無人機で日本の漁業を守れるのか

防衛政策

ちょっと興味深いニュースがあったので、ご紹介しておきたい。

〈独自〉海保無人機、4年度にも導入 尖閣・日本海で監視拡大

2020.10.27 17:21

海上保安庁が実証実験を始めた大型の無人航空機について、早ければ令和4年度にも導入する方向で同庁が検討していることが27日、関係者への取材で分かった。尖閣諸島(沖縄県石垣市)や日本海の大和堆(やまとたい)などでは中国や北朝鮮の船による違法操業が常態化し、中国船の脅威も増大しており、海保は連続飛行時間が飛躍的に伸びる大型無人機の導入で、広大な日本周辺の海の安全の確保を狙う。

「産経新聞」より

この記事、ヒゲの隊長こと佐藤正久氏がリツイートしていたので気になって読んでみたのだが、読んでみて何ともモヤモヤしたモノが残った。

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日本の漁師のために漁場を守れていない海上保安庁

大和堆では違法操業真っ盛り

ここのところ増えてきている大和堆での外国籍の船の違法操業だが、流石に看過できないと自民党水産部会と水産総合調査会が噛みついたらしい。

中国イカIUU取り締まりを

2020年10月22日 18時20分 配信

 自民党水産部会と水産総合調査会が21日、東京都内の党本部で開いた合同会議で、漁業関係者や議員らから、中国漁船などのイカの違法・無報告・無規制(IUU)漁獲に対する取り締まりの厳格化を求める声が相次いだ。日本以外の漁船が合法に操業できない排他的経済水域(EEZ)内でも中国漁船が漁場を占拠している現状から、日本側の取り締まり不足を批判する声が噴出。中国漁船が国連安保理の規則に違反して北朝鮮でイカを乱獲していることについても、「国際社会を巻き込んで徹底的に」(佐々木紀衆院議員=石川2区)対策を求める意見がでた。

「みなと新聞」より

大和堆での違法操業を続ける支那漁船の取締りを求める話なのだが、この記事はなかなか興味深かった。最初に開いたyahooニュースではこの様なタイトルだったからだ。

大和堆で外国船の違法操業急増 政府黙認に「軟弱外交の極み」 自民会議(みなと新聞) - Yahoo!ニュース
 自民党水産部会と水産総合調査会が21日、東京都内の党本部で開いた合同会議で、漁業関係者や議員らから、中国漁船などのイカの違法・無報告・無規制(IUU)漁獲に対する取り締まりの厳格化を求める声が相次

記事の内容はほぼ同じなのだが、タイトルが変えられ、「中国」の文字が外され「外国船の違法操業」となっている。支那漁船が日本のEEZである大和堆でも、北朝鮮領海内でも違法操業していてこれを取り締まってくれという流れの話なのに、何故かタイトルが「外国船」になってしまう。

みなと新聞の中で、支那に対する弱腰外交が問題だと指摘しているが、まさにそれを体現したような記事である。メディアもだらしねぇな。

ともあれ、違法操業は洒落にならないレベルで増えているらしい。

大和堆の違法操業 依然高水準 19年の退去警告5122隻

2020/1/8 18:16

水産庁は8日、日本海の大和堆で違法操業する外国漁船に対し、2019年は延べ5122隻に退去警告したと発表した。前年(5315隻)に引き続き高水準だった。大和堆はイカなどの好漁場で、北朝鮮や中国の漁船が日本の排他的経済水域(EEZ)で違法操業する問題が深刻化している。水産庁は今後、取り締まり船を増やし対応を強化する。

退去警告を実施した漁船のうち、4007隻は北朝鮮、1115隻が中国からの漁船だった。退去警告してもすぐに立ち去らず、放水措置に至った例は延べ1590隻あった。

「日本経済新聞」より

これは去年のデータなのだが、これを上回る数で増えているというのだから、恐れ入る。

尖閣周辺では漁船が追い回される

更にこんなニュース。

中国船が領海侵入、日本漁船を追尾 尖閣周辺で

2020/5/9 22:57

第11管区海上保安本部(那覇)は9日、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国海警局の船が8日午後4時50分ごろ、魚釣島の西南西約12キロの海上で、操業中の日本漁船に接近し、追尾したと明らかにした。海保が領海から退去するよう警告し、漁船の周囲に巡視船を配備して安全を確保した。漁船に乗っていた3人にけがはなかった。

