はやぶさ2ミッション完遂、そして次のミッションへ

科学技術

めでたいことに、日本が打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ2」のミッションが終了した。はやぶさ2自身は地球に帰ってくることはないんだけどね。

「はやぶさ2」カプセル帰還、豪州の砂漠で回収 

2020年12月07日(月)09時26分

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は6日、小惑星探査機「はやぶさ2」が6年間に及ぶ宇宙の旅から持ち帰ったカプセルが地球に帰還し、オーストラリアの砂漠でカプセルを回収したと発表した。

「Newsweek」より

ミッションとは、小惑星「りゅうぐう」からのサンプル採取をして地球に持ち帰る任務である。

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この記事は「惣郷木霊の四方山話」でお送りしております。

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今回もなんとか成功?

サンプルリターンの困難性

「はやぶさ」も「はやぶさ2」もミッションを成功させた(「はやぶさ2」のミッション成功は未だ確認されていないが)ので、比較的簡単にできるのでは無いか?と思われているのだけれども、無人探査機でサンプル採取をすることはかなり困難なのである。

 12月6日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、小惑星探査機「はやぶさ2」が6年間に及ぶ宇宙の旅から持ち帰ったカプセルが地球に帰還し、オーストラリアの砂漠でカプセル(写真)を回収したと発表した。写真はJAXAが提供(2020年 ロイター)

ミッションには6年間の期間を費やし、ほんの一握りの……、「はやぶさ」の時は耳かき1杯分にもならない微少なサンプルを採取してきたのだけれど、それだけでも地球外の小惑星からサンプルを得てくることは、多くの発見をもたらしてくれる。

例え、それが地球の何処かで得られる岩石と組成が同じであったとしても、宇宙環境下でそれが精製されたことを確認できる事が重要な意味を持つわけで。

JAXAは記者会見を開き、山川宏理事長がカプセル回収の成功を報告。「太陽系の生成過程、地球への水の輸送への起源に迫る成果が得られるのではないかと期待している」と述べた。

「Newsweek”「はやぶさ2」カプセル帰還、豪州の砂漠で回収 ”」より

今回は、採取したサンプルの中に「水」があるのではないか?という期待が持たれている。

さて、このサンプルリターン作戦だが、今のところ無人で小惑星からのサンプル採取を成功させたのは日本だけである。もちろんNASAなど先駆けとなった団体が地球の外からサンプルを持ち帰った例はあって、有人で成功させたアポロ計画では月面から岩石を持ち帰っているし、スターダストは彗星から噴出した粒子の採取を成功させている。

他の事例だと、欧州とかロシアとか支那とかもトライはしている様だが。全体的にその事例は少なく、ミッションの困難性を物語っている。あ、ソ連時代には月からのサンプルリターンを成功させた事例があったね。

ラブルパイル天体と水

さて、今回、ターゲットになった小惑星「リュウグウ」だが、破砕した岩石が再び集まって形成された天体であるラブルパイル天体だと言われている。

実は、「はやぶさ」がターゲットとした小惑星「イトカワ」もラブルパイル天体であるとされている。ただ、イトカワがS型(ケイ酸鉄やケイ酸マグネシウムなどの石質の物質を主成分とする小惑星)に対してリュウグウはC型(炭素系の物質を主成分とする小惑星)であるとされているため、はやぶさ2のサンプルの方がより多くの情報が得られる可能性があると期待されている。

何故ならば、リュウグウの観測結果から、表面を構成する岩石には含水シリケイトが含有すると期待されるからである。要は、「水」の存在が示唆されているのだね。

何故、水が重要視されるかというと、生命誕生のトリガーになったと考えられているためだ。地球誕生の際にも、含水シリケイトなどの影響で地球の地表に水を持つようになったと考えられていて、生命の起源に関する何らかの情報がもたらされる可能性が期待されているのである。

オーストラリア宇宙庁のトップ、ミーガン・クラーク氏は会見で「試料が無事にオーストラリアを離れ、日本に戻るのを見届けるまでJAXAをサポートするわれわれの仕事は完了しない」と述べた上で、「試料は、水がどのようにして地球に到達したのか、また、有機物や炭素をベースとした動物、人間、植物など、われわれがどのようにして形成されてきたのかを解き明かすヒントを与えてくれるだろう」と期待を示した。

「Newsweek”「はやぶさ2」カプセル帰還、豪州の砂漠で回収 ”」より

まあ、無事にサンプルの全容が明らかになるまで、喜ぶ気にはなれないのだけれど、前回の大騒ぎを思うと今回はほとんど騒がれなかったと思う。

「はやぶさ」の時にはドラマがあって、映画になる騒ぎ(映画のデキはいまいちだった)だったけれども……。

とはいえ、そもそもこの手の研究では、手堅く成功して手堅い成果を得るというのが基本である。そうそうドラマが起こっては困る訳で。

予算が極端に少ない日本と、大型予算をぶち込む支那の事情

日本の宇宙開発にかける予算はアメリカの1/10以下である。

これは、2008年のデータだが、「効率的に宇宙開発」といえば聞こえは良いけれども、要は予算を投入できていないというお粗末な状態であるとも言える。なお、この傾向は今も変わらないどころか予算は削減されつつある。

補正予算を積むことで、一定水準を維持はしているが、日本では限られた予算でやり繰りする状況が続いている。

そして、ここでは比べられていないが支那が使っている予算はアメリカよりも多いと言われていて、実際に打ち上げられているロケットの数は今や支那の方がアメリカやロシアよりも多い。

実際に、月からのサンプルリターンを成功させるというニュースも耳にするようになった。

宇宙の覇権争い激化 中国が月探査機打ち上げ 土壌サンプル採取成功なら3カ国目

2020年11月24日 21時08分

中国の月面無人探査機「嫦娥じょうが5号」を搭載した大型ロケット「長征5号」が24日、海南省文昌の発射センターから打ち上げられ、予定軌道への投入に成功した。月面の土壌サンプルを採取後、離陸して月周回機体とドッキングし、地球に持ち帰る計画。成功すれば月への有人飛行や月面基地計画が本格化する。安全保障面からも宇宙の重要度が増す中、米国も有人月探査計画を進め、競争は過熱しそうだ。

「東京新聞」より

残念ながら、支那の予算規模はどの程度か?ということは明らかにされていない。複数の団体に宇宙開発を競わせ、その技術を軍事にもフィードバックしている関係で、軍事費と宇宙開発費は一体的なものとして見る向きもあるが、人工衛星も複数打ち上げて運用しているし、宇宙ステーションの開発も続けられていて、2022年には「天宮宇宙ステーション」が完成するとされている。

既に、宇宙開発のアドバンテージは、ロシアや欧州を抜いて2位どころか、先細り感のあるアメリカを抜いてトップに躍り出ているという程度には進んでいるとされ、日本は既に歯牙にもかけられていない状況にある。そりゃ、軍事技術開発を含めたトータルでの開発を進めているので、太刀打ちできないだろう。国家の威信に賭けて開発を進めて言うからね、

サンプルリターン程度で喜んでいる場合ではなく、日本も独自技術の開発に邁進して欲しい。予算規模でアメリカや支那に勝つことは不可能だからね。

次のミッション

ちなみに、はやぶさ2は次のミッションが予定されている。

【独自】はやぶさ2、次のミッションは小惑星「1998KY26」…JAXA

2020/09/13 18:27

小惑星探査機「はやぶさ2」が地球に最接近した後に目指す探査先として、宇宙航空研究開発機構(JAXAジャクサ)は小惑星「1998KY26」を選んだ。地球と火星の間を回る二つの候補から、探査機が受ける太陽の熱の影響などを考慮して決めた。到着は2031年7月の見通し。

「讀賣新聞」より

今回のミッションはサンプル採取だったが、既にカプセルは投下されたので、次のミッションは観測だけ、という事になるようだ。

次も小惑星に向かって飛ばすようだが、2031年7月に到着予定で飛行を続けるそうな。

ミッションは、探査機に大きなトラブルがないことから計画された。もう一つの候補だった小惑星「2001AV43」の場合、飛行ルートの関係で、探査機が太陽の高熱で故障することが懸念されていた。

「讀賣新聞”【独自】はやぶさ2、次のミッションは小惑星「1998KY26」…JAXA”」より

実は、もう1つ候補があったようなのだが、こちらは太陽を掠めるルートを通ることになるらしく諦めた模様。次のミッションも頑張って欲しいね。

コメント

  1. サンプルリターン作戦は前回、韓国が随分頑張ったみたいですね。落下したカプセルを日本チームより早く回収し、惑星科学の進歩に「韓国」が貢献するんだと息巻いていたとか。ただ豪州入管が韓国チームを拘束し国外退去したとかしないとかw

    • あー、そんな噂がありましたね。
      ちょっと出所不明の情報だったのと、裏がとれなかったのでデマかと思っていましたが、幾つかの噂を合わせて考えてみると、なるほどそんな事もありうるのかと。
      なんというか、「ああ、その可能性もあるよね」と思われてしまう時点で、韓国人ってどうなの?と思わずにはいられないですね。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    他の国とは比較にならないほど限られた少ない予算で、コツコツと偉大な発見に繋がるかもしれない成果を積み上げてきたスタッフに拍手です!!

    はやぶさの様な探索衛星の技術が対支那などの監視衛星なんかに活かされるか僕には判りませんが、少しでもリンクして国の安保にも役立って欲しいし、人類共通の利益である宇宙開発に貢献してくれるよう願うばかりです。。

    はやぶさ2の今後の継続成果と合わせ、はやぶさ3は何時頃になるのかそのミッションとが本当に楽しみ。(笑)

    • なかなかニッチな部分でできる事を突き詰めたという感じの、如何にも日本人らしいミッションだと思います。
      素直に敬意を表したいと思います。

      ただ、前回あれだけ騒いだマスコミは、盛り上がりませんねぇ。