グローブマスターIIIが台湾に出勤

台湾

報道では伝えられていないが、このニュースはかなりスゴい話だ。

米上院議員が台湾訪問 米政府がワクチン75万回分提供表明

2021年6月6日 13時12分

新型コロナウイルスの感染が急拡大している台湾を、アメリカ議会上院の軍事委員会などに所属する議員3人が訪れ、アメリカ政府からワクチン75万回分が提供されると表明しました。

台湾を6日訪れたのはアメリカ議会上院の軍事委員会や外交委員会に所属する超党派の議員3人で、アメリカ軍の輸送機で台北の空港に降り立ちました。

「NHKニュース」より

台湾にアメリカの議員が上陸した点も大きいが、それ以上にこの背景に映っているモノの方が問題である。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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ワクチン外交とアメリカ

C-17「グローブマスターIII」

何が映っているか?

NNNの報道ではアメリカの上院議員が台湾の空港に到着したとして、輸送機の姿を映していた。これはアメリカ空軍が保有する大型輸送機C-17である。

台湾を6日訪れたのはアメリカ議会上院の軍事委員会や外交委員会に所属する超党派の議員3人で、アメリカ軍の輸送機で台北の空港に降り立ちました。

「NHKニュース”米上院議員が台湾訪問 米政府がワクチン75万回分提供表明”」より

NHKではこの様に伝えているが、重要な視点が欠けているように思われる。

日本からも台湾へ輸送されたワクチン

先日伝えた台湾へのAZワクチン輸送には、JAL809便が使われている。

天安門の方にその情報は書いたが、台湾にAZ製ワクチンを届ける流れになってから、即時ワクチンは届けられた。それも6月4日を選んで、である。

ワクチン搬送には民間の定期便が選ばれた。これは、AZ製ワクチンが搬送に課せられた条件が緩く、保管温度は2〜8℃である為に民間機でも容易に搬送ができるという事情もあるが、アメリカから日本に対してファイザー製のワクチンが輸送された際にも、民間機が使われている。

つまり、軍用機でワクチンを搬送する理由は輸送条件が特殊だからとか、そういう意味合いでは無いのである。

政治的な理由

ちなみにアメリカから輸送されたワクチンは、多分ファイザー製が含まれると思われる。

台湾、ファイザー製コロナワクチンも購入へ

2021/04/27(火

台湾衛生福利部(衛生省)中央流行疫情指揮中心は26日までに、米製薬大手ファイザーとドイツのバイオ企業ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチンを購入すると明らかにした。26日付蘋果日報などが伝えた。

「NNA」より

台湾、コロナワクチンの配分巡り交渉中 米が輸出方針

2021年5月18日10:28 午前

台湾の駐米代表にあたる蕭美琴氏(駐米台北経済文化代表処代表)は、バイデン米大統領が国外への供給を表明した新型コロナウイルスワクチンについて、配分を受けるために交渉していると明らかにした。

バイデン大統領は17日、米国で緊急使用を承認している新型コロナウイルスワクチン少なくとも2000万回分を6月末までに国外に供給すると発表。

米ファイザー・独ビオンテック、米モデルナ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)各社のワクチンが含まれる。米政府が既に輸出を計画していた英アストラゼネカ製ワクチン6000万回分に追加される。

~~略~~

人口2300万人の台湾がこれまで受け取ったワクチンは、アストラゼネカ製約30万回分のみで、在庫が底を突きつつある。

「ロイター」より

台湾が用意していたAZ製ワクチンは30万回分、日本からのAZ製ワクチンは124万回分、アメリカから75万回分ということで、数の上では当面の分を確保出来ることになる。

ただし、アメリカが出したワクチンが台湾で接種できるかどうか?という情報は得られていない。少なくとも、入手に動いていたことは事実なので、現時点で許可されていなくとも近日中に接種が可能になると予想されるが。

直ぐに使えるかどうか不明なワクチンの輸送よりも、どちらかというとアメリカ空軍輸送機が台北の空港に着陸したことの意味の方が大きい。間違い無く軍事作戦なのである。ちなみに今回はCOVAXの枠組みを使って輸送したことになっているが……、これも建前として使っただけだろうね。