「日本経済新聞」より

これにはちょっと裏もあったようなのだけれど、日本の漁船が支那の海警の船に追い回される構図はもはや治安というよりは国際的な紛争の状況に突っ込んでいると言える。

ここで大きな問題なのは、海にせよ空にせよ、日本が支那軍と事を構えるのに明確な交戦規定が無い点である。いや、「交戦規定はあるよ」という方もいるのだが、イラクなど海外派遣した際に作られたポジティブリスト方式に基づいて作られたもの等のことを指しているのであれば、使えなかろう。

ネガティブリスト方式であれば、いけるかもしれなかったんだけど。

そして、佐藤氏が指摘しているように、海上保安庁は更に立場が難しいのだよね。

縦割りの弊害

公明党の指定席になっている国交省の大臣は、満足な仕事をしないらしい。

ただ、大型無人機は航空法の規定が未整備で、運航ルートが変わる度に国土交通相の許可が必要。国交省航空局は国際安全基準が整備される2025(令和7)年まで同法を改正しない方針で、海保関係者は「活動が制限されるおそれがある」と懸念している。

「産経新聞”〈独自〉海保無人機、4年度にも導入 尖閣・日本海で監視拡大”」より

航空法の整備と海上保安庁法の定めでは不十分で、かつて船体射撃に対する免責の規定が盛り込まれたことがあったが(能登半島沖不審船事件を踏まえて平成13年に法改正がなされた)、これは船にしか対応出来ないため、話にならない。

こんな感じの導入工程が想定されているみたいなのだけれど、航空法改正は令和7年以降というから呆れるより他無い。

GA-ASI、遠隔操縦無人機シーガーディアンの飛行実証を日本で開始

2020年10月19日 11時45

青森県八戸市 – 2020年10月15日 – 遠隔操縦無人機(RPA)システムの大手メーカー、米ジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社(General Atomics Aeronautical Systems、Inc.、以下:「GA-ASI」)はアジア航測株式会社と協業し、青森県八戸市においてGA-ASI製の遠隔操縦無人機MQ-9B SeaGuardian®(以下:シーガーディアン)を用いた海上保安庁向けの飛行実証を開始しました。

~~略~~

シーガーディアンはあらゆる天候においても高い性能を発揮できる機体であり、無人航空機における標準化仕様であるNATOの耐空性要件(STANAG-4671)を満たした型式認証を取得しています。民間空域での柔軟な運用を実現する技術として、滞空型遠隔操縦無人機市場に革新をもたらしています。

「PRTIMES」より

そらまあ、実証実験が始まったばかりではあるのだけれど、これで飛行してデータ収集というのは間抜けな話である。

そもそもこの話は国防案件であり、航空自衛隊か海上自衛隊がデータ収集して情報共有して然るべき話である。防衛庁案件になると又厄介なのだろうけれど、別々に機器を購入してパトロールって、間抜けと言わざるを得ない。

また、こうした違法操業取締りは水産庁管轄でもあるのだが、こことも連携しているという話は聞かない。どうなっているのやら。

そもそも人手が足りない

安倍政権時代には、海上保安庁の予算を大幅に増やしたことがあった。

海保予算 最高の2100億円 17年度、尖閣警備を強化

2016/12/21 21:23

政府は21日、2017年度予算案に海上保安庁の経費として2100億円を計上する方針を決めた。16年度当初の1877億円から約200億円増額し、過去最大となる。大型巡視船を新造するほか、同庁の人員を200人増やす。沖縄県の尖閣諸島周辺で中国公船が領海侵入を繰り返す実態を踏まえ、警備体制を強化する。

