日米台の半導体連合はTPPを視野に

台湾

半導体の世界でも色々動きがあるようだが、対支那政策を考えるのであれば構造改革は必要となるわけだ。

中韓を駆逐 日米台連合「半導体戦争」 態度決められない韓国、競争で遅れ技術も盗まれるも…中国の報復恐れ離脱できず

2021.2.22

世界的な半導体不足が続くなか、半導体ファウンドリー(受託製造会社)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、日本に研究開発を目的とした子会社の設立を決めたと発表した。

「ZakZak」より

現在、半導体の製造はTSMCが猛追している状況にある。ZakZakの記事なのであまり盲信しないほうが良いのだが、この流れは歓迎しても良いだろう。

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貿易協定を視野に入れた連携

TSMCの躍進

さて、先ずは半導体売り上げの世界ランキングを紹介しよう。

2020年の半導体売上高ランキングトップ15、日本勢最高位はキオクシアの12位

2020/11/27 07:00

半導体市場動向調査会社である米IC Insightsが2020年の半導体サプライヤ売上高ランキングトップ15を予測の形で発表した。

各社の第1~3四半期(1~9月期)の実績と第4四半期のガイドライン(自社による業績予測)などをもとに年間売上高を予測したもので、IDM、ファウンドリ、ファブレスのすべてを含む形のランキングとなっている。そのため、半導体市場規模はファブレスとファウンドリでダブルカウントされ水増しされているが、IC Insightsは、同社の会員である造装置や素材や薬品・ガス・純水メーカーなどに、ファウンドリの規模を知らせるために、あえて含む形としている。

「TECH」より

売り上げランキングなので、何処の技術が優れているという話では無いことと、半導体関連の企業という括りなので、並べて比較するのもどうかとは思うのだが……。

ともあれ3位に食い込んでいるのがTSMCである。

電子機器分野ではアメリカの独壇場

まあ、ランキングに載ってきているアメリカ勢を見ていこうか。

単価が高く、多くのPCのCPUを供給しているIntelがトップなのは分かり易い。5位のマイクロンはDRAMやフラッシュメモリなど主記憶・ストレージ用の半導体メモリを開発・製造・販売している会社である。

6位のクアルコムは移動通信機器関連の通信技術や半導体の設計開発を行っている。まあ、スマホで儲けたくちだね。7位のブロードコムも似たような分野で商売している会社だ。

8位のエヌビディアはGPCPU関連の会社で、9位のテキサス・インスツルメンツは半導体の開発、製造をする会社で、組み込みチップなどを作っている会社だ。

さて、そんな訳で、ランキングにのぼってくる企業の多くはアメリカ企業で、アップルが13位、AMDが15位に入っていることを考えても、まあ、アメリカだけで概ね賄えるような感じのランキングになっているね。

そんな中で、漸くランキングに入っている日本勢はキオクシアの12位だ。東芝メモリが社名を変えて、相変わらずDRAMやフラッシュメモリNAND型フラッシュメモリを作っている。

サムスンやSKハイニクスは?

ところで韓国の貿易額の大半を叩き出しているサムスンとSKハイニクスだが、売り上げランキングでは2位と4位にいて、実に立派だ。

サムスン、SK、LG…利益は誰のモノ?

2021.2.24(水)

世界的な新型コロナの流行が続くなかで、サムスン電子やSKハイニックスなど半導体やIT、家電、Eコマース関連企業の業績が好調だ。

こんな高収益企業にも悩みがある。

「利益の分配」を求める声がかつてないほど強まっているのだ。「利益共有制」の法案準備さえ進んでいる。

「JB press」より

色々な条件が重なって、サムスンやSKハイニクスが高い利益を出したのは事実で、この記事では「その取り分で揉めているぜ」という内容になっているのだが、先行投資をして大きな工場を建て、上手いこと商売をしたのだ。

