混迷のミャンマー、軍事政権が暴走気味で言論統制も

ミャンマー

軍事政権発足時には、それ程懸念をしてはいなかったのだけれど、最近のニュースを見ると結構やばい事になっているのではないか?という気がしてしまう。

ミャンマー、民間紙が全て休刊 ネットも遮断で情報入手困難に

2021年3月18日3:17 午後

国軍のクーデターで混乱が続くミャンマーでは、インターネットへの接続が一段と制限され、民間紙の発行も17日までに全て止まった。市民らが情報を得る手段はますます少なくなっている。

当局は抗議デモ参加者が情報をやり取りするために使っていたインターネットへの接続を制限し、18日までには公共の場でのWiFi接続がほぼ全て遮断された。ネットにまったく接続できない地域もある。

「ロイター」より

ミャンマーでそれなりに尊敬されていたと聞いている軍部だが、政権を奪取してしまった後に、民心を得るのに苦戦している様子が伺える。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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ミャンマーで行われるメディアへの弾圧

ミャンマーでのクーデター

先ずは、少し話を整理しておこう。

ミャンマーで今年の2月1日に発生した軍事クーデータだが、もともとは「不正選挙を正す」という大義名分があると主張されていた。

必ずしも前政権を牛耳っていたアウンサンスーチー氏の方針が良かったとは思わなかったのだけれど、こんなニュースを見ると、ちょっとヤバい面もあったのでは?と疑ってしまう。

ともあれ、クーデターが行われた後にポロポロと報じられる報道を見ると、総じて現政権を批判するものである。それはそれで偏りを感じていた。

例えばこんなニュース。

中国外相がミャンマー訪問、関係強化を議論 ワクチン供与も約束

2021年1月12日11:39 午前

中国の王毅外相はミャンマーを訪問し、同国の当局者らと協力関係の強化について議論したほか、新型コロナウイルスワクチンの供与を約束した。ミャンマーの国営テレビが11日伝えた。

王外相は、ミャンマーのウィン・ミン大統領、アウン・サン・スー・チー国家顧問と会談。12日には首都ネピドーで、ミン・アウン・フライン国軍司令官と会談する予定。

「ロイター」より

クーデター前のニュースで、こんなのを見ると、アウンサンスーチー氏もヤバいのでは?とは感じる。しかし一方で、今回の軍事クーデターの立役者であるミンアウンフライン氏も支那外相の王氏との会談を行っていることが伺え、この頃に既にクーデターの下準備があったのではないか?共勘ぐってしまう。

メディアへの牽制

ところで、冒頭のニュースに繋がる話で、こんなニュースがあった。

ミャンマー裁判所、AP通信など記者6人の拘留延長

2021年3月12日8:12 午後

ミャンマーの裁判所は12日、国軍に対する抗議デモを取材中に逮捕されたAP通信の記者1人を含む6人のジャーナリストの拘留の延長を決めた。

この日、2月27日に逮捕されたジャーナリスト6人が拘置所からオンライン形式で審理に出席した。6人は逮捕されて以来、家族や弁護士との面会が許されていないという。

「ロイター」より

ジャーナリストが拘束されて、勾留の延長が認められたケースである。このニュースの時点で少なくとも35人のジャーナリストが逮捕されていたとのこと。

その前にはこんなニュースが。

ミャンマー軍事政権の発砲で多数の死者、官房長官「強く非難」

2021年3月4日5:29 午後

加藤勝信官房長官は4日午後の会見で、ミャンマーの軍事政権によるデモ隊への発砲で多数の死者が出ていることに対し、日本政府として強く非難するとの見解を示した。その上で米国などと協調し、民主的な政治体制の回復を図っていくとした。

加藤官房長官は、国連のブルゲナー事務総長特使(ミャンマー担当)が3日に38人が殺害されていると述べていると指摘。「民間人への暴力の継続に対し、強く非難する。決して許されない」と述べた。

「ロイター」より

こうしたニュースを手繰っていくと、ミャンマーでは軍事政権が強硬政策で国内を纏めようとして暴力や発砲に頼る事態が散見され、これが報道されるのが都合が悪いということで、都合の悪い記事を書くジャーナリスト、都合の悪いことを取材するジャーナリストを逮捕、勾留していったのではないだろうか?

