「馬鹿につける薬はない」という言葉が頭をよぎったのだが、あの事件、彼らの記憶の中ではどうなっているのかねぇ。
防衛省が韓国国防白書に抗議 自衛隊機へのレーダー照射問題記述巡り
毎日新聞2021年2月2日 23時18分(最終更新 2月2日 23時18分)
防衛省の石川武報道官は2日、韓国国防省が同日付けで発表した国防白書(2020年版)で韓国軍艦による自衛隊機へのレーダー照射問題に関する記述について、在京韓国大使館の駐在武官に抗議したことを明かした。「日本として受け入れられず、極めて遺憾。日本の立場を伝え、強く抗議した」と述べた。
「毎日新聞」より
しかし、韓国の姿勢もアレだが、毎日新聞もどうなのよ。これ、引用した部分だけでも内容は理解できないが、引用しない部分を含めても意味が分からない。この報道の意味がどれほどあるのかと。
レーダー照射問題
事実をごまかす新聞
さて、毎日新聞の記事が意味が分からないのは、実は時事通信の記事そのままで手を加えていないからだと思ったのだが、そうでもなかったらしい。
韓国国防白書めぐり抗議 防衛省
2021年02月02日18時41分
防衛省は2日、韓国国防省が同日公表した2020年版国防白書の記述について「日本の立場と相いれない」として在京韓国大使館の駐在武官を呼び、事務レベルで強く抗議した。問題視しているのは島根県・竹島の領有権や18年末の海上自衛隊機に対するレーダー照射に関する記述。防衛省の石川武報道官が記者会見で明らかにした。
「時事通信」より
情報不足なのは同じだが、文面は違う。
防衛省、韓国国防白書の記述に抗議 レーダー照射など
2021.2.2 19:33
防衛省の石川武報道官は2日の記者会見で、韓国国防省が発表した2020年版国防白書に、韓国海軍による火器管制レーダー照射問題などをめぐり「事実をごまかした一方的な発表で両国関係が難航した」と記述したことに関し、韓国側に抗議したと明らかにした。
「産経新聞」より
産経新聞がちょっとマシだったのかな。問題視した内容が記載されているからね。
前日公開された2020年国防白書は、日本について「一部の日本の政治指導者たちの歪曲された歴史認識と独島に対する領有権主張をはじめ、2018年12月、救助活動中だった韓国艦艇に対する日本の哨戒機の威嚇近接飛行、そして当時の状況についての事実を糊塗する一方的なメディア報道で、両国の国防関係は難航しており、2019年7月に日本が安保上の問題を理由に韓国に取った輸出規制措置は両国の国防関係の未来志向的発展に障害要素となっている」と記している。
「ハンギョレ」より
まっとうに内容が書いてあったのがハンギョレだったというのは、何とも情けない。
しかし……、威嚇飛行したっけ?P1哨戒機は。
何が起こったのか
このブログでは過去にこれについて言及した事があるのだけれど、軽くしか触れていないので、一度簡単に整理しておいたほうがいいかもしれない。
事件が発生したのは平成30年:2018年12月20日のこと。
この頃、北朝鮮はアメリカから経済制裁を受けて必要な物資が手に入らずに苦労していた。そこで、北朝鮮の船舶が「せどり」と呼ばれる方法で、物資を手に入れようとしていた。これは洋上での荷物の受け渡しをすることで、不正な輸出入を実現しようとするものだった。
当然、西側諸国はこれを監視し、摘発しようとしていたのだが、韓国政府はその方針に反対し、監視団に参加しようとはしなかった。
そして日本のP1哨戒機は、その当日、能登半島沖を飛行中に韓国海軍の駆逐艦「広開土大王」とその近くに韓国の警備救難艦、さらに国籍不明のゴムボート(後に北朝鮮のものであったと報じられている)を発見。

状況を確認するためにこの駆逐艦の周囲を旋回して飛行しながら写真撮影を行ったところ、広開土大王号から複数回の火器管制レーダーの照射を受けた。
これが日本側の主張する事件のあらましである。
その様子は、自衛隊が公開したビデオからも理解できる。
韓国側からの反論
