加速する在韓米軍撤退への道筋

大韓民国

今、ステージが変わろうとしている。

韓米の軍制服組トップが電話会談 作戦統制権移管の進展へ努力

2021.02.02 10:52

韓国軍制服組トップの元仁哲(ウォン・インチョル)合同参謀本部議長は2日、米軍のミリー統合参謀本部議長と電話会談した。合同参謀本部によると、両氏は米軍主導の韓米連合軍が持つ有事作戦統制権の韓国軍への移管について、昨年の新型コロナウイルス感染拡大の影響下でも双方が移管の準備に努めたことを高く評価した上で、今年も移管条件の充足に取り組み、目に見える進展を目指して努力することで一致した。

「聯合ニュース」より

記事では、作戦統制権移管の話が出ているが、この有事作戦統制権を韓国軍に移管するということは、即ち、韓国軍が北朝鮮軍と戦うということを意味する。

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目指せ!朝鮮戦争終結

有事作戦統制権

え?今までは違ったの?と疑問を持たれる方は多いと思う。

今の韓国軍の立場というのはかなり厄介で、自衛隊とは別の理由で雁字搦めとなっている。何故かというと、韓国の主敵は戦争中の相手である北朝鮮という事になっているのだが、北朝鮮と戦うためには米韓連合軍の参加で作戦を行う必要がある。韓国軍が勝手に闘いを仕掛けるなどという展開は許されていないのである。

北朝鮮側から攻撃されて、これに応戦するということは許されてはいるよう(平時)だが、作戦指揮はアメリカ軍にあるので、作戦を実行するためにはお伺いを立てる必要がある。

また、北朝鮮ではなく他の国、例えば韓国軍が仮想敵国としている日本の自衛隊や、支那の人民解放軍、或いはロシア軍と相対する場合にはどうなのか?というと、ここはアメリカ軍が当事者ではなくなるため、韓国軍単独で作戦を遂行できるだろうと思われる。

詳しくはコチラ、駐日韓国大使館のサイトに説明がされている。

戦時作戦統制権の返還問題に対する理解 상세보기|政治・安保駐日本国大韓民国大使館
일본 지역 정보, 재외국민 영사서비스, 공관 소식, 기타 생활정보 안내.

ただし、ここに示されている切り分けだと、平時と戦時の切り替えがデフコン3(デフコンIII)の発令により決定されるようで、米韓の合意によってデフコン3は発令されるとされている。

とはいえ、平時から情報はアメリカ側に引き渡されるという事が約束されていて、実質的にアメリカの判断でデフコン3は発令される可能性は高そうだ。

あ、デフコンとは、Defense Readiness Conditionの略で、アメリカ国防総省の規定のことを意味する。デフコン5が平時で、デフコン4が警戒状態。デフコン3は通常より高度な防衛準備状態を示すと定義されている。デフコン2で最高度に準じる防衛状態を差し、デフコン1が戦時を意味して核兵器の使用が許可されるレベルとなる。なお、デフコン1になったら自動的に核兵器の使用許可が出るわけではないようだ。

そして、このサイトに説明されるように、南北問題にしか焦点を当てていないので、他国との関係悪化の場合には、基本的にアメリカ軍はノータッチとなる可能性は高いだろう。アメリカ軍がアメリカの国益のために動く可能性はもちろんあるんだけどね、同盟国だから。

ムン君の任期中には返還を!

ちなみに、去年5月にはこんな記事があった。

米韓同盟の暗闘、「戦時作戦統制権」という本丸

2020年8月14日 0:00 (2020年8月14日 5:17更新)

仮に朝鮮半島が戦場になった場合、2万8500人の在韓米軍と60万人を超える韓国軍による米韓連合軍を指揮するのはだれか――。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2022年5月までの任期中に米国からの返還をめざす韓国軍の戦時作戦統制権をめぐり、米韓両国のあいだで「暗闘」が繰り広げられている。

「日本経済新聞」より

この記事によると2022年5月までにアメリカから戦時作戦統制権の返還を求めることになっているようだ。

ムン君は戦時作戦統制権の返還論者なので、政治的な成果としてアピールしたいという願いはある様だ。実際に、かつて何度も戦時作戦統制権の返還議論はあって、度々延期されてきた。その理由は、韓国軍が自身の実力を勘案して、「未だその時期ではない」として引き延ばしを図っていたからである。

ところが、現在の韓国軍はムン君の息のかかった人間が上層部を牛耳るような形になってしまっているので、多分この話はスムーズに進むことになるだろう。

アメリカ軍としても心配はあるモノの、基本的には戦時作戦統制権の返還を実現したいと考えている。その理由は簡単で、未だ戦争中とはいえ、北朝鮮が動き出せば自動的に朝鮮戦争に参加しなくてはならなくなるからだ。実は朝鮮戦争では多くのアメリカ人の若者が命を落としている。

