かなり衝撃のニュースだ。
サムスン、スマホに中国製有機ELパネルか
2021/03/23(火)
22日付電子新聞は、サムスン電子が今年下半期に発売予定の中低価格帯スマートフォン「ギャラクシーMシリーズ」の一部に、中国最大手のパネルメーカー、京東方科技集団(BOE)の折り曲げ可能な有機ELパネルを採用すると伝えた。
「NNA ASIA」より
ギャラクシーはポリシー的に使わないので、ギャラクシーMと言われてもそのグレードがさっぱり不明なのだが、どうやら中低価格帯のラインナップのようだ。
そこに支那製のOLEDを採用するんだそうな。
LEDパネルでもOLEDパネルでも
価格戦略か
冗談かと思ったが、どうやら本気らしい。
中国BOEが韓国SamsungにOLEDディスプレイパネル供給?価格競争激化か
2021年3月22日 21時00分
中国BOEが、韓国Samsungが今年下半期(7月〜12月)に発売を予定しているGalaxy Mシリーズ**向けに有機EL(OLED)ディスプレイパネルを供給する可能性が高い**と、韓国ET Newsが報じました。
~~略~~
BOEのフレキシブルOLEDディスプレイパネル生産能力と出荷数は既に、LG Displayを上回っているようです。
業界関係者によれば、SamsungがGalaxy MシリーズにBOEのフレキシブルOLEDディスプレイパネルを採用したのは、「衝撃的な卸価格をBOEが提示した」ことが理由のようです。
「iPhone mania」より
ディスプレイの生産設備には巨額の資金が必要となる。支那のBOE社が恐るべき資金を投入して工場を整備したという話もあった気がするが、BOE社といえば、松下幸之助の失敗で日本企業の中で支那進出第1号となった北京松下彩色顕象管有限公司がその前身となっている。
2002年には韓国のハイニックスの液晶ディスプレイ部門ハイディスを買収。
急速に成長しているBOEの液晶パネル事業の母胎は事実韓国だ。BOEは過去にテレビ用真空管とPC用一般モニターを生産する大きくない会社だった。しかし2002年にハイニックスのTFT液晶パネル子会社ハイディスを買収し跳躍に成功した。当時ハイニックスは半導体技術に近い液晶パネルを次世代事業として育てた。しかし過剰投資により年間2000億ウォン(約185億円)の金融費用に耐えられなくなり、通信や液晶パネルなど非主力事業をすべて売却した。
結果的にBOEはハイディスが保有するTFT液晶パネルの生産設備と4331件の技術をすべて確保し、法人は2006年に不渡り処理した。売却当時に技術流出の恐れがあるという指摘があったが、大量失職を懸念した韓国政府と債権団の金融安定論理で阻まれた。BOEはいまでは韓国企業の息の根を握る位置に成長した。
「中央日報」より
しかしまあ、この時もかなり酷い手を使ってBOE社はハイディスの技術を取得したらしく、えげつない話だな。残念ながら半導体製造の装置はほぼメイドインジャパンだ。
世界一に
そして、コア技術を獲得した上で、最新鋭の液晶パネル工場の稼働に漕ぎ着ける。
BOE、10・5世代液晶工場稼働、世界初
2017年12月21日 23:00
中国国有パネル最大手の京東方科技集団(BOE)は、安徽省合肥市でガラス基板の大きさから「10.5世代」と呼ばれる最新鋭の液晶パネル工場を稼働したと発表した。10.5世代の工場は韓国LGディスプレーなどが建設を進めているが稼働は世界初。高精細の「8K」映像に対応しており、新工場の稼働をテコに世界トップをめざす。
「日本経済新聞」より
中国BOE、液晶首位へ再編 韓国LGDを逆転へ
2020年11月24日 22:00
中国の液晶パネル2強が工場買収を競っている。政府の補助金政策の転換を受けて新規投資はやめ、再編を通じた規模拡大に移行した。韓国勢が有機ELなどにシフトすることもあって、中国製のシェアは近く7割まで高まる見通しで、寡占による「残存者利益」を得る段階に入りつつある。
「日本経済新聞」より
買収を繰り返して巨大な工場を作る手法で、どんどん成長していっているその手法は恐るべきものがある。金があるというのは実に強みになるね。ただ、その金の原資を何処から引っ張ってきているのかは非常に気になるが。
もちろん、有り余る資金でOLEDに手を出した。
BOEとCSOTの2社がフレキシブルOLEDの生産スタート
2018.08.19 ET News
中国のディスプレイの「ビッグ2」であるBOEとチャイナスター(CSOT)が、第6世代フレキシブル有機EL(OLED)の生産を加速している。すでに量産を開始したBOEは第二段階の操業を控えており、後発であったチャイナスターは試験稼動を開始した。中国の1、2位のディスプレイメーカーの進捗が、今後の市場に及ぼす影響に関心が集まっている。
