地対艦ミサイルの開発費を増やして飛距離を増大

防衛政策

「大幅増大」で330億円程度とは。

地対艦弾の開発費、大幅増額へ

2020年12月7日9:40 午後

政府は、陸上自衛隊の12式地対艦誘導弾の射程を現行より伸ばす方針を固めた。2021年度予算案で概算要求の27億円の開発費を大幅増額して330億円超にする方向で調整している。沖縄県・宮古島駐屯地への配備を想定。尖閣諸島周辺で中国との緊張状態が続く中、南西諸島防衛を強化する狙い。複数の政府関係者が7日、明らかにした。

「ロイター」より

12式地対艦誘導弾の射程距離は百数十kmという事になっている。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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地対艦ミサイルの配備は宮古島などに

射程は2倍以上?

12式地対艦誘導弾は、元々射程を伸ばす計画があったので、それに予算が付いたからと言ってそれ程驚くことでもない。

12式地対艦誘導弾は平成24年(2012年)から調達が開始されたミサイルで、平成28年(2016年)には射程を伸ばして沖縄の島嶼部に配備する予定があった。

尖閣防衛ミサイル開発 23年度目標宮古島などに配備

2016年08月14日 07時21分

政府は、沖縄県・尖閣諸島などの離島防衛を強化するため、新型の地対艦ミサイルを開発する方針を固めた。飛距離300Kmを想定している。宮古島など先島諸島の主要な島に配備する方針で、尖閣諸島の領海までを射程に入れる。2017年度予算の防衛省の概算要求に開発費を盛り込み、23年度頃の配備を目指す。

「讀賣新聞:リンク切れ」より

実際に令和5年(2023年)には配備される予定だとして報じられていたのだが、あと3年で実現する為には流石に今年くらいには予算が付かないと話にならない。

当初の予定では射程は300km程度にするという構想であった。

宮古島に配備するとなると、実に絶妙な感じの設定になっている。

宮古島に配備する理由

そして、この宮古島にミサイルを配備する理由は、冒頭のニュースにも触れられている。

4月に中国海軍の空母「遼寧」を含む6隻が沖縄本島と宮古島の間を抜けて航行するのが確認され、政府は東シナ海での中国の軍事活動に対する懸念を強めている。尖閣周辺では中国公船の動きが活発化しており、中国の艦艇への対応が急務となっていた。

「ロイター”地対艦弾の開発費、大幅増額へ”」より

宮古海峡と呼ばれるこの場所を、支那の空母がウロウロするニュースは何度か報じられているが、無害通航の場合は、コレを止める事は難しい。

沖縄本島と宮古島間を通過 中国空母 この海域で往復初

2020年4月28日

今月、沖縄本島と宮古島の間の海域を通過して東シナ海から太平洋に出た中国海軍の空母などが28日午前、同じ海域を通過して東シナ海に戻りました。中国の空母がこの海域を往復したのが確認されたのは初めてで、防衛省は航行の目的を分析するとともに、警戒と監視を続けています。

「NHKニュース」より

日本にとっては屈辱的な話ではあるが、今のところこれに対抗する手段に乏しいのは現実だ。

このニュースには、「中国の空母が沖縄本島と宮古島の間の海域を通過したのは5回目で、往復したのが確認されたのは初めて」と書かれているが、徹底的に馬鹿にされている様子がよく分かる。

こうした行動をとられることは日本にとっては脅威であるので、ミサイルを配備して「通れるものならいつでもどうぞ」という体制にしておかないと、ここを拠点として艦載機を飛ばされても困るのだ。

こんな感じの構想図が出されているが、この手のミサイルで「常に狙われている」状況であれば、支那としてもやりにくくなるのは確実である。

支那としても困る配備

もちろん、支那にとってこの様なミサイル配備は困る。

陸自、宮古島にミサイル部隊配置 中国艦船けん制

2020年03月26日19時41分

陸上自衛隊は26日、南西諸島防衛強化の一環で、宮古島駐屯地(沖縄県宮古島市)に地対艦、地対空両ミサイル部隊の約240人を配備したと発表した。同駐屯地の規模は警備部隊などと合わせ計約700人となった。