ただ、今後どうなるのかはちょっと不透明だとされている。これは、冒頭の記事に関係してくるのだが、新しい技術開発がそれ程成功していないからだ。

韓国事情に詳しい朝鮮近現代史研究所所長の松木國俊氏は「サムスンをはじめ、韓国の半導体メーカーは本来なら、対中包囲網を明確にしているサプライチェーンと歩調を合わせたはずだが、中国に依存し過ぎており、報復さえもあり得ると恐れている状況だ。態度を決めきれないまま、台湾企業に追い抜かれ、中国企業からは技術がどんどんと盗まれかねない。特にサムスンは立場を明確にしたくとも、トップが拘束されている状況で方針すら決められないでいる」と指摘した。

「ZakZak”中韓を駆逐 日米台連合「半導体戦争」 態度決められない韓国、競争で遅れ技術も盗まれるも…中国の報復恐れ離脱できず ”」より

記事で指摘されているが、韓国の半導体メーカーは支那に強く依存している。複数の製造拠点を支那に建てているのだ。

順風満帆だったのは去年までの話で、今年は波高しという状況を迎えかねない。

TSMCはテキサス・インスツルメンツの副社長が創業

さて、それでは台湾勢で初の3位に入ったTSMCは、というとテキサス・インスツルメンツと似たような仕事をしている。つまり、組み込みチップの製造だ。

焦点:半導体不足で世界自動車生産に黄信号、米対中制裁が裏目

2021年1月18日4:57 午後

世界的な半導体不足により、各国の自動車メーカーが組み立てラインの休止を余儀なくされている。トランプ米政権による中国の主要半導体企業に対する制裁が、不足に拍車をかけているケースもある。

ほとんどの自動車企業にとって、半導体の不足は予想外の事態だった。現在、フォード・モーター、SUBARU(スバル)、トヨタ自動車が米国での生産を抑制している。

その他の市場でも、フォルクスワーゲン、日産自動車、フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)などに半導体不足の影響が及んでいる。

「ロイター」より

その影響を強く受けたのが自動車業界で、今や自動車にも複数の電子部品が搭載される時代になって、半導体無くしては自動車は作れないことになっている。

で、支那からの半導体は買わない支那へ半導体を売らないという流れになったから、そりゃ足りなくなるのも無理は無い。逆に台湾勢だったTMSCが大儲けする流れになったわけだ。

TSMC、水不足で半導体製造 支障も 給水車使い緊急対策

2021年2月24日 19:00 (2021年2月24日 19:39更新)

導体の製造工程で大量に使う水の不足問題が深刻化しつつある。昨夏からの雨不足が原因で、半導体大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、工場に給水車を使って水を供給し、製造を行う緊急対策を始めたことが、24日分かった。半導体不足が深刻化するなか、新たな課題が浮上してきた形だ。

「日本経済新聞」より

意外な弱点もあって、安定供給には未だ未だ課題も多いようだが。

アメリカからの梃子入れ

そんな訳で、TMSCからの半導体の安定供給をお願いしたいアメリカが梃子入れを図ろうというのが今回のニュースである。

米台が半導体不足で初の協議、供給網の早急な整備で協力

2021年2月5日 14:59 (2021年2月5日 15:09更新)

米国政府と台湾当局は5日、米台の経済的な連携強化を目的にした初の協議「経済対話」を開いた。世界的に不足が深刻化する半導体をテーマとし、サプライチェーン(供給網)を新たに再構築し、米台が協力することで一致した。参加した米企業・業界団体は米政府に対し、早期の環太平洋経済連携協定(TPP)への復帰や、米台の自由貿易協定(FTA)の締結も求めた。

協議はオンライン形式で開いた。米台当局の関係者のほか、米半導体大手のクアルコムや半導体生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の幹部、業界団体など約100人が出席した。