冒頭のニュースを聞くと、どうしてもそんな懸念が拭えない。

デモが活発化するミャンマー

民主化を求めるデモ

ミャンマーでは、一部の地域で戒厳令を出している模様。

ミャンマー デモに不参加でも発砲の標的か 住民の不安高まる

2021年3月18日 22時02分

ミャンマーでは、軍が一部の地域に戒厳令を出し、抗議活動を行う市民を弾圧していて、現地の人権団体は「デモに参加していない人まで軍側の発砲の標的になっている」と非難しました。最大都市ヤンゴンを中心に携帯電話でのインターネットの接続も遮断され、住民の間で不安が一段と高まっています。

「NHKニュース」より

ミャンマー国民の心配を助長しているのは、戒厳令など強硬な手段を用いて反対勢力を潰そうとする様子が目で見て分かることだろう。

ニュースを拾っていると、必ずしも反体制側の勢力もまともな手段で対抗しているとは思えないので、どちらに理があるのかは解らないのだが、体制側から民心が離れていっていることは見てとれる気がする。

現地の人権団体は18日、声明を発表し、クーデター以降、軍側の発砲などで死亡した人は217人に上るという情報があるとしたうえで、17日に北西部ザガインで射殺された市民3人はデモに参加すらしていなかったとしています。

そのうえで「軍側の弾圧の手法はエスカレートしていて、デモに参加していない人まで発砲の標的になっている」と軍を非難しました。

「NHKニュース”ミャンマー デモに不参加でも発砲の標的か 住民の不安高まる”」より

一方で、現在ミャンマーのトップに君臨するミンアウンフライン氏の対外的な手法の拙さも目立つ。これ、トップに君臨する器ではないのだろうね。

コチラの記事ではミャンマーのSNS停止の話に触れられている。

SNS停止 ミャンマーで何が? |サクサク経済Q&A| NHK NEWS WEB
ミャンマーで、クーデターを起こした軍に対する市民の抗議活動が続く中、軍はSNSの停止など通信への締めつけを強めています。

こんな事をやったら今の世の中では逆効果だと思うのだが、そういう観点はミンアウンフライン氏にはないのだろう。

ミャンマーで抗議活動を続ける男性が「スマホさえあれば、活動を続けていくことができる」と話していたのが印象的でした。

香港やタイでも政府当局への抗議デモにSNSが活用され、大勢の参加者が機動的に活動するために欠かせない手段となっています。 こうした国ではSNSはコミュニケーションや広告の手段という役割だけでなく、民主主義をめぐる戦いに必要なツールとなっています。 それだけに、軍と市民のせめぎ合いは今後も激しくなりそうです。

「NHKニュース」より

記事の中でこんな記載があるが、SNSにある民主主義というのはかなり歪んだモノであるという印象が強い。直接あったこともない活動家達が響き合って過激な行動に出る、そんな状況になると、歯止めがきかなくなってしまうように思うのだ。

必ずしも民主主義は正義ではない。

とはいえ、ミャンマーの軍事政権がまともな統治をしているのか?というと、かなりヤバい感じがする。その理念が正しいかは分からないが、対外政策で失敗した印象が強い。

キリンが足抜け?

こんなニュースがあった。

キリン、ミャンマー合弁事業の提携を解消へ クーデター「遺憾」

2021年2月5日11:03 午前

キリンホールディングスは5日、ミャンマーで発生した軍事クーデターを「大変遺憾」とした上で、国軍と取引関係のあるMEHPとの合弁事業の提携を解消せざるを得ず、対応を早急に開始すると発表した。

キリンは今回の事態が「自社のビジネス規範や人権方針に根底から反するもの」だとコメントした。

キリンは2015年にミャンマーへの投資を決定。投資先であるビールメーカー「ミャンマー・ブルワリー」や「マンダレー・ブルワリー」は、福利厚生基金の運用会社として国軍と取引関係のあるMEHPとの合弁事業となっている。

「ロイター」より

キリンホールディングスは記事にあるように「ミャンマー・ブルワリー」や「マンダレー・ブルワリー」をグループに迎えるという決定をw2015年に行っている。

ミャンマー・ブルワリー(MBL)は、ミャンマーで8割以上のシェアを持つ企業であるようだ。

価値創造報告 CASE4 ECO-FACTORY ミャンマー・ブルワリーの高効率生産設備建設 | KIRIN CSV REPORT 2018 | キリンホールディングス
キリンホールディングスのIR情報。KIRIN REPORT 2018をご覧いただけます。価値創造報告 CASE4 ECO-FACTORY ミャンマー・ブルワリーの高効率生産設備建設についてご紹介します。

ところが、MBLには国軍が一枚噛んでいて、運営にも口出ししてくる存在らしい。こうした事情から、キリンは、このまま合弁事業を続ける事は、国際社会に対してミャンマーの現状を容認しているという風にアナウンスしているようにとられかねない。

