日濠首脳会談が開かれ、オーストラリアと準同盟国へ

外交

17日の記事で、ちょっと情報収集に手間取ったので本日触れる事になったのだけれども、これが結構大きなニュースだったと思う。

日豪首脳、東シナ海「現状変更に反対」 中国を念頭に

2020/11/17 19:45 (2020/11/18 5:13更新)

菅義偉首相は17日、首相官邸でオーストラリアのモリソン首相と会談した。自衛隊と豪軍の防衛協力の拡大に向け、共同訓練などを推進する「円滑化協定」を大枠で合意した。東シナ海について中国の海洋進出を念頭に「現状変更を追求し緊張を高める威圧的で一方的な行動に強く反対する」との共同声明も出した。

「日本経済新聞」より

このニュースを読むにあたって知っておかねばならないことは、オーストラリア首相のモリソン氏は、日本に訪問した後に2週間ほど隔離期間が必要となる。

本来であれば、ビデオ会議などで済ませても良かったのである。それをわざわざ日本まで来たというところに意味がある。

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防衛協力の拡大

背景にあるのはセキュリティ・ダイヤモンド構想

さて、冒頭のニュースを読むにあたって、もう1つ知っておく必要のあるニュースがある。

安倍前首相 豪首相と会談 安全保障分野の連携強化で一致

2020年11月17日 15時58分

安倍前総理大臣は、日本を訪れているオーストラリアのモリソン首相と会談し、アメリカやインドも含め、安全保障分野での連携を強化していくことが重要だという認識で一致しました。

「NHKニュース」より

へー、と思われるかも知れないが、前総理と現役首相の会談というのは前代未聞である。当然、日本、アメリカ、オーストラリア、インドとくれば、セキュリティ・ダイヤモンド構想の話をした事は想像するまでもなく、提唱者が安倍氏なのだから、会談したのも当たり前といえば当たり前なのだが。

NHKはその事に一文字も触れていないが。

安倍前総理大臣は17日午後、オーストラリアのモリソン首相と、東京都内のホテルでおよそ1時間会談しました。

この中で、安倍氏は、11月、インド近海で行われた海上自衛隊とアメリカ、オーストラリア、インドの海軍による共同訓練「マラバール」に触れ、「訓練が成功してよかった」と述べました。

「NHKニュース”安倍前首相 豪首相と会談 安全保障分野の連携強化で一致”」より

さーて、出てきましたマラバール。

日米印豪共同訓練(マラバール2020)|海上自衛隊 〔JMSDF〕 オフィシャルサイト
海上自衛隊〔JMSDF〕オフィシャルサイト:ニュース・艦艇/航空機の紹介・イベント情報・採用情報

マラバールといえば、日米印共同訓練であり、マラバール2018が一番最初で、その後2回、2019と2020が開催されている。

今年の開催は令和2年11月3日(火)~11月6日(金)という日程で行われた。で、2020年のマラバールはどうなっているかというと、日米印豪共同訓練(マラバール2020)となっている。

いやー、格好いいね!

FOIP

さて、唐突だが自由で開かれたインド太平洋(Free and Open Indo-Pacific)というものをご存じだろうか?これも安倍氏の提唱した構想である。

「国際社会の安定と繁栄の鍵を握るのは、「2つの大陸」「2つの大洋」の交わりにより生まれるダイナミズム 、 これらを一体として捉えることで、新たな日本外交の地平を切り拓く」というスローガンの下に行われている活動である。

「2つの大陸」:成長著しい「アジア」と潜在力溢れる「アフリカ」

「2つの大洋」:自由で開かれた「太平洋」と「インド洋」

これが何を言っているかといえば、日本の視点から見ると、日本のシーレーンの防衛である。もちろん、インドもオーストラリアも直接的なメリットがあるし、アメリカだって一部は直接的に、或いは間接的にも多大な利益を得られる話である。

https://www.mofa.go.jp/files/000430631.pdf

で、これについてNHK(日本秘密結社)が何を説明していうrかというと、こんな解説をしている。

「自由で開かれたインド太平洋と一帯一路」(時論公論)

2020年10月06日 (火)

