ミャンマーのネット復旧で知る前政権の方針

ミャンマー

興味深いニュースだね。

ミャンマー2州の「世界最長」ネット遮断、クーデターで終止符

2021年02月05日10時59分

ンターネットの遮断期間が世界最長となっていたミャンマー西部のラカイン州とチン州で、19か月ぶりにアクセスが復活した。ノルウェー通信大手テレノール・グループが3日、国軍によるクーデター発生を受けてサービスを完全復旧したと発表した。

「時事通信」より

ふーん、「国軍によるクーデター発生を受けてサービスを完全復旧」……え?「完全復旧」だと?

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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言論統制は、アウンサンスーチー政権時代にも行われていた

インターネット遮断は2019年6月

この地域でのインターネット遮断は、前政権の命令で遮断されていたようだ。アウンサンスーチー氏の指示だったかは分からないが、そういった方針を容認していたことは間違いないだろう。

民族紛争が続く両州の8郡区では、アウン・サン・スー・チー国家顧問率いる文民政権の「緊急」命令により、2019年6月からインターネットが遮断され、100万人以上の住民が影響を受けていた。

「時事通信”ミャンマー2州の「世界最長」ネット遮断、クーデターで終止符”」より

ネットが遮断されていたのはラカイン州とチン州の2つ。

ラカイン州はラカイン族が、チン州はチン族が多数住む地域であり、民族紛争が激しく起こっている地域でもある様だ。加えて言うと、ラカイン州にはシットウェ港というインドからの支援を受けて作った大型船舶が帰港できる港がある。支那もここを狙っていたという噂がある。

スー・チー政権でも続く言論規制、内戦激化のミャンマー・ラカイン州

2020年7月掲載

内戦が続くミャンマー西部ラカイン州などで、政府の指示でインターネット回線が遮断されてから、2020年6月末で1年がたった。国軍と激しい戦闘を繰り広げるラカイン族系武装勢力の「アラカン軍」の軍事利用を防ぐという理由だが、市民の自由な情報アクセスを制限していることから市民団体や欧米諸国から強い批判を浴びている。6月下旬には、ヤンゴン中心部でネット遮断に抗議した市民活動家をミャンマー当局が摘発。15年の総選挙で圧勝し、民主化の実現と軍人支配の終えんを掲げて誕生したアウン・サン・スー・チー政権だが、その民主化の在り方に懸念を示す声も強まっている。

「時事通信」より

ミャンマーの前政権では、言論統制を目的としてこの地域のインターネット通信を遮断した。その理由がナカナカ興味深い。

強い批判を受けたミャンマー外務省は今年7月8日、「アラカン軍がインターネットを介して行う攻撃や誘拐、地雷の設置などを防ぐために必要な措置で、状況が改善すれば解除する。コロナ対策には力を入れているので問題はない」などとする声明を発表。あくまで一時的な措置だと強調して火消しに躍起になっている。

「時事通信”スー・チー政権でも続く言論規制、内戦激化のミャンマー・ラカイン州”」より

「インターネットを介して行う攻撃」は理由として分かる。しかし、「誘拐」「地雷の設置」はインターネットと何の関係があるのだろうか。

反体制派を攻撃

実は、前政権と対立している勢力がこの地域を拠点としていたようなのだ。

しかし、その後状況は大きく変わり、現在ミャンマー国軍が激しい戦闘を繰り広げているのは、17年に衝突したロヒンギャ系武装勢力の「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」ではなく、仏教徒であるラカイン族の自治権拡大を求める武装勢力「アラカン軍」である。

ラカイン族は、ミャンマーの多数派のビルマ族と民族的に近い関係にあるが、18世紀後半までアラカン王国というビルマとは別の国だったため、独立志向が強い。1947年のビルマ独立以降、軍事政権がビルマ族中心主義的な政策を推し進め、ラカイン族の伝統的な祭りを制限するなどビルマ化を図ってきたことにも不満が大きい。

アラカン軍はこうした中で、カチン族系武装勢力の支援で2009年にカチン州で結成したとされる新興の武装勢力だ。17年の国軍とロヒンギャ系武装勢力の衝突の後の混乱に乗じて、ラカイン州やチン州に勢力を広げた。

「時事通信”スー・チー政権でも続く言論規制、内戦激化のミャンマー・ラカイン州”」より

当然ながら、国軍のトップであるミン・アウン・フライン氏は、このアラカン軍と対立する立場にあったハズなのだが、そうだとするとインターネット通信の遮断を回復させた理由はよく分からなくなってしまう。