そして、アメリカの上院議員がそこに搭乗していて、台湾で会見を行った。それこそがアメリカの狙いなのである。

愛される支那を目指す習近平

ちなみに、先日こんなニュースがあった。

「愛される中国」を目指す習近平の焦り──「中国が理解されていない」

2021年06月07日(月)14時55分

「愛される中国」を目指す方針を中国政府が打ち出したことは、習近平も歴代政権と同じ課題に行きあたったことを意味する。

「Newsweek」より

いや、なかなか笑わせてくれる。

支那のコレまでの外交姿勢を考えれば、何処に愛される要因があったのか不明だが、習近平氏はそこまで追い詰められているという事はあるだろう。

習近平氏にとってのアキレス腱となっているのは、冬季北京五輪の開催である。

米上院、対中競争力強化法案を可決 北京五輪の外交的ボイコット要求

2021/6/9 08:12

米上院は8日、経済分野における中国の覇権的な行動に対抗するため、米国の産業競争力の強化を目指す超党派の包括的対中法案を賛成68、反対32で可決した。法案は「米国イノベーション競争法」と名付けられ、先端技術の開発や研究に総額1900億ドル(約20兆8千億円)以上を投資するとしている。一方、法案には来年の北京冬季五輪で米国が外交使節団を派遣しない「外交的ボイコット」に踏み切るよう求める項目や、台湾に米政府関係者らを2年間派遣する計画なども盛り込まれた。

「産経新聞」より

東京オリンピックの開催の可否をメディアが騒いではいるが、あんなものは僕に言わせれば作られた騒ぎであって、五輪開催は決定的である。

「やるかやらないか」ではなく「どうやって安全に開催するか」をチャレンジしている最中なのだ。もちろん、非常事態が発生して中止される流れになっても不思議ではないが(非常事態宣言の事ではない)、基本的には開催の方向で動いている。

そして、東京オリンピックが無事に終われば、北京冬季五輪のボイコットの話は膨らんでいくだろう。習近平氏としては、それを何としても避けたいのである。何故なら、現状で習近平氏の「手柄」は著しく乏しい。

支那関連で、習近平氏の手柄に数えられるモノと言えば、最近では火星探査機を無事に火星に送り届けた事くらいだろうか?

習近平氏としては北京五輪は何としても開催したいのだ。その為には好感度アップが必要なのだ。

にもかかわらず、こんな法律を作るらしいけれども。

中国「反外国制裁法案」をスピード審議 近く可決か

6/9(水) 8:23

中国は外国が中国を制裁した場合に反撃する法案を異例のスピードで審議し、近く可決される可能性が高まっています。

中国外務省・趙立堅副報道局長:「中国政府は関係国の団体と個人に対して相応の反撃措置を取ると何度も発表している。やられたらやり返す」

「yahooニュース」より

なんというかチグハグな印象が否めない。

台湾を巡る駆け引き

何にせよ、アメリカは強いメッセージを出した。

「台湾防衛の為には軍用機を出す用意がある」と、その様に示したわけだ。更に日本より2日遅れではあるが、同じ様なタイミングでワクチンを台湾に送ったことにも大きな意味がある。

日米同盟という意味でも、そこに台湾を組み込む意味でも、今回のこれは非常に大きな意味がある。特に政治的な意味において、軍用輸送機で台湾に着陸した意味は大きい。

台湾軍兵士がフェイスブックで“極秘情報”をポロリ「米軍進駐で忙しく昼休みもない」常駐なら「一線越える」

May. 25, 2021, 10:30 AM

アメリカの陸軍顧問団が台湾軍を訓練指導するため、台湾軍の基地に「一時進駐」したことが明らかになった。

さらにその直後、「台湾有事」に備えて、台湾軍の6基地に米海兵隊の「常駐」を求める軍関係者の論考が、台湾国防部シンクタンクの論文集に掲載された。

海兵隊が実際に常駐すれば、(中国側の忍耐の限度を意味する)「レッドライン」を越えたとして、中国が強硬な対応に出るのは確実だ。

「Business Insteader」より

先日こんなニュースがあったが、これも「わざとニュースを流した」という風に理解すべきだろう。そして、この記事では「一線を越える」と書かれているが、支那は不満を言っただけで終わった。

今回の軍用機はどうなんだろうね?

そのうち、台湾に米軍基地が出来るのだろうと思う。アメリカは北京五輪を1つのタイムリミットだと考えている節があるので、ここ数年で大きく事態は動くだろうと思う。

追記

ああ、支那からの反応を見つけた。

中国、米議員の軍機での訪台「悪質な挑発」

2021年6月8日11:46 午後

中国国防省は8日、米国の上院議員3人が週末に米軍機で台湾を訪問したことについて「非常に悪質な政治的挑発だ」と批判し、無責任で危険であると主張した。

ダックワース議員とサリバン議員、クーンズ議員は6日、約3時間台北を訪問し、台湾の蔡英文総統と会談。新型コロナウイルスワクチン75万回分を提供すると発表した。

米国の高官は通常、民間機を使うことが多く、今回3人の議員が米軍輸送機C─17グローブマスターIIIで訪れたことは珍しい。

「ロイター」より

激しくお怒りらしいが、メッセージは正しく伝わって何よりである。

中国国防省は「米上院議員は米軍輸送機で台湾を訪れ、台湾問題を利用し『政治ショー』を繰り広げた上、一つの中国の原則に挑戦した。また、『台湾を利用し中国を支配する』目的を達成しようとした」と述べ、米議員の訪問と米軍機の使用を強く批判。

