台湾有事と抑止力

台湾

香港の状況が一段と悪化している。

そのことで台湾が焦ってはいるようだ。もちろん、日本にも関わり合いのある話だ。

台湾と香港 分断の危機

2021/6/23 07:00

20日正午ごろ。香港にある台湾の出先機関、台北経済文化弁事処の駐在職員の男女7人が現地スタッフに見送られ、香港国際空港から旅客機に乗り込み、台湾に戻る途に就いた。

「産経新聞」より

このニュースは、香港にある台湾の出先機関が閉鎖の危機にあるという話である。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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消滅する香港の自由

リンゴ日報の強制捜査、資産凍結

香港絡みのニュースで世間を賑わせているのはリンゴ日報のニュースだ。

リンゴ日報の強制捜査、メディア業界に危機感 香港の記者が証言

2021.06.23 Wed posted at 06:35 JST

ニューヨーク(CNN Business) 香港では先週、警官500人が地元紙「リンゴ日報」の編集室を強制捜査し、国家安全維持法(国安法)に基づき経営陣や編集幹部を逮捕した。これを受け、香港のメディア業界全体に危機感が広がった。

香港を拠点とする米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)のエレーヌ・ユー記者は20日、CNNのメディア担当チーフ、ブライアン・ステルターに番組内で「今回の件は業界を震撼(しんかん)させた」と指摘。「今や非常に慎重な扱いが求められるようになった問題について、メディアがどう報じることができるのか、重要な新しい問いを提起している」と語った。

「CNN」より

6月23日に強制捜査が入って、経営陣や編集部が逮捕されてしまった。逮捕容疑は国家安全維持法違反であるという。

パヨクの皆さんは、こちらは批判しないのに何故、日本の治安維持法は悪し様に攻撃刷るんだろうね。まあ、教科書にも「治安維持法は天下の悪法」みたいな書かれ方をしていたので無理も無いのだが。

さておき、リンゴ日報、経営陣や編集部が逮捕されただけには留まらなかった。

「リンゴ日報」発行停止か 25日に最終決定―香港

2021年06月21日23時27

中国共産党や政府に批判的な香港紙「リンゴ日報」は21日、同紙発行元の壱伝媒(ネクスト・デジタル)が25日に取締役会を開き、リンゴ日報の発行を停止させるかどうか最終決定すると報じた。複数の報道によると、当局による資産凍結で従業員給与の支払いに支障が生じ、事業停止に追い込まれる公算が大きい。

「時事通信」より

パヨクの皆さんは、梨郷日報の資産凍結に関して関心を持たないのだろうか?「言論封殺だ!」「表現の自由の侵害だ!」と、何故ならないのだろう?

不思議である。

さておき、これで事実上、リンゴ日報は消滅することになる。

香港紙の社説執筆者も逮捕 国安法違反容疑

2021年06月23日13時09分

複数の香港メディアは23日、中国共産党政権への批判的論調で知られる香港紙「リンゴ日報」の社説を執筆していた男性(55)が国家安全維持法(国安法)違反容疑で逮捕されたと報じた。

「時事通信」より

社説を書いただけで逮捕である。

一介の記者ですらこの扱いなのだから、新聞社の取り潰しくらいは屁でも無いのだろう。これが支那共産党のやり方でもある。

台湾に対する強行姿勢

台湾パージ

そして、台湾に対しても圧力をかけたのが、冒頭のニュースである。

台湾の対中政策を主管する大陸委員会所属の公務員でもある7人は、香港当局から台湾を中国の一部とみなす「一つの中国」原則を認める書類への署名を迫られ、拒否したため、査証(ビザ)の延長が認められなかったという。現在、香港の出先機関に残る台湾人職員は1人のみとなった。この職員も約1カ月後にビザの期限を迎えるため、弁事処は7月中にも業務を停止する可能性がある。