実際に、アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)に対する掃討作戦に際しては主導的な立場で対峙したようだ。この掃討作戦では、42万人以上のロヒンギャ達がバングラディシュバングラデシュに逃走している。バングラディシュバングラデシュにとっては迷惑なことだね。

ただ、ミン・アウン・フライン氏はロヒンギャの存在そのものを認めておらず、ロヒンギャはベンガル人達だと認定しているようだ。つまり、バングラディシュバングラデシュから来た人々はバングラディシュバングラデシュに帰れと、そういう立場のようだ。

バングラディシュバングラデシュはベンガル人の国を意味するので、主張の筋は通っているとも言える。(なお、バングラデシュの宗教は9割近くがイスラム教徒で占められている模様)

ただ、ロヒンギャ側はベンガル人であることを否定はしていないようだが、イスラム教徒でもあるため、仏教主体のアラカン州の人々には受け入れられているとは言い難いようだ。現在のアラカン州で中心的な勢力を持っているアラカン軍は仏教徒の武装勢力だからね。

そして、ミャンマーにおいて主導的な立場にいるビルマ族は、今でこそビルマの名前を国号としてはいないものの、反ファシスト人民自由連盟(AFPFL)のウー・ヌ氏が1948年にビルマ連邦を建国した時に国号として「ビルマ」の名前を使っていた事も分かるように、建国当時から主力の勢力であった。ビルマ族としても仏教を信仰しているので、ロヒンギャ側よりはアラカン軍側に立つのも無理はないだろう。

なお、AFPFLのトップはアウンサンスーチー氏の父親であるアウンサン氏である事もここに言い添えておこう。

チン族はキリスト教徒?

ネット遮断の憂き目に遭ったチン族の住むチン州だが、チン族はキリスト教徒が大半を占め、仏教徒も少数いるような状況だ。

ただ、アラカン軍の勢力拡大に伴って、キリスト教徒のチン族は住む場所を追われたような情報も報道されている。

ラカイン州では、仏教徒の少数民族ラカイン人の自治権拡大を求める武装組織「アラカン軍」と国軍が激しく衝突し、これまでに死者・負傷者は数百人に上っている。戦闘は隣接するチン州にも飛び火し、キリスト教徒が多数を占めるチン人は数千人が村を追われて仮設キャンプに避難している。

「時事通信”ミャンマー2州の「世界最長」ネット遮断、クーデターで終止符”」より

チン州はとばっちりを食らった感じなのだろうか。情報が少ないので現時点では判断を保留しておきたい。

続けられる言論弾圧?

さておき、インターネット通信が回復されるに至ったため、少なくとも前政権が行っていたい言論弾圧に通ずる流れは解消されている模様。

インターネットの情報の制限という点に関しては、ミャンマー政府はラカイン州などでのネット遮断だけではなく、ミャンマー全土において一部のニュースサイトの閲覧も制限している。当局は今年3月、ポルノサイトなどと並んで、60以上のニュースサイトなどを「フェイクニュース」と指定し、国内の通信業者に接続を禁止した。これによって、内戦の情勢を伝えていたラカイン州拠点のニュースサイト「ナリンジャラ」などのサイトがミャンマー国内から閲覧できなくなっている。また同時期には、アラカン軍の広報担当者のインタビュー記事を報じたニュースサイト「ボイス・オブ・ミャンマー」の編集長がテロ組織を支援した疑いで逮捕されるなど、四つのメディアの編集者ら計4人の刑事手続きが進んでいる。

「時事通信”スー・チー政権でも続く言論規制、内戦激化のミャンマー・ラカイン州”」より

とはいえ、アウンサンスーチー氏がダメか、彼女が特別に強権的であったのか?というと、それ以前からの流れであるので、特別に強権的であったとも言いづらい。ただ、彼女がトップに座っていた時代にネット遮断を実行したことは事実だ。

更に内戦状態を伝えていたサイトが検閲されてしまったと言及されているが、これだけをとりあげて言論弾圧だと簡単に評するのは少々的ハズレな印象である。

ミャンマーでは、こうした言論や市民活動の制限はさまざまな理由で行われ、ラカイン州情勢に関連するものだけにとどまらない。ヤンゴンの市民団体アッタンの調査によれば、2016年の政権交代以降の約4年間に、表現の自由を制限する法律に抵触したとして、少なくとも1051人が訴追されている。

18年には、ラカイン州情勢を取材していたロイター通信のミャンマー人記者2人が国家機密法違反で逮捕、禁錮7年の有罪判決を受けた。また、国軍をインターネットで侮辱して刑法に違反したとして、人権派映画監督のミン・ティン・コ・コ・ジー氏も19年に逮捕され、その後有罪となっている。このほか、19年にはカレン族の民族の記念日を祝う集会を開いた民族活動家らも逮捕されるなど、デモや集会の摘発も多い。

