台湾にF-16整備センターが設立される

台湾

ちょいと古い話なのだけれど、台湾について。

F16戦闘機の整備拠点、台中に設立 蔡英文総統「航空優勢を確保」/台湾

2020/08/28 13:27

空軍に配備されているF16戦闘機の機体を整備する拠点が中部・台中市の漢翔航空工業沙鹿工場に構築され、同所で28日、設立式典が開かれた。式典に出席した蔡英文(さいえいぶん)総統は、戦闘機の整備に要する時間の大幅な短縮や可用性の大幅な向上につながるとし、国防の前線となる航空優勢の確保に自信をみせた。

「フォーカス台湾」より

去年、2019年12月17日の報道で、アメリカと台湾との間にF-16戦闘機の専用メンテナンスセンターを設立する合意、協定に署名されたという事が報じられていた。

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台湾に配備されるF-16Vは210機?

アメリカは台湾に最新のF-16Vを販売した

冒頭に引用した記事に先だって、アメリカから台湾へのF-16Vの販売決定の報道があった。

米、台湾へF-16最新型売却 66機

2020年8月15日 23:59 JST

米国防総省は現地時間8月14日、ロッキード・マーチンがF-16戦闘機の製造を受注したことを公表した。同盟国に向けた有償軍事援助(FMS)の新造機で、契約期間は10年間、総額620億ドル(約6兆2000億円)、機数は90機。相手先は明らかにしていないが、AFP通信やブルームバーグなどによると、このうち66機を台湾へ売却するとみられ、発表では2026年末までに終える予定だとしている。

「Aviation Wire」より

アメリカが誇るF-16戦闘機は長らく現役で活躍しているのだが、Block 70/72は最新版で、第4.5世代戦闘機に分類されるといわれる戦闘機だ。

これが現役最強の戦闘機と言う訳ではないのだけれど、空戦特化のF-22戦闘機はアメリカがどの国へも輸出するつもりはないし、アメリカ国内でも生産ラインを閉じてしまったので現実的に入手不可能。マルチロールのF-35戦闘機は最新の戦闘機で最強の呼び声も高いものの、メンテナンスのことまで考えると台湾にとって現実的とは言い難い。F-16と同世代の最強戦闘機F-15は、というと個人的には「アリ」だと思うのだけれど、既に老朽化した台湾空軍で運用中のF-16A/B(144機)の更新まで視野に入れると、F-16V戦闘機がベストチョイスということになるのだろう。

台湾が敵対するのは支那人民解放軍である。距離の近さなどを考えると、特に足の長い機体が必要というわけでは無く、寧ろ長距離ミサイルをの性能向上させる方が現実的である。

中華民国空軍はAIM-120 AMRAAMを保有しているが、F-16VのARSAレーダーをAN/APG-83SABRにしたことで、射程の長いAIM-120Dが使えるようになる。そうすると、射程距離が180kmという事になり、支那に対する牽制として意味があるだろう。

2022年までに全機を改修するという計画になっているようだが、これが実現すれば中華民国空軍は大幅な戦力アップを果たすことになる。

そして整備センターが設立される

そして210機のF-16V戦闘機を自前でメンテナンスすることができるように、整備センターを設立するという。

F-16は世界中で使われている戦闘機で、各国にメンテナンスする工場が整備されていることが多いのだが、台湾ではF-16戦闘機の大掛かりなオーバーホールについては、アメリカのロッキード・マーティン社に依頼するような形だった。

ところが今回の整備センターを手に入れたお陰で、台湾は自国で整備を完結することが可能となる。

台湾、「F-16アジア太平洋メンテナンスセンター」を設立ハンシャンとロッキードマーティンが戦略的提携契約を締結

2019/12/17 12:25

F-16戦闘機は台湾の防空に責任があります。現在、空軍の144機のF-16戦闘機がF-16Vへの性能アップグレードを行っており、米国から66機のF-16V戦闘機を購入して210機に到達しています。本日、ハンシャンとロッキードマーティンが戦略的提携協定に調印し、蘇振昌総裁が現場に立ち会い、台湾を共同でアジア太平洋地域のF-16戦闘機の整備センターにすることを推進します。

「自由時報」より

台湾、F16戦闘機の整備拠点を開設 米ロッキードと台湾企業が主導、両国軍事協力の最新例に

2020年8月28日(金)19時05分

台湾の蔡英文総統は28日、米国と台湾の企業が主導する最新型F16戦闘機の整備拠点を開設するに当たり、「強固」な空軍力で台湾を守る姿勢を強調した。

「Newsweek」より

そして、台湾は自国のF-16戦闘機だけではなく、アメリカ軍の戦闘機のメンテナンスも可能となる。そうすると、実はアジアのF-16戦闘機の整備を一手に引き受けてきた韓国にとっては手痛いダメージになる可能性はあるだろう。

逆にいえば、だ、強固な米韓同盟というものは過去のものになり、アメリカは台湾と手をがっちり組んでいく、という意味にもなる。もちろん、日本も例外では無いのだが。

そういう意味では、台湾が多数のF-16Vを取り揃えたことよりも、整備センターを置いた事の方が大きな意味があったように思う。

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    レーガン政権の武器輸出禁止から2010年代まで、かなりの制約を受けてきた台湾にとってはタイミング的にもいいニュースですね。
    F-16A/B Block20をやっと売ってもらったのですが、しかたなく国産したF-CK-1(経国)を結果的に大幅に減らさざる得なかった経緯等考えると、正に苦節30年以上を良く耐えしのいできたと言えるでしょう。

    >実はアジアのF-16戦闘機の整備を一手に引き受けてきた韓国にとっては手痛いダメージになる可能性はあるだろう。

    ここなんですが東アジアでF-16採用国はシンガポール(70機)・タイ(61機)・インドネシア(40機弱)、そして南朝鮮180機くらいのはずで他のアジア諸国の整備需要はどれくらいあったんでしょうかねェ~。
    何しろ、当時せっかく最新型のC/D型をアメリカに売ってもらったのに、共食い整備で自国のF-16の稼働率さえ怪しいもんなのにです。

    いずれにせよ米台軍事協力は深化しているのは良い事ですが、そろそろアメリカもビジネスだけではなく支那が真っ青になる様な対台湾施策を出して欲しいもんです。
    例えばトランプ大統領の電撃訪問とか、相当な抑止力効果が期待できるんじゃないかな。 逆に支那の反発・暴走を煽るリスクもありますが...。
    まあ、大統領選大統領選の結果待ちかな?

    次はアメリカ旧型艦が主力で沿海防衛も脆弱なので、戦闘艦と潜水艦への支援を期待しています。
    オリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲート(4200t)をライセンス生産を含め10隻、フランスのラファイエット級フリゲートを原型にした康定級フリゲート(3600t)を6隻、そして「空母キラー」沱江級コルベット(570t)を1隻+11隻建造予定ですが、これが支那海軍に対する主力艦の全てです。

    日本と同じ島国なのでもう少し戦闘艦の充実が必要な感じがしますね。
    ポイントはやっぱり潜水艦かなァ~。
    本当は日本の得意分野なので率先援助できればいいのですが(もちろん機密流出防御が前提)、もしやったら支那の大激怒は必至でしょうしね。

    日本も本当に米台と協調し対支那への覚悟を固める時だと思います。

    • 経国は結構良い戦闘機なので、そのまま使って欲しいところですが、将来的なことを考えるとF-16Vに更新して行った方が良いかも知れません。
      日本と違って3種運用というのが正しいのか?という観点も含めてよく分からない事情はありますが、F-16そのものはかなり優秀な機体ですから、良い選択だったと思います。

      韓国の事情に関しては、アメリカ軍からの整備受注以外はなかなか難しいと思います。
      確か、2020年以降も大韓航空が整備する話だった様な気がしますよ。ただ、台湾に整備センターが出来た事はアメリカにとっても大きな意味があります。将来的には顧客を失いそうな感じですよね。

      台湾は潜水艦の建造もやっているはずですが、ここは是非とも日本の潜水艦を投入して欲しかった。
      日本と台湾との関係をもう少し正常化する必要はありますが、日本と台湾とで連携を取らざるを得ず、水面下での戦いという意味では台湾と組むのはメリットがありますし、台湾としてもかなり大きな利点があると思います。
      日本の機密という意味では不安が残るとこですが、今現在、機密情報はダダ漏れなので、心配するならばそちらを締めないとダメですね。

      • 木霊さん、レス遅くなりました。

        >韓国の事情に関しては、アメリカ軍からの整備受注以外はなかなか難しいと思います。

        初めて知りましたがある意味驚きですねェ~、在韓第7空軍の貴重な主力戦闘機を南朝鮮に整備させてたんですか。
        まあ、地の利だけを考えるとリーズナブルというかやむ得ない選択なんでしょうけど、それにしても共食い・手抜き整備は厳しくチェックしているにしてもちょっと怖すぎな様な。

        第7空軍はF-16C/D×約20機の3個飛行大隊と攻撃機A-10(サンダーボルトⅡ)×1個飛行大隊、他ヘリや輸送機などで編成されている様です。
        つまり、整備需要はF-16C/D×約60機ですが、これを台湾の新工場に持って行かれると確かに痛いでしょうね。

        ただ、整備目的とはいえアメリカの戦闘機が台湾に入る訳ですから、支那はそれなりに反発するのは必至でしょう。
        アメリカが本気で台湾防衛を戦略化し支那挑発を辞さずと覚悟を決めているのであれば、米台同盟の具体的な打つ手としては有効となるやもです。
        危ない諸刃の刃でもありますが米台同盟実現の為のサラミ戦術と考える事もできますね。

        マスメディアