インドネシアの潜水艦の引き揚げ断念

インドネシア

記録のために記事にしておく。

潜水艦引き揚げを断念、53人死亡と判断 インドネシア

2021年6月3日 8時27分

インドネシアのバリ島沖で、53人が乗った海軍の潜水艦が沈没した事故で、国軍は2日、船体の引き揚げを断念したと発表した。潜水艦の沈没理由について公式の説明はなく、乗組員の遺体も収容されていない。

「朝日新聞」より

引き揚げ作業を行っていたけれど、断念したと。

船体の発見後は中国海軍と共同で引き揚げ作業が行われていた。船内からは写真やビデオなどが回収されたという。

「朝日新聞”潜水艦引き揚げを断念、53人死亡と判断 インドネシア”」より

引き揚げたものは幾つかあったようなのだけれど、「写真やビデオ」の回収ってどう言うことなんだろうね。

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引き揚げが出来なかった理由

引き揚げ作業は極めて難しい

既に分かっていたことではあるが、この海域での引き揚げ作業はかなり難しいといわれていた。

支那がココに手を挙げたことで、「大丈夫か?」と心配していたわけだが。

タダでさえ深海からの引き上げには困難性が付きまとうが、この海域では内部波と呼ばれる海流の難しい場所のようで。

ところがロンボク海峡は、内部波が生ずることで恐れられている海峡である。内部波というのは、水温や塩分濃度などの違いなどによって海中に存在している密度が違う水層の境で生ずる「海中における波」である。そのような内部波は潜水艦の潜航にとって極めて危険な存在となる。今回のインドネシア海軍潜水艦の沈没も、強い内部波によって潜水艦が海底に向かって引き込まれた可能性が極めて高いと推測されている。

潜水艦にとっては天敵ともいえる内部波が多発するロンボク海峡を安全かつ迅速に潜航するにはロンボク海峡海中の詳細な科学的調査が必要となる。しかしながら、インドネシアの領域のまっただ中に位置するロンボク海峡で海洋調査を実施することは、インドネシア政府の同意なくしては、中国に限らずいずれの国にとっても至難の業である。

「GLOBE+」より

ロンボク海峡の海底データはバッチリ盗られて、更に引き揚げ断念と。

支那は早々に手を引いたようだ

記事の記載ぶりから考えて、支那はあまり乗り気ではなかった模様。

インドネシア海軍の担当者は引き揚げ作業の中止について、「簡単な作業ではなく、リスクがとても高い」との声明を発表。中国海軍も作業から撤収する。インドネシア海軍の報道官は「中国との協力終了後、回収作業を継続する計画はない」と述べた。

「朝日新聞”潜水艦引き揚げを断念、53人死亡と判断 インドネシア”」より

支那海軍が出張ってきて、潜水艇をつかっていくつか回収したものもある様だが、さっさと撤退する背景にあるのは「必要なものは既に得られた」ということかもしれない。

リスクとリターンが釣り合わなくなったのか、或いはインドネシア海軍と支那海軍との間でトラブルに至ったか、信頼関係が築けなかったということか?

20回以上トライ

探してみたら、Newsweekが記事にしていて、もう少し詳しかった。

インドネシア海軍のユリウス・ウィジョジョノ報道官が地元メディアなどにあきらかにしたところによると、海底からの「ナンガラ402」の船体回収作業では、約20回深海への作業が実施され救命胴衣など複数の潜水艦の備品などを回収できたとしている。

しかし船体が発見された海底の地形が平坦ではなく急な斜面で、作業によりさらに分断された船体が深度1000メートル以上の深海へ落ちてしまう危険があったという。海底に横たわる潜水艦の船体内部には魚雷4発も残されているとみられ、魚雷の爆発、誘発への対処も求められる作業だったという。

「Newsweek”「押しかけ」中国海軍の長居は迷惑!? インドネシア、沈没潜水艦回収を断念”」

なるほど、状況はかなり厳しかったということなんだね。

海底にある魚雷が爆発してしまう理由はよく分からないけれども、あるいは衝撃を加えたら爆発する可能性を考慮する必要のある状態であったのかもしれない。

さらに今回の中国海軍の艦艇派遣には、中東から中国本土へのエネルギー輸送のタンカーや大型商船、そして軍艦や潜水艦が狭隘で水深が浅いマラッカ海峡を避けて通るバリ島東のロンボク海峡に近いこともあり、中国海軍による海中の情報収集への懸念もあった。

インドネシア政府や海軍当局はこうした懸念に公式には反応していないが、今回の「船体回収作業断念」の背景に「あまり長期間に周辺海域に中国海軍艦艇にうろうろしてもらいたくない」との思惑があった可能性も取りざたされている。

「Newsweek”「押しかけ」中国海軍の長居は迷惑!? インドネシア、沈没潜水艦回収を断念”」

それと、やっぱり支那に海底を詳細に調べられる懸念はインドネシアもあったのかもしれない。もうちょっと情報が出てこないと何とも言えないが、妥当な判断だったんじゃないのかな。

コメント

  1. なんでも軍事力ランキングではイスラエル・パキスタンと拮抗する15位前後を保持するインドネシアなんですが、冷戦期にはソ連製武器に頼ったり今も支那製やら何やらごった煮兵器だらけの様です。

    軍事力ランキングからして日本以上の島嶼国なのに海軍はフリゲート・コルベット合わせて30隻弱、潜水艦の運用は先日の悲劇のカクラ型2隻が始まって20年ちょっとで貧弱な感がありますね。
    最大は陸軍で予備兵含めると70万人以上、多数の島嶼に分散して配備するのに手一杯なのかな。(民族紛争もありますしね)

    >さらに今回の中国海軍の艦艇派遣には、中東から中国本土へのエネルギー輸送のタンカーや大型商船、そして軍艦や潜水艦が狭隘で水深が浅いマラッカ海峡を避けて通るバリ島東のロンボク海峡に近いこともあり、中国海軍による海中の情報収集への懸念もあった。
    >やっぱり支那に海底を詳細に調べられる懸念はインドネシアもあったのかもしれない。

    日本にとっては経済協力にしろ軍備許与にしろ油断大敵の国ですが、この件をみると元々警戒心が強く支那でさえ都合に合わせて付き合ってる...、そう考えれば相当したたかな国・民族なんでしょう。

    ASEAN(特に海洋国)をQUAD勢力に引き入れ、支那への牽制を強化するのが理想ですが、このやっかいそうなインドネシアには最初から期待しない方がいいかもです。

    • インドと言い、インドネシアと言い、いろいろな国の兵器をかき集めている感が凄いですよね。
      その割に海軍が脆弱というのが、支那に付け込まれるところなのですが。

      シーレーン防衛にはインドネシア抜きでは語れません。「期待しないほうが良い」と切って捨てる訳には行かない地ですし、そのことを十分に理解しているからこそなのでしょう。煮ても焼いても食えない民族であるという点は、韓国と似ている気もします。