「産経新聞”台湾と香港 分断の危機”」より

狙いは台湾と香港が結びつくのを防ぐという目的があると指摘されているが、確かに支那に迫害される地域と国が結びつくのは容易に想像できる展開だ。

支那は一貫した台湾孤立作戦を展開しているので、寧ろこの評価は当たり前といえば当たり前だろう。

武力でも脅す

そして分かり易い対応がこちら。

台湾の防空圏に中国軍機 「過去最多」の28機

2021年6月16日

台湾の国防部(国防省)は15日、防空識別圏(ADIZ)に中国軍の航空機28機が飛来したと発表した。これまで報告された中で最多規模の侵入だとしている。

発表によると、台湾のADIZに入ったのは、J-16戦闘機が14機、J-11戦闘機が6機、核兵器を搭載可能なH-6爆撃機が4機。ほかに、対潜哨戒機、電子戦機、早期警戒機などが飛来したという。

「BBC」より

これに関してはちょっと笑い話がある。

中国機28機が台湾防空識別圏に進入 昨年9月以降“最多”で挑発本格化 台湾空軍の警告に、中国側「ここは公海だ」などと応答

2021.6.16

台湾国防部は15日、中国軍の戦闘機や爆撃機など計28機が防空識別圏(ADIZ)に進入したと発表した。同部が公表を始めた昨年9月以降、1日では最多で緊張が高まっている。主要7カ国(G7)首脳会議で、「台湾海峡の平和と安定」を明記した共同声明が採択されるなど、自由主義諸国が対中包囲網で結束するなか、中国共産党政権が挑発行為を本格化させたようだ。

~~略~~

台湾紙、自由時報(電子版)によると、台湾空軍が立ち去るよう警告すると、中国側は「ここは公海(上空)だ」などと応答したという。

「ZakZak」より

台湾のADIZに支那の戦闘機が進入してきたということは、支那側が「公海」であると応答することは矛盾してしまう。

ワンチャイナ・ポリシーを貫くのであれば、台湾の領土は支那の領土ということになるため、台湾のADIZは当然ながら支那が主張すべきADIZという事になるはずだ。ロジックが破綻している。

要は、彼らにとって理屈は何だって良いのである。

武力を持って脅し、台湾の空軍の力を削ぐのが支那の狙いなのである。

米駆逐艦が台湾海峡を通過

一方で、ここに横槍を入れているのがアメリカだ。

米駆逐艦が台湾海峡を通過

2021/6/23 09:56

米海軍第7艦隊(神奈川県横須賀市)は22日、同艦隊所属のミサイル駆逐艦「カーティス・ウィルバー」が台湾海峡を現地時間同日に通過したと発表した。台湾に対する軍事的圧力を強める中国に対抗する狙いがある。

第7艦隊は声明で、同艦の台湾海峡通過は「定例的なもので、国際法を順守して実施された」とした上で、「自由で開かれたインド太平洋地域の擁護に向けた米国の決意を示す行動だ」と指摘した。

「産経新聞」より

いわゆる「自由で開かれたインド太平洋戦略」というヤツなのだが、第7艦隊は日本を出発して行動しているので、共同作戦とまではいわなくとも、集団的自衛権の行使ということにはなる。

日本にとっても台湾海峡はチョークポイントである。ここが支那の手に堕ちて通れなくなると、日本のシーレーンが切れてしまう。

言ってみればこれ、ABCD包囲網の時と同じ事になってしまう。

「そんなハズは無い」と言う方もいるだろう。確かに直ちにそうなる確証はなくとも、株価には大きく影響する。それだけで日本企業を攻撃することになるのだから、お手軽に日本を締め上げることができる。

通商破壊は戦争でなくとも他国を攻撃することのできる極めて有効な手段なのである。逆に言えば、通商破壊まで手を出すと、即時戦争勃発ということにはなるんだけどね。

台湾の海軍と連携すべきか?

というわけで、日本としては台湾政府と連携していきたいところなのだが……、チョット困るのが台湾の海軍の扱いである。

余り意識していなかったのだが、台湾の軍隊は中華民国軍である。

台湾の軍隊だとされてはいるが、その前身は国民革命軍といって国民党政府の党軍隊であった。1947年に中華民国国軍に名称を変え、中華民国総統が統帥権を持っていると中華民国憲法に規定されている。

名前こそ「国軍」と改めたが、発足後の党軍のイメージを背負っている台湾の国民党の軍隊なのだ、未だに。蔡英文氏が率いる民進党が政権を握っている場合にこの中華民国軍をグリップできるのかというと、不安な部分がある。