藤下 超 解説委員

東京で、日本、アメリカ、オーストラリア、インドの4か国の外相による会合が開かれました。 会合で4か国の外相は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた結束を確認し、今後、会合を定例化することで合意しました。

「NHKニュース」より

解説記事を読むと分かるが、FOIPと一帯一路は真正面から衝突する構想である。ただし、解説しているような似た内容というわけではない。

支那は自らの野望を実現せんとして、その支配力を強めているのに対して、FOIPは各国の利益を守ろうという趣旨であるため、衝突する概念だとしても内情は全く異なる。何故それを説明しないのか。

ASEAN=東南アジア諸国連合は、去年、「インド太平洋に関するASEANアウトルック」という独自の構想を発表しました。 「競合ではなく、対話と協力のインド太平洋地域」を目指すとしていて、米中双方に暗に自制を促す内容になっています。 東南アジアには、安全保障面で、中国に対抗するアメリカの役割に期待する国もある一方、カンボジアのように中国への傾斜を強めている国もあります。 米中対立が激しさを増す中、ASEANとしては、みずからの分断を招かないよう、どちらにも軸足を置かない中立的な立場を打ち出した形です。

「NHKニュース”「自由で開かれたインド太平洋と一帯一路」(時論公論)”」より

ASEANの足並みの揃わなさは残念だけれど、小国故に大国に潰されたくないという思惑は分かる。ただ、これもFOIPに賛同すると支那から物理的に脅されるのが現実である。

ヤクザに睨まれた弱者を批判するのは違うんじゃ無いかな。

菅義偉氏、モリソン氏と会談

そんな訳で、菅義偉氏に会いに来たモリソン氏が何を要求したのか?を考えていく必要がある。

日豪首脳会談「自由で開かれたインド太平洋実現に連携強化を」

2020年11月17日 22時23分

菅総理大臣は、日本を訪れているオーストラリアのモリソン首相と会談し、自衛隊とオーストラリア軍が共同訓練を行う際などの対応をあらかじめ取り決めておく協定について、大枠で合意しました。

「NHKニュース」より

この記事は、ある意味間違っている。「共同訓練を行う際などの対応をあらかじめ取りきめておく協定」というのは、実のところ「共同作戦を行う際の取り極」なのである。

え?何が違うか?

訓練が前提では無く、実力行使した際にどうするのかを確認しに来たのである。もっといえば、菅義偉氏はモリソン氏に「自衛隊は実力行使できるか」と迫られたのだ。

これに対し、モリソン首相は、「両国は、自由と民主主義を享受する志を同じくする国々で、特別な責任を有していると感じている。自由を追求し、市場中心の経済を築き、長年にわたって良好な関係を保っていることを大変うれしく思う」と応じました。

「NHKニュース”日豪首脳会談「自由で開かれたインド太平洋実現に連携強化を」”」より

オーストラリアだけではシーレーンの防衛は困難なのだ。装備の面でも、である。

この中では、安全保障関連法に基づいて、自衛隊が他国の艦艇などを守る「武器等防護」の対象に、オーストラリア軍を加えることについて、実施に向けた体制構築の重要性を強調し、必要な調整を進めるとしたほか、両国の外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2プラス2を、来年の早い時期に実施するよう、担当閣僚に指示したとしています。

「NHKニュース”日豪首脳会談「自由で開かれたインド太平洋実現に連携強化を」”」より

実際に、こんな風に報じられている。

これがまさか「訓練」の為の取り決めと、誰が信じるのだろうか?訓練と全面に出しているとはいえ、訓練の前提は実戦である。逆に実戦で使えない訓練など時間の無駄だ。

そして両氏は、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、安全保障分野での連携を強化していくことが重要だという認識で一致しました。