「日本経済新聞」より

早々にTMSCからの半導体供給を安定化させようというアメリカ側の狙いが見えるが、興味深い事にここにTPPの話が再び出て来たのである。

現状では、アメリカも台湾もTPPには参加していないのだが、TPPのパッケージに入って貰えばアメリカ企業も台湾企業もかなり動きやすくなるのである。

だから日米台という話が出てきたのである。

幸いに、TMSCは日本に研究所を建設する運びになったが、半導体素材の多くを日本企業が供給していることを考えると、TMSCとしても都合が良いわけだ。

TSMCの投資額は最大186億円で、茨城県つくば市に拠点を新設し、高性能な3次元集積回路(IC)の製造技術開発を目指す。

日本政府は先端半導体の開発などを支える基金を積み増し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が事業の公募を始めている。これにTSMCや日本の半導体関連メーカーが参加し、共同研究を進めるとみられる。

「ZakZak”中韓を駆逐 日米台連合「半導体戦争」 態度決められない韓国、競争で遅れ技術も盗まれるも…中国の報復恐れ離脱できず ”」より

日本政府としてもそこは歓迎するらしく、NEDOを介して事業の公募を始めているという感じのようだ。まだまだ動きは弱いんだけれど。

ともあれ、ここに韓国が入って来る余地はなくて、日本も前のめりに行きたいところではあるが……。

キオクシア、TSMC取締役を社外取締役に

2020年6月29日 20:02

半導体大手のキオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)は、台湾積体電路製造(TSMC)取締役のマイケル・R・スプリンター氏(69)を社外取締役に招く方針を固めた。同氏は米株式取引所のナスダック取締役会議長(会長)も務める。

「日本経済新聞」より

日本としても注意しないとシャープのように台湾に美味しく戴かれてしまうようなことになりかねないことも、念頭に置いておかねばならない。

追記

TSMCの技術に関する記事があったので紹介しておこう。

TSMCの会長が語った3D IC技術の現状と将来展望 – ISSCC 2021

2/26(金) 8:11配信

2月15日~20日にバーチャル形式で開催された半導体回路の国際会議「ISSCC 2021」で、台湾TSMCのMark Liu会長(前CEO兼社長)が「Unleashing the future of Innovatuon (イノベーションの将来を解き放つ)」と題した基調講演を行った。

「yahooニュース」より

半導体業界の技術は日々進化しているようで、僕自身の認識はかなり古いものだったようだ。数年前の技術常識は既に通用しない模様。

ともあれ、最先端の技術にチャレンジして目処がつきつつあるというのがTSMCの現状なので、サムスンは技術的にも抜かれつつある状況だとも言われている。尤も、同じアプローチではないので、TMSCが勝者になれるかどうかは確定ではないようだけれど。

日本はここにどう関わるかという状況なので、確かにTMSCとの連携は選択肢的にはアリなんだろうね。

コメント

  1. 恐らく木霊さんが考え、感じていらっしゃる以上にTSMCは自由主義諸国にとって重要な会社と、技術やの私は思います。
    理由1.最先端微細加工技術:ダントツトップTSMC:2020年5nm(ナノメーター)、サムソン2020年5nm、インテル2021年7nm インテル脱落しそう
    (例えば  https://biz-journal.jp/2020/08/post_173690.html 参照) 悔しいけど日本は完全に蚊帳の外状態です。
    2.木霊さんの上げあられた売上ランキングの中身:クアルコム、ブロードコム、エヌビディア、アップル、AMDは、みんな設計屋さんで製造は大半TSMC(60%以上)最先端品はほぼTSMC

  2. 3.政治:TSMCは米国に従い、Hauwaiへの出荷を停止。 そもそも台湾は共産中国とは敵対
    4.半導体業界事情 最先端微細加工の工場はアホほど金食い虫です。特にキーとなる極端紫外線(EUV)露光装置は1台200~300億円 これをTSMCは2021年60台程購入契約済み(約1.5兆円、メーカーASML生産台数の殆ど、残り数台をサムスン、インテル)
      何が言いたいかと言うと、投資が巨額すぎるので一度シェアを落とすと回収できず製造組から脱落します。(アップル除く上記設計屋さん達) 今のまま順当に?サムスン、インテルが脱落すると、
     「最先端半導体を作れるのはTSMCだけ」となっても不思議じゃありません。

