クワッドの行く末

防衛政策

クワッドの仕組みはまあまあ気になるトピックスではあるんだけど、なかなか情報が少ないのが悩みだ。特に、アメリカの判断が伝わってこない気がする。

12日に日米豪印「クアッド」首脳オンライン会談 中国の覇権的影響力拡大にらみ

2021.3.10 07:01

サキ米大統領報道官は9日の記者会見で、日米とオーストラリア、インドの4カ国によるオンライン首脳会合が12日に行われると明らかにした。中国による覇権的な影響力拡大をにらみ、「自由で開かれたインド太平洋地域」の維持と発展に向けた連携のあり方などに関し話し合う。

「産経新聞」より

9日に、アメリカの報道官サキ氏が、「会合やろうぜ」という事を言ったので、一応話は進展しているっぽい。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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各国の事情

前のめりなのはオーストラリアだが

さておき、オーストラリア首相のモリソン氏はクワッドの枠組みに対しては積極的だ。対支那態勢を鮮明に打ち出したオーストラリアは、政治に相当侵食されている状況にある。前政権はマルコム・ターンブル氏は極めて親支那派であった。

リベラルを標榜するターンブル氏は、支那について「オーストラリアと抗日で戦った最も長い同盟国だ」などと意味不明な事を主張したらしいが、そんな歴史は聞いたことが無い。

えーと、確認までに調べてみるとジョン・ジョセフ・カーティンが首相であった時代に、対日宣戦布告(1941年12月8日)をした事実はあるが、支那は建国が1949年10月1日である。そして、オーストラリアは東南アジア条約機構(SEATO)に1954年9月8日に加盟し1977年6月30日に解散されるまで参加していた。

SEATOは反共主義諸国の軍事同盟である。となると、オーストラリアと支那が同盟国であるハズがない。ついでに言うと支那が軍事同盟を結んでいる相手は北朝鮮のみである。

さておき、オーストラリアは支那と本格的に対峙市無ければならない状況にある。それは、経済的な理由が大きい。

中国からの2020年投資、前年比61.1%減、過去5年で最低

2021年03月10日

オーストラリア国立大学(ANU)は3月1日、2020年の中国からのオーストラリア向け直接投資が前年比61.1%減の10億2,866万オーストラリア・ドル(約858億9,311万円、豪ドル、1豪ドル=約83.5円)と発表した。

ANUが発表した中国投資データベース(CHIIA)によると、中国からオーストラリアへの直接投資額は、ピークの2016年以降、年々減少してきたが、2020年は2019年の24億9,900万豪ドル(前年比47.5%減)よりもさらに落ち込み、過去5年間で最低だった。

業種別にみると、2020年の中国からの投資は3業種にとどまり、構成比は不動産44.8%(4億6,090万豪ドル)、鉱業40.3%(4億1,446万豪ドル)、製造業14.9%(1億5,330万豪ドル)となった。また、投資の86%はオーストラリア国内に既に設立された中国企業の子会社からの投資を通じて行われたものだった。

「JETRO」より

支那がココまでやったというのもどうかと思うが、もっと問題なのはオーストラリアはここまで支那に依存してしまったというところが問題なのである。

オーストラリア、約30年ぶり景気後退  新型ウイルスの影響で

2020年9月2日

オーストラリアは2日、2020年4~6月期の国内総生産(GDP)が前期比7%減少したと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、約30年ぶりにリセッション(景気後退)入りした。

「BBC」より

とはいえ、オーストラリアは経済自体はそこそこ好調で、武漢ウイルスの影響で凹んだものの、対策さえできれば経済は上向くという観測がでている。まあ、資源が豊富にある国は強いね。

イギリスもクワッドに

イギリスがクワッドに参加したがっているという話は以前にも紹介した。

韓国メディアが連日報道、米日豪印「クアッド」に英国参加の意向

2021年2月10日(水)17時40分

米国のサリバン国家安保補佐官が1月31日、米国と日本、オーストラリア、インドの4カ国が形成する枠組み、通称Quad(クアッド)が、インド・太平洋政策の土台になるだろうと述べ、発展させる意向を示した。

クアッドはトランプ前政権が主導した中国を牽制する協議体で、2019年9月にニューヨークで第1回会合が開かれ、20年10月には東京で外相会合が開催された。

「Newsweek」より

これはイギリスがブレグジットでEUから離脱したために、次なる枠組みを目指して動いているからであり、クワッドとTPPに興味を示していて、多分、参加することになると思う。少なくとも落ち目のEUに拘っていても未来の展望は望めないのだから仕方が無い。

尤も、イギリスにとって色々な問題を抱えているが為に、そう簡単に話が進まないという事実があって、いつまで経っても話が進まない可能性は十分にあるのだが。

クワッドは無力?

