過剰生産対策で、欧米も動き出す

北米ニュース

このブログで取り上げた事があったかどうか。世界的に「過剰生産」というのが問題視されるようになっている。

鉄鋼・アルミ、関税拡大停止 過剰生産で対中戦略―米EU

2021年05月17日23時30分

米国と欧州連合(EU)は17日、トランプ前米政権が導入した鉄鋼とアルミニウムの輸入制限をめぐり、追加関税の拡大を停止する「休戦」で合意した。EUは6月に予定する対米報復関税の拡大を保留。両政府は貿易紛争の背景にある鉄鋼とアルミの過剰生産問題に関して対話を始める。対中国戦略をにらみ、同盟関係の修復を優先する。

「時事通信」より

これ、5月17日付けのニュースなのだが、コレだけ読んでも意味がよく分からないと思う。少なくとも僕は最初ピンと来なかったが、「ああ、そう言えば」と思いだしたことがあった。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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製造力が暴走した支那

白菜より安い鉄鋼

ちょっと前の記事だが、こんなニュースだ。

【図解・国際】中国粗鋼生産量の推移(2016年5月)

中国が鉄鋼の過剰生産を続けている。行き場をなくした中国の安価な鋼材が世界に出回り、日本をはじめ各国の鉄鋼メーカーからは悲鳴が上がる。中国の「垂れ流し」が止まる兆しはなく、国際的な紛争に発展しかねない状況だ。

◇白菜より安い 「今や鉄は白菜より安い」。中国の鉄鋼業界でよく耳にする言葉だ。鋼材価格はこの5年間で半値以下になり、鉄鋼メーカーが集まる河北省では「つくればつくるほど赤字が膨らむ」と嘆く関係者の声があちこちで聞こえる。

「時事通信」より

そんな馬鹿なと思う様な記事だが、数字が示されていたわけでは無い。ただ、グラフを見て分かるように支那が粗鉄の生産量を増やし、その生産量が2014年頃から頭打ちになっているのが分かる。

ただまあ、実際に計算してみると鉄鋼は材質にもよるのだけれど、例えばSS材と呼ばれる種類の1kgあたりのお値段は200円程度になる。

鉄スクラップの値段の場合は、1tで4万円程度とされているので、1kgあたり40円である。そうやって考えていくと、「白菜より安い」というのも大げさな価格設定では無いのだろう。多分、意味合い的には1kgで100円切ってくるような状況では無かったのだろうか。

リーマン・ショックを受けた景気対策が影響を下

世界経済に大きな影響を与えたリーマ・ンショックだが、支那も大きな影響を受けた。

そこで、支那は内需の拡大を画策したので。国内で形振り構わず建設事業を加速させた。その結果がコレだ。

え?素晴らしい建物だ?という話だが、写真に写っている全てのマンションがそれに該当するのだとか。見た目だけは立派だけれども、実際のところは、外側だけたてて終わりにしてしまった建物が多く残っているのだとか。

もはや中国名物、空虚な高層マンション「鬼城」

2016.8.10(水)

中国河南省の都市、洛陽を訪ねるチャンスがあった。洛陽は唐の時代に都になったこともあり、その名は「洛陽の紙価を高らしむ」などのことわざになって残っている。ただ、今は昔日の面影はなく、中国に数多くある地方都市の1つに過ぎない。

~~略~~

写真(2)は、もはや中国名物と言ってもよい「鬼城」(住む人のいないマンション街)。これは新市街を撮ったものだが、既にできあがったマンションに住む人はいない。最初に建ったマンションは、完成から3年が経過するがまだ誰も住んでいない。

「JB press」より

コレも古いニュース記事なのだけれど、支那で建設ラッシュによってマンションが出来上がり、利用されずにうち捨てられた様子が報じられていた。

一帯一路構想

コレがいつから始まった話なのか?というと、リーマン・ショックが2008年に引き金を引かれ(引き金を引いたのは韓国だという話もあるが)、世界金融危機機(2007年~2010年)が訪れた。

ここから最も早く回復したと言われているのが支那なのだが、2008年に北京五輪が行われており、建設ラッシュも一段落が付いた時期にコレがきたものだから、相当無理をして内需を拡大したと予想される。

ただ、都合の良い事にこの時期には「一帯一路構想」というものは出来上がっていた。2013年に習近平氏がカザフスタンの大学で行った演説に出てきたこの構想は、2014年にはAPECで提唱されてより本気度が高い事が示され、各国で様々な公共事業投資が活発化した。

