アンモニア燃料の火力発電を三菱が開発

政策

……NHKさんよー、このニュースの書き方で意味が分かるわけ無いだろ!!!

“CO2出ず” アンモニアを燃料にした発電装置 三菱重が開発へ

2021年3月2日 4時45分

三菱重工業は、燃やしても二酸化炭素が出ないアンモニアを燃料にした発電装置の開発に乗り出します。石炭などに混ぜるのではなくアンモニアだけで発電する方法は珍しく、2025年以降の実用化を目指すとしています。

「NHKニュース」より

いやこれ、ニュース単体で読ませるのはどうかと思うよ。

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記事には何が足りないか?

三菱パワーが開発したガスタービン

「装置開発に乗り出します」と書かれたニュースだが、試作機は既にあるようだ。

何がスゴいって、NHKの劣化ぶりである。これ、全く取材しないで記事書いたんじゃ無いのかな。素人でも分かる事を取材もしないで書くというのは、いくら何でも質が落ちすぎだろう。

ニュースソースになったのは、多分コチラ。

三菱パワー株式会社 | 世界初となるアンモニア焚き4万kW級ガスタービンシステムの開発に着手 カーボンフリー発電のラインアップを拡充、2025年以降の実用化目指す
◆ アンモニア100%直接燃焼技術の確立により、燃料アンモニアのサプライチェーン構築に貢献◆ 産業分野や離島などの中小規模発電所における脱炭素化メニューの提案も可能に三菱パワーは、世界中で高まるエネルギーの脱炭素化に対する機運の高まりを受け、アンモニア(NH3)をガスタービン発電の燃料として100%

このサイトでは、NEDOの助成事業の一環として研究している内容に、それなりに目処が付いたので公開しますというスタンスで紹介されている。

アンモニアの直接燃焼では、燃料中の窒素が燃焼により酸化することで発生する窒素酸化物(NOx)への対応が課題であり、世界で豊富な運転実績を有する当社のH-25形ガスタービン(出力:4万kW級)を対象に、NOx排出量を低減する燃焼器の開発と脱硝装置を組み合わせたガスタービンシステムの実用化を目指します。

「三菱パワーの公式サイト」より

このサイトで紹介されている「課題」は、燃焼によって生じる窒素酸化物の処理で、「NOx排出量を低減する燃焼器の開発と脱硝装置」を組み合わせる事で、課題解決する目処が付いたということらしい。

二酸化炭素排出量の削減と不都合な真実

そもそもNHKのニュースは、「脱炭素」という気の狂ったキーワードを元に構成されている。それも、余り物を考えずに書いている模様。

如何に脱炭素が狂気に満ちた話であるかは別の機会に言及するとして、世界の潮流は「二酸化炭素の排出削減」から「脱炭素社会」へとシフトし始めている。

元々、二酸化炭素の排出量削減というのは、地球温暖化というアリもしない幻想に取り憑かれた人々が言い出した話だった。この地球温暖化論争の話をすると又長いので、この辺りもバッサリカット。一応、リンクだけ載せておきたいと思う。

取り敢えずこの3つの記事が比較的長く、それなりに纏めて書いたものだが……、今読むとちょっとアラが多いし纏まっていない印象だな。ご勘弁願いたい。

で、先日、不都合な真実が明らかになってしまった。

武漢ウイルス騒ぎで、世界の生産活動が著しく減退してしまい、ロックダウンなどもあって、一時的にせよ大幅に二酸化炭素排出量が減った……ハズだった。が、結果から見ると大気中の二酸化炭素濃度は増えてしまった。

この事は、如何に二酸化炭素排出量削減のために金を使うことが無駄であるかをハッキリさせたわけだが、そういう観点からは殆ど報道がなされていないようだね。

アンモニアの利用価値

何しろ、地球温暖化が前提で様々な分野でのお金が動き出していて、早々簡単には止められないのである。そんな研究の1つがアンモニアの利用である。

アンモニアがふたたび世界を変える ~第2次世界大戦中のとある出来事~ | Chem-Station (ケムステ)
Tshozoです。タイトルの件、既にSHO氏によりこちらの記事で先を越されましたが、歴史的な話で対抗することにしました。

まあまあ面白い2016年の読みモノなのだが、アンモニアの利用というのは古くからあるもので、記事にあるようにドイツの科学者が開発したハーバー=ボッシュ法(以下HB法)なる手法で科学的に生産する目処が付いたのが1913年のこと。さっくり100年前だ。