「ロイター”中国、米議員の軍機での訪台「悪質な挑発」”」より

ワン・チャイナ・ポリシーなる主張が存在する事そのものは認識しているアメリカだが、だからといってアメリカの主張を丸呑みするわけではありませんよ、というのがアメリカの立場である。

そもそも、台湾が支那の一部であれば、軍用機で乗り付ける行為に対して問答無用で迎撃するような対応をしなければならない。それは明確な領空侵犯となるのだから。

その時点で矛盾していることを、アメリカに突きつけられ、「無責任で危険」と騒いだだけで終わってしまった。支那も打つ手が無くて困っているのだろうね。

コメント

  1. ワンチャイナ。側からみれば、問答無用で撃墜する以外の選択肢は本来存在してはいけない類の案件ですものね、これ。撃てるものなら撃ってみろ。と、本当に実行しちゃうのは流石米軍といったところですか。

    • アメリカ外交の恐ろしさを感じます。
      バイデン氏が主導したワケでは無いのでしょうが……。

  2. 支那は下手打ちましたね。少なくともスクランブルをかけるべきであったと思う(支那の警告がハッタリではないと示すためには)まあ、撃墜なんかしては即時開戦になったとは思いますけど(上院議員が搭乗しているのでね)
    なんにしても米国に賭け金を釣り上げられてしまいましたね。

    • 今回の件、支那は軍事的な対応をすべきだったと思いますがスルーしました。
      それが、事前に察知できなかったからなのか、探知できなかったのか、あるいは別の理由かは知りませんが……、少なくとも軍用輸送機が飛来できる状況にあったことを意味しますから、何れにしてもアメリカの挑発はまんまと成功したと言えるでしょう。
      「掛け金を釣り上げられた」というのは、まさにそのとおりだと思いますよ。

  3. 木霊さん、おはようございます。

    おそらく輸送機で最強のC-17グローブマスターIIIが台湾の空港に着陸、しかもアメリカ超党派議員を載せての飛来ですから(機体にはしっかりU.S.Air.Forceと明記)、一国一制度を盾にする支那にとっては、普通なら領空&領土侵犯で撃墜すべき深刻な安保事案ですよね。

    しかし、普段は台湾領空を侵犯し好き勝手放題なのに、この件では今のところスクランブルした形跡もないのが、支那の現在の危うい立ち位置による揺らぎとも見れますね。(アメリカとの正面衝突は望まない)
    そして、アメリカは台湾へのワクチン外交を口実に支那がどう出るかを試しているのかもです。

    アメリカのバイデン政権がG7直前でのこういう過激な挑発行為をとった理由は、G7+EU加盟国の支那包囲網構築のお膳立て=日本への「覚悟を決めろ」という強力なメッセージ...、ちょっと考え過ぎかな?

    ただ、アメリカは民主・共和党及び上下院議会で支那を危ないと共有しているのでしょうが、息子のスキャンダルを含めてバイデン大統領の本気度を僕はまだ信じ切れていません。
    台湾もそうですが日本もアメリカに梯子を外される最悪のリスクを考えておかないと、有事になった時日本国民の命・財産&領土という国防意識を高めないといけないと思う。

    P.S.
    媚中派筆頭の二階の爺様がなんと「インド太平洋構想議連」の会長にとか。
    実に恐ろしい!! 自民党ホントに大丈夫か?

    • アメリカがG7の前に行った軍事的な作戦である、というのはほぼ間違いないと思いますよ。
      支那が軍事的対応をしてくるリスクも低かったでしょうからね。

      G7はかなり注目しているのですが、バイデン氏がボロを出さないかもちょっと心配ではあります。

      二階氏は……、あれは駄目でしょうなぁ。

  4. 今回のワクチン支援のように、最近の日米は台湾を中国とは別の政府として扱い出している雰囲気がありますけど、行き着く先は「中華民国の継承国」を中国から台湾に変更することなんでしょうかね?
    中国が国連常任理事国であることを含めて、中国の国際的な立場は中華民国を継承していることが根底にあるとすれば、ここを崩すことができれば相当なダメージになりそうですが………

    • ご指摘の様に、「台湾」を「国だ」と答弁しちゃいましたし、それなりの扱いをしだしているのが現状であります。
      あとは軍事的な裏打ちさえあれば、もう少し踏み込んだ外交政策が出来そうなんですけどね。