支那国内で暴走する製造能力は、先ずは鉄道の敷設や高速道路の建設に振り向けられた。

中国高速鉄道営業距離、世界の66・3%を占める

発表時間 2018-02-16 17:44:43

2017年末時点で、中国の鉄道営業距離は12万7千キロに達しており、その内、高速鉄道は2万5千キロで、世界の66・3%を占め、名実共に「世界チャンピオン」となった。

中国鉄道総公司(中鉄総)の陸東福総経理によると、鄭州~徐州、上海~昆明、宝鶏~蘭州、石家荘~済南などの高速鉄道の開通により、中国高速鉄道網の「四縦四横」の枠組みがほぼ形成されたという。

「xinhuanet.com」より

中国の高速道路、総延長13万キロを突破

2016年12月28日

26日に開かれた全国交通運輸会議の情報によると、2016年は中国の交通インフラの弱い部分が補強された。高速道路の新規建設は6000キロ以上、総延長は13万キロを突破。二級以上の道路新設は1.5万キロ、農村道路の新設・改修は29万キロを上回った。

「japanese.china.org」より

が、それを賄って余りある粗鉄がどんどん作り出されるのである。外国に振り向けようという発想が出てきてもおかしくは無い。……いやおかしい。本来であれば、生産過剰であれば製造を止めれば良いのだ。ところが止めなかった。

だから、他で使おうという発想になって、それが一帯一路構想である。

それでも粗鉄は作られ続け

ちなみに、現在どうなっているかというと?

中国の粗鋼生産、初の10億トン突破 2020年は世界全体の57%占める

2021.4.14 05:34

当局によると中国の2020年の粗鋼生産量は前年比7%増の10億6500万トンと初めて10億トンの大台を突破し世界生産量の57%を占めた。国内鋼材生産量は同10%増の13億2500万トン。中国鉄鋼大手、河北鋼鉄集団の董事長で世界鉄鋼協会主席を務める于勇氏によると、中国は25年連続で鉄鋼生産量世界首位となった。

中国鉄鋼工業協会が試算した20年の国内粗鋼消費量は同9%増と過去最高で、業界重点統計会員企業の利益総額は同6.59%増の2074億元(約3兆4698億円)だった。

「SankeiBiz」より

アタマオカシイんじゃないかな。

延々と増産を続けて、今年に入って全世界の生産量の57%に至るって、ちょっとどうかと思う。

工業情報省の関連部門は、鉄鋼生産量縮小に関する法案制定を検討し、21年の全面的な減産を確実にする考えを示している。

「SankeiBiz”中国の粗鋼生産、初の10億トン突破 2020年は世界全体の57%占める”」より

で、ようやく減産しようかどうか検討していると。やっぱりオカシイ。

ちなみに、2016年には8億トン作っていたようだが(2021年には10億6500万トンに達している)、その頃の輸出量ですら日本の年間生産量を上回っていたと言うから、どれだけ量産しているのかという話である。

15年の中国粗鋼生産量は約8億トンと、10年前の2倍を超える。うち、輸出されたのは1億1240万トン(鋼材ベース)と、日本の年間生産量を上回る規模に相当。日本のメーカー関係者によると、多くの市場で中国製鉄鋼が安く売られ、日本製などに深刻な打撃を与えている。

「時事通信”【図解・国際】中国粗鋼生産量の推移(2016年5月)”」より

迷惑なことこの上ないが、コレだけ増産しているために、世界中に安価に輸出されているという結果に結びついていく。

トランプ政権は関税で対応

コレに業を煮やしていたのがトランプ氏で、関税をかけてアメリカに輸入される鉄鋼に関税をかけるという対応をしたワケだ。

なかなかスゴい事だとは思う。

トランプ前政権は2018年、安全保障上の脅威に対抗する米通商拡大法232条(国防条項)に基づき、EUや日本、中国など外国製の鉄鋼に25%、アルミに10%の関税を上乗せした。反発したEUは米国製の大型二輪車やウイスキーなどに報復関税を課し、今年6月1日から対象拡大や税率引き上げを計画していた。

「時事通信”鉄鋼・アルミ、関税拡大停止 過剰生産で対中戦略―米EU”」より

まあ、やり方が乱暴だったので反発は喰らったわけだが、国内の産業を守るという建前の場合には全世界の鉄鋼やアルミに対して関税をかけるわけだ。その下りに関してはブログに書いた気がする。