具体的な作り方はこの図の様な感じでかなり大規模なプラントが必要となる。

ただ、アホほど有用な発明であり、ドイツ帝国が2度の大戦に突っ込んでいったのも、アンモニアの科学的合成があったから、と書くと流石に事実と違うと怒られそうだな。

実際には第一次世界大戦の影響を受けて生産工場を建てるのにとても苦労したからね。ただ、第二次世界大戦の時期には、開発者のボッシュがユダヤ人を擁護したことで、ヒトラーに怒られたものの、ガソリンの生産によってナチスを助けたこともあって、一応戦争に関与したといっても良いだろう。ただ、ボッシュ自身は戦争にガソリンやアンモニア(爆弾)が使われることを気に病んで死去してしまう。

っと、話が逸れてきた。

えーと、そうそう、アンモニアが如何に利用価値が高いかだ。

現在、世界総生産量が年間1億6千万トンを超えていて、これを超える生産量の化学品は硝酸だと言われているのだけれど、どちらも化学肥料の原料として使われている感じだね。

アンモニアの方は、8割が科学肥料に消費されて、残り2割が雅楽品や薬品、窒化処理などにつかわれるようだ。

常温常圧でのアンモニア合成

で、HB法でアンモニアをどのように作っているかというと、実は天然ガスを原料として合成しているそうな。

こんな感じのタンカーでLNGを中東辺りから買い付けるのが日本の現状で、他の産地からの購入も検討されているようではあるけれど、何れにしてもそれなりの輸送コストが必要となる。

これを巨大なプラントで合成しなければならないのだから、なかなかホネが折れる話。ただ、そうであっても合成しなければならないほどアンモニアは有用で、人体から老廃物として排出されるアレが何故そんなに意味があるのか?といえば、上で書いたように化学肥料として植物を育てるのに必須の窒素を含んでいるからである。肥料として優秀なんだよね。

植物が空気中の窒素を自前で固定するようになったら、それは必要無くなるのだろうけれど。

さておき、食物の生産において欠かせないアンモニアだが、生産効率はそれほど宜しく無い。大規模なプラント建設にはお金がかかるし、老朽化すれば合成効率は低下するので、効率が5割を切ったプラントもあって、貴重な資源の半分を捨てているに等しいというのは、情けない。単に燃やすだけよりは良いかも知れないけれど。

効率が良いのは産油国近くに巨大プラントを作る事なんだけど、中東が不安定という事もあってリスクは高い。そういえば、レバノンの港(ベイルート港)が爆発して吹き飛んだのだけれど、あそこには硝酸アンモニウムが大量に保管されていたと報じられていた。

まあまあ保管にリスクもあるってことだね。

で、ここへ来てちょっと驚くような出来事が。

画期的なアンモニア合成法|環境エネルギー|事業成果|国立研究開発法人 科学技術振興機構
国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の事業成果ページです。JSTは、知の創出から研究成果の社会還元とその基盤整備を担うわが国の中核的機関です。世界トップレベルの研究開発を行うネットワーク型研究所として、未来共創イノベーションを先導します。
アンモニア合成法の新たな展開|ナノテクノロジー・材料|事業成果|国立研究開発法人 科学技術振興機構
国立研究開発法人科学技術振興機構(略称JST)の事業成果ページです。JSTは、知の創出から研究成果の社会還元とその基盤整備を担うわが国の中核的機関です。世界トップレベルの研究開発を行うネットワーク型研究所として、未来共創イノベーションを先導します。

要は新しいアンモニア合成方法が日本で開発されたというのである。まあ、難しい事が書いてあるが簡単に言うと高温高圧・大規模プラントでアンモニアを合成しなければならなかったHB法に変わって、常温常圧で合成ができる目処が立ったという話である。

まあ、まだプラント確立というところにまでは至っていたいようだが、十分にアリだろう。さらに、プラント化についても日産化学が一枚噛んでいるようなので、それ程ハードルが高いとも思えない。

アンモニアの合成に関しては、二酸化炭素排出削減とか脱炭素とかそういう世界線で考えられた話ではなく、寧ろ天然ガスに頼らない合成ができないのか?という観点で、様々な研究が為されていた分野ではある。

そこまでアンモニアが有用だったということではあるんだけど。最近はアンモニアが水素の輸送キャリアとしても脚光を浴びつつあるしね。

ただ、この「二酸化炭素排出量削減」や「脱炭素」のお陰で研究に予算が付いちゃったという側面はあるだろう。実際にNEDOで積極的に募集をかけているようだし。

火力発電に使えるか?

