韓国、ミサイル制限指針の撤廃?え、本当に?

大韓民国

ふむ、このニュースがどんな意味を持つのか?と考えていたのだが、どうにもちょっとおかしな話になってきたようだ。

韓国 ミサイル制限指針撤廃で米と合意 中国など反発の可能性も

2021年5月24日 22時55分

韓国大統領府は24日、アメリカとの首脳会談で韓国のミサイル開発を制限してきた指針の撤廃で合意したとして、成果をアピールしました。一方で、韓国がより射程の長いミサイルを開発できるようになることから、北朝鮮や中国などが反発する可能性も指摘されています。

「NHKニュース」より

このニュースが駆け巡ったのが5月24日である。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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韓国の勝利宣言

ミサイル制限指針

アメリカと韓国の間には、ミサイル制限指針というものを韓国が受け入れる代わりにアメリカから技術供与を染ますよ、という約束があった。「ミサイル技術移転に関する対米保障書簡」というようなのだが、調べられなかったので詳しい事は分からない。

ただ、以下のような変遷を辿っているようだ。

  • 1979年・・・弾道ミサイル射程180km・弾頭重量500kg
  • 2001年・・・弾道ミサイル射程300km・弾頭重量500kg
  • 2012年・・・弾道ミサイル射程800km・弾頭重量500kg/射程500km・弾道重量1000kg/射程300km・弾頭重量2000kg
  • 2017年・・・弾道ミサイル射程800km、弾頭重量無制限
  • 2020年・・・宇宙ロケット(固体燃料)の推力制限解除
  • 2021年・・・指針の撤廃、弾道ミサイル射程無制限

今回の米韓首脳会談で、韓国大統領の「勝利」を演出する為の制限解除であり、韓国メディアはこの一報を聞いて沸いたようだ。

「最大の成果」ミサイル主権の回復…IRBM独自開発・配置可能に=韓国

2021/05/24 08:09配信

大韓民国が42年ぶりに「ミサイル主権」を回復し、自主国防の基礎を築いた。

ムン・ジェイン大統領とバイデン米大統領が21日(現地時間)の米韓首脳会談で、両国間の「ミサイル指針」を終了することで合意した。これは弾頭の重量に関わらず、射程距離1000km以上の中距離弾道ミサイル(IRBM)の独自の開発・配置はもちろん、宇宙ロケット技術を自由に開発できるようになったという意味だ。米国も同盟国である韓国を通じて中国を間接的に牽制することができる効果があるという点で「ウィンウィン」である。

「Wowkorea」より

もちろん、ムン君もこの戦果に胸を張ったことだろう。

え?聞いてない

ところが、である。

ミサイル指針が終了?米国防省「知らない話」

記事入力2021.05.25 午前5:43 の最終修正2021.05.25 午前6:02

今回の韓米首脳会談で、韓国のミサイル開発のために、米国のガイドライン終了を合意したが、米国国防総省のスポークスマンはミサイル指針終了事実自体を分からないと言って気がかりなことをかもし出している。

「NAVER」より

どゆこと??

ジョンカービー国防部スポークスマンは24日(現地時間)米国防総省のブリーフィングで韓国の「ミサイル指針終了」についての質問が出ると「ミサイル指針終了が何を意味するのかよく分からない(I am not sure)」と答えた。

「NAVER”ミサイル指針が終了?米国防省「知らない話」”」より

アメリカの報道官がコレに関する説明を拒んだとみるべきなのか、「そんな話は存在しない」という意味なのか。ニュアンス的には説明を拒んだ印象である。

しかし、本来であればアメリカが支那に対する牽制の意味合いを込めて、「韓国からもミサイルが飛びますよ」というアナウンスに使いそうな話。それをわざわざはぐらかしたのは何を目的としているのだろうか。

撤廃でどうなるのか?

2017年の制限緩和で、800kmという制限になった。

では、800kmの意味とはなんだろうか?

