菅政権が目指す携帯料金値下げの先に見据える電波オークション

政策

つい先日、「携帯電話を値下げする!」とぶち上げたばかりの菅義偉氏だが、その本気を見てとったか、NTTが本気を出し、ソフトバンクが追従する形になってきた。

ソフトバンク、携帯料金「真摯に検討」 大手3社が値下げ姿勢

2020年10月7日7:53 午後

ソフトバンクは7日、菅義偉首相が求める携帯電話料金の引き下げをめぐって「料金については真摯に検討する」との考えを示した。広報担当者が述べた。これにより、NTTドコモ、KDDIを含め、大手3社が値下げ検討の姿勢を示したことになる。

「ロイター」より

菅氏の狙いは一体どこにあるのだろうか?あ、先に断っておきたいのだが、本日は大分妄想垂れ流しな感じである。

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菅政権の改革の柱

携帯電話の値下げの外にも

菅政権発足が9月16日に発足した。

そして、取り組むべき政策として発表した中に、携帯電話料金の値下げがあった。

菅政権の「組閣と政策」を読む上で外せない要点

2020/09/18 11:15

9月16日に菅義偉・前官房長官が衆参両院の首相指名選挙で首相に指名され、同日菅義偉内閣が発足した。安倍晋三・前首相の突然の退陣表明から後を継いだ菅義偉内閣の意義と閣僚人事、そのうえで菅首相が取り組むと明言している政策課題のポイントについて解説したい。

~~略~~

コロナ感染症対策以外に菅首相は行政のデジタル化、そのためのデジタル庁の創設と行政改革・規制改革を重視する意向を示している。

平井卓也デジタル改革担当相は自民党議員のなかで最も情報通信技術に精通していると考えられており、自然な人事である。河野太郎行政改革・規制改革担当大臣は自民党で行政改革推進本部長を務めたこともある。

「東洋経済”菅政権の「組閣と政策」を読む上で外せない要点”」より

一見、「小さなこと」のように思えるし、携帯電話料金について内閣が口出しするなどというのは馬鹿げている、横暴だ、という意見もあるのだろうが、これには重要な意義があると僕は読んでいる。

菅総理と武田総務大臣の「携帯料金値下げ」発言、3キャリアはどう受け止めた?

2020年09月23日 18時42分 公開

内閣総理大臣に就任した菅義偉氏が「携帯料金値下げ」の提言を続けている。

 9月16日の内閣総理大臣就任会見では「国民の財産の電波の提供を受け、携帯電話の大手3社が9割の寡占状態を長年にわたり維持して、世界でも高い料金で、20%の営業利益を上げ続けている」との理由から値下げに対する意欲を示す。

~~略~~

菅氏といえば、安倍内閣で官房長官を務めていた頃から携帯料金の値下げについて提言し続けてきた。2018年には「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」とコメントして3キャリアが料金プランを改定するきっかけを作った。

「ITメディア」より

記事には2018年に官房長官時代に値下げに言及して3キャリアの料金プランが大幅に変わったきっかけを作った内容が紹介されているが、第1次安倍内閣(平成18年~平成19年)の際に総務大臣をしており、この頃からすでに通信費に関する言及を行っていたようだ。後で言及をするが、電波利用に関しても問題意識を持っていたようだ。

つまり、今回のこの話は菅氏の念願の政策の一環なのである。

NTTの本気

携帯電話料金の話をするには、別ブログで言及しているのだけれど、NTTがドコモを子会社化した話に言及しなければならない。

携帯電話料金が下がる?!ガースーGJ!
携帯電話会社が動き出したようだ。新総理になったガースーこと菅義偉氏の圧力はかなり強いらしいね。ソフトバンク、携帯料金「真摯に検討」 大手3社が値下げ姿勢2020年10月8日ソフトバンクは7日、菅義偉首相が求める携帯電話料金の引き下げをめぐっ

こちらのサイトは政治ネタ厳禁というポリシーで書いているので表面的な話だけなぞっているんだけど、NTTがドコモを子会社化した意味は、NTTが本気で値下げを考えていることを意味することは伝わると思う。あ、中身は薄いので読んで頂かなくても問題無い。携帯電話料金は下がるよ、という流れにすでになっている、その事が分かれば良いと思う。