さて、ここへ来てクワッドが抑止力にならないという論点がでている。

強大化する中国を前に日米豪印「クアッド」が無力な理由

2021年2月22日(月)11時30分

オーストラリア、インド、日本、アメリカの4カ国が中国を警戒するのは理にかなっている。強大化する中国に日米豪印戦略対話(クアッド)で対抗しようとするのも理にかなっている。

だが残念ながらクアッドではアジアの歴史の流れは変えられないだろう。理由は2つ。4カ国の地政学的利害と中国に対する脆弱性がそれぞれ異なるから。そして何より、大規模な戦略的駆け引きは軍事ではなく経済分野で起きているからだ。

「Newsweek」より

ちょっとこの指摘はおかしな論調である。クワッドとTPPはセットであるため、クワッドを進める為にはTPPへの加盟は不可欠という事になろう。そして、イギリスはアメリカがこの枠に入ってこないと決断しない可能性は高い。

経済こそが覇権争いの舞台だ。アメリカがTPP(環太平洋経済連携協定)から、インドがRCEP(東アジア地域包括的経済連携)から抜けた結果、中国を軸とする巨大経済圏が展開している。1970~80年代にアメリカの巨大な消費市場がソ連を倒したように、成長し続ける中国の巨大消費市場がこの地域の覇権争いに決着をつけるはずだ。

「Newsweek”強大化する中国を前に日米豪印「クアッド」が無力な理由”」より

よって、この分析は正しくもあり、間違ってもいる。支那の経済圏が広がっているのは事実だが、支那が困っているのも事実なのである。

「本気」でTPP参加目指す中国 その狙いは

2020年12月25日 17:00

貿易や投資を高い水準で自由化する環太平洋連携協定(TPP)に中国が「本気」で加盟しようとしている。なぜこのタイミングで意欲を見せているのか。

中国の習近平国家主席は先月20日、アジア太平洋経済協力会議で、TPPへの参加を「前向きに検討する」と初めて表明した。世界各国は驚きつつ、実際の早期加盟は難しいだろうと懐疑的な見方が大半だった。しかし今月18日、翌年の経済政策方針を決める中国の中央経済工作会議で、「TPPへの参加を積極的に検討する」と表明。これまでの「前向きで開放的な姿勢」という公式見解より踏み込んだ。

「AFP」より

困っていなければTPPに参加しようとしたりはしない。もちろん、支那の狙いはTPPを中から骨抜きにすることで、支那の経済圏を確立する為にはどうしてもこんな枠組みを作ってもらっては困るというのが本音だ。

したがって、支那が巨大な市場を持っている事は事実だし、巨大な経済圏を作り出そうとしているのも事実だが、その内情はかなり虚構に塗れていてなかなか宜しくはない。一帯一路政策は頓挫してしまった(認めてはいないが)し、AIIBなどどうなってしまったのかさっぱりである。「ガバナンスがガバガバなんす」とは良く言われたが、それでも参加国は増えている点(加盟国は2020年9月時点で102)を見ると、未だ死んでいないのかも知れないけれども、安心材料として見るには弱い。

よって、このNewsweekの記事はちょっと信用出来ないと僕は見ている。

韓国が参加したがっている!……のかもしれない

なお、クワッドに対してはスパイが参加しようとしていて、なかなか困った状況である。

韓国政府 クアッドへの参加を検討か 大統領直属委員が米メディアに寄稿

Write: 2021-03-10 01:37:09/Update: 2021-03-10 09:51:38

大統領直属の政策企画委員会の委員を務める大学教授が、アメリカの政治専門紙「The hill(ザ・ヒル)」に寄稿し、中国をけん制するための枠組みである「クアッド」への参加を、韓国政府が真剣に検討しているという考えを示しました。 一方、外交部は、クアッドへの参加について、政府が意見を述べるのは時期尚早であると述べました。

「KBS WORLD」より

若干の色気を出している某国は、アメリカに踏み絵を踏まされる状況になっている。一応、この記事ではトランプ政権下でなければ問題ない!としているが、バイデン氏は不安しかない状況。

結局、アメリカ軍の意向が反映される流れだとすると、韓国の望み通りにはならない。

これについて、外交部は9日、クアッド・プラスは具体化されていない構想であるとして、今の段階で政府としてコメントするのは時期尚早だとする考えを示しました。 その一方で、包容性や透明性が保障され、国益や世界の平和と繁栄に貢献できるものであれば、あらゆる枠組みにも協力することができると述べました。

「KBS WORLD”韓国政府 クアッドへの参加を検討か 大統領直属委員が米メディアに寄稿”」より

まあ、正直、支那の先兵として乗り込んでくるような国に参加して欲しくはないよね。

米国防総省「韓国は多くの関心を共有する同盟」クアッド参加問題で

Write: 2021-03-10 13:17:15/Update: 2021-03-10 13:37:43

アメリカ国防総省は現地時間の9日、中国をけん制するための枠組みとされる、アメリカ、日本、インド、オーストラリアの4か国で構成されるインド太平洋地域の安全保障協議体「クアッド」に関連して、韓国はインド太平洋を含め、多くの関心事項を共有する同盟だと述べました。