実際にこんな話があった。

台湾 「国軍」を「国防軍」に 無意味な改称に嘆き=井上雄介

2019年3月25日

台湾の蔡英文政権が2020年に、軍隊の通称を「国軍」から「国防軍」に変える方針を示した。意味のない言葉いじりで、士気にも影響するとして軍関係者を嘆かせている。

国軍の通称は、国民党が1924年に創設し、北伐で割拠する軍閥を倒し、中国統一の原動力となった「国民革命軍」が起源。歴史ある名称だ。

「エコノミストOnline」より

なぜ、蔡英文氏がこんな事を言い出したのかといえば、やはり民進党が国軍を掌握する事が難しいという側面が見えるからだろう。これは中華民国国軍の旗にも現れている。

ご存じ台湾の国旗、青天白日満地紅旗である。また、国章は青天白日の紋章である。台湾の国民党結党の後、1924年に青天白日の紋章が考案されて、それ以降用いられている。

中華民国海軍はこの青天白日満地紅旗を海軍旗としていただいているし、中華民国陸軍も青天白日の紋章を中央に配置した旗をいただいている。旗頭は青天白日の紋章であり、それは即ち国民党なのだ。実際に、台湾は外省人と呼ばれる支那から来た人々を抱えていて、その方針も一枚岩ではない。

日本の自衛隊が台湾軍との連携ができれば良いが、中華民国国軍は多くの外省人が占める組織であり、退役軍人達の多くが大陸に渡ってしまうという事情があるため、果たして本当に連携できるのか不透明な部分が多い。

少なくともそういう要素が未だに残っている事は、台湾の真実なのだ。

また、今でこそ台湾はアメリカからF-16V戦闘機を購入出来る運びとなっているが、アメリカも随分長い間、台湾に対して最新の武器を供給するのを渋った時代があった。

日本の自衛隊としても台湾の中華民国軍を信用しきれない部分があるのは、ある意味正常なのである。

台湾有事発生は北京五輪前後?

ただし、台湾有事は確実に起きるだろうと予測されている。

理由は、習近平氏が「台湾併合」を口にしていることと、今の彼には実績がない。3期が終了する前に何らかの実績がなければ、自らの地位が危うくなる。支那皇帝の地位を盤石にするためにも、何らかの実績が必要で、建国以来の悲願である「台湾併合」は咽から手が出るほど欲しい。

中国が台湾に武力行使をしない3つの理由

5/21(金) 6:31配信

「台湾有事」が切迫しているというシナリオがまことしやかに論じられ、中には尖閣諸島(中国名:釣魚島)奪取と同時に展開するとの主張すら出ている。「台湾有事論」の大半は中国の台湾「侵攻」を前提に組み立てられているが、その主張が見落としているのは、中国の台湾政策の基本原則と論理だ。それを冷静に分析すれば、台湾有事は切迫していないことがわかる。中国がいま武力行使しない事情を検証する。

「yahooニュース」より

この記事では台湾有事の発生を否定している。

その根拠の一番大きなものは、「優先順位が高くない」というものだ。しかし、台湾有事の根拠が無いというのは嘘で、習近平氏本人が口にしているのだから正しく本人が政権トップに居る時代にどうしても実現したいと望んでいるだろうと僕は踏んでいる。

そして、彼が急いでいる理由を香港に見る事ができるのだ。香港はもはや消滅寸前で、早晩名前だけ残して支那に吸収されてしまうだろう。

常識的に考えれば、金の卵を産んでいた香港こそ支那にとって吸収してしまうことは「優先順位の高い案件」ではなかったハズなのだ。しかし、それを実行した。その理由は習近平氏自身の「民主化圧力への恐怖」であろう。

そんな訳で、日本はアメリカとタッグを組んででも、上手いこと台湾を切り取る必要があり、そのための覚悟を決めねばならない。台湾も一枚岩では無いので付け入る隙はあるのだが、その為には何が必要か?1つは軍隊を持ち、台湾に「いざとなったら動けますよ」と示すことだろう。幸いにも台湾は今のところ民主主義の国なのだから。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    思いもかけない武漢ウィルス拡大で(支那の策略?)蔡総統も速攻でピンチに立たされましたから、これは台湾の政治情勢が非常に危うい塀の上にある事を象徴しているとも思えますね。