で、何故、NTTが本気になったか?というと、1つはデジタル庁の話が関係してくると僕は読んでいる。

デジタル庁設置 政府 ネットで意見募集へ 幅広く国民の声反映

2020年10月5日 5時39分

「デジタル庁」の設置を目指す政府は、国民の幅広い声を今後の作業に反映させたいとして、近くインターネットを通じて意見の募集を始めることになりました。

デジタル化を一元的に担う「デジタル庁」について、政府は来年の設置を目指していて、先週「法案準備室」を発足させ、来年の通常国会に提出する法案の検討作業などをスタートさせました。

「NHKニュース」より

デジタル庁が一体何を意味するのかは今のところハッキリしていないが、現在の霞ヶ関の状況だと、省庁毎に別の組織がIT環境整備を行っていて非効率なので、これを統一していくんだ、とかいう話がまことしやかに言われている。

当然、新しいシステムを組むので、大きな話が転がってくる。

株式会社NTTデータ | 【公共】中央省庁システム開発プロジェクトにおける基盤領域の開発リーダー | IT転職 エージェント リーベル
株式会社NTTデータの求人情報ページ。【公共&#123...

NTTデータあたりは既に複数のシステムに手を出しているけれども、既に求人を出しているあたり、本気度を感じる。

もちろん、総務省が推進しているマイナンバーや国税局が関わるE-TaX、或いは警察庁管轄の運転免許証のデジタル化など全てが関わってくるデカい話になる。

<独自>国・地方の行政デジタル化に139億円 総務省概算要求 マイナンバー普及に1451億円

2020.9.24 20:21

総務省が地方自治体のデジタル化を促す「自治体デジタルトランスフォーメーション(DX)推進計画」など国、地方の行政デジタル化に向け、令和3年度予算の概算要求で139億5000万円を計上する方針を固めたことが24日、分かった。マイナンバーカードの利活用促進にも1451億円を盛り込む。菅義偉内閣が掲げる行政のデジタル化を強力に推し進める方針だ。

「産経新聞」より

既にマイナンバーなどには巨額な予算が付いている。この手の仕事を請け負える日本企業は多くないわけで、富士通やNECあたりが噛みついてくる程度だろう。

つまり……、総務省を通してNTTと話がついている話なんだと、そういう事になる。そのためにNTTのドコモ子会社化が容認されたワケだね。

6Gをエサに

ところで、文句を言う可能性のあるとしたNECだが、コチラには既にデカイ釣り針がぶら下げられている。

NEC×NTTで「基地局3強」挑戦 6G覇権へ政府も後押し

2020年07月11日07時00分

NTTとNECが、第5世代(5G)移動通信システムなど先端通信網の共同開発で資本・業務提携する。NTTがNECに約644億円出資し、同社株を約4.8%保有し、共同で次世代技術の開発を急ぎ、劣勢だった海外での巻き返しにもつなげる。かつての「電電ファミリー」が手を組んで国際競争で巻き返しを狙う。

「J-castニュース」より

既に支那にやられてしまっている5Gを諦めて、6Gを推進する話になっているのだ。あ、5Gも推進はするんだろうけれど、「予算が付いている」という意味は大きい。

NECが2020年7月10日にNTTに対して第三者割当増資を実施するとともに、保有する自己株式も譲渡する。4.8%の保有率は第3位の株主になる。調達した資金は2030年ごろまでにネットワーク関連の研究開発費などに充てる。

「J-castニュース”NEC×NTTで「基地局3強」挑戦 6G覇権へ政府も後押し”」より

そう、NTTとNECがタッグを組んで2030年までに研究開発をして実用化させることになっている。もちろん、そう簡単にはいかないのだろうが、やる気はあるんだろう。

さて、このエサがぶら下げられているのはNECだけでは無いのだよね。実はこんなニュースも。

トヨタとNTTが資本提携、見据える「6G」時代の街づくり

2020年3月24日

トヨタ自動車とNTTは3月24日、それぞれ約2000億円を出資して株式を持ち合う資本提携を決めたと発表した。両社が持つ最先端の技術・ノウハウを持ち寄り、世界的に激しい競争が続く自動運転技術の開発強化や、ITを活用した街づくり「スマートシティー」の早期実用化につなげる狙い。

「日経ビジネス」より

実はNTTはトヨタとも6G繋がりで手を握っている。トヨタは「スマートシティ」をぶち上げておかしなCMをテレビで流すほど本腰を入れているのだが、今や自動車産業も斜陽産業になりつつある。