「KBS WORLD」より

アメリカからはプレッシャーがかけられているけれども、ここに加わるとなると色々な柵を捨てる必要がある。支那がTPPに加わるくらい無理がある。

バイデン政権についての不安

そんな訳で、当面、クワッドは4カ国で話し合いをした上で、イギリスや台湾を加えるのが良いのでは無いか?と個人的には思っている。

バイデン氏は、クアッドの枠組みを米政権のインド太平洋戦略の柱に据えたい考えで、早期のオンライン首脳会合の開催を関係国に働きかけていた。

サキ氏は会合を早期に実現させたことについて「バイデン大統領がインド太平洋地域における同盟・パートナー諸国を重視している表れだ」と強調した。

「産経新聞”12日に日米豪印「クアッド」首脳オンライン会談 中国の覇権的影響力拡大にらみ”」より

今のところは、バイデン政権はクワッドに前向きのように見えるのだが、肝心のバイデン氏が表に出てこない。いや、トランプ氏が表に出すぎていただけという批評はあるかも知れないが。

バイデン氏愛犬、かみつく ホワイトハウスを退去―米CNN

2021年03月09日21時18分

米CNNテレビは9日、バイデン大統領の愛犬が警護官にかみつくなどの「問題行動」を起こし、ホワイトハウスを退去させられたと伝えた。

「時事通信」より

何だこの記事……。

取り敢えず、未だにバイデン氏、外国首脳と会談ができずにいる。

日米首脳 来月にも会談 両政府検討 バイデン氏、初の対面

2021.3.8 20:20

日米両政府が4月にも菅義偉(すが・よしひで)首相の訪米を実現し、バイデン米大統領と対面では初となる首脳会談を行う方向で検討に入ったことが8日、分かった。複数の日米関係筋が明らかにした。国際秩序の現状変更を模索する中国に対し、日米両首脳が早期に会談を行うことで連携して対抗する意図を示したい考えだ。

「産経新聞」より

未だに表に出てこれないバイデン氏だが、なんとか4月に菅義偉氏との会談がセッティングされたというニュースが報道された。だが、本当に面会して会話ができるレベルなのかは心配されている。

一説によると、未だに地下室に閉じこもっているとも聞くが、単独記者会見は1度も開催されないなど、秘密主義というか、表に出られない事情があるのでは?と疑わざるを得ないような感じになっている。

これが健康不安やアルツハイマーなどの心配によるものでなければ良いのだが、どうにも不安説を払拭できない感じである。

アメリカ大統領がこの調子だと、世界の動きも不安定になるのは避けられない。日本がイニシアチブをとって旗振りしようにも、安倍政権が終わってしまい、何とも前に進む感じが鈍く感じる。少なくとも外交面では進んでいないように思えるのだ。

支那が巨額の軍事費を計上したというニュースが流れたが、世界最大の軍事大国になる日はそう遠くない。そんな支那に一国で対峙するのは絶望的である。したがって、日本にとってクワッドは不可欠なのだが、なかなか足並みが揃っていないのが苦しい所。

今後もこの件は注意深く見守っていきたいが、どうなるんでしょうな。

コメント

  1. 木霊さん、以前通りの手順でコメント送信できました。
    何かシステムをいじって頂いたのならお手数お掛けし感謝します。

    日本が対支那で生き残る道は、このQUADそしてイギリス・イギリス連邦国及びASEANの強国であるベトナムを取り込み、最終的には台湾まで+に入れるべき重要な事案と考えます。

    しかし、ご指摘通りアメリカの本気度が現バイデン政権から伝わってこないのが、一番心配されますね。
    やはり、大統領選から懸念された通り支那マネーにズブズブとか、そもそも認知症疑惑が本当にヤバいのか小さなシグナルに目を離せないと思います。

    尖閣防衛のブレたアメリカ報道官コメントからも、政府は表面的な社交辞令は通用しないと肝に銘ずるべきでしょう。
    やるべき事を決断すべき時と考えます。

    P.S.
    現行法でも危機射撃を容認するとのニュースが出てきましたが、これってそのまま竹島不法占領に適用するのはアリじゃないかな。
    何しろ武装警察が駐留しているのですから、ほぼ完全に「凶悪な犯罪」として理屈として今すぐにでもそのまま適用できますからね。
    交代要員・補給資材の搬入を即刻海上封鎖し、徹底的な兵糧攻めをやってもいいと考えますけどね。

    • 以前通りにコメントできる環境に戻って何よりです。
      本ブログのシステムのアップデートは定期的にあるのですが、プラグインとの相性があってこれが変わってしまうと設定が変わってしまうことも(汗
      むしろ指摘いただいて助かりました。

      クワッドの話は中々見えてこないのでモヤモヤしますが、アメリカ大統領が心配のタネであります。でもそこを差し引いても、菅義偉氏の動きが鈍いところも心配ですね。
      もっと積極的にやって欲しいところですが、武漢ウイルスに足を引っ張られているのが悔やまれます。

      危険射撃について、コレはあくまでも最終手段だと思っています。
      竹島や北方領土に対しても当然に行使可能なものでしょうが、実効支配していないという現状は不味いですね。さっさと常駐する公務員を置くべきでしょう。