それはこういうことで、つまり、韓国から発射したミサイルは北京や東京に届かないという意味である。「キ○ガイに刃物」という言葉があるが、韓国にミサイルを保有させるには制限を付けることが適当だという風にアメリカは判断していたわけだ。

韓国のロケット技術を考慮すると、直ぐにとんでもないミサイルが実現するとも思えないが、何れはそういった武器を手にする可能性はあるだろう。

共同声明には盛り込まれなかった

さて、もう一度、米韓首脳会談のことを思い返してみると、両国は共同声明を出すに至った。

米韓首脳 共同声明で中国名指しせず 刺激避けたい韓国に配慮か

2021年5月22日 17時34分

アメリカのバイデン大統領と韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領による首脳会談を受けた共同声明で両国は、南シナ海での航行の自由や人権の重要性に言及した一方で、中国を名指しせず、中国を刺激することを避けたい韓国への配慮から、言及を避けた可能性があります。

「NHKニュース」より

この共同声明についての全文はちょっと見当たらなかったのだが、少なくとも共同声明にはミサイル指針に関する話は盛り込まれてはいなかったはずだ。では、何処で出た話なのだろう?

米韓首脳、ミサイル指針撤廃で合意

2021年5月22日 19:00

米韓首脳は21日の会談で、米国が韓国のミサイルの射程を800キロメートルまでに制限する「米韓ミサイル指針」の撤廃で合意した。

~~略~~

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は首脳会談後の記者会見で「喜ばしい気持ちでミサイル指針終了の事実をお伝えする」と語った。ミサイル指針は1979年、米国が当時の朴正熙政権にミサイル技術を供与する代わり、射程や弾頭重量を制限した取り決めだ。

「日本経済新聞」より

ムン君の発言は、会談後の記者会見の場で飛び出したものである。この際は、米韓共同で記者会見が行われた様で、その場にバイデン氏はいたはずだ。

であれば、ムン君がおかしな発言をすればその点について訂正が入るハズなのだが、それが行われた形跡が無いのが解せない。

共同記者会見の場では投資に関しても話し合わせた

この記者会見の場では、韓国がアメリカに対して巨額の投資を行うという報告も為された。

 韓国の文在寅大統領も直接参加したほか、文勝煜(ムン・スンウク)産業通商資源部長官、米国のジーナ・レモンド商務長官のほか、韓国側から崔泰源SKグループ会長のほか、サムスン電子副会長、現代自動車社長、LGエネルギーソリューション社長、サムスンバイオロジクス社長、SKバイオサイエンス社長などが参加した。

 米国側からも、モレンコフ・クアルコムCEO(最高経営責任者)のほか、ノババクスやデュポンのCEOが参加した。

 この行事の目的は、韓国側が米国内での大規模な投資計画を発表することだった。

 サムスン電子、半導体生産増強 170億ドル

 LGエネルギーソリューションとSKイノベーション、合わせてEVバッテリー生産に140億ドル

 現代自動車、EVと充電インフラ生産に 74億ドル

 SKハイニックス、シリコンバレーの研究開発センター設立に10億ドル

 投資額は合わせて394億ドル、韓国ウォン換算で44兆ウォン(1円=11ウォン)に達する。

「JB Press」より

実のところ、真っ先に日米首脳会談が行われ、韓国はどうしても2番目になりたかったようで、4大財閥を引っ張り出してアメリカで投資を行うように指示をしたようだ。もちろん、4大財閥はそれと引き替えに韓国国内での優遇を受けるわけだが、もともとこの投資話は別のルートで行われていた。それを首脳会談のためにセットしたらしい。

ただ、この手の話はセレモニー的な意味合いも強いので、果たしてどこまでこの話が実現するものかもよく分からないのが実情である。とにかく、アメリカに巨額の投資をしますよと言う姿勢を示すことが大切だったのである。

ブラフの可能性

というわけで、ハッキリと判明したわけでは無いものの、今回の「ミサイル制限指針」という話は、アメリカ側は積極的に受け入れるつもりは無いが黙認したという可能性はありそうだ。

バイデン氏は、「何言っているんだコイツは」という目で記者会見の場に同席していた可能性があるが、しかし、「ミサイル制限指針」の存在は、アメリカとしても今となっては余り意味の無いものでもある。

アメリカの報道官が言葉を濁して「私は知らない」とシラを切った背景には、そんな事情もあるのでは無いだろうか。後で「そんな話あったっけ?」「直後に否定しているよね」という可能性も未だ残されていそうだ。