「時事通信」より

既に配備されているミサイル部隊に対して、支那としては強烈な嫌がらせを考えているようだが、それはこの部分が支那にとってのチョークポイントになるという理由がある。

「私が基地に反対する女性だから…」宮古島の前市議が記事削除求め提訴 産経新聞は「名誉毀損に当たらず」

2020年11月25日 21時55分

沖縄県の前宮古島市議、石嶺香織さん(40)が25日、東京都内で記者会見し、産経新聞に事実と異なる内容の記事をインターネットに掲載されたとして、同社を相手に記事の削除と220万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴したことを明らかにした。宮古島への自衛隊基地建設に反対していた石嶺さんは「産経新聞が自社の思想にそぐわない行動をする議員や市民に社会・政治的影響を及ぼすのを目的に、マスメディアの持つ権力を乱用している」と批判した。一方、産経新聞広報部は東京新聞の取材に「名誉毀損きそんには当たらないと考えている。具体的には裁判の中で主張、立証していく」としている。(望月衣塑子)

「東京新聞」より

ため息の出るような記事だが……、記事を書いている人の名前にも注目して欲しい。

で、日本としてはこの12式地対艦誘導弾をベースとして長距離化したミサイルを配備し、これをファミリー化して低価格化も進めようという構想になっている。

つまりまあ、予定通りなんだよね。

宮古海峡の間は300km程度なので、沖縄本島と宮古島にミサイルを配備すれば、完全にこの海域をカバーすることが可能になる。

官房長官の説明

そんな流れを知っていれば、官房長官の加藤氏の説明も簡単に腑に落ちるのだが。

新型ミサイル長距離射程、敵地攻撃能力を意図せず=官房長官

2020年12月9日12:48 午後

加藤勝信官房長官は9日午前の会見で、防衛省が陸上自衛隊の地対艦誘導弾の射程を大幅に延ばし、敵の射程圏外から相手を攻撃できるよう開発するために予算を追加要求する方針であることについて、敵地攻撃能力を意図するものではなく、ミサイル阻止の新たな方針として開発するものでもないと述べた。

「ロイター」より

しかし、加藤氏がしっかり説明しないので、何となく軽い説明のように感じてしまうな。この予算を追加した経緯をもうちょっと言葉を添えて説明して欲しかった。

宮古海峡の距離を説明して、対岸から届くように開発するのは当初の計画通りである、と、そこをまず説明した上で、ファミリー化することで紅顔不遜な態度を示す支那に対して強い打撃力を示す事で、対等な交渉ができるように考えているとハッキリ国民に説明すべきだったと思うのである。

こういうところが、常に舌足らずなのが日本の政治の常であり、もちろん言葉狩りをするメディアが揚げ足取りをして、切り取りをして、攻撃するからこそ、こんな意味の分からない説明になってしまうのは非常に残念である。

射程を300キロ程度に延ばし、敵の脅威圏外から対処できる「スタンド・オフ・ミサイル」に開発計画を変更することに伴う。概算要求では27億円を盛り込んでいた。

「ロイター”新型地対艦ミサイルに335億円 対中けん制、予算大幅増―防衛省”」より

ロイターはこの説明をしていて、防衛白書にもその下りが説明されている。

<解説>スタンド・オフ・ミサイルの導入について

スタンド・オフ・ミサイルは、一層厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、自衛隊員の安全を確保しつつ、わが国を有効に防衛するために導入するものです。

諸外国における軍事技術の著しい進展により、レーダーの覆域や対空火器の射程が飛躍的に拡大した結果、現状では、自衛隊の航空機は、これらの脅威の及ぶ範囲内に入って対応せざるを得なくなっています。スタンド・オフ・ミサイルの導入によって、このような脅威の及ぶ範囲の外からの対処が可能となります。この結果、隊員の安全を確保しつつ、侵攻部隊に対処することが可能となります。