「Bunsekik」より
BOEが2021年下半期に、マイクロOLEDパネルの供給開始か
2021年2月14日 10時00分
韓国メディアThe Elecが、中国BOEが2021年下半期(7月〜12月)に、マイクロ有機EL(OLED)パネルの供給を開始すると報じました。
「iPhone mania」より
次世代のディスプレイ技術はほぼ網羅する積もりなのだろうね。OLEDの生産も好調のようだ。
BOE、2024年までにフレシキブルOLEDパネル市場シェア40%獲得を目指す
2020年9月27日 13時21分
中国BOEが、2024年までにフレシキブル有機EL(OLED)ディスプレイパネル市場で、40%のマーケットシェアを獲得すべく投資を拡大しています。同社はiPhone13(仮称:2021年モデル)用OLEDパネルの専用生産ラインを整備しているという情報もあります。
「iPhone mania」より
IPhone13のパネルにも採用される噂が出ている。フレキシブルOLEDパネルのシェアはサムスンが72.6%でシェア1位をキープしているのだが、この牙城を突き崩す勢いでBOEがシェアを伸ばし、iPhone13への供給を獲得できれば、一気にシェアを増やせるという読みなのだろう。
ドライバーICの供給も
更に、深刻なのはここ。
Galaxy Mシリーズの一部に向けてBOEがOLEDディスプレイパネルを供給するのは確実のようで、それにとどまらず、ドライバーICやタッチICを供給する可能性もあるようです。
「iPhone mania”中国BOEが韓国SamsungにOLEDディスプレイパネル供給?価格競争激化か”」より
なかなか凄い話なのだが、単に部品供給するだけではなく制御するICチップも一緒に供給する可能性があるという。
完全にサムスンディスプレイの仕事を奪う話となる。
サムスンにしてみれば、廉価版スマホにもOLEDを搭載してコストパフォーマンスをアピールする目的だろうが、コストで競争したら支那に負けるのは確実である。
この話は単純にシェアをBOEに喰われるという話だけではなく、次の設備投資にも影響してくる深刻な話になりかねない。
シェアを喰われれば設備投資に影響が出るのは確実で、性能差を出せない事が更にサムスンディスプレイの生き残りに影響を及ぼすだろうと思われる。
サムスンの戦略としては、Galaxy Mをインドにも供給する関係で、大量に生産してコストを下げたいという目論見があるのだと思われる。コレでスマホのシェア拡大という事を目論んでいる可能性は高いのだが、それが成功するかどうか。
何しろ、主要技術はネットを通じて支那に筒抜けなのである。人材も随分引き抜かれているようだ。負けフラグが揃っている気がするな。
まあ、ディスプレイに関しては日本勢が完敗状況なので、日本から言われる筋合いはないと言うのかも知れないが、価格競争力に負けてシェアを奪われる未来が見えているだけに、何とも複雑な気持ちだな。サムスン帝国の綻びに見えて仕方が無いのだが。
追記
更に悪いニュースだ。関連ニュースとは言い難い内容だが、無関係とまでは言えない。
韓国LG電子のスマホ事業 売却難航で撤退の可能性も
2021.03.22 15:33
韓国のLG電子が今年1月にスマホを含むモバイル事業に関して縮小、売却、維持などあらゆる可能性を念頭に事業の運営方向を綿密に検討中と発表してから約2カ月になるものの具体策が提示されていないことから、売却が難しくなり、完全撤退する可能性があるとの見方が出ている。
「聯合ニュース」より
韓国第2位のスマホメーカーLG電子がスマホ事業の売却を計画し、その身売り先が見当たらないと言う悲報だ。

日本でもぱっとしないLG電子製スマホだが、世界的にも出荷台数が前年度比-25%と危機的な状況である。
数年前からLG電子はソニーなどと並んでスマホの販売不振に悩むようになった。性能ではサムスンに敵わないし、新機軸の商品を開発する技術力もない。Sonyはまだカメラという強みがあるので、趣味の範囲でスマホ事業を残す余地があるようだが、技術力の微妙なLG電子は苦境に立たされているというわけだ。
ファーウェイがスマホ業界で淘汰されつつある中で、生き残れなかったLG電子。スマホ事業の売却の目処すら立たないというのは、なかなか苦しいところだな。捨て値でサムスンに引き取って貰うという選択肢はアリかもしれないが。
コメント
半導体産業の衰退に不動産の高騰と、
まるで昔の日本を見ているようですが、
その後予想される不況の嵐に耐えられるのでしょうか?
日本の半導体産業の没落は、後から話だけ知って本当に哀しくなりました。
何が悪かったのか?という感じでしたが、何もかもがダメだったのでしょう。先見の明がなかったというべきか。
韓国の場合はどうなってしまうんでしょうかね?