「NHKニュース”安倍前首相 豪首相と会談 安全保障分野の連携強化で一致”」より

安倍氏にも念を押していった徹底ぶりなので、モリソン氏がこの会談に如何に力を入れているかがよく分かるのである。

旅行の自由化

もう1つのオーストラリアの狙いは旅行客の獲得である。

オーストラリア、日本などと「隔離なし渡航」を検討

2020年10月12日

オーストラリア政府は11日、隔離措置を伴わない渡航を数カ国との間で検討していることを明らかにした。ヨーロッパとアメリカは対象外だとしている。

スコット・モリソン豪首相は、最初の「隔離なし渡航」の合意は、ニュージーランドとの間で成立するだろうと述べた。

「BBC」より

オーストラリアを訪れる日本人は一頃かなり多かったが、今では支那人が大量の押し掛けたことで酷いことになっている。

しかしそのお陰で相当な外貨を獲得できたのも事実である。観光業に力を入れているオーストラリアにとって、観光客の激減は大打撃である。

中国がオーストラリア旅行に「行くな」と注意喚起 豪側は反発

2020.6.7 21:47

中国政府は7日までに、オーストラリアへの旅行に「決して行ってはいけない」との注意を自国民に呼びかけた。中国人への人種差別的な言動や暴力行為が増えているためだと主張しているが、豪州側は「真実ではない」と批判する。新型コロナウイルスに関する対応をめぐって中国はオーストラリアへ反発を強めており、新たな圧力の可能性がある。

「産経新聞」より

ところがチャイナリスクが露見した結果、支那に頼るのは危険であるという気持ちを大半のオーストラリア人が抱くようになる。オーストラリア人にとって日本人だろうが支那人だろうが区別はつかないのだろうが、支那から武漢肺炎が世界中に撒き散らされてしまった現実は、オーストラリア人に嫌悪感を抱かせるのに十分な要因であったようだ。

そうすると、オーストラリア政府としても、簡単に支那人観光客を呼び戻す、なんてことは不可能で、じゃあ、日本から人を呼んだらどうだ?という話になった訳だ。

経済的な思惑も多分にある、日濠首脳会談である。

支那は激怒

そして、答え合わせが早々に。

日濠”強い反対”表明に中国「内政干渉だ」

2020年11月18日 21:29

17日行われた、菅総理大臣とオーストラリアのモリソン首相の首脳会談で、海洋進出を強める中国を念頭に「強い反対」を表明したことについて、中国政府は18日「内政干渉だ」と批判しました。

「日テレNEWS」より

支那は何を曲解しているのか知らないが、日本とオーストラリアで支那に対して「地域の緊張を高める威圧的な試みへの、強い反対を再確認した」と示した事に対し、「内政干渉ある!」と県政をしたとされている。

いや、地域の緊張を高めた東シナ海での軍事行動は、明らかに他国の侵略行為である。内政でないのに内政干渉とはこれ如何に。

中国、日豪首脳会談に反発

2020/11/18 19:58

中国外務省の趙立堅副報道局長は18日、17日の日本とオーストラリアの首脳会談で、両国が中国の海洋進出をけん制したことに反発した。「中国を理由なく非難し、乱暴に内政干渉した」と不満を表明した。

趙氏は記者会見で「第三者の利益を損ねてはならない」と両国にクギを刺した。日豪首脳は17日、東シナ海について中国の海洋進出を念頭に「威圧的で一方的な行動に強く反対する」との共同声明を出したほか、自衛隊と豪軍の共同訓練などを推進する「円滑化協定」で大枠合意していた。

「日本経済新聞」より

日本経済新聞の内容は更に踏み込んでいるが、言及するまでもなく酷い話である。

歴史的会談

オーストラリがではメディアが「歴史的会談となった」と報じたというが、日本では静かなものだね。

相互アクセス契約

2020年11月17日

オーストラリアと日本は、両国の戦略的および安全保障関係をさらに深める画期的な防衛条約について原則的に合意に達した。

相互アクセス協定は、日豪関係の歴史において極めて重要な瞬間を表しています。

私たちは特別な戦略的パートナーシップを共有し、自由で、オープンで、包括的で、安定したインド太平洋を支援するために協力することに深くコミットしています。

私たちのパートナーシップは、共通の価値観と利益、そして永続的な信頼と尊敬に基づいて構築されています。

この合意は、両国間の高度な防衛協力の新しい章への道を開くものです。

「オーストラリア政府サイト」より

これはオーストラリアの政府サイトより日本語訳文を引用してきたもので、モリソン氏の署名の入ったレポートである。

読んで頂ければ分かると思うが、少なくともオーストラリア側は準同盟国への一歩を踏み出したと認識していると考えて良いのでは無いだろうか?