追記

コメントでホワイトハウスの発表には目を通した方が良かろうという指摘を頂いたので、重い腰を上げた。いやー、だって、ねぇ。英語は苦手なんだよ……。

とはいえGoogle先生が翻訳してくれるわけだから、しっかり読めば問題ない。

Remarks by President Biden and President Moon Jae-in of the Republic of Korea Before Bilateral Meeting | The White House
State Dining Room 3:55 P.M. EDT PRESIDENT BIDEN:  I am honored to have President Moon here at the White House today for the second foreign leader
Background Press Call by A Senior Administration Official on the Official Working Visit of the Republic of Korea | The White House
Via Teleconference(May 19, 2021) 4:32 P.M. EDT SENIOR ADMINISTRATION OFFICIAL:  Hi.  Good afternoon.  And thank you so much for

とりあえず、ホワイトハウスの「Speeches and Remarks」を読んでみたが、それっぽい事は書かれていない。

ちょっと興味深かったのは、別のページにあったサキ報道官のコメントである。

Q Thanks, Jen. The administration has said that it wants to work with Japan and South Korea to stand up to China’s aggression. But, as you know, South Korea and China, they’re heavily dependent on — South Korea and Japan economies are heavily dependent on China. And there’s also been some reports about the South Korean side being reluctant to add any language that might upset the Chinese in today’s joint statement.

So, how is the administration going to work with South Korea and Japan when it comes to standing up to Beijing when their economies are so closely tied to China?

MS. PSAKI: Well, first, let me say that it is — should send a clear message about the importance of these partnerships and alliances that the first two bilateral meetings the President had — has had, after today, are with Japan and South Korea.

And, obviously, there are a range of means we can (inaudible) coordinate and communicate with both of those countries, including through our trilateral discussions that we’ve already participated in, in a very high level from the federal government, with our National Security Advisor and our Secretary of State.

~~略~~

Q Just one more. There’s — as you know, there’s ongoing tension between South Korea and Japan. Will the President — will he urge President Moon Jae-in today to improve its relationship with Japan?

MS. PSAKI: Well, first, we continue to promote expanded trilateral U.S-South Korea-Japan cooperation. Again, you’ve seen that through the trilateral meetings that we’ve had at a very high level. We not only want to strengthen America’s relationship with our allies, but also between our allies. And nowhere is that more important than between South Korea and Japan.

「White Houseサイト」より

ここでは支那と韓国とが非常に密接な関わり合いがあるけれども、アメリカと韓国とは経済的な結びつきを強くすることで対抗すると。そして、日本と韓国との関係改善にも働きかけると言及している。

日本にとってはまったく余計なお世話である。が、アメリカは韓国から利益さえ引き出せれば良いと考えている節はあるね。

そして共同声明についてだが……。

U.S.-ROK Leaders’ Joint Statement

MAY 21, 2021 

Over seventy years ago, the alliance between the United States and the Republic of Korea was forged on the battlefield, as we stood shoulder-to-shoulder in war. Bonded in common sacrifice, our partnership has helped to keep the peace in the decades since, allowing both of our countries and our peoples to thrive. The linchpin for stability and prosperity, our alliance has continued to evolve as the world around us has changed. Now, as the regional security environment in the Indo-Pacific grows more complex, and existential issues, from the COVID-19 pandemic to the threat of climate change, reshape the globe, we recommit ourselves to an ironclad alliance.

「White Houseサイト」より

やっぱりミサイル制限指針については欠片も触れられていない。ムン君が話を切り出したけど、すげなく断られたというのが真相なのだろうね。

そして、アメリカ側の立場としては、ミサイル制限指針に触れるつもりは無いという意思表示なんだろう。

コメント

  1. 体よく米国からの今後の技術供与が無くなるだけの話なのでは。とも読める気もしますが、ちょっと気にはなるとこですね。

    • これについては続報待ちですね。
      ハッキリしてこれば韓国メディアが騒ぐでしょう。

  2. しかし2017年の制限緩和での800kmという制限を超えたミサイルを作るとして中国からそのミサイルはどこに向けてると問い詰められたらどうするのかな。
    日本とか本音を言うと今度は米国に「お前は何を言っているんだ」と怒られるから言えないし当然中国と言えるわけもなくオロオロするだけな気がする。