……ちょっと違う話だった(汗

まあ、ちょっと近いと言えば近いか。

ともかく、バイデン政権もこの方針を完全に覆したわけでは無さそうだが。

輸入関税は鉄鋼25%、アルミ10%-メキシコとカナダは除外、3月23日から課税-

2018年03月09日

トランプ大統領は3月8日、1962年通商拡大法232条(注、以下232条)に基づき、鉄鋼とアルミニウムの輸入に関税(従価税)を賦課する大統領布告に署名した。税率は、1日に行われた鉄鋼業界幹部との面談で大統領が公表したとおり、鉄鋼が25%、アルミニウムが10%に設定されている。課税は3月23日から実施される。

「JETRO」より

考えて見たらこの時期はトランプ氏も対支那政策を前面に打ち出してはいなかった気がする。この関税に関しても、単純にアメリカ国内産業の保護を目的としていた節があるのだけれど、最終的には支那が問題を起こしているというような理解になったのだろうね。

そういう意味では、同じ問題に対抗するのでもバイデン政権はEUとタッグを組んでやっていこうという姿勢になったようだ。

米国とEUは共同声明に、世界的な鉄鋼とアルミの過剰生産問題について「貿易を歪曲(わいきょく)する政策を志向する中国のような国の責任を追及する」と明記。「年末までに解決策を見いだす」と表明した。米EUは協議の間、「この問題をめぐり、貿易に悪影響を及ぼすような(政策)変更は避ける」とも述べ、関税拡大回避を示唆した。

「時事通信”鉄鋼・アルミ、関税拡大停止 過剰生産で対中戦略―米EU”」より

ただ、スピード感は無くて、「年末までに」って話になっているようだ。

スピード感を求めるのであれば、どうしても話し合いをしている場合では無く、独裁でトップダウンという形にならざるを得ないんだけど、流石にそれはという判断なのだろうね。

バイデン政権は貿易対応を緩和

アメリカにとって、対支那貿易関税を緩和する理由は余りないのだけれど、支那だけに制裁を行う事は難しい。また、迂回して入ってくることも関税で対応することの難しさがあるわけだ。

それともう1つ、気になっている部分がある。

EU鉄鋼・アルミ関税問題、解決に過剰生産への対応必須=米高官

2021年4月29日1:45

米通商代表部(USTR)のタイ代表は28日、米国の鉄鋼およびアルミニウムへの輸入関税とこれに対する欧州連合(EU)の報復関税を巡る問題の解決に努めているが、いかなる解決にも主に中国を中心とする世界的な鉄鋼・アルミの過剰生産能力の問題に対応する必要があると述べた。

~~略~~

対中貿易政策に関しては、中国からの約3700億ドル規模の輸入品に課されている通商法301条に基づく全ての関税や一部製品に認められている免除措置を含め全面的に見直していると言及。トランプ前大統領が締結した米中通商合意第1弾で中国側がコミットした米国産水産物などの輸入拡大や知的財産権および農業に関する規制の変更、金融セクターの開放などを順守させるよう働きかけると語った。

「ロイター」より

この記事にも言及があるが、実はバイデン政権、トランプ政権時にかけた関税について、全面的に見直す方向に動いているようなのだ。

トランプ政権が全正しかったとは言わないが、関税を緩めて支那を助ければ再び支那の経済は回復基調になり、アメリカ経済に追いすがるだろう。そうなった時にどんな事が起こるのかをアメリカ政府が理解していないとも思えない。

バイデン氏は、やっぱり親支那派なんだろうね。

コメント

  1. >バイデン氏は、やっぱり親支那派なんだろうね。

    そこの所が、どうもよく見えない気がします。
    バイデン本人の意思もよく見えないのですが、政権全体としての意思もブレてる気がします。

    #トランプ政権は、良くも悪くもわかりやすかった。

    親中の黒い巨星たるオバマの懐刀だったのですから、そのあたりは親中エリートだと当方も思っているのですが……
    親中に軸足を置きつつ、全方向バランス型を目指しているような気配で、そのうち、にっちもさっちも行かなくなりそうな気がします。

    #既に国境の壁も「やっぱ作りゅ!」とか言い出しましたし……

    • バイデン氏、操り人形状態みたいで、余り自分の意見を持っていない様に見受けられるんですよね。
      だから製作もあっちへフラフラこっちフラフラ。
      共和党に迎合する政策に関しては対支那で強く当たる傾向にあるんじゃないかと。
      国境の壁もご指摘の様に作り始めましたし、じゃああの選挙は一体何だったのかという話ですよ。