ちょっと興味深いニュースがあったので触れておきたい。
コロナを「99.99%」不活化 殺菌用LEDを量産へ
12/23(水) 11:06
発光ダイオ―ド(LED)大手の日亜化学工業(徳島県阿南市)は、LEDで紫外線を照射して新型コロナウイルスを不活化して殺菌にも利用できる装置を開発したと発表した。一定の条件下で99・99%の不活化効果があると実証され量産体制を整えたという。
「朝日新聞」より
日亜価格といえば、青色発光ダイオードで有名なのだが、その後で訴訟に巻き込まれたことでも有名だね。
殺菌灯がLEDで
殺菌灯は以前からあったが
さてさて、殺菌灯というのをご存じだろうか?
今、医療機関を訪れると、スリッパの殺菌のために採用しているところがあって、扉のあるスリッパ専用の靴箱にスリッパを入れると、扉を閉めたタイミングで点灯し、数分程度で殺菌を行うというあれだ。
場合によってはハンドドライヤーに採用されているケースもあるね。
ともあれ、青白い光を出しているアレなのだが、その正体は紫外線で水銀のスペクトル線のうち、253.7nm付近のものが殺菌力が強く、この波長の光を出す蛍光灯などを使って、殺菌をしている。実は、この殺菌のメカニズムは、最近細胞内の核酸に作用して、DNAを損傷することで細菌を無力化する。
日亜化学が作ったのは、LEDを使った殺菌灯であり、特に武漢ウイルスに効果が確認出来たという話。折角なので日亜化学のプレスリリースも紹介しておこう。
プレスリリース
2020.12.17
当社製深紫外LEDの新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する不活化効果(99.99%)について
日亜化学工業株式会社(本社:徳島県阿南市、社長:小川裕義 以下「当社」)は、当社製280nm深紫外LEDを用いた実験において新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の不活化効果(99.99%)を確認しましたので、下記のとおりお知らせいたします。
「日亜化学サイト」より
まあ、実験したら効果がありました、程度のニュースで、これ自体は当然と言えば当然である。
照射時間 | 不活化効果 |
---|---|
30秒 | 99.99% |
10秒 | 98.42% |
5秒 | 93.28% |
5秒照射しただけでも不活性化の効果が期待できるが、30秒で99.99%まで効果が期待できますよという内容である。
流水で手洗いを行った場合でも、15秒で99%の不活化効果が期待できるので、驚くほど有効!ということでもないが、光を照射するだけで効果があると言うところにニーズがあるのは間違い無いだろう。
人に直接照射してはいけない
ただし、この手のメカニズムでは、効果を高めるために強い光を使う。
流水で手洗いをした場合や消毒用アルコールでも同程度の不活化効果があるとされるが、試作機の距離を殺菌対象から数ミリまで近づければ一瞬で同じ効果が得られる。このため、空気清浄機やエアコンなど家電の内部に取り付けたり、紙類などの消毒に活用できたりする可能性がある。ただし人体への影響を考慮すると、肌に直接照射することは困難という。
「朝日新聞”コロナを「99.99%」不活化 殺菌用LEDを量産へ”」より
そのため、人体に直接照射という用途には不向きで、ハンドドライヤーに組み込む等という使い方も難しい。しかし一方で、記事にもあるように空気清浄機やエアコンに組み込めば、確実に武漢ウイルス(それ以外のコロナウイルスにも当然効果がある)を不活化することができる。
紫外線LEDは、波長が短くなると出力、寿命等の性能が低下し、電力変換効率(WPE)が極端に低くなる特性を持っております。これが、280nm品の高い出力と長寿命につながっていると考えております。
「日亜化学サイト”プレスリリース”」より
今回の注目すべき点は、寿命と効果のバランスがとれるということが確認できたと言うことである。
そうなってくると、この話、冬季でも「換気をしなければならない」という制限が緩和されることもあって、空気清浄機1つ導入すれば良いという事になってくる。
まあ、直接的につばを飛ばして飛沫感染という事がありうるので、飲食業界の救いの光にならないのは残念な事ではあるが、食器などを消毒することが簡易にできるという点は多少は救いになるかもしれない。
ワクチンの開発意外にも、こうした取り組みが続けられていることはありがたいことだね。
コメント
お疲れさまです。
加湿器で室内の湿度を30%以上にすると、空気中の浮遊ウイルスが霧に付着して下に落ちる効果があるとの研究結果が出てますが、空気清浄加湿器に採用されるかもしれませんね。
ちなみに床やテーブル等に落ちたウイルスはアルコールで清拭をしないとダメです。(ここ味噌ポイントです)
ほほう、湿度に関する情報はどこかで見た記憶がありますが、30%以上でしたっけ?40%以上としているサイトも結構あるようです。
湿度が低くても効果があるのであればありがたいですね。特に冬季は乾燥し易いですから。
ただ……、武漢肺炎騒ぎは梅雨の時期も無くならなかったので(とはいえ、5月末から7月初旬までは陽性判定者は殆ど居なかったのは事実です)、湿度だけで問題解決というのは難しそうですが、様々な感染症の対策として湿度維持すると言うことは結構大切のような気がしています。
そして、落下したウイルスは清拭が必須ですか。この辺りもしっかりやっておきたいですね。
そういう意味では、空気清浄機に組み込まれて不活化が期待出来るLED殺菌灯というのは、救世主になり得るかもしれませんね。