支那人民解放軍が「アビガン」の使い方で特許を取得?!

支那

強かな支那の戦略とも言えるが、なかなか荒唐無稽な記事になっている。

中国人民解放軍がコロナ治療薬として期待される「アビガン」の特許を取得 巧妙な手口に日本の関係者は危機感

5/27(木) 6:00

抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」は新型コロナにも効果が認められるとして、中国の人民解放軍が「用途特許」を出願、同国の国家知識産権局(CNIPA)が特許を認めたことが5月27日、デイリー新潮の取材で分かった。

「yahooニュース」より

色々な前提を踏まえて読まないとよく分からない話だが、ちょっと不明な部分が多いので、直ちに問題だとも言えない話ではある。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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用途特許と国際出願

アビガンは武漢ウイルスの治療薬になるか?

日本国内では散々騒がれたが、今のところ治験が上手くいったという話ではない。

コロナ薬候補、アビガンの今 「承認めざす」発言1年

2021年5月6日 14時00分

新型コロナウイルス治療薬の候補として、注目を集めた抗インフルエンザ薬「アビガン」について、安倍晋三・前首相が「今月中の承認をめざしたい」と異例の発言をして1年が経つ。

「朝日新聞」より

早い段階で支那はアビガンの効能に目を付けていて、武漢ウイルス治療薬としてアビガンが使えるのでは無いか?という予測に基づいて実際に治療に使ってその効果を検証していたようだ。

日本も遅ればせながら、アビガンでの治療を試みている。

12月21日、厚労省専門部会での審議は荒れた。審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)側は新型コロナへの有効性について、「現時点で明確に判断することは困難」としながら、流行が広がる緊急的な状況に備えるため、「使用可能な状況にすることも検討は可能」などと説明した。

「朝日新聞”コロナ薬候補、アビガンの今 「承認めざす」発言1年”」より

しかし、思う様に患者数が集まらず、結果として現時点でデータとしてアビガンの有効性は認められないというのが日本国内の結論である。

政治の道具としての治療薬

ところが、アビガンだけでなくレムデシビルという薬についても、製造や流通において駆け引きが始まっている。

アビガン生産受託のシミックCEO「同盟で薬を安定供給」

2021年5月10日 2:00

新型コロナウイルスの世界的な流行はワクチンや医薬品を安定供給する重要性を多くの人に改めて認識させた。一方でインド政府が抗ウイルス薬「レムデシビル」を輸出規制するなど、国際分業の課題も見えてきた。日本はパンデミックに備えた仕組みをどのように構築すべきなのか。

「日本経済新聞」より

他にも様々な治療薬が出てきているが、治療薬として効果があるかどうかという点を見ると、アビガンもそうだが、その他数種類の薬の名前が出ているけど決め手に欠いている。決定的な薬は未だないのである。

われ先に有効な薬を押さえようと躍起になっている国が結構あって、「国際分業」などと言っているが簡単に言えば「人の命に関わることを政治利用したい」ということである。

下らないね。

用途特許とは

さて、アビガンの話に戻ろう。

アビガンという治療薬は、富士フイルムが開発して特許されたファビピラビル(アビガンは商品名)は、抗インフルエンザウイルス薬としての効果が認められていて、理屈としてはRNA鎖の伸長阻害をする効果があるためインフルエンザウイルスが増えることを防ぐ効果が得られる。

で、そうなるとRNAウイルス系の症状には一定の効果が予想されて、武漢ウイルスに対しても効果があるんじゃないの?という話になった。

で、「有効な発明だ」ということで、富士フイルムはファビピラビルに関する物質特許を取得し、日本国内での特許権は2024年まで有効である(延長手続き:67条2項による)。

支那国内における富士フイルムの物質特許は失効し、製造特許のみが存続している状態なんだそうで。

中国企業製造のファビピラビル、「COVID-19に有効」と中国科技部

2020.03.18

中国科技部(日本の文部科学省に相当)の生物中心は、2020年3月17日、中国北京で記者会見を開催。生物中心の張新民主任は「ファビピラビル(中国での一般名:法匹拉韋)の2本の臨床試験が完了し、良好な臨床効果を得た」と説明した上で、今後、中国内の医療機関に対して、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者の診療ガイドラインへの掲載を推奨していると明らかにした。

~~略~~

今回、2本の臨床試験にファビピラビルを提供したのは、中国の大手製薬企業である中国Zhejiang Hisun Pharmaceutical社(浙江海正薬業)である。同社は、2016年6月、富士フイルムと「アビガン」(ファビピラビル)の特許ライセンス契約を締結。契約に基づき、Zhejiang Hisun Pharmaceutical社は、中国において「アビガン」(ファビピラビル)の開発・製造・販売を行えるようになった。富士フイルムは、一時金やロイヤルティを受け取る契約だった。