    • 一応、800km制限が撤廃されたことについて「諸外国からの干渉は受けない」という立場を示したという記事を何処かで読んだ気がします。
      その姿勢がいつまで貫けるかは興味深いですが。

  3. 米韓首脳会議の記者会見と共同声明は、ホワイトハウスのHPに全文が書かれたものがあります。

    参考までに。

    • やっぱりそれを読まないとダメですか、ソウデスカ(汗
      ご指摘感謝。
      ちょっと読んできます。

  4. 木霊さん、おはようございます。
    しばらくご無沙汰しておりました。

    このニュースで一番に気になったのは南朝鮮が仮想敵国としている日本、そして東京を射程内に捉えるミサイルを持つ可能性が現実となった事についてですね。
    表向きは米韓同盟で南朝鮮からも北京にミサイルを撃ち込めるぞ...、なんでしょうけど日本のリスク増は考えなかったのかなァ~。

    ただ、アメリカは東アジア同盟国・友好国に新しい高速中距離ミサイルの配備を計画しており、日本もその最優先候補なんで「敵地攻撃能力」が法制化されれば問題の半分は解決かなとも思います。(南朝鮮が1発でも撃ったら空軍基地・海軍基地・レーダーサイト、そしてミサイルを隠している場所へ報復できます)
    また、イージスシステム艦の配備が決まれば、万一南朝鮮が日本を狙って発射しても初動で迎撃可能だと考えます。

    アメリカは所詮その程度の技術しか持たない南朝鮮だからこそ、すでに形骸化したミサイル指針など問題外と考えたのかもですね。

    いずれにせよ、続報を待って判断するのが賢明でしょうね。

    • そうですね、お久しぶりデス。

      800km射程範囲という重しが外れて東京を射程範囲に収めるというところが、韓国的には心躍るのでは無いのかなと。
      いつでもミサイルを打ち込めるぞと。でも、軍事衛星持ってませんよーと。
      メクラで撃たれても厄介ですけどね。

  5. >バイデン氏は、「何言っているんだコイツは」という目で記者会見の場に同席していた可能性があるが、

    別記事のコメントではないですが、バイデン氏、耄碌して聞き逃したのでは?とか思ってしまいます。
    #それでも、裏方が聞き落としたら大変なので、即座に突っ込みが入ったはずですが。

    このあたりは、その時点で方針が決まっておらず(あるいはムンムンのアドリブ?)、後日正式に決定した対応が「何それ美味しいの?」だったのではないか、という邪推が一番腑に落ちております。

    あちらでは「射程制限無くなってチョッパリがビビってるニダ!」みたいな記事が出てきてるそうですが、んなもん、制限の有無に関係なく、隣はチャンスがあれば東京だろうが稼働中の原発だろうが容赦なく何かぶっ込んでくるだろうし、しかも、それをやったらその後何が起こるかってのが全く想像出来てないみたいですから。
    #仮にも友軍に対し、迎撃されない前提でぶっ放すとしたらそれは宣戦布告無しの奇襲しかあり得ず、百歩譲って攻撃が成功したとしても、本邦の反撃能力がそれで全く無になるわけもなく、ましてや国際的な評価がどうなるかってのは、想像出来ないんでしょうなぁ……

    • 耄碌していた可能性ですか。
      シェイシェイと言わなかっただけマシでしょうか。あ、韓国なら「パンにハム挟むニダ」ならぬ「カムサハムニダ」ですかね。

      真相はよく分かりませんが、迎撃の為に敵基地攻撃能力を確保すべきですね、日本も。

  6. 英語記事お疲れ様です
    翻訳に関しては、DeepL先生にお願いすると、かなり読みやすい日本語を吐き出してくれるので重宝してます。オススメです。
    デスクトップアプリ版もあるので使い勝手もいいですよ

    • DeepL先生ですか。
      実はショートカットに入っているのですが、Pro版を使っていないので長い文章を読むのにはちょっと(汗
      でも、確かにご指摘の通り翻訳精度は高いようです。少なくとも読みやすいのがありがたい。イイモノですな。