この手の話は出てくるとは思っていたが……。
ペンシルベニア州裁判所、大統領選巡り郵便投票の一部を無効と判断
2020年11月13日8:50
米ペンシルベニアの州裁判所は12日、今月3日の大統領選を巡り、記載に不備があった郵便投票および期日前投票の用紙について、有権者が9日以降に必要な情報を提出した分を無効とする判断を示した。
「ロイター」より
アメリカの大統領選挙は、調べて見ると過去にもそれなりに投票で揉めていて、問題があるシステムという認識はアメリカ人も多分あると思う。
ただ、共和党と民主党がそれぞれの利益を追求した結果、余り手が付けられないままという感じのようだ。日本でも選挙システムには問題が多いとは言われているのだけれど、結局各党の思惑があって必ずしも国民のためにならないおかしなシステムのまま選挙をやっている状況だ。そう考えると、実に政治というのは厄介だね。
最後まで足を引っ張るか?郵便投票
郵便投票でのトラブル
冒頭のニュースは、アメリカの大統領選挙に関する怪しいニュースの中で比較的ソースのしっかりとしたニュースである。
で、何が起こったのか?ということなのだが、郵便投票というシステムを運用するに当たって、この方法は過去に何度も利用していたシステムではあるのだが、今回は特に色々な事情があってトラブルが多く、その一端が表れてしまったということである。
何が問題かというと、1つは武漢肺炎の蔓延によって直接投票に行けない人、直接投票に行きたくない人が多数いて、郵便投票というシステムを使って投票をしたことだ。
これに関して怪しげなニュースが色々飛び交っているが、投票用紙というのは州毎に用意され、投函された消印が期日より前であれば有効な投票と認めるというシステムを採用している。ところが、ここにもう一つのアメリカの事情、郵便システムそのものの脆弱性という問題が絡んでしまって混乱をきたしてしまった。
ちょっと雰囲気が違う記事だが、こんなニュースを紹介しておきたい。
米国郵便公社が崩壊したら、中小企業も潰れてしまう
2020年4月26日
米国に引っ越して以来 、私は米国郵便公社(USPS)を、米国の創造力と粘り強さの象徴として認識し、賞賛するようになった。
USPSは電気、電話、高速道路システムのように、私たちのより大きなストーリーの一部であり、米国を一つに結びつける存在だ。しかしそれはまた、あって当たり前のものだと思われてしまいやすいものだ。
~~略~~
さて、多くの組織の場合と同様に、新型コロナウィルス(COVID-19)はUSPSに大きな影響を与えた。eコマースパッケージの出荷は増加し続けているもの(Shippoのデータに基けば、3月上旬から30%増加)、レターメールの大幅な減少を補完するには不十分なものだ。これに伴い私は「効率が悪い」という意見や、民営化を求める声、大幅な価格設定や構造改革を求める圧力、そしてUSPSが閉鎖される可能性に対する無関心な声さえも耳にしている。
「techcrunch」より
記事の要旨は、アメリカでも郵便が使われ無くなりつつある状況の上で、武漢肺炎の蔓延によってその出荷量が激減してしまい、郵便局業務の圧縮が各地で行われ、一部は閉鎖という方向を向いているということだ。
ところが、皮肉なことに武漢肺炎で効率化を求められた郵便局が、通常業務を遙かに超える量の郵便物を扱うことになる。
ノースカロライナ州では10月27日まで郵便投票の申し込みが可能だが、9月15日現在で申請した人は83万人を超え、前回4年前の同じ時期に比べて16倍に増えている。現地の選挙管理委員会は、急きょ、人手を増やして対応を進めている。 選挙管理委員会は、最終的に、有権者の40%が郵便投票を利用する可能性があるとしている。担当者は次のように懸念を示す。
「最大の課題は、かつてない大量の郵便投票が送り返されたときに、投票用紙1枚1枚に、本人や証人の署名が行われているかどうか、有効票かどうか確認する作業だ。結構大変だ」
~~略~~
郵政公社は慢性的な赤字が続き、経営の改革が求められている。その背景には、郵便をめぐる近年の環境の変化がある。封書やはがきの量が減少傾向にある一方、ネット通販の普及で小包の量が増えているのだ。
そこで、新たな環境に適合した経費削減策として、封書やはがきを仕分ける機械が廃棄させられたという。だが、その結果、遅配が相次ぐなどサービスの低下が生じていると指摘する。
「NHK Web”郵便投票が急増、現地の悲鳴”」より
日本でもそうだが、郵便業務というのは利益が出るようなタイプの事業ではない。多数の拠点を持っていて郵便物を日本全国津々浦々にまで届けるという事は、効率の悪い作業になりかねず、結果的に特に地方において赤字になりやすい。
国土の広いアメリカでは、更に困難さが増すことは容易に想像できよう。実際に効率化が求められて業務縮小、システム改変をした結果、郵便投票の作業量に耐えられなかったのである。
その結果どうなったのか、というと、期日前郵便投票のされた郵便物について、州務長官が勝手に判断して記載不備の修正期日を9日から12日に延長してしまったのである。
期限延長は不合理なのか?
