福島沖プロジェクト、浮体式風力発電の残念な撤退

電力

研究開発を主眼に置いていたとは言え、残念な事だね。

福島の洋上風力発電、全撤退へ

2020/12/12 21:07 (JST)12/13 12:49 (JST)

政府が、福島県沖に設置した浮体式洋上風力発電施設を全て撤去する方針を固めたことが12日、関係者への取材で分かった。東京電力福島第1原発事故からの復興の象徴と位置付けて計約600億円を投じた事業で、民間への譲渡を模索していたが、採算が見込めないと判断した。経済産業省は、来年度予算の概算要求に撤去関連費50億円を盛り込んだ。再生可能エネルギー関連の産業を推進する福島県にも痛手となりそうだ。

「共同通信」より

先日、記事で触れていただけに、政府は何をやっているのかと。

何というか、何のために実証研究事業をやったのかと。

福島浮体式洋上ウィンドファーム

この実証研究事業に関しては、国内の名だたるメーカーが名を連ねていた。

福島浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業について

丸紅株式会社(プロジェクトインテグレータ)、東京大学(テクニカルアドバイザー)、三菱重工業株式会社、ジャパンマリンユナイテッド株式会社、三井造船株式会社、新日鐵住金株式会社、株式会社日立製作所、古河電気工業株式会社、清水建設株式会社及び、みずほ情報総研株式会社からなるコンソーシアムは、経済産業省からの委託事業として浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業を推進しています。

「福島洋上風力コンソーシアム」より

そして、その結果どうだったのか?というとこちらのサイトに紹介されている。

http://www.fukushima-forward.jp/magazine/pdf/magazine009.pdf

3機の異なる出力の洋上風車を用いての壮大な実験であり、その結果は成功であれ失敗であれ貴重なデータではある。

まずは2MWタイプの風車だが、設備利用率(全発電量(kWh/月)/{定格出力(kW)×24時間×月間日数})という計算式で示されるもので、フル稼働した理論上の発電量と実際の発電量の割合を示す数字となっている。

いわゆる稼働率というヤツだ。

ちなみに、太陽光発電の指標は13%、地熱発電70%、火力発電80%、水力発電19%、原子力発電で20%といった感じであることを考えれば、まあまあ優秀だと言えよう。

なお、利用稼働率の方は点検やメンテナンスによる停止時間を差し引いているため、9割以上の稼働率が実現できていることは安定性という意味でも価値があると思われる。

高出力タイプには難あり

ところで、2MW風車は世界的なスタンダードが1.5MW、2.5MWという数字であることを考えると、安定性の高い2MWタイプの風車をたくさん作れば?という気はするのだけれど、現実問題そう簡単な話でもないようで。

世界でも洋上風力発電に採用される風車は3.6MW程度のものが多いらしいが、近年は5~6MWの風車が採用される傾向にあるという。

風車は大きくなればブレードの直径が大きくなるために、低コストでの発電が可能となる。これは単純にブレードが大きくなれば、ブレードの面積が広くなるため、風から得られるエネルギーも大きくなるという幾何学的な話で、理論上は風車を大きくすれば発電量は上がるハズなのだ。

ところが……、これが上手くない。

7KWタイプと5KWタイプの風車では、設備利用率も利用稼働率も低下してしまったという残念な結果に。そして、その理由は頻繁にトラブルが発生したために設備が動かせなかったことと、そもそも技術力不足だったのか、点検やメンテナンスの時間を除外してもまともに動いていない時間があったようなのだ。

特に5MWタイプは割と意欲的なプロジェクトだったようだが、なんというか残念極まりない感じだ。

http://www.fukushima-forward.jp/reference/pdf/study016.pdf

簡単に言うと、「発電コスト高すぎ!」ということになる。実証ベースの発電単価は57.3円/kWhという残念な状況に。そりゃ、コストに見合わないという結論になるよね。

民間への譲渡を模索

当初の構想では、ある程度の採算が見込めるよ、というデータを得た上で、民間企業に安く払い下げるぜ、という絵に描いた餅を夢見ていたのだけれども、当てが外れた形となった。

50億円の予算を付けて完全撤去ということになったようだね。

……ちょっとまって!!

先日の記事で紹介した時には、海外のメーカーに依頼をするよ、という事になっている。

民間に丸投げして採算事業にさせようという狙いなのだけれど、海外の経験豊富なメーカーに依頼して洋上風力発電を推進しようという……。

バカなのか?キミタチは。

コレの関連の報告書を読んだけどさ。良さそうなことが書いてあったけれども、結果的にネックになるのはメンテナンスや稼働率の確保という話だった。つまり、日本でやるのは成功率が低いという事に。

……海外のメーカーが優れたノウハウをもっている、というのは幻想だよ?確かにノウハウはあるのだろうけれど、それが日本の海に適用できるかは不明だ。それを敢えてリスク高めでトライして貰うという話になるので、これはちょっと困った墓標が海に沢山作られるみたいな悲劇が出来上がるんじゃ無いのかな?

日本のメーカーが優れている等という妄言を吐く気はないけれど、過去の事例を考えると日本で外国メーカーにお願いして事業を展開すると、失敗するフラグなんでは?

コメント

  1. >何というか、何のために実証研究事業をやったのかと。

    それについては、12/17の記事がありました

    ソース)ZAKZAK「民主党政権の“負の遺産”福島沖風力発電を全撤去 約600億円投入も採算合わず」
    >東京電力福島第1原発事故からの復興の象徴として、民主党政権時に事業化が決まり、
    >約600億円が投じられていた。

    「象徴」・・・ここが問題かと。

    • あちゃー……。
      民主党政権の置き土産というのは、本当にクソですね。
      何でもかんでもダメとは言いたくないのだけれど、大半がこうした話になっています。

      ただ、やったことそのものは間違いとまでは言えないと思うし、お金を使ったのだからそのデータはしっかり反映した政策を行って欲しい。
      それは、菅義偉政権の課題ですね。