脱硫装置も日本は最先端

そんな感じで、アンモニア合成が天然ガスによらずにできる目処が立った日本において、これを「燃やしてしまう」という発想になるのは当然である。

尤も、時系列的にはアンモニアを燃焼させて発電しようという発想が先にあって、アンモニアの合成の研究の目処が立ったのは後の話。

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ここまで理解した上で、冒頭のNHKニュースを読む必要があるんだよね。

出力が4万キロワット級の発電装置で実用化に成功すれば世界で初めてだとしています。

「NHKニュース”“CO2出ず” アンモニアを燃料にした発電装置 三菱重が開発へ”」より

さらっと書かれているが、この規模の発電機でも成果が得られれば十分に意味がある。三菱のガスタービンであればそこそこ効率は良いし、何より脱硫装置も日本は十八番である。

有害な窒素酸化物、いわゆるNOxが問題となっているけれども、日本の自動車がここまで世界に普及した背景にはNOx対策がしっかりできていたという事実がある。

もちろん単純に解決出来るのであれば「開発する」などという言葉にはならないのだろうが、この規模のプラントをアンモニア合成施設と共に各地に作って発電するような形になると、一気に環境問題が解決に向かってしまう。

何しろ、アンモニアの合成は水と窒素ガスから。窒素ガスは空気をー200度近い極低温にまで冷却する必要があるのでそれ程簡単に作れないのだが、国産でできてしまうというところがポイントである。

そして脱硫施設もそれ程ハードルが高くないとすると、いよいよあとはコストだけという事になる。

アンモニアの直接燃焼では、燃料中の窒素が燃焼により酸化することで発生する窒素酸化物(NOx)への対応が課題であり、世界で豊富な運転実績を有する当社のH-25形ガスタービン(出力:4万kW級)を対象に、NOx排出量を低減する燃焼器の開発と脱硝装置を組み合わせたガスタービンシステムの実用化を目指します。

「三菱パワーの公式サイト」より

ガスタービンそのものも、既に実績ありということなのだが、そもそもアンモニアを利用した火力混焼実験でそれなりの成果を出している。

IHIも開発をしている

そこに化川手いるのがIHIだ。

大手機械メーカーのIHIもアンモニアの比率を60%に高めても安定的に発電できるガス火力発電の技術を開発するなど、脱炭素に向けてアンモニアを活用しようという動きが活発になっています。

「NHKニュース”“CO2出ず” アンモニアを燃料にした発電装置 三菱重が開発へ”」より

この辺りがこの記事で唯一取材した可能性のある部分なのだけれど、これもちょっと前のニュースにあった話ではある。

IHIのプレスリリースから引っ張ってこよう。

世界初,カーボンニュートラルな「ブルーアンモニア」を利用する混焼試験を実施 ~CO₂フリーアンモニアのバリューチェーン構築に向けて,燃料製造側と利用側をつなぐ~

2020年10月23日

株式会社 IHI(社長:井手 博,本社:東京都江東区,以下「IHI」)は,一般財団法人日本エネルギー経済研究所(以下「IEEJ」)とサウジアラビアン・オイル・カンパニー(以下「サウジアラムコ」)が進める,ブルーアンモニアのサプライチェーン実証試験(*1)に協力しております。このブルーアンモニアの一部を,2,000kW級ガスタービンの燃料として利用する混焼試験を,横浜事業所(神奈川県横浜市)で26日に開始します。

~~略~~

IHIは,国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託事業(*2)で,ガスタービンと石炭火力用バーナにおいて,アンモニア混焼技術の高度化に関する研究開発を実施しています。ガスタービンでは,熱量比率50%以上のアンモニア混焼を目指し開発を行っており,このたび,天然ガスとアンモニアの混焼試験で,ブルーアンモニアの使用を開始します。

「IHI公式サイトプレスリリース」より

このプレスリリースでは「熱量比率50%以上のアンモニア混焼」となっているので、NHKが「60%以上」と書いた部分のみ、取材で確認した可能性がある。

重要なポイントは「混焼」と「専焼」

まあ、NHKがわかって記載を変えているかどうかは分からないが、大切なのは「混焼試験」であるという点だ。混焼の意味するところは、石炭や天然ガスにアンモニアを混ぜることで、二酸化炭素の排出量を減らそうという試みである。

また、IHIのアプローチは、アンモニアをプラントで合成したモノを現地で発電でも使おうという発想であり、原油や天然ガスを燃料として火力発電を行う場合に比べて二酸化炭素排出量が少なくなると言うメリットはある。

アンモニア合成の話は、それとは一線を画する話であるから、三菱パワーが取り組んでいる専焼(アンモニアそのものを燃料として燃やす)による火力発電と組み合わせると大きな意味が産まれてくる可能性がある。

もちろん混焼に意味がないという事ではないが、専焼+新アンモニア合成というと、まるっきり世界が異なるのである。

言ってみれば、そこそこのアンモニア合成プラントの目処さえ付けば、例えコストが高くとも発電燃料は自前で賄えることになる。これが戦略的にどれだけの意味を持つか?流石に政治家はその辺りまで分かっているだろうし、メディアだって少し考えれば気が付きそうなモノだけれど。

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