    >名前こそ「国軍」と改めたが、発足後の党軍のイメージを背負っている台湾の国民党の軍隊なのだ、未だに。蔡英文氏が率いる民進党が政権を握っている場合にこの中華民国軍をグリップできるのかというと、不安な部分がある。

    この懸念のご指摘は僕も内心不安に感じていました。

    >ただし、台湾有事は確実に起きるだろうと予測されている。

    6年以内だの北京五輪後が危ないだの、アメリカ軍高官が相次いで議会証言で台湾危機を訴えただの、シュミレーションでアメリカが負けるだのetc...、色んな情報が飛び交っていますよね。
    QUADの進捗に加えてG7・日米首脳会談でも支那脅威を懸念した事、支那=習キンペーの暴発(台湾侵攻から始まる)への西側諸国が警戒感を共有した事で、今後はその抑止力を最高レベルに上げて戦争を回避できるかがポイントとなるでしょうか。

    そういえばアメリカ制服組トップの参謀議長が主流世論とは真逆のコメントをつい最近出してますね。
       ↓
    >「中国が台湾全体を掌握する軍事作戦を遂行するだけの本当の能力を持つまでには、まだ道のりは長い」と述べた。中国による台湾の武力統一が「近い将来、起きる可能性は低い…

    その意図をぜひとも知りたいところですが、裏に何かありそうな感じがしますね。(バイデン大統領の本音???)

    >1つは軍隊を持ち、台湾に「いざとなったら動けますよ」と示すことだろう。

    憲法9条の縛りと多数の媚中派が闊歩する状況で、それを克服し実行できる指導者が今こそ必要とされていると思います。

    • 民心は移ろいやすく、支持率も武漢ウイルス初期対応で称賛された際英文氏ですが、感染がひとたび広がってしまえばあっという間に支持率を失いました。
      支持率という面では菅義偉政権も似たようなものですね。これでワクチン外交と接種が浸透すれば一気に戻すでしょう。
      その辺りの政治的な人気の話はさほど大きな問題ではありませんが、やはり民進党が中華民国国軍をしっかり指揮できるのかは良く分かりません。
      これは虎ノ門ニュースで元海将の伊藤氏が言っていた話でもあり、肌感覚での体験談には説得力がありました。

      台湾有事がいつ起きるのか?に関しては、北京五輪までは平気だといわれていて、その後が不安だというのが大方の予想で、僕もそう思います。
      アメリカの「支那にその能力はない」という挑発にはちょっとびっくりしましたが、「今は大丈夫」だからどこまで行けるかと試している節はありますね。僕自身はご指摘の発言は揺さぶりではないかと疑っています。

      日本は戦える準備を備えるべきだと思います。
      今は有事に出られることは分かっていますが、平時やグレーゾーンに対処できる力が無い。その辺りを突かれるとかなり厳しいかもしれません。

  2. 見方は様々、それはその人の持つ情報と、その人の立ち位置と、その人の希望によりますから、ブレるのは当然として。
    マーフィ曰く「起きる可能性のあるものは、いずれ起きる」。
    北京冬季五輪後、という読みは同意出来ます。
    その可能性を少しでも緩和するための、東京五輪開催である、というのも(中華がことさらに吹け上がる、我々こそがコロナを封じ込めた最先鋒であると五輪で吹聴するのを防ぐ意味で)理解出来るところです。
    #この文脈での解説を、報道媒体で見た覚えはありませんが。

    東南海地震並みに「いつ来るかは分からないが、必ず来る」有事でありますから、備えと覚悟はしておくべきでしょう。

    国民党軍を民進党が制御できるか、という視点は、当方は欠けてました。
    軍が国家に属し、国民の為にあるのが現代国家の基本と信じ込んでいましたが、中華秩序の元では軍は為政者の下にあるのですよね。
    ちょっと、目が覚めた想いです。

    • 「有事に備えよ」はいま喫緊の課題でしょう。
      メディアの動きも気になりますが、最近はどうしても疑い深くなって自分が嫌になります。

      さておき、台湾との連携の不安定さは、合同で軍事演習をできていないというところにも起因します。
      アメリカは去年、その行動をはじめました。
      https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/11/40-32.php
      故に日本としても動くべきであると思います。合同軍事演習をやって手の内を知られるリスクはありますが、相手の手の内を知るよい機会でもあります。
      そのために何が必要なのかは、僕にはよくわからないのですが。