本日は少々忙しいので、単稿にて。
中国漁船220隻集結、フィリピン国防相「挑発的」…民兵も乗船か
2021/03/22 10:14
フィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相は21日、パラワン島沖の南シナ海上に中国漁船約220隻が集結していることについて、「挑発的」だと非難した上で「すぐに侵入をやめ、船を戻すべきだ」と中国側に求める声明を発表した。
「讀賣新聞」より
フィリピンも支那相手に苦労するね。
日本でもこうした事態を迎えたことがあったが、海上保安庁も水産庁も防衛省すら対応出来なかった。そう、平成26年(2014年)9月15日~11月26日に起きた小笠原諸島沖に支那漁船団が集結した事件である。
フィリピンの侵略を試みる支那
赤珊瑚は売れる?
先ずは、外務省のサイトを引用しておこう。
この時に問題になったことは、日本の防衛意識の低さである。
国内において、この時に動きがあったのはこちら。
(2)違法操業等に対する罰則の強化
我が国水域における中国サンゴ船の密漁に対する抑止効果を最大限に高めるため,外国漁船の違法操業に対する罰金の上限を大幅に引き上げる法律が11月19日に成立。
改正内容
・ 領海内操業及び排他的経済水域での無許可操業等に対する罰金:3000万円(現行:領海内操業400万円,排他的経済水域内での無許可操業等1000万円) ・ 立入検査の忌避に対する罰金:300万円(現行:30万円)
併せて,担保金についても大幅に引き上げることとしている。
改正内容
・ 無許可操業及び禁止海域内操業:3000万円 ・ 立入検査忌避:300万円 ・ 違法採捕されたサンゴに対する加算金:600万円/kg
「外務省サイト」より
なんと、拿捕した場合の罰則強化と、立ち入り検査を拒否した場合の罰則を強化したことだ。驚くことに、日本国内で違法操業しても僅かな金を支払うだけで無罪放免であったのである。
更に、外交ルートを通じて支那共産党に「遺憾の意」と「再発防止の申し入れ」をしたというのである。
この時には、日本国内のメディアもかなり騒いだのだが、内容が酷かった。「赤珊瑚は支那内で高額で売れる!だから仕方が無い」「密漁だ」という論調だったのである。密漁では無く略奪行為だよね。
しかし、これが侵略行為の延長線上にあった話であった事は疑い様がない。珊瑚をとる程度のことで、200隻もの巨大船団を組織したりはしない。
フィリピンでも同じ事が
冒頭のニュースはこの時の話と割と似ている。
フィリピン、中国に南シナ海の漁船約220隻の撤退要求
2021年3月22日10:26 午前
フィリピン政府は21日、同国が領有権を主張する南シナ海の海域にあるサンゴ礁周辺に中国漁船約220隻が集結しているのが見つかった問題で、中国に対し、直ちに撤退させるよう求めた。
当局によると、フィリピンの沿岸警備隊は今月7日、中国の海上民兵を乗せたとみられる漁船約220隻がウィットサン礁(フィリピン名フリアンフェリペ礁)に停泊しているのを確認。
~~略~~
タスクフォースによると、ウィットサン礁はフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある。
「ロイター」より
違うところは、「海上民兵が乗船している」という報道がある点くらいだろうか。
小笠原諸島沖の時でも、その身分は明かされなかったが動員をかけられた海上民兵が乗船していたことは間違いがないだろうが、報道ではあくまで「漁船」扱いだった。
2019年にも、現場海域に近いフィリピンが実効支配する島の周辺に、中国船舶数百隻が集結した。
「讀賣新聞”中国漁船220隻集結、フィリピン国防相「挑発的」…民兵も乗船か”」より
フィリピンでは似たような事が2019年にも起きていたと言うが、何をやっているのか?と言えば、領有権主張では無いかとされている。
ただ、個人的には人工島の建設を計画しているのでは?と、勝手に想像している。
人工島は戦略拠点に
かつて、支那が南シナ海の複数の珊瑚礁の埋め立てを始めた時に、「あんなところを基地化するのは無理だ」と考えていた時代があった。
だが、それは立派に完成している。
オーストラリア、中国の南シナ海領有権主張に「法的根拠ない」 正式に表明
2020年7月26日
オーストラリアは23日、中国が南シナ海における領有権や海洋権益を主張していることについて、「法的根拠がない」として中国の主張を正式に退けた。中国との緊張が高まる中、アメリカと今まで以上に足並みをそろえるかたちとなった。
「BBC」より
空母を作るより維持コストが高いかどうかは分からないが、この周辺が支那の領海になるとすれば、それ以上にメリットがある。

ここまで立派な滑走路が作られているのだから、これを「軍事拠点じゃない」というのは無理がある。
戦闘機も配備
ちなみに、衛星写真ではこれらの人工島に戦闘機が配備されている様子も捉えられている。
中国戦闘機、南シナ海ウッディー島に配備 衛星画像で判明
2019.06.21 Fri posted at 10:56 JST
香港(CNN) 複数の国が領有権を争う南シナ海ウッディー島に、中国が少なくとも4機のJ10戦闘機を配備したことが、CNNの入手した衛星画像で明らかになった。ウッディー島への戦闘機配備が確認されたのは2017年以来。
衛星画像は19日に撮影されたもので、情報企業イメージサット・インターナショナルがCNNに提供した。同社によると、南シナ海にある中国の実効支配下の島でJ10が確認されたのは初めてだという。
「CNN」より
使える戦闘機なのかは不明だが、J-10が配備されているという風に伝えられている。

こんな風になってしまったら、もはや手を出しようも無い。
実際に冒頭のニュースに関連した報道では、こんな下りがある。
この海域はフィリピンの排他的経済水域で、沿岸警備隊が撮影した現場の写真には、クレーンのようなものを搭載した大型の漁船がいかりを下ろした状態で、列をなすように停泊する様子が確認できます。
フィリピン政府は声明の中で、「中国漁船は晴天にもかかわらず、漁業活動は行っておらず、夜間は白色灯をずっと点灯させていた」として、事実上の示威行為だという見方を示すとともに、中国軍の関与が疑われる集団「海上民兵」が関わっているとみて警戒を強めています。
「NHKニュース」より
クレーンのようなモノを搭載した大型の漁船とあるが、本当に漁船だったかどうかは怪しい。埋め立てが始まるか、そのための調査をしていた可能性は十分にあるのだ。
共同開発提案も
フィリピン大統領のドゥテルテ氏は、支那に擦り寄った政策を展開していた。
中国が南シナ海開発で提案、仲裁裁判断無視が条件=フィリピン大統領
2019年9月11日4:49 午後
フィリピンのドゥテルテ大統領は、中国の習近平国家主席との最近の会談で、南シナ海での中国の主張を退けた仲裁裁判所の判断をフィリピン側が無視することを条件に、同海でのガス共同開発の権益の過半数をフィリピンに譲渡するとの提案を受けたことを明らかにした。
「ロイター」より
だが、支那としてはフィリピンの妥協など必要ではなく、領海、領土そのものが欲しいのである。
フィリピンは支那から発電施設を購入して、電力供給網も支那の出資によって作られていることもあって、島国であるフィリピンですら、電力インフラを握られて非常に宜しく無い状況になっている。
アメリカやオーストラリアと連携し、インドを仲間に加えて日本は支那に対抗しようとしているが、この動きに期待をしているのは、フィリピンを始めとしたアジアの小国なのだ。日本も小国ではあるが、強い影響力を未だに保持している。そんな国に期待するのは無理からぬ話。
そうした面を含めて、日本はしっかりと覚悟を決めるべきだろう。
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