トヨタの事情をザックリ説明すると、自動車産業的にエンジンが廃止されてしまえば、テスラなどのような新興企業が巨大化を武器に一気に勢力を伸ばす可能性が高い。何しろ、自動車に使う部品点数が激減してしまう。また、自動車の心臓部は、今やエンジンでは無く制御コンピューターの分野に移ってしまっている。

ところが、トヨタはその分野に強くない。寧ろ、三菱自動車などグループに電気会社や重工を持つ勢力に戦々恐々としているのである。だからこそ、次の産業を探している状況なのだ。

だからこそトヨタにとってもこの6Gの話には乗らない手は無い。ただ、支那からもお誘いがある様なので、菅氏がどこまで本気か、どこまでのスピードで改革が進められるかで、日本の将来が大きく変わってくる可能性はあるだろう。

改革の本丸は電波

電波オークションと電波利権

話はちょっと変わって、過去にこんなニュースが流れたことがあった。

電波オークション 政府が導入検討

2017.9.12 01:11

政府が電波の周波数帯の利用権を競争入札にかける「電波オークション」の導入を検討していることが11日、分かった。特定のテレビ局や通信事業者などに割り当てられた「電波利権」に切り込むことで、電波利用料金の収入増や割り当て選考の透明性確保を図る。政府の規制改革推進会議も同日、公共用電波の民間開放の拡大を議論していくことを決めた。

「産経新聞」より

この話はテレビ業界の強い反対にあって潰れたのだが、ここがネックである事は総務省のトップを務めた経験がある菅義偉氏は重々承知しているだろう。

しかし、敢えなく潰されてしまった。

総務省によると、27年度の電波利用料金の収入は総額約747億円。主な通信事業者やテレビ局の電波利用負担額は、NTTドコモ約201億円▽KDDI約131億円▽ソフトバンク約165億円▽NHK約21億円▽日本テレビ約5億円▽TBS、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京約4億円-などとなっている。

「産経新聞” 電波オークション 政府が導入検討”」より

総務省がこの時本気だったと思う理由にこのデータの開示がある。グラフにすると分かり易いかな。

見て頂くと分かるが、携帯電話会社が多額の電波利用量を支払っているのに対して、テレビ局の支払いは微々たるものである。メディアが抵抗したためにこの事実は広く知られる事は無かったが、メディアが抵抗した理由はコチラにある。

地デジ導入の際の説明図なのだが、テレビ放送には多大な帯域を未だに占有している事が分かるだろう。利用帯域に応じた費用を支払わせれば、巨額の資金を政府が得られるような事になってくる。それができなければオークションで売れという流れも考えられる。

だからこそ、巨大利権を手放したくなかったテレビ局が挙って反対したのだ。テレビ局の言い分としては、広い帯域を使わないと混線する可能性があるというものだが、デジタル化した今ではその言い訳は通用しない。

この地デジ化よりも更に時代が進んで、テレビ番組はインターネット放送という流れになってきた。時代は先に進み、テレビ局が取り残されつつあるのだ。トヨタなどの企業と大きく違うのは、テレビ業界は強く既得権益にしがみついて「次」に目を向けようとしないところだろうか。

戦々恐々とする放送業界

菅義偉総理大臣の登場に恐怖しているのが放送業界の方々だが、そのことは自民党総裁選挙の際に激しい菅下げをしていた事からも伺える。

菅首相に放送業界の人々が戦々恐々とする訳

10/07 14:20

新総理大臣に就任し、「日本学術会議」会員に推薦された学者6名の総理任命拒否が騒動になっている菅義偉首相。この件から筆者は、「法律を根拠」として行政改革を推進する菅首相の力強い意志のようなものを感じる。早くも携帯料金の値下げを掲げているが、このやり方を流用し放送業界にも圧を加える可能性もある。

~~略~~

民放側はこれまでの菅氏の放送業界への言動をもちろん覚えている。当然ながら警戒しているようだ。放送法などのルールを熟知し、それに則って強い態度に出ることもある。場合によっては「停波」を口にもする。そんなコワモテの政治家であることが民放にどう影響するか、戦々恐々のようだ。

とくに電波行政、民放が数十年間安い水準を認められてきた電波料を見直されたらたまったものではないだろう。民放はコロナ前から広告収入が激減しており、立て直しに躍起になっている最中だから、電波料が上がったらさらに打撃になる。ましてや電波オークションの話が出てきたら大汗かいて必死で止めることだろう。