同様に支那側も人民解放軍を失っているので、支那としても朝鮮半島に関わりたくないと考えているようなのだが、そこはさておこう。

とにかく、アメリカ軍は当事者では居たくないというのが本音で、アメリカの失敗の1つである朝鮮戦争を終わらせたいとアメリカも願っているのだ。そこを終わらせようとしていたのがトランプ氏だったのだが……、バイデン氏はどう判断するんだろうな。

戦時作戦統制権の返還と在韓米軍撤退はセット

さて、アメリカ軍としてもアメリカ政府としても、韓国との同盟まで解消しようというのではないとは思う。随分とレッドチームに入ってしまった韓国をどう思っているのか?に関しては懸念すべきだろうが、少なくとも現時点で同盟解消の心配はしなくて良いだろう。

ただ、在韓米軍の撤退は可能性が高いと思っている。

これは何故かというと、コチラの記事でも言及している。

そう、ムン君は習近平氏に対して、「朝鮮半島の非核化を実現する」と約束したのである。もちろん、任期中にということだろう。

そして、これがどう言う意味かというと、文中で説明したのだが、アメリカ軍の韓国駐留は、朝鮮半島から支那に向けて核ミサイルをぶっ放せる体制にいるよ、という脅しになる。実際には原子力潜水艦から攻撃すれば足りるのではあるが、支那に対する脅威は複数ある方が都合が良い。

またもう1つ支那が嫌がっているのがTHAADだ。

THAAD基地に工事機材搬入

2021.01.22 14:47

韓国国防部は22日、米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」が配備されている韓国南部・慶尚北道星州郡の基地に工事用機材などを積んだ車両32台を搬入した。将兵宿舎の改装に使うセメントや砂などの資材、工事による廃棄物を搬出するための車両などを基地内に運び込んだもので、同部の関係者は「(THAADの)性能改良とは関係ない」と説明している。基地の工事に反対する地元住民約50人は付近で座り込みを行い、機材の搬入中止を訴えたが、警察によって強制解散させられた。

「聯合ニュース」より

懸命に反対運動をして、配備が進まないようにしているが、この構図は沖縄にもあるよね。

こんな状態が数年間続いているのだ。

何故こんな批判が起きるのか?というと、支那からの直接的圧力があって、韓国に対する経済的な嫌がらせがなされているからであり、支那の工作員がここに入っているからでもある。

北朝鮮からのスパイもいるかも知れないが、そもそもTHAADがあっても北朝鮮としてはあまり関係がない。北朝鮮が韓国と戦うのであれば、弾道ミサイルなど撃ち込む必要性はあまりないのだ。弾道ミサイルをちらつかせることは意味があるが、むしろ直接打撃を加えるのであれば、火砲や多連装ロケット砲などで足りるわけで。

ソウルを直接狙って壊滅させれば、韓国軍の機能は麻痺するからね。

ソウルから北朝鮮との国境までは140km程度最短で30km。十分、火砲や多連装ロケット砲の届く範囲である。

では、THAADは何のため?というと、支那からのミサイルを撃ち落とす目的で配備されているのである。更に、THAADとして用いられるシステムの中には、Xバンドのフェーズドアレイレーダーが備えられていて、探知距離は1000km以上と言われている。実はこれ、台湾の「高い山」にも備えられているので、韓国に備える必要は無いとも指摘されているが、これも複数拠点がある事が望ましい。

支那にとってレーダーが増える事は嬉しく無い。だからこその米軍撤退示唆というわけだ。

連合防衛体制を更に固める

さて、冒頭のニュースではこんな文で結ばれている。

合同参謀本部は「両議長は堅固な韓米同盟を基盤に連合防衛態勢をさらに固め、維持・発展させていくことで一致した」と伝えた。今回の会談は、米国の新たな政権発足と国防長官就任を機に両議長の意思疎通を強化し、連合防衛態勢を強固にする趣旨だと説明した。

「聯合ニュース”韓米の軍制服組トップが電話会談 作戦統制権移管の進展へ努力”」より

まあ、アメリカのリップサービスだけれども、嘘は言っていないのだろう。

在韓米軍が撤退したとしても、連合防衛態勢を強固にすることは不可能ではないだろう。韓国から撤退して日本に駐留する部隊を強化するような形にすれば、明らかに北朝鮮に対する圧力は弱まるが、その事を懸念するようなムン君ではない。

日本に駐留した方が経費削減になるだけでなく、メンテナンス面での心配も不要になる。最悪、台湾からの遠征という形でも……。だって、台湾にM1エイブラムス戦車を多数配備することになった。

アメリカ海兵隊 戦車全廃か M1戦車大隊廃止 変わる戦い方 自衛隊・日本への影響は?