「時事通信”スー・チー政権でも続く言論規制、内戦激化のミャンマー・ラカイン州”」より

一つ一つの事件を見ていけば、それぞれ弾圧されているようにも感じるが、複数の事件を並べていくと、ミャンマーは国家の体制維持の為に難しい舵取りをしていた様にも読み取れる。

何が正しいのか?に関しても、保留しておきたい。

建国の父と呼ばれるアウンサン氏の娘として、アウンサンスーチー氏が強権を発揮しようとしていた様子が伺えるエピソードでもあるのだが、民主化がミャンマーの幸せに繋がるかどうかもよく分からない。

それから4年余りが経過した。メディア関係者や市民活動家は、権力の座に就いたスー・チー国家顧問が言論の自由や市民活動に対して冷淡になったという思いを抱いている。記者が逮捕されていると批判されたスー・チー国家顧問は「適切な法手続きを踏んでいる」と反論してメディア関係者を失望させた。また、自分が参加する集会でプラカードを掲げた学生活動家を「ほかにも主張する方法があるだろう」と叱責したことが地元新聞の一面を飾るなど、大きな波紋を呼んだこともある。与党NLDの政治家は取材に応じないことも多く、あるジャーナリストは「前政権のほうが取材しやすかった」と不満を口にする。

「時事通信”スー・チー政権でも続く言論規制、内戦激化のミャンマー・ラカイン州”」より

クーデターを悪とすれば、現在実権を握るミン・アウン・フライン氏が悪者になるのだが、アウンサンスーチー氏が善政を敷いていたとも言い難い状況が見てとれるからね。

それぞれの利害が衝突する民族問題

結局のところ、宗教も民族も複雑に対立する構図がミャンマーでも見られ、安定的な政権維持の為には強硬手段も必要であると、そういう事なのかもしれない。

ロヒンギャ武装集団が襲撃、約100人死亡 ミャンマー

2017.08.28 Mon posted at 12:18 JST

ミャンマー西部のラカイン州で週末にかけて武装集団による襲撃が相次ぎ、国営メディアによると武装集団の約80人と治安部隊の12人、市民6人が死亡した。一連の襲撃については、武装集団「アラカン・ロヒンギャ救世軍」が犯行声明を出している。

「CNN」より

ロヒンギャだって、ただ迫害されるだけの清廉潔白な人々であるとは言えないからね。

イスラム教徒であるロヒンギャ達が過激な思想に走るというのは、ある意味当然の帰結であり、何故なら、イスレム教徒は他宗教の存在を認めないという立場を展開する人々で、強硬派は教義に従って他民族、他宗教を攻撃する傾向にある。

尤も、取り上げた事件の背景には、ラカイン州から追い立てられたロヒンギャ達の存在があるワケで、イスラム教的には「目には目を歯には歯を」と言うことになるのだろう。

興味深い事に、現在ミャンマーの実権を握るミン・アウン・フライン氏は、民主主義を否定していないし、民主化にも肯定的なのである。ただ、一時的に軍政による掌握が必要で、今はその過渡期なのであるという立場らしい。

そんなわけで、何処に結論を着地させたいか?というと、民族・宗教の問題は国際社会が口出しして解決する話ではなく、当事者の問題なのだという辺りが妥当だという辺りであろう。

したがって、直ちにミャンマーに対して圧力をかけ、アウンサンスーチー氏を釈放しろとか、そういう話は内政干渉的となるため控えた方が良いだろうと、そう思う次第だ。

コメント

  1. その国のことはその国の民が責任を持ってすることで、
    外圧で民主主義を押しつけても、ろくなことにはなりませんよね。
    お隣の国がよい見本です。

    • 中東でも散々失敗してきましたから。
      ミャンマーとはいい関係を続けて欲しいモノです。

  2. バングラデシュは英語でBangladeshなので、
    バングラデ「ィ」シュは誤り。

    • ご指摘感謝。
      訂正しておきました。

  3. 何が、誰が正しいのかなんて、物事は全てサイの目次第。
    こっちが6ならあっちは1。
    サイコロはかわらないけど、見る人によって目は違う。
    そんなもんだって事で。

    ただ、どこもかしこも、あんましいいサイコロ使ってませんよね……
    明らかにイカサマなし四五六サイ使ってるところばっかり。

    • イカサマダイスというか、金太郎飴というか。
      戦中の「大本営発表」を批判しながら、やっている事は当時と一緒ですからどうしようも無いですよね。
      当時と今とでは、仰ぐべき主が違う様ですが。