「日本経済新聞」より

この平成29年以降、海上保安庁の予算は増えていて令和3年の概算要求は2300億円である。

https://www.kaiho.mlit.go.jp/soubi-yosan/nyusatsu/koukoku/201502/shiyousyo/R3kannkeiyosanngaiyou.pdf

ところがこれでは全く足りないのが現状なのだ。何しろ、海上保安庁は広い日本の海を限られたリソースで守らねばならない。もちろん、装備も船も足りない。

これを補うのが無人偵察機と言うことなのだけれども、しかしもうちょっと考えれば情報収集は海上自衛隊もやっているはず。残念ながらRQ-4の導入は流れる可能性が出てきちゃったのだけれども、折角導入するなら、相乗りした形でデータ収集は出来ないものだろうか?

そして、本当に必要なのはこうしたデータ収集をして、その先が問題になるハズなのだ。現場に急行する海上保安庁職員、或いは水産庁の職員など、人的リソースが足りない。もちろん、海上自衛隊員も足りない。

その辺りも含めて、もうちょっと上手いこと出来ないものだろうか??

日本の漁業を守り、民間船の安全な航行を守る、更にはシーレーンを守ると言うことを、島国日本はもっと真剣に考えなければならないのに、どうしてこうなったのやら。

コメント

  1. 組織の縦割りを打破し、理念、装備、情報を共有し、必要に応じ機動・弾力的な対応に当たるようにするできることが最も望ましいことは誰しも概念としてはわかっていると思います。それを実現できないのはなぜなのか、誰が、若しくはどのような状況がそれを妨げているのか、政治、行政、メディアもそれを真剣に考えてほしいものです。

    • リソースの無駄遣いは勿体ないですよね。
      ただまあ、何が何でも効率化というわけにも行かないでしょうから、出来る所から手を付けて欲しいです。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    尖閣は支那に日本海(大和堆)は支那・北朝鮮+南朝鮮に好き放題やられていますね。

    >退去警告を実施した漁船のうち、4007隻は北朝鮮、1115隻が中国からの漁船だった。

    ところで支那の漁船が1000隻以上なんですが、対馬海峡経由で易々と来てるんですかねェ~。
    北朝鮮の木造船と違い大型漁船を多数保有してますから簡単なんでしょうけど、それなら最も海域の狭い対馬海峡で海保巡視艇の臨検で取り締まりする事はできないのかな?

    >公明党の指定席になっている国交省の大臣は、満足な仕事をしないらしい。

    これが一番の厄災だと思いますよ。
    国土交通省の管轄下である海保と航空局が連携すらできていないのが現状でしょうし、おそらく長くこのポストに居座っている公明党には端から問題意識なんてないんじゃないかな。

    解決には行革を断行し一気に海保を防衛省管轄にしちゃいましょう、河野大臣の剛腕に期待!!(笑)
    一体組織となった海自・海保が共同作戦をとり、支那の一方的な暴挙に対抗する手段で、公明党の権益を大きく削ぐ事ができますからね。

    アメリカ6軍には日本と同じように国防総省ではなく、国土安全保障省管理下の「アメリカ沿岸警備隊」がありますが、常設軍と認められていてその規模と装備はほとんど軍隊に近いんですよね。
    アメリカ沿岸警備隊の実際の交戦規定は判りませんが、近々支那対策で西太平洋に警備艦を配備するとかいう話もあります。

    海保が臨検を警告・実施し従わない場合は海自が武器仕様で実力行使すればいい事。
    航空局の縛りもなくなりますから哨戒機はもちろん戦闘機だって出動可能です。

    それを前提にしたらの話ですがMQ-9B(シーガーデイアン)の選択は、現時点で間違ってないと思いますね。
    ベースのMQ-9は6箇所のハードポイントを持った攻撃機であり、運用形態を支那戦闘艦に対するとすれば牽制力の一翼になると考えます。
    そして、コストはパイロット基地や運用費を除いて1機14億程度ですから、20機揃えても300億円くらいですね。

    4機配備計画の様ですが陸海空の日本の安全保障に人員的な穴が開く恐れがあり、3~4倍増を計画して欲しいもんです。
    その間に日本独自で世界最高基準のUAV開発も必須条件です!!

