファイナンスの枠組みと発行に対してセカンド・パーティー・オピニオン(SPO)を提供したと発表しました。

SPOでは、サステナビリティへの貢献度、当該枠組みの国際基準との一致度、発行体のサステナビリティに関する戦略的優先事項との整合性、発行体の環境・社会・ガバナンス(ESG)パフォーマンスという4つの主要な要素を評価します。

「時事通信」より

そう、格付け会社がしゃしゃり出てくるのである。

2012年から2018年までの地域別ESG投資割合の推移

そして、ESG投資をを行っているかどうかは、国家間でも比較される事になる。日本は投資割合が随分低いね。

世界の投資トレンド

ただ、今後もヨーロッパ中心にこの系統の投資が進むハズだ。そして、この分野への投資額は年々増えているという。

欧州によって作り出された投資トレンドなので、今後もその傾向は続いていくんじゃないのかなと、予想されている。ここ数年でほぼ倍増していることから考えても、投機対象分野を1つ作り上げたという意義は大きいのかも知れない。

傾向は傾向として理解しなければならないのだ。

ただし、こうした取り組みに対してお金を出しても何も解決しないことは、誰もが知るところである。

化石燃料を燃やすのを止めても、地球温暖化や大気中の二酸化炭素濃度に変化は無い。その事は皮肉にも武漢ウイルスの登場によって明らかになった。

しかし、投資としてはトレンドがあってそこに投資家が金を出せば成立するので問題はないのである。日本としてもそういうトレンドがある事を理解しておかなければ、外資の投資ロジックから取り残されることになるので、好むと好まざるとそうした活動を行っていくべきだろう。

炭素税の導入

欧州では国境炭素税を計画

さて、こうした話しとリンクして出てくるのが炭素税である。

[FT]EU、国境炭素税で年間約100億ユーロの税収見込む

2021年7月7日 15:58

欧州連合(EU)は、地球温暖化対策の一環として輸入品に課す炭素税により、年間100億ユーロ(約1兆3000億円)近くの収入を見込んでいる。この資金はEU復興基金の財源として発行した数千億ユーロ規模の共同債の返済に充てる方針だ。

「日本経済新聞」より

国境炭素税とは何ぞや、といえば、簡単に言うと形を変えた関税である。

日本としても取り残されまいと、環境省が導入を検討している。

“炭素税導入で経済成長とCO2削減両立可能” 研究機関が分析

2021年6月19日 10時15分

二酸化炭素の排出量に応じて課税する「炭素税」をめぐり、環境省が、導入した場合の経済への影響について研究機関に分析を委託したところ、税収を省エネ技術の普及に活用することなどによって、経済成長と温室効果ガスの排出削減を両立できるとする結果が示されていたことが分かりました。

2050年までの「脱炭素社会」の実現を目指す中、環境省は二酸化炭素の排出量に応じて企業や家庭にコストを負担してもらう「カーボンプライシング」について検討を進めています。

「NHKニュース」より

コレも結局、欧州の目論見に乗っかるという話で、炭素税などバカバカしくてやっていられるか!と、怒りを禁じ得ない。しかし、これも国際的なトレンドなのである。

スウェーデン・・・一般財源で法人税引き下げと一体的に導入 ノルウェー・・・一般財源で所得税減税に活用 デンマーク・・・一般財源で自主協定締結企業への補助金供与や社会保険雇用者負担軽減等と一体的に導入 スイス・・・3分の2程度を国民・企業へ再配分、残り3分の1程度を建築物改装基金へ充当 フランス・・・一般会計から競争力・雇用税額控除、交通インフラ資金調達庁の一部、およびエネルギー移行のため特別会計に充当 イギリス・・・一般税源 カナダ・ブリティッシュコロンビア州・・・税制中立税として法人税等の減税に充当

「東洋経済”日本に「炭素税」の導入が求められる合理的な理由”」より

既に導入している地域もあって、参考にすることはできる。

しかし、技術の衰退しつつある欧州が勝手な理屈で税金を作る事は構わないが、日本は好むと好まざると巻き込まれるわけで。

そうなってくると、日本もESG投資の方向に舵を切っていって、ESGスコアを獲得する必要がある!なんてアホらしい話になってくる。お飾りであってもESG投資の姿勢を見せる必要が出てくる。「意識高い系の株を買え」というのがESG投資の本音なのだから。

GPIFもこのトレンドに乗っかった

で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)もこのESG投資に積極的になっているというニュースがあって顎が外れそうになった。

GPIFが採用する4つのESG指数すべてに選定

2021年7月5日 15時00分

株式会社丸井グループ(本社:東京都中野区、代表取締役社長:青井 浩)は、このたび、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用する、日本株の3つのESG指数『FTSE Blossom Japan Index』『MSCI ジャパンESGセレクト・リーダーズ指数』『MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)』に5年連続で選定されました。

株式会社丸井グループ(本社:東京都中野区、代表取締役社長:青井 浩)は、このたび、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が採用する、日本株の3つのESG指数『FTSE Blossom Japan Index』『MSCI ジャパンESGセレクト・リーダーズ指数』『MSCI 日本株女性活躍指数(WIN)』に5年連続で選定されました。

「PRITEM」より

まあ、当面は大丈夫なんだろうけれど、冷静に行かないと酷いことになるぜ。

ESGにバブルの兆し、GPIFは収益性の分析を-平野・前経営委員長

2021年6月29日 11:00 JST

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)前経営委員長の平野英治氏はインタビューで、環境・社会・ガバナンス(ESG)投資はバブルの兆候が見られるとした上で、GPIFは投資対象としての収益性を分析する必要があるとの見解を示した。

「Bloomberg」より

GPIF自身は、いつも投資に失敗したときだけ騒がれるけど、結果から見ると儲けを出している。ただ、リスクのある商品を扱えばどうなるのかは分かるだろう。

そして、独立行政法人とはいっても、巨大な機関であるから影響力も大きい。このまま日本国内でESG投資の方向に舵を切ると、技術的進歩はかなり歪なものとなる。

結局のところ、物作りが未だに経済の中心である日本にとって、実態の無い投資傾向にオモチャにされることは、デメリットの方が大きいと思う。政策的に巧いこと「利用」できれば一番良いんだけどね。

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