「auニュース」より

既に菅氏は「停波」という圧力をかけた実績がある(実際には高市氏が発言したと記憶しているが)ため、電波料や電波オークションの話は、現実的な話だ。

菅氏がどこまで見据えているかは不明だが、6Gの帯域を確保する名目で大鉈を振るう可能性は十分に考えられる。NTTやトヨタといった日本を代表する企業が本気を見せているだけに、始まったら多分止められない話となるだろう。多分、話は既に付いている。

政治巧者である菅氏がどこで本格的に仕掛けるか?だが、案外解散総選挙あたりで持ち出すのかも知れない。少なくともそのカードを見据えてはいると思う。

経済対策になる携帯電話利用料金の値下げ

しかしまあ、壮大な話を書いてしまったが、近視的な話を拾っていくと、携帯電話料金の値下げは日本経済への活性化に繋がる話となる。

あまり指摘が無いが、家計における携帯電話料金の割合は比較的高い。ここで値下げが実現すれば、可処分所得が事実上増える結果になるので、経済の活性化に繋がるという目論見はあるだろう。

大きな話では無いが、若年層にも影響する話だけに消費マインドの刺激は大きい意義がある。

ここで想起されるのが消費減税に関する議論である。国内ではコロナ不況への対策として消費減税を求める声が大きくなっている。だが菅氏はむしろ消費増税に言及するなど減税には否定的だ。社会保障の財源を確保できないことや、減税は根本的な景気拡大策にならないと菅氏が考えていることなどが理由のようだ。

ちなみに消費税を1%減税すると家計には2兆~2.5兆円の余剰資金が生まれる。消費減税を強く主張する人は、増加した家計の可処分所得が消費を後押しするとしているが、この金額は通信料金を4割引き下げた場合とほぼ同じになる。つまり通信料金を4割値下げできれば、消費税を1%減税したことに近い効果が得られるのだ。

「yahooニュース」より

消費税減税が消費刺激になる事は理解しているだろうが、そう簡単には実現できない。じゃあ、ということで同等の効果がある携帯電話料金の値下げに圧力をかけたわけだ。

携帯電話料金値下げでやりやすいのは、実際に諸外国と比較して価格が高めに設定されている事実があるということだ。

消費税を減税するには法改正が必要となるので、実現のハードルが極めて高い。しかも、一旦引き下げて、あまり効果がなかった場合、その後の経済・財政運営は極めて難しくなる。だが、通信料金の引き下げは、場合によっては行政指導レベルで済むため、圧倒的に手続きが簡便であり、しかも消費減税効果がどの程度なのか予行演習できる。

「yahooニュース」より

更にコチラの記事では、消費税減税への予行演習という読みがある。

強ち間違いでは無いだろう。

つまり携帯電話料金値下げの話は、その先に続く話への布石であると僕は読んだわけだ。そして説明した様に、その先とは6Gと電波オークションだろう。現在の菅政権の支持率を考えれば、料金値下げ実現で更に支持率は上がるだろう。

菅義偉氏の政治理念が「無い」などと揶揄する方も多いようだが、その辺りは安倍氏の政策を継承するという方針で問題無いだろう。既に、クワッドの推進の方向で話が進み、その他の国からも次々と問い合わせがある状態で、「安倍氏の方針を継承」の言葉に偽りは無さそうである。

菅政権に懸念が無い訳ではないが……、期待値はかなり高い。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    単純に国民受けする携帯料金値下げは入り口で、ご指摘の様にTVマスメディアをターゲットにした菅首相の深謀遠慮と執念を感じさせる話です。

    そして、先ずはソフトバンク外し...かな?
    記事にあるようにトヨタとNTTが6Gというニンジンで結集したなら、携帯業界特に国益を害する存在であるソフトバンクには大打撃となるやも知れませんからね。
    これが思惑通りに進んだとして、残るは偏った操作報道しかしないクセに、小賢しい論法で批判だけの汚いペーパーマスメディアの正常化ですね。

    この記事の行く末は興味深くウォッチしていこうと思います。

    • この話はあくまで想像の域を出ません。
      ただ、菅氏は詰め将棋でもするような感じで政策を進めている気がします。
      気のせいかも知れませんけれど、注意深く見守っていきたいです。