パナソニックが太陽光パネルの生産から撤退

電力

日本のメーカーが太陽光発電から撤退する。

パナソニック、太陽電池の生産撤退 採算悪化、来年度中に

2021年01月31日11時36分

パナソニックが太陽電池の生産から撤退する方針を固めたことが31日、分かった。2021年度中にマレーシア工場や島根工場(島根県雲南市)での生産を終了する。中国メーカーなど海外勢との価格競争が激しくなり、採算が悪化していた。

「時事通信」より

数年前から、この業界はかなり厳しい状況だと伝えられていたけれども、この段階で撤退というのはなんともね。「今後、環境に配慮した発電」を目指していく方針だけにね。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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採算がとれない

最後の砦も守れず

一時期は、世界的にも大きなシェアを持っていた国内メーカーだが、今は見る影もない。

このグラフは太陽光パネルの世界出荷量シェアで、2007年と2017年を比較したものだ。

そして、2019年の世界シェアはこうなっている。

日本のメーカーは、アジア勢に飲み込まれて撤退という流れとなり、最後の砦である国内シェアですら守れない状況になっている。

土俵際の国内太陽電池メーカー、起死回生託す“最後のとりで”

2019年04月05日

日本の太陽電池メーカーが苦境に立たされている。2000年代初めに世界市場を席巻した日本メーカーはシェアを後退させ、牙城だった国内市場でも海外勢とのシェア逆転が迫る“土俵際”まで追い込まれた。最後のとりでが住宅用太陽電池だ。太陽電池と他の機器を組み合わせて家全体のエネルギーを最適化するシステムに起死回生を託す。

「ニュースイッチ」より

2019年の時点で崖っぷちという表現だったが、崖から落ちたメーカーがいるというわけだ。

国内シェアも5割を切る

なぜそんな事になっているのか?といえば、端的に言えば価格だ。

2019年には5割を切る水準になっていたが、その状況はさらに進んでいる。

それが12年に再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買い取り制度(FIT)が始まると勢力図が一変した。需要を見込んだ海外勢が雪崩を打って日本市場に参入し、世界大手が顔をそろえた。FITによって建設ラッシュが起きた大規模太陽光発電所(メガソーラー)は太陽光パネルが数十万枚と搭載されるため、コスト力のある海外製が独占した。それでも日本メーカーには余裕があった。「日本企業には技術力があり、性能では負けない」という声が多く聞かれていた。

「ニュースイッチ」より

なぜそういう事になったのか?というと、実は民主党政権時代に推進されたFIT(電気の固定価格買い取り制度)によって市場が荒らされてしまったのである。

日本メーカーの技術革新が途絶えていると感じる関係者は多い。カナディアン・ソーラー・ジャパン(東京都新宿区)の山本豊社長は「日本の技術は2世代遅れの印象。残念ながら研究・開発への投資をほとんどしていないのでは」と指摘する。山本社長は中国メーカーの日本法人代表も含め10年以上、日本の業界に精通する。

「ニュースイッチ」より

更に悪いことに、技術開発が進まずに、日本国内のメーカーの技術は周回遅れになってしまった。今後、国内のFIT制度が見直された影響でさらに市場は縮小すると思われるので、パナソニックの撤退は英断だったとも言えよう。

何が問題だったのか

さて、FITだけを悪者にしても仕方がないので、どういうことなのかを少し考えていきたい。

先ずは、国内の販売額が減っているという現実がある。

国内の太陽光市場、2018年度は5460億円、2030年には3840億円まで縮小、富士経済が予測

2018年07月18日

~~略~~

2017年度は、改正FIT法の施行に伴う混乱が生じました(認定の遅れや、施工・販売側で法改正の対応に追われるなど)。その影響を工期が短い住宅用や低圧用が受け、2016年度と比較し市場は縮小しました。

2018年度は出力ベースで7800MW、金額ベースで5460億円の市場規模となりました。2018年度以降は市場が縮小傾向にあり、出力ベースでは6000から7000MWで推移すると予想しています。金額ベースでは、2030年度を3840億円と見込んでおり、2018年度の約70%になると分析しています。

「新電力ネット」より

FITの見直しが影響しているという分析である。

これは金額ベーツの傾向なので、単価が安くなっていることも影響があると考えるべきだろう。

実は世界的に見て、先進国での太陽光パネルの販売額は減っている。発展途上の国では増えているらしいんだけどね。

ただし、トータルで見ると増える傾向に。

太陽光発電の世界市場、2027年に7,681億米ドル規模へ到達見込み

2020年03月02日 12:00

株式会社グローバルインフォメーションは、市場調査レポート「世界の太陽光発電市場:用途、コンポーネント別の予測(2027年まで)」(The Insight Partners発行)の販売を3月2日より開始いたしました。

【予測期間中CAGR19.8%で拡大見込み:政府の支援政策が市場の成長を後押し】

The Insight Partnersによると、世界の太陽光発電市場は、2018年に1,539億9,000万米ドル規模に達し、2027年には7,681億米ドルに到達すると予想されています。予測期間中、同市場はCAGR19.8%で成長する見込みです。当レポートでは、市場の成長促進要因および市場の著名なプレーヤーに関する情報を提供しております。

「Dream News」より

傾向的には薄利多売という方向にくので、日本のメーカーは更に苦戦を強いられることになるんだね。

FIT見直しの是非

ちなみに、日本国内でこのように苦戦が続く背景には、FIT制度の見直しが影響したという分析がある。上で言及したようにFIT導入で大きなダメージを負ったと考えてはいるが、FIT制度が見直されていけば同然ながらメーカーにも影響があるだろう。

太陽光発電の価格が下がってきていることは、グラフを見れば明らかである。しかし、太陽光発電システムの導入には一般的な家庭でも100万以上(100万~200万程度とされているが、補助金制度を使っても100万円以下は難しい)の負担が必要なので、売電価格が下がれば「元を取る」ことは困難だろう。

太陽光パネルは住宅にダメージを

更に、日本において太陽こパネルを住宅に設置することはデメリットにもなりうる。

屋根の上にガラス製品を置くのだから、落下してこれば怪我では済まない。実際に台風で飛んでしまった、割れてしまったというケースもあるので、それなりのリスクが有ることは承知する必要がある。

また、屋根の上に重量物を置くということは、地震発生の際にはデメリットとなりうる(揺れを増幅するという研究がある)ので、家の構造にも考慮が必要である。

更に、光害という事がまれに起こるようになってきて、反射した光が他の建物に影響を与えないようにする必要があるため、マンションの住人から苦情を言われうような事態も想定しておく必要がある。

電気代が高くなる?

あとは、これを国内に普及させるためにかなり無理な普及のさせ方をしたことも問題だと思う。

制度の概要|固定価格買取制度|なっとく!再生可能エネルギー
地球環境に対して負荷の少ない自然界のエネ...

こちらのサイトで「再エネ割賦金」に関する説明がある。

要は、一般家庭の電気料金に上乗せして、電力買取の原資としているのだ。その額は、2020年の時点で、年間で1万円程度の負担となっている状態であり、今後も値段は上がる予定である。

ここまで国民に負担をさせて、太陽光発電を推進する意味がどこにあるのか?という話になりはしないか?だって、その大半は支那のメーカーの利益になるんだぜ。

パナソニックの決断が英断だったかどうかは分からないが、日本での先行きが厳しいのは事実である。かといって世界に売っていくこともまた難しい。

国内の太陽光発電は更に増やすのは悪手

こんな感じなので、今後さらに国内の太陽光パネルメーカーは厳しい状況に追い込まれるだろう。

そんな中、国産に拘れと言うつもりはないのだが、「環境に配慮した」とは一体いかなる意味なのかは問い直す必要がある。

火力発電は化石燃料を燃やすからヤメロとか、原子力発電は危ないからヤメロとか、メディアを始めとして割とそういった風潮があるのだが、いくらなんでもちょっと無計画に過ぎる意見だろう。