 ただしその後、2019年に「アビガン」(ファビピラビル)の物質特許が失効し、前述した特許ライセンス契約も終了。現在、ファビピラビルの製造特許は存続しているものの、契約終了後、Zhejiang Hisun Pharmaceutical社は、富士フイルムの製造特許に触れない形でファビピラビルを開発・製造している。

「日経バイオテク」より

というわけで、支那は合法的に臨床試験を行い、その効果が認められたので「利用方法」に関する用途特許を取得したことのことのようだ。

ここで用途特許の説明をしておきたい。

用途特許

既知の化合物の新規用途に与えられる特許である.例えば,解熱鎮痛剤として知られていたアスピリンが心筋梗塞治療に有効であることを見出した場合に「アスピリンを含有する心筋梗塞治療剤」といった特許を取得することができる.物質特許と異なり権利範囲はその用途に限定される.

「実験医学online」より

とまあ、こんな感じの説明になるのだが、「アビガンを武漢ウイルス治療に使う」という狭い範囲での特許を取得した可能性が高い。

ここまでの内容は元記事のデイリー新潮でも説明していて、ほぼ齟齬はない。

問題はその先の話だ。

用途特許が取得されるとどうなるのか?

記事によれば、支那は日本でもこの特許を取得する可能性があると示唆している。

特許に詳しい関係者が「中国のCNIPAは3月29日付でアビガンに関する『用途特許』を認めました」と明かす。

「中国国内で特許が成立したことは、中国語の文書で公告されています。人民解放軍が特許を申請するというのは極めて異例で、非常に驚きました。いずれにしても、中国国内の話にとどまるとは思えません。人民解放軍は世界各国で特許の権利を行使できるよう動いているはずです」

「yahooニュース」より

コレ正しくその通りであり、実際に用途特許の取得に関しては日本でも許されているので、特許される可能性はある。

ただし、支那で特許が有効だからと言って日本国内で特許されるかというと別の話ではある。

そして、その取得の経緯が巧妙だったとして批判しているワケだが、ちょっと的ハズレだな。

新聞のデータベースで1月21日の記事を調べてみた。読売新聞は朝刊に「新型肺炎 感染拡大 中国政府チーム 『人から人へ』明言 武漢 死者3人に」の記事を掲載していた。 「特許の出願は、新型コロナウイルスが世界中に広がる前のことです。裏を返せば、中国が新型コロナのウイルスやデータを独占していた時期と言えます。実際、実験データは武漢のウイルス研究所から得られたもので、それを利用してアビガンの有効性を実証し、特許取得に結びつけたというわけです」(同)

「yahooニュース」より

間違ったことは言っていないのだが、卑劣かどうかはどうかなぁ。出願の時点が1月21日というのはなかなかスゴい情報だけれども。これは後述しよう。

ともかく、支那では新しく見つかった武漢ウイルスに有効そうな治療薬を片っ端から出願したのだろう。その中の1つにアビガン(ファビピラビル)があったと、それだけの事だ。

そして、その治療方法について独占するのにその特許が使われる……、可能性は全く無いとは言わないけれども、それを防ぐ方法もあるので心配する必要は無いのである。これも後述しよう。

PCT出願

ところで、デイリー新潮の記事のダメな所は、PTC出願の触れ方である。

特許の世界には、特許協力条約(PCT)に基づく国際出願という制度がある。

~~略~~

現在、PCT加盟国は150か国を超える。つまり、人民解放軍が統一願書を使ってアビガンの用途特許を申請したなら、150か国以上で国内申請と同様に扱われるわけだ。 「実際は国際出願を各指定国の国内に移行させるためには、各国が指定した言語に書類を翻訳し、各国が指定した官庁に提出する必要があります。とはいえ、PCT国際出願では国際予備審査を受けることが可能で、調査機関の“お墨付き”が得られると、特許の正当性は高まります」(同)

「yahooニュース」より

丁寧に特許の出願制度にまで触れ国際予備審査制度にまで触れたのであれば、その国際予備審査が如何なる手法で行われるのかを知るべきだった。

支那で出願された特許に基づいて国際予備審査が行われる場合、その審査をやるのは大抵支那国内でだ。日本の場合であれば日本の特許庁が行う。

で、ここで予備審査によって有効性の判断は行われるが、この判断は各国へ移行した時の判断材料としては使われるが、各国での判断が甘くなるワケでは無い。

で、人民解放軍が出願して特許を取ったら大変だーと、短絡しているのだが……、結論はちょっとオカシイ。この特許を使う為には、支那の政府と交渉する必要があるというのである。