2020年に行われたアメリカ大統領選挙は、11月3日が一般有権者による投票の日であった。郵便投票を含めた期日前投票は、11月3日午後8時の締め切りをもって、それ以降は無効になるという扱いになったらしい。
……期日前投票?
「日本の場合は公示日又は告示の翌日から選挙期日の前日までの期間に投票」という事が法律で決められていて、基本的には期日前であっても直接投票が義務付けられる。
アメリカはこれが当日の午後8時締め切りまで有効としているから、驚くべき話だな。それ、期日前じゃないよね??
まあいいや。とにかく、そういうルールで運用しているならば、それでも構わないのかも(州毎にルールが違うので更にややこしいらしい)しれないが、それを勝手に変えちゃったのである。それも州務長官が。
マズイに決まっているだろ!
アメリカは法治国家ではあるが、日本とはちょっと違って裁判所が伝統や習慣、先例に基づいて裁判をしてルールを決定する慣習法を採用しているので、必ずしもルールが明確化されていない部分がある。ただ、そうはいっても、州務長官(各州において選挙証明や企業登録維持に責任を負う立場の職務を負っていいて、州知事>副知事>宗務長官くらいの順位の立場の人物)の立場で期限を延長してしまうのはNGだ。選挙結果確定に関して州務長官が重要な局面を左右した事例はあるようだが、ルール改変はダメだヨと。
同州のブックバー州務長官が投票用紙の記載不備を修正する期限を9日から12日に延長したことが争点となっていたが、州裁判所は、州務長官に期限延長を決める権限はないと判断した。
「ロイター”ペンシルベニア州裁判所、大統領選巡り郵便投票の一部を無効と判断”」より
今回のニュースはそういう話で、しかしそもそも記載不備を投票日の後に修正できるというのも変な話ではあるのだが。
同裁判所は先週、判断が出るまで9日以降に情報が補足された投票用紙を仕分けるよう命じていた。
「ロイター”ペンシルベニア州裁判所、大統領選巡り郵便投票の一部を無効と判断”」より
ただ、この判断が出たところで、ペンシルベニア州の結果が覆るわけでもないのだが。
他にもある期限問題
ところがこの話はペンシルベニア州だけでもなくて、ノースカロライナ州でも似たような話があったようだ。
最高裁は先週、ペンシルベニア州とノースカロライナ州の郵便投票を巡り、受付期限の延長を認める判断を示した。
トランプ大統領はこれについて「ペンシルベニア州での投票に関する最高裁の決定は非常に危険な判断だ。不正が放置されまん延し、法制度全体が損なわれるだろう。街頭での暴力も引き起こすだろう。なんらかの対応が取られるべきだ!」とツイートした。
「ロイター”ツイッター、トランプ氏投稿に警告 投票巡る最高裁判断を疑問視”」より
トランプ氏はちょっと早まってしまって、twitter社から怒られる事態になったようだが……、twitter社の反応はさておき、ノースカロライナ州だけか?という点についても少々気になるところ。
とはいえ、様々な問題が解消されたにせよ、11月3日の投票結果に関しては覆る可能性は少ないようだ。
トランプ米大統領、オクラホマ州で間もなく選挙集会再開の見通し
2020年6月11日7:56
トランプ米大統領は10日、間もなく選挙集会を再開し、オクラホマ州タルサで最初の集会を開催する可能性が高いと明らかにした。
トランプ氏に対しては、新型コロナウイルス感染拡大や白人警官による黒人男性暴行死を受けた抗議デモへの対応が批判されており、支持率が低下している。
「ロイター」より
ただ……、このトランプ氏の動きは無駄になるとは限らない。
次は選挙人による投票
この記事にもあるのだが、選挙集会を再開する積もりであるという。これは12月に行われる選挙人による投票に関連していると思われる。
ややこしい話なのだが、11月3日におこなわれた州民投票の次に、12月14日に選挙人による投票が行われる。選挙人団の投票によって大統領と副大統領に対して投票が行われるのだが、ここで結果が覆る可能性があるのだ。
トランプ氏の得票数は何やら変動しているらしく、獲得選挙人数は現在、バイデン氏が290人、トランプ氏が217人となってはいるが、ジョージア州やノースカロライナ州は未だに票数が決定していない。再集計によってはもうちょっと差が縮まる可能性がある。