極端な意見として、国産の太陽光パネルを各家庭に国費で設置するなどという話も目にしたことがったが、なんの意味もない意見であることは、ちょっと考えればわかるだろう。

太陽光発電にしても風力発電にしても、再生可能エネルギー発電の大半は自然環境に大きく依存する。天候にも左右されるし、地形にも影響を受けるのだ。不安定な発電手段を増やしたところで、どこかで調整をする必要がある。

現状ではその調整役を火力発電が賄っているだけに、再生可能エネルギー発電の推進は更にその不安定さを加速するに過ぎず、また限界もある。ヨーロッパのように、複数の国で電力融通を行えるような環境であれば、再生可能エネルギー発電の割合を増やすことも可能だろうが、日本ではせいぜい3割程度が関の山だろう。

それでも日本の成長、経済的にでも技術的にでもなんでもいいが、そうした成長が見込めるならまだしも、現実的には再生可能エネルギー発電の技術を突き詰めたところで、ある程度の性能で安価なものが市場を席巻してしまうだろう。

政策転換が必要

太陽光パネル製造事業から他社も撤退していけば、更にその状況は加速していくはずだ。だが、事は日本のエネルギー政策に関わる話である。少なくともこの状況を座視しながら二酸化炭素排出量削減を推進していくには無理がある。

再生可能エネルギー発電の推進に無理があるのだからそこを改めるか、海洋資源の開発を急がせて早急に安価な燃料を海から採掘できるようにするか……。

どちらもあまり現実的ではないように思う。

もちろん、どちらもトライするのは構わないが、当面は日本の経済を悪化させないように安価な電力供給を実現することが先決だろう。

ただ、太陽光パネルの市場を守ることは難しそうである。補助金を突っ込んで産業を活性化するやり方は、大抵うまく行かないしね。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    築20年の我が家には年がら年中、外壁塗装と太陽光発電のセールスが訪れます。
    大半は「身内に業者がいるからよそは使わない-外壁-」、「瓦に負担が掛かるし初期費用を回収できるとは思わないから不要-太陽光-」と断り文句を決めています。

    しかし、つい先日「ソーラーメイト」なる提案を受けました。
    なんと、初期費用・工事費無料・リース料無料というのがウリで(リース契約式で10年後に無償譲渡)、レネックス電力なる業者に毎月電気代を支払う仕組みです。

    試しにシュミレーションしてもらったら毎月の電気代は500円弱高くなりますが、木霊さんご指摘の通り大手の電気代は今後も高くなってくるようで、10年以降は深夜料金のみを電力会社に支払いますがレネックスには支払いゼロって内容で結果大幅な電気代削減でした。

    使うソーラはQセルズ製(元はドイツで今は韓国製?)の様です。
    設備費無料のカラクリは政府の助成金目当てで、それで十分にビジネスが成り立つらしい...。

    なんか政府の政策が大迷走を始めたって印象を強くしていますが、パナソニックはそんな付け焼刃的政策に愛想を尽かしたんじゃないかなァ~。
    一時はシャープが市場を席巻していましたが、支那など相手に価格競争力勝負には勝てるはずはなく、撤退の勇断は正解だと思いますね。

    >現状ではその調整役を火力発電が賄っているだけに、再生可能エネルギー発電の推進は更にその不安定さを加速するに過ぎず、また限界もある。

    結局はこれをどう解決するかに尽きるという事かな。

    • そうですか、住宅に対するセールスは色々とあるのですね。
      「ソーラーメイト」に関しては、中身がよく分かりませんが……。
      簡単にいうと屋根を貸して電力で商売しようという考え方のもののようですね。ここで問題となるのは、太陽光発電システムの故障とその保険ですかね。あとは、10年後の買い取りかな?
      割と太陽光発電システムは故障が発生しがちで、我が家でも採用していますが2回故障しています。故障すると当然電力を生産出来ませんから、如何に早く修理がなされるか?というところがポイントになるんですが……、ハンファがしっかり修理してくれるか?はちょっと分かりません。買い取りに関しても、よく分からないですね。