2020.04.11

アメリカ海兵隊から戦車部隊がなくなる模様です。

2020年3月23日(月)、アメリカ海兵隊のデービッド・バーガー総司令官が、10年以内に戦車大隊を廃止し、歩兵部隊と砲兵部隊を削減することなどを盛り込んだ、新戦略に基づく大規模再編案の概要を発表しました。2019年の夏以降進めてきた、人員・部隊・装備における再構築計画の策定作業を受けてのものです。

「乗り物ニュース」より

ついでに言うと、在韓米軍の戦車大隊は10年以内に廃止ということになっている。これが2022年になったとしても、不思議ではない。

まあ、今年度中に大きな動きがあるだろうから、注意して行きたいと思う。

コメント

  1. 記事中の「ソウルから北朝鮮との国境までは140km程度」は40kmじゃないですかね!?

    • 失礼しました。
      ご指摘感謝。
      訂正しました。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    第二次朝鮮戦争を想定してアメリカ軍が駐留し続けているのですが、その内訳は陸軍2万人・空軍0.8万人が大部分で海軍・海兵隊は合わせても500人足らずのようです。
    そしてメインの陸軍はソウルからやや離れた平沢基地に移転していて、歩兵旅団はローテーション配備となっており北朝鮮相手に投入するつもりはないと想像しています。
    空軍はF-16とA-10の2個飛行隊が隣接する烏山空軍基地に第7空軍の主力基地があります。

    北朝鮮がソウルや38度線を越えてきたら平沢基地周辺から自走砲・地対地弾などを使い、南朝鮮軍を援護するくらいじゃないでしょうか。(メインは基地侵入&攻撃を防ぐ事)
    空軍はA-10戦闘攻撃機で38度線を越えてきた敵を迎撃するくらいで、F-16はソウル防衛というより平沢基地防衛と黄海から出てくるかもしれない対支那用の様な気がします。
    第7空軍のもう一つの飛行団も黄海に面した群山空軍基地にありますし、対支那を想定していると思います。

    つまり、戦時作戦統制権の返還があろうがなかろうが、在韓米軍は北朝鮮相手は米軍基地を守るために駐留している訳で、軍事共同作戦的には半分は撤退してる様なもんで、烏山空軍基地も有事に在韓アメリカ人を国外退避させるのが主目的かもです。
    仁川空港が一番に狙われる使用不可能になるでしょうからね。

    >北朝鮮が動き出せば自動的に朝鮮戦争に参加しなくてはならなくなるからだ。実は朝鮮戦争では多くのアメリカ人の若者が命を落としている。

    仰る通りこんな恩知らずな劣等民族の為に2度とアメリカ兵の血を流してはなりません。
    ですから撤退は時間の問題でしょうが、文クンの思惑を冷たく外して任期後になるんじゃないかなァ~。(意図的な意趣返し=嫌がらせです)

    撤退と同時に再編して台湾に飛行団と地対艦ミサイル部隊・攻撃ヘリ部隊を1万人規模くらいで移転させて欲しいと考えます。

    • アメリカにとっては協力的な国に常駐する事が望ましいので、無理に韓国に兵を起き続けることは望ましくありませんね。
      実際に、その戦力は削られつつけているようで、現常駐戦力で、有事に対処することは困難でしょう。一時的な時間稼ぎを意図した構成のように思われます。
      ただ、段階的な撤退というのはナカナカ難しいと思われますから、アメリカも何処かで決断をしないといけませんね。それがいつになるのやら。

  3. 北朝鮮単体に兵站を維持しながら、韓国を占領する力が在るのでしょうか?
    米軍が撤退しても、空母艦載機から、補給線を空爆すれば済むのでは?

    • 僕の分析では、北朝鮮は韓国の領土を我が物とする積もりは当面は無いと思いますよ。
      何しろ、現状、自分の国土を維持するだけでも精一杯なのですから。
      韓国側に、鉱物資源や肥沃な大地でもあれば別なのでしょうけれど、どちらも残念な感じなのですよね。

      したがって、ご指摘の様に米軍の撤退は、対北朝鮮という意味ではほとんど関係ないのかなと思ってはいます。
      米軍としては寧ろ、ロシアや支那まで届くレーダー基地などを保有して起きたいという狙いなのでは?と。それができなければ、とにかく店仕舞いを早いところやりたいのでしょう。