だが、人民解放軍は支那共産党の兵力であって支那という国家に属する軍隊では無い。だから、実質的には国家と交渉する様に見えて、その実、構造としては支那共産党との交渉と言う事になるだろう。

もちろん、結論は似ていて「使いたければ支那の要求を飲め」という政治交渉をしてくる可能性はあるだろう。

とはいえ、人民解放軍が取得した特許が国際特許としても認められたとしたら、まさに“負け犬の遠吠え”でしかない。

「yahooニュース」より

……でだ、国際特許の話。

何でこんな風な話になってしまうのだろうか?僕の知らない特許法の世界線があるのだろうか?PCT出願は、あくまで出願の束であって特許が取得出来るかという話とはまた別なのだが。

Wikipediaの情報は参考程度にしかならないが「国際特許」のページを参照頂きたい。簡単に言えば、実際には存在しない仮想的な概念の事を指す。つまり、国際特許というものは存在しない

あくまで日本国内で特許されるか否かが問題なのである。

訴えられる可能性

デイリー新潮の記事はこう続ける。

「人民解放軍が国際出願を行っていたかどうかは、申請から18か月が経過すると明らかになります。アビガンの場合は7月末から8月にかけて詳細が分かるでしょう。中国側がタイミングを見計らい、人民解放軍から日本政府に『もし新型コロナの治療にアビガンを使った場合、特許を侵害する可能性があります』などという警告書が送付されたとしても不思議ではないのです」(同)

「yahooニュース」より

誰だよ、この(同)と欠かれた特許に詳しい関係者は。出てこい!

国際出願していたから何だって言うんだ。

更に厚生労働省も次のように回答した。

「中国の人民解放軍が特許を取得したという事実は把握しています。今後の動きについて注視していきます」

「yahooニュース」より

厚労省のお役人に聞くからこんな答えが返ってくるのだろうが、特許庁を所管する経済産業省に質問したら「バーカ」という答えが返ってくること請け合いである。

心配には及ばない

PCT出願されたことは特許されることとイコールでは無い

日本国内において、人民解放軍が特許を出願できるのか?といえば、法律的には出来るという事になると思う。

ただ、人民解放軍が日本に出願する為には日本の特許庁に出願手続きを行う必要がある。PTC出願はこの手続きを簡便にする為に行われる出願であるので、予備審査が行われたとしても権利付与は行われない。結局のところ、前述した通り特許をするかどうかの判断は日本の特許庁という事になる。

外国の場合も同様なのだが説明を省略しておく。

で、出願された場合にどうなるのか?というと、PCTでの予備審査の判断を参考にしながら審査が行われる事になる。アビガンに関してどのような使用方法が支那で特許されたかがハッキリしないが、単にアビガンを武漢ウイルスに使うよという事であれば、特許される確率は低い。

https://www.jpo.go.jp/resources/shingikai/sangyo-kouzou/shousai/tokkyo_shoi/document/seisakubukai-01-shiryou/tokkyo_6.pdf

これが日本の特許庁の見解だが、医療行為そのものは特許の対象とはなっていない。

また、上で紹介したように、RNAウイルス系に有効である事は知られた話なので、実証データが揃ったから特許しますという話にはならないのだ。よって、特許される可能性は低い。

だが、特許される可能性は皆無ではない。特殊な使用方法で効果が高められるよという話であれば、だが。

その場合は、2024年までであれば富士フイルムが物質特許を持っているので、人民解放軍はアビガンを使うに当たって富士フイルムの許諾を受ける必要がある。つまり、交渉の余地があることになる。

特許される可能性は極めて低い

さて、では人民解放軍が特許を取得したとして、どのようなことになるのだろうか?

出願中であるからといって、医薬の使用を止められるわけでは無い。PCT出願を行い、日本の特許庁に移行手続きを行って権利化を図るまでに数年の時間を要する。この時に使用の差し止めが可能か?というと、それは不可能である。そんな法律はないからね。

だから、日本に出願が移行されるまでは心配する必要が無い。

したがって、支那が特許を取得するしないに関わらず、アビガンが治療に有効であれば使えば良いのである。お伺いを立てる必要すら無い。

問題は、日本において支那人民解放軍が特許を取得してしまった場合だが、それ以前に行われた治療行為について「発明の実施にあたる」と訴える事は可能だろう。損害賠償請求は行う事ができるかも知れない。