「平成30年版防衛白書」より

この「スタンド・オフ・ミサイル」というのは、巡航ミサイルのことである。

言葉遊びは止めようぜ……。

そんな訳で、飛距離を伸ばす計画は元々ある話なのだが、しかし300kmと言わず、1000km~1500km程度は飛ばせるようにすれば良いのにさ。飛ばすだけならその技術力はあるのだし、狙いを付ける方もある程度は目星がついている。

ピンポイントで攻撃しようとすると、なかなか難しいのだけれど、飛ばせることに価値があると思うんだけどね。

コメント

  1. まあ実際にどれだけ飛ぶかは極秘事項なんだろうけど相変わらず予算少なくですね、少なくともこの3倍は使ってもいい気がします。

    • そうですねー。予算は多いと見れば良いのか少ないとみるべきなのか。
      27億円 → 330億円というのは大幅増に見えるのですが、実際に配備する兵器の重要性から考えると、もうちょっと頑張っても良いのでは無いかと。

      お笑い韓国軍を見ていると、感覚は麻痺しちゃいますけど、KTSSMは200発で3200億ウォン(320億円相当)とされていましたから、なんだ、同額か、とか思っちゃっいました。
      しかし、他のものと比較すると、例えば12式地対艦誘導弾の開発費は約138億円、トマホークさんが1発1億円とか聞きますから、23式は100発以上は作る事が可能になるんでしょうか??

  2. 射程300kmというのは自国防衛用として色々言われないようにするための値のように思えますね。あまり長射程だと国外のみならず国内からもすぐかみつく輩がいますから。
     あと刻々移動する艦船に対して、余り射程が長いのも使いどころが難しいと思います。対艦用トマホークは射程450kmと言われていましたが、相手を探すのも誘導するのもタイヘン、で早々に退役してしまいましたし。

  3. 木霊さん、おはようございます。

    この話は開発費の大幅増で実戦配備を急ぐ為の話だと僕は理解してました。
    よって、初年度調達数を含め必要合計数の予算は、毎年別枠で計上されるんじゃないでしょうか。
    12式地対艦ミサイルはアメリカ軍からも高い評価を得て、海自の次期17式艦対艦ミサイルのベースでもあります。

    ご指摘通り射程が300km以上となれば、沖縄本島と宮古島間は簡単には通過できなくなるでしょう。
    何よりも尖閣諸島・与那国島までカバーできる射程で、評価の高い12式地対艦ミサイルのバージョンアップなのが肝ですね。

    また、奄美と今論議中の馬毛島に配備すれば、支那洋上艦隊が初動で太平洋に出るのを封鎖できますから、支那にとっては痛いチョークポイントに一番嫌な兵器を配備される訳で、当然相当な反発が予想されますが「領海を傍若無人な行為から守るため」と、毅然して進めて欲しいですね。

    さっそくマスメディアは地対地攻撃可能な「敵地攻撃力」とか騒いでいますが、射程300kmでは日本の離島のどこに配備しても支那には遠く届かないのを、批判の材料にしたいが為に恣意的に隠していますね。
    捏造や歪曲で安全保障の足を引っ張るのはホントいい加減にして欲しい。(怒!!)

    さて、本来の対支那攻撃力(北京を含む主軍事施設打撃用です)には、陸自なら2000km以上・海自護衛艦からなら1000km以上・空自なら500km以上ある、完全に新型の超高速精密誘導ミサイルの配備実現を待つしかありません。
    この開発費にはそれこそ10倍以上の3000~10000億の予算を掛けたっていいでしょう。

    >こうした行動をとられることは日本にとっては脅威であるので、ミサイルを配備して「通れるものならいつでもどうぞ」という体制にしておかないと、ここを拠点として艦載機を飛ばされても困るのだ。

    まずは実績・評価の高い12式(改)の開発予算UPし、実戦配備のスピードを上げるというチョイスは、限られた防衛予算から考えると現時点で最優先かつ賢い自衛隊の防衛力UPと評価します。(岸防衛相の力もあるのかな?)
    何しろ、紆余曲折のアショアの代替え案であるイージス・システム搭載艦の議論は始まったばかりで、実戦配備まで10年以上掛かりそうな呑気な話なんですから。