選挙人による投票の結果、選挙人の裏切りによって結果が変わる(選挙人が誓約を違えて別の候補に投票することは、連邦法上は自由)なんていう話は可能性としてはゼロではないのだ。これは票数差が縮まれば縮まるほど可能性が高まる。
郵便投票の失敗は、こうした投票に影響するようなファクターを含んでいる。尤も、前回の選挙までで選挙人の投票によって結果が覆ったケースは一例も無いようだが。
裸の投票用紙
郵便投票で問題になっているのはもう1つ。
「裸の投票用紙」というヤツだ。

これはNHKの説明が分かり易いのだが、面倒な事に基本的に2重の封書として返信しないと、無効票として扱うべし、という話があるようだ。
これに対し郵便投票の増加を警戒するトランプ陣営はことし6月、ペンシルベニアの選挙制度をめぐって起こした裁判で2重に封じられてない票は無効とするよう求め、一方で民主党側は別の裁判で有効票として扱うよう訴えました。
これを受けて州の最高裁は9月、「投票の機密性を守るためにかかせない」として2重に封じていない場合は有効票として認めないという判断を示しました。
大都市フィラデルフィアの選挙管理当局はこのあと、州議会議員にあてた文書で「細かな規則により無効票は州全体で10万票に上る可能性がある。前回の大統領選挙のペンシルベニア州での結果がわずか4万4000票で決まったことを考えれば、どうして懸念しているか分かるだろう」と指摘し、今回の判断で大量の票が無効になれば大統領選挙の結果に影響を及ぼす可能性もあると指摘しました。
~~略~~
この点を不服とする共和党は連邦最高裁に申し立てましたが、連邦最高裁は先月28日、「選挙前には十分な時間がとれない」として、現時点では判断しないという決定を示しています。
「NHKニュース”米大統領選 期日前投票 過去最多の9100万人超”」より
この無効投票に関して裁判所は判断したのだが、連邦最高裁は判断をしなかったのである。どうやらこの判断基準の変更は、開票日前には行われなかったようなのだが……、不安要因として残っているのは事実である。
流石にここの判断は変わらないと思うのだが……。
ただ、郵便投票の問題は他にも様々あって、集計システムのバグやら消印の偽造なんて怪しい話もチラホラ聞こえてきている。この辺りが大勢に影響を及ぼす可能性はどうか判断は出来ないが、何れにしても郵便投票が足を引っ張る可能性は、まだまだ残っている。
下院投票
この様な問題を抱えたままの選挙人投票が控えていて、しかしそこで滅論が出なかった場合には、下院の投票が実施される事になっているようだが、実は先例がない。
オバマケア拡充を表明 バイデン氏、すぐ着手―米大統領選
2020年11月11日09時58分
米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領は10日、新型コロナウイルス対策に次ぐ優先課題として、同党のオバマ前政権が国民皆保険を目指して導入した医療保険制度改革法「オバマケア」の拡充に取り組む方針を表明した。来年1月の大統領就任後すぐに、議会と協議を始める。
「時事通信」より
バイデン氏が、大統領になる前からこんな動きを見せているのは、先々に不安が残っているから、という理由もある様だ。
今後、まだまだ結論が変わる可能性があるアメリカ大統領選挙だが、もつれにもつれる可能性はありそうだね。
コメント
Peter V Neffenger 氏
smartmatic社のboard of directors
売電の政権移行チームに指名された。
dominionはコンポーネントを中国にアウトソーシングし、
インドラ社を仲介させた、傘下企業。
電子投票機からのデータをdom社はscytl社(本社西班牙)
のサーバー(フランクフルト)に集約後、sm社に送信、
そして、処理がされたとの事・・。
sm社は2004年ベネズエラのチャベスが国民投票に
採用して、一悶着起こしている。
そして、sm社はベネズエラのソフトウエア会社Bitza社
と提携している。このBi社はチャベス政府が28%の(株)
を保有していた。もちろん、2004年はsm社とBi社が
国民投票を担当していた。
噂の源、シドニーパウエル弁護士 、 ジュリアーノ元市長
12月8日まで、もつれるかしら?
Massachusetts Institute of Technology
Dr・Shiva Ayyadurai
ようつべに今回の投票データの正規分布の結果を
解説しています。
ところで、米国議会はバイデンさんを大統領に
承認してたかしら?