それはその時考えるべき話で、支那はその行為をいちいち特定して訴訟を起こす必要がある。訴訟に至るにはかなり高いハードルがあるのだ。仮にそれをやってきたとしても、別に「対価」を支払えばそれで済む話だ。

ただ、前述した通り、医療行為について特許される可能性は極めて低い。投薬そのものが医療行為に含まれるのかという点に議論はあるだろうが、医師が医薬を指定して投与する行為は特許出縛る事はできないのだ。

裁定という制度

万が一特殊な事例で「特許されるべきだ」と判断された場合でも、裁定による救済措置がある。

過去に使われた事例は一例も無いが、公共の利益の為の通常実施権の設定の裁定(93条)というルールがあるので、日本政府がこの権利について通常実施権を設定する事も可能だ。そうなれば人民解放軍としてもそれを受け入れざるを得ない。何しろ、日本国内での治療行為を人民解放軍が行う事はできないのだから。

アビガンを使う事について支那に対価を払うことは業腹ではあるが、制度上は許容されているわけで、そこは仕方がないところだろう。ただ、使う事について支那にお伺いを立てる筋合いの話でもないし、そもそも日本国内で特許されてから心配すべき事案である。

それに、特許されたとしても、単純にウイルス症状の治療にアビガンを使うという話だけであれば、特許を無効にする無効審判が有効である可能性が高い。

つまり、厚生労働省としても「今後の動きを注視」としか言えないワケである。

万が一、アビガンの使用料を支払えという話を持ち出すのであれば、支那が武漢ウイルスをばらまいた事を立てに政治的に争っても良いしね。寧ろ損害賠償をしろと。

自白に他ならない

そして、2020年1月21日に出願したというところがスゴいと書いたのだが、この凄さは特許業務に携わった方に聞けば理解出来ると思う。

この出願をするにあたっては、少なくともその時点で治験データが存在しなければならずそれに基づいた説明が書面で為されている必要がある。いわゆる特許明細書の作成という業務である。

明細書作成に通常は数週間は必要とし、特に医薬関連の特許の場合には、物質の特定、その利用方法の手順などを説明する必要があるため、かなりその明細書作成に手間がかかる。

つまり、特許出願をすることを画策したのは少なくとも2019年の年末でなければオカシイ。支那の場合はスゴい勢いで明細書を作るので、数日で作った可能性を否定はしないが、治験データを揃える期間は数日で流石にマズイ。

したがって、アビガンが武漢ウイルスに有効である可能性を判断した段階で、治験データを集めて整理し、出願の準備を終える。そこまでの手順に何処まで時間をかけたのか?を考えると、12月末には武漢ウイルスがヒトヒト感染を起こし、それを治療するのにアビガンが有効であるという知見を得ていた可能性が極めて高いのである。

日本のケースを考えて見ると、2020年3月時点で既にアビガンの有効性について言及されていたが、未だに「十分な効果が認められない」などとやっている。半年や1年のデータの収集は「有効性判断に当然に必要」だと思われる。逆に言えば、そうで無ければ手抜きの出願(有効性は無い)と言える。

そんな訳で、それほど心配すべき話ではないのだ。

そして、人民解放軍が出願したというところもスゴいが、あの時期に出願できたというのもスゴいと言わざるを得ない。

1月に入った時点で人民解放軍の防疫部隊のトップが現地入りしたという情報があったので、可能か不可能かで言えば、可能であったとは言えるだろう。だが、特許出願をしたということは、既にその時点で世界的拡大を予見していたことになる。世界に武漢肺炎の存在を認める前に出願をするとは、そういう事なのだから。

そういう意味では興味深いニュースだと言える。

コメント

  1. いわゆる嫌がらせの類でしょうか?
    しかし中国は今回のコロナ禍の発祥地でありながら政治利用に貪欲ですねWHOを利用した情報ロンダリングに始まり(不完全な)ワクチンばら撒き外交に台湾のワクチン購入妨害に今度は他人のフンドシでの特許商法・・・北京冬季オリンピックではどんな荒業繰り出すのやら。

    • 嫌がらせの積もりだと思います。
      法律的には牽制可能ですから、やれることは何でもやるというスタイルなのでしょうね。
      ただ、それはそれとして人民解放軍が特許を取得しているというのが何ともスゴい話で。だって、どう考えても支那共産党からの指示というか、許可を得ての話でしょうから。
      最近の報道で研究所からの流出が濃厚になってきたというのをチョコチョコ見るので、対策の1つとして布石を打ったのでは?と、考えています。
      そして、そうであるならば、出願されたのはアビガンだけではないと思いますよ。数年後になればその辺りの事実も確認出来るでしょう。