この様に、ミャンマーに対して投資している日本企業は少なくないのだが、それは日本とミャンマーの関係の深さを物語っており、2015年に何があったかというと、民主化である。

支那と日本は支援合戦をやっていたこともあって、キリンもそんな中、ミャンマーの企業との合弁会社を作ったのだが……。

支那企業を守る為に治安部隊が出動

こうした流れと逆行しているのかは微妙な感じだが、こんなニュースが。

ミャンマーで39人死亡、中国系工場放火受け治安部隊が発砲

2021年3月15日7:44 午前

ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会(AAPP)によると、国軍のクーデターに対する抗議デモが続く同国で14日、最大都市ヤンゴンの郊外にある中国資本の工場が放火されたことを受け、治安部隊がデモ隊に発砲、少なくとも22人が死亡した。

その他の地域でもデモ隊の16人が犠牲になったほか、警官1人が死亡し、2月1日のクーデター以降最悪の事態となった。

「ロイター」より

支那資本の工場が「放火された」というところがとても気になるのだけれど、抗議デモが何故そこを狙い、どうして治安部隊が出動してデモ隊に発砲して死者まで出しちゃったのか。

中国大使館は、ヤンゴンのラインタヤ郡区にある衣料品工場が何者かによって放火され、多くの従業員が負傷したとし、ミャンマーに対し、中国の資産や市民を保護するよう求めた。

中国はミャンマー国軍を支援しているとみられている。

「ロイター”ミャンマーで39人死亡、中国系工場放火受け治安部隊が発砲”」より

ロイターでは、国軍との結びつきが強い支那の工場だから、という分析をしているのだが、デモ隊の反感を買うようなことをしたのだろうか?

ちょっと脱線するが、この記事でもう1つ気になったのはこの部分。

英国のチャッグ駐ミャンマー大使も「この暴力を直ちに終わらせ、ミャンマーの人々によって民主的に選ばれた政権に軍が権力を返還するよう求める」とした。

「ロイター”ミャンマーで39人死亡、中国系工場放火受け治安部隊が発砲”」より

民主的に選ばれた政権が正しいようなバイアスをかけてきているんだよねぇ。

さておき、この事件を受けて支那はこんな圧力をかけてきた。

中国、ミャンマーに中国人の安全対策強化を要求

2021年3月17日6:10 午後

中国外務省報道官は17日の定例会見で、ミャンマー在住の中国人や中国企業に対する安全対策を強化するようミャンマーに求めた。

「より具体的で、より精力的な」対策が必要としている。

「ロイター」より

こういった支那の圧力を受けて、軍事政権側が対応しなければならない構造になっているところに、ミャンマーの不幸があるような気がしてならない。

個人的には軍事政権そのものを否定する積もりは無いのだが、ミャンマーの現トップのミンアウンフライン氏ではミャンマーは纏まらないかもしれない。更にクーデターが発生する等という事も、或いはあるのかも知れない。

追記

ふむ、国連大使ね。

ミャンマー軍への制裁強化 国際社会に呼びかけ “国連大使”

2021年3月22日 5時42分 

ミャンマーで、軍がデモ隊への弾圧を強めるなか、軍が解任を伝えた後も職にとどまっている国連大使がNHKの取材に応じ、制裁の強化や、軍が統治する現体制を承認しないよう国際社会によびかけました。

軍への抗議デモが続くミャンマーでは、軍が市民への弾圧を強めていて、21日も、中部の都市モンユワなどでデモ隊と衝突し、地元のメディアは、合わせて2人が死亡したと伝えています。

また、現地の人権団体は声明を出し、クーデター以降、治安部隊による発砲などで死亡した人は247人に上ったと明らかにしました。

こうした中、国連総会の会合で軍を非難したとして解任が伝えられ、その後、反逆罪で訴追されて逮捕状が出されている、ミャンマーのチョー・モー・トゥン国連大使がNHKのインタビューに応じました。

「NHKニュース」より

国連大使という存在が、胡散臭く感じられるようになってきてしまった昨今、このミャンマーの国連大使の発言に果たして理があるかは解らない。

国連と支那との結びつきがかなり強くなっていることを考えると不自然な構図にも見えるのだが、どう判断したモノか。

ミャンマー、デモでまた死者 豪国籍2人拘束される

2021年3月22日 6:20

国軍によるクーデターへの抗議デモが続くミャンマーで21日、デモに参加した男性1人が治安部隊により射殺された。一方、豪政府はオーストラリア国籍を持つ2人が同国最大都市ヤンゴンを離れようとした際に拘束され、2人に支援を行っていることを認めた。