  3. TSMCは台湾の会社! そう中国が武力侵攻を狙っています。そして2位のサムスンは、、自由主義諸国側につきますかね?
    >シャープのように台湾に美味しく頂かれる。 、、、そんな一方的なものでなく「日本人の誇り」を別にすれば、シャープの品質は上がっていて、むしろWin-Winじゃないですか? と言うか台湾の現状、産業・軍事の米である最先端半導体を自由主義諸国側に止めるには、そんなセコイこと言ってる場合じゃなく、是非ともTSMCとは連携すべきと思う次第です。

    • 丁寧にありがとうございます。
      ご指摘の様に、不思議ランキングになっていて、アレを元に影響力の分析というのはちょいと無理がありました。
      そして、半導体には巨額の投資が必要となるため、サムスンなどが次の半導体で遅れをとることは確実でしょうけれど、その次に投資する計画があるようなので、そこまでダメージが大きいかはわかりません。その時にサムスンが残っているか?というレベルの話になってくると、韓国そのものの存続に関わりそうですが。
      TMSCが躍進することで、日本としても利益が得られる可能性はありますが、日本人の誇りは別にしてシャープの買い叩きはかなり酷いだまし討ち的な側面もありましたから、同じ轍を踏むのはちょっと遠慮したいところ。ただ、シャープの社風的にかなりヤバい状況でしたから、結果的には鴻海の子会社になったことは組織としては良かったかも知れません。
      日本としてキオクシアの技術を切り売りするのがメリットがあれば良いのですが、デメリットの方が多いと困りますよね。
      TSMCとの連携は、技術や利益を根こそぎ持って行かれないようなしっかりした契約でお願いしたいところ。個人的には台湾を全面的に信頼するところまではいかないのですよね。アノ国もそれなりに複雑ですから。

  4. 不思議というか意図がよくわからないランキングです・・・。
    ファブレス(製造を委託した側)とファウンドリ(受注した側)とが同列で並べられることに強い違和感がありますね。

    >東芝メモリが社名を変えて、相変わらずDRAMやフラッシュメモリを作っている。
    キオクシアは今はDRAM作ってないですね。NANDフラッシュメモリだけだったかと。

    >支那からの半導体は買わないという流れになった
    逆ではなかったでしょうか?支那には半導体を売らない、だったような。
    半導体が不足しているのは、単に需要がTSMCの供給能力を上回ったからだったかと。
    (支那(華為だったか?)からの受注を止めて多少ラインに余裕ができたと思いますが、それでもなお足りない。性能の最も高いチップを作れるファウンドリがTSMCなので、ファブレス各社がTSMCの製造ラインの奪い合いをしてるような状況だと認識してます。で、アメリカからの供給増の要望につながる、と。)

    ここで「TSMCがだめならサムソンに頼めばいいじゃない」とならないのは・・・なんででしょうねー。

    • 乱暴なランキングですよ。
      何を比較といえば、売上金ということなんですが、売っている品目は色々異なるので、果たしてソレを比べて意味があるのかという。

      あと、ご指摘の部分は確かにおかしいので修正しておきます。ご指摘感謝。

  5. 車載用の半導体不足は自動車メーカーの姿勢にも問題あるみたいですがね
    下請け会社に鞭打つばかりで納期早くコスト安く性能高くを求めて取引停止すらちらつかせるのが常態化している(関係部署より)ので
    半導体会社にまで同じような態度で接してそっぽ向かれているという噂を聞きます。
    曰く、それなら他に高く買ってくれるところに回すとのこと

    • 自動車会社にしてみれば、「部品の1つを買ってやる」くらいの積もりですが、半導体業界は引く手あまたですからね。
      立場の違いを理解できていないのでしょう。
      上層部はそれなりに危機感を抱いているようですが、完全に勘違いなんですよね……。
      賢い方々が集まっているのですが、上から目線の空気はなかなか払拭することは難しいでしょうね。