ところで、飛行中の航空機に対する火器管制レーダーの照射がいかなる意味を持つか、であるが、防衛省のサイトを引用しておきたい。
火器管制レーダーの照射は、火器の使用に先立って実施する行為であり、他国の航空機に向けて、合理的な理由もなく照射することは、不測の事態を招きかねない極めて危険な行為です。
我が国や韓国を含む21か国の海軍等が、2014年に採択したCUES(Code for Unplanned Encounters at Sea(洋上で不慮の遭遇をした場合の行動基準))では、こうした行為は攻撃の模擬とされ、指揮官が回避すべき動作の一つとして規定されています。
「防衛省・自衛隊のサイト」より
要は、韓国側から自衛隊に対して「戦闘開始宣言をした」のと同等の行為を行ったという事案である。
こうした点について、韓国側からの反応はこんなものだった。
- 哨戒機を追跡する目的ではない
- 北朝鮮の遭難船のためにレーダーを稼働したのを日本側が誤解した
- レーダー照射はしていない
- 日本の哨戒機が威嚇飛行をした
- 荒天で波が高く、自衛隊側から発した無線連絡が一切聞き取れなかった
- 救助活動中であり、その救助活動を邪魔した自衛隊こそ避難されるべきだ
荒唐無稽で矛盾した内容で、意味がよくわからない。更に、韓国側が公開した動画が噴飯ものであった。
主張だけ並べて、根拠となるような内容が見当たらないのである。意味がわからない。
不都合な真実
結局の所、韓国側は事実を認めることは困るからこそ、事実を歪曲して伝えようとするのである。
何をやっていたかは定かではないが、少なくとも救助活動をしていたわけではなさそうだ。そもそも、韓国の海洋警察と韓国海軍の両方が船を出していたのだから、単なる救助活動ということは考えにくい。何しろ、駆逐艦「広開土大王」といえば、韓国の虎の子韓国版イージス艦で、韓国海軍最強の装備品である。駆逐艦である。(注:韓国版イージス艦といえば、世宗大王級駆逐艦である)
何故、そんな艦船をわざわざ出してきたのか意味がわからない。無線からの呼びかけを無視した理由も不明である。
そこには西側諸国に明らかにされると不都合な真実があったということが容易に想像されるのだが、さて、一体何をやっていたんでしょうねぇ?
大物の北朝鮮高官が亡命をしてきていたという噂もあったり、せどりをやっていたという噂もあるが、何れも決め手にかける説明である。
何をやっていたのかを明確に説明し、どんな理由があったにせよ、火器管制レーダーのを照射してきた事実を覆すことはできないので、関係者を処分の上、日本に対して謝罪すべきだ。
……だけど、韓国は日本に対して謝罪したら死ぬ病気なので、なかなかそれは難しいかもしれないが。
コメント
思い出すのも嫌な事件ですがけっして忘れてはならないし、日本は事とあるごとに正式な謝罪を要求すべきですね。
P-1は対艦ミサイル・魚雷・爆弾を装備できますが、「今度やったら躊躇なく攻撃する」くらい言ってもバチは当たらないとおもうけどなァ~。
>要は、韓国側から自衛隊に対して「戦闘開始宣言をした」のと同等の行為を行ったという事案である。
言い訳は何度も変わり支離滅裂でそのエビデンスもゼロなんですから本当にタチが悪すぎます。
>何しろ、駆逐艦「広開土大王」といえば、韓国の虎の子韓国版イージス艦で、韓国海軍最強の装備品である。
国産初のミサイル駆逐艦ですがイージス艦ではないと思います。
それに2年くらいの間に戦闘システムが24回も原因不明のシャットダウンなんて笑いも提供してくれてますんで、「最強の装備品」とはいえないんじゃないかなァ~。
「思い出すのも嫌」という点は同感です。
これが共同作戦を行うはずのパートナーだったという現実を考えると、日本国憲法の前文の如何に虚しいことか。
あ、「広開土大王」の件、ご指摘ありがとうございます。世宗大王級駆逐艦と勘違いしていました。
自国の戦艦に「王」とかつけるのは韓国くらいかなと思ったら、イギリスの旗艦は空母クイーンエリザベスでしたね。
確認不足でありました。