「AFP」より

どうにも、主導者となっているミンアウンフライン氏は、外国を敵視することで国内のとりまとめを図ろうとして失敗した印象なのだが、さて、どのような構図なのやら。

ミャンマー国軍戒厳令の地区が食料難 物流滞り、工場も操業停止

2021/3/21 15:56(最終更新 3/21 15:56)

ミャンマー国軍が戒厳令を出した最大都市ヤンゴンのラインタヤ地区で、物流が滞り、食料の入手が難しくなっている。品薄のため価格が高騰。中国資本の工場放火もあり、大量の兵士が配置され、地方に逃れる人が相次ぐ。国軍を非難しない中国への反感は市民の間で強く、日本を含む外資系の工場は自衛策として自国の国旗を掲げる。

「毎日新聞」より

こんな記事もあるので、ミャンマー国内では支那が嫌われているのでは?という印象も受けるね。

ミャンマー国軍+支那 VS ミャンマー国民+民主化層、とまあ、そんな感じの構図なら分かり易いんだけれども、どうもそんな単純な構図でもない気がするのである。

まあ、注意深くニュースを拾っていきたい。

コメント

  1. タイへのファイバーケーブル切断。
    中国人民軍の指導で生きたままの〇戮が横行。
    香港はまだ幸せ。
    youtube.com/c/HORIJUN0709#SaveMyanmar
    酷い事になりそうだ。

  2. ブログ主様 お節介と思いますが
     日本語が不自由なコメントが出てきましたね。

     それに
    [香港はまだ幸せ。]
    は、
     ないわなぁ~!

  3. 木霊さん、おはようございます。

    軍事クーデターなので言論統制なんか予想通りでしたが、デモ隊に実弾発砲しまくりでその犠牲者は200人越とかまでは考えれませんでしたね。
    だって、強硬な武力弾圧は民衆の反感をより増長させ軍事政権にとっては悪手でしかなく、国際社会から非難され孤立するのは必至なんですから。

    でも、クーデター早々になりふり構わず強硬策で打って出た裏には、何かありそうな感じがしています。
    やはり支那が発端から現状までバックで暗躍しているってどうしても疑っちゃいますよ。

    スーチー氏に問題はあったにせよ民主化からわずか5年足らずで逆戻り、歴史的に親交の深い日本企業の進出に急ブレーキが掛かるのは当然でしょう。
    軍事政権は国の再建&隆盛に必須な国際資本が逃げ出すリスクを、一体どうやって回避するのか政治的な戦略が見えませんね。

    支那にとっては国丸ごと支配下に置くチャンスと思ってんじゃないかなァ~。
    国連も相変わらず頼りないしね。

    • 横合いから失礼します。
      感じている事はほとんど同じです。
      「理想主義のお姫様」について行けなくなって政権から脱落した元支持者と、既得権益が剥奪された元支配層が何者かにたきつけられて踊らされている、その何者かは適当なところで混乱に乗じて治安部隊でも投入して傀儡政権を樹立する、現状はその言い訳作り、ってのが最悪のシナリオですかねぇ。

      欧米その他の識者は皆一様に誤解している気がしますが、民主主義は一朝一夕では樹立出来ないと考えます。アメリカにとっては日本という「西洋文明に開化した成功例(ペリーとマッカーサーの二段構えですが)」が居るように見えて、その実は封建制かつ立憲君主制に近い形態から議会民主制に移行しただけであって、その素養がない地域(絶対君主制が最近まで続いた地域)には民主制は根付かないのではないかと思えてなりません。

      • 七面鳥さん、おはようございます。
        レスありがとうございます。

        >混乱に乗じて治安部隊でも投入して傀儡政権を樹立する、現状はその言い訳作り、ってのが最悪のシナリオですかねぇ。

        一番心配している事でそうならないよう願うしかありませんが、西欧流民主主義の一方的な押し付けでは絶対に解決しないでしょうね。

        >その素養がない地域(絶対君主制が最近まで続いた地域)には民主制は根付かないのではないかと思えてなりません。

        まさにご指摘通りと思います、現に中東で大失敗を続けてきた反省や善後策という観点が抜け落ちているのが不思議ですね。

  4. この記事に関しては、個別のコメント返しは避けさせて頂きます。ご容赦を。
    理由は、情報収集に手間取っている事と関係していまして、軍事政権がどんな思惑で動いているのかを、もう少し分かってからにしたいというのが本音であります。
    まあ、それを言ったら記事を書く前に、と言われそうですが(汗