    • 公明党の件は本当にダメだと思います。
      個人的に、某宗教に思う所があるのはさておき、日本の国益のために政治をやっているのか?ちゃんと民主主義的なルールに基づいて代表を選んでいるのか?とか、もはや何というかダメな面が色々見えるヤバいところだと思います。
      アレを、国政に関わらせるのは、ダメじゃないかと。

      あと、シーガーディアン配備は頑張って欲しいですね。
      法整備のほうも温い事言っていないで頑張って欲しいところです。

      • 木霊様、皆さま、今晩は

        公明党は宗教色を全面に出してほしい。政教分離とかでカモフラージュしないでほしい。「創価学会民主連盟」とかの方が気持ちがいい。

        ・・・にしても、酷いと思います。自民がもっと多数を取って連立解消・・・それはそれで問題かなぁ。

        自民党右派と自民党左派が分裂すれば2大政党が実現できると思います。実際のところ、自民党は「派閥連立政党」だと思うので・・・派閥均衡とか、たらいまわしとか、実質的には政権交代に近い状態なんで、まぁ、いいのかな。
        でも、公明党は何とかしたいと思います・・・でも、支持者がいるんですよね。

      • そうですねぇ。
        そういう意味では、幸福実現党は実に潔しと言えましょう。政策もぶっ飛んでいますしね!いや、実は理念はしっかりしている部分があるので、共感できるところはあるのですが、最後のところで踏み外す辺りが心得ているというか。彼らは「政治」の積もりではなく、アレも信仰の形だと考えているのでしょうね。

        自民党も随分と弱体化しました。
        選挙には公明党の手助け無しに当選する議員は少ないと言われています。
        ……ですが、そんなことで落選する議員であれば、ハナから不要なわけで、やっぱり自民党は公明党ときっぱり手を切って政治をして欲しいと思います。

      • 木霊さん、おはようございます。
        レスありがとうございます。

        >公明党の件は本当にダメだと思います。

        選挙でかのカルト宗教の組織票がなければ勝てないのでしょうけど、ここまで国益を損なう政策を延々と続けさせている自民党の責任が一番大きいと思います。
        憲法改正も公明党に足を引っ張られてきたから進まないのですから。

        方向性の近い維新の会には全国組織力はありませんから選挙でアテにできないし、政権維持が命題ですから公明党を切れないのがもどかしいですね。
        残る手は徐々に権限を削いでいく策略が必要で、多くの国民が行革推進に前向きな今こそ難癖付けてでも国交省の弱体化で公明党を窮地に追いやるべき。

        >あと、シーガーディアン配備は頑張って欲しいですね。
        >法整備のほうも温い事言っていないで頑張って欲しいところです。

        海保が防衛省管轄になり自衛隊と一体運営(任務は分担する)できれば、国防的にかなりの戦力として機能するんじゃないでしょうか。
        そして同時に公明党の牙城となってしまった国交省の権限を弱める事ができます。

        海保には強力な臨検・逮捕権に加え十分な火器装備を備える→領海侵犯した支那海警・不審船は侵略行為とし海上警備行動を発令する→海自・空自は防衛出動を前提に海保を守りバックアップする。
        提案した監視先兵としてシーガーディアン×20機ならば、尖閣・東シナ海に10機・日本海に10機配備すれば、かなりの広範囲で常時2~3機を24時間365日貼り付け可能と思います。
        とりあえず最低必要な装備と考えてます。

      • 公明党の選挙手法は実に見事です。
        実際に関わったことがありまして、「宗教をこの様に選挙に利用するのか」と感心するより薄ら寒い気さえしました。
        ですが、今や公式に掲げる信者数の半分以下になってしまい、公明党も弱体化が進んでいます。選挙も随分と弱くなったと聞きますよ。

        自民党が良いとは言いませんが、他の政党を見るにまともな人材が見受けられません。
        なんとも悔しい話ではありますが……。

        シーガーディアン運用は、さっさとやるべきだと思いますから、政治家の皆さんには頑張って貰いたいですね。