日本のメディアとの温度差を感じるが、日本政府ももっと積極的に報じても良さそうなんだけどね。

え?韓国?要らない子ですね。

韓国は中国を気づかって、米日豪印4ヶ国連携「クアッド」参加を否定

2020年10月15日(木)16時30分

去る10月4日から6日、マイク・ポンペオ米国務長官が、米国、日本、オーストラリア、インドの4か国が連携を強化する外相会合、通称「クアッド(Quad)」に出席するため東京を訪問した。

~~略~~

一方、韓国の文在寅政権はクアッドを否定する考えを示している。

「Newsweek」より

既に、お断りしているしね。

コメント

  1. 支那の反発は予想通りですが「内政干渉」まで出てくるとはもうアジア一帯を手中に納めたつもりなのか、余程焦っているのか・・・
    まあ連中が反発するならこの政策は間違いでは無いと言う事、あと日本共産党のお墨付きも欲しいですね。

    • 支那は随分と焦っている気がしますよ。
      ただ、アメリカがあの状況なので、バイデン氏が大統領になれば引っ繰り返す事ができるのだと感じている気はしますよ。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    これ本当に重要なニュースなんですが、相変わらずマスメディアはその準同盟の真意、そして日豪共同での支那抑止効果はスルーですね。 酷いもんです。

    RCEPの記事をUPされていましたが、経済的枠組みで観るとTPP(アメリカ/支那不参加・イギリス検討中)とRCEP(アメリカ不参加・支那参加・インド参加可能)、西側では日本・オーストラリア・ニュージランドだけがどちらにも参加しています。
    つまり、日豪の経済的・軍事的結びつきは強化されつつあり、一番大きな戦略的枠組みは支那野望を封じ込める為、軍事戦略的なQUADでその主軸として東アジアの2カ国が日豪でもあります。

    これに日本がファイブアイズ+として加入すれば、かたちとしては日本・アメリカ・イギリス連邦による自由主義陣営の包囲網が完成するのですが、その為には日本は最優先で厳しいスパイ防止法を成立させないとダメですね。

    また、TPP・RCEP両協定にはASEANの有力国かつ海洋国である、シンガポール・ベトナム・マレーシアが含まれています。(RCEP参加の支那・韓国は国際条約なんて無視しますから、警戒しながら多少なりの圧力となれば良しくらいの扱い)
    支那の覇権野望に歯止めを効かせる為には、頼りないとは言えこの枠組みにフィリピン・インドネシアを含めたASEAN海洋国同盟を形成し、QUAD&FOIPに引き込む強い動きが望まれますね。

    人命を犠牲にし不毛で経済的な損失も多大な地域戦争を避ける為には、一時的には強力な支那包囲網完成が必須と考えてますが、肝心の支那がオトボケの「内政干渉」で猛反発してるようでは、直近で現実的に起こり得る「局地戦闘等の有事」にしっかり備えなければなりません。

    最低でも支那が東シナ海&台湾への野望を捨て、南シナ海で侵略した岩礁基地群を全て撤退させる約束を実行させないと、QUAD・ファイブアイズそして各経済協力の役割と成果が十分に機能したとは言えないと思います。

    しかしながら、現在の習近平率いる支那共産党&人民解放軍がこれを容認するケースは、とある戦区や経済区が自由化と独立を目標に立ち上がる様な、相当激しい国内内戦状態が発生し中共本体が存亡の危機に窮する場合くらいしか想像できません。

    そういう意味でも意義ある日豪首脳会談だと僕は評価しますし、一歩前進しつつさらなる同盟強化を期待します。

    P.S.
    地味ですが、防衛省が経済安保情報官を新設するニュースが入っています。

    >今後の世界の覇権を握る鍵になるとされる先端技術に関する国内外の動向把握で、他国に後れを取れないと判断した。民間企業の先端技術開発を軍事分野に応用する「軍民融合」を推進する中国を念頭に技術流出を防ぐ狙いもある。

    どこまで機能するか今後の推移次第ですが、防衛省が動いたというのは覚えておくポイントと思います。

    • そうですね。
      ファイブアイズに参加というのはかなり重要なポイントだと思います。
      そのために必要な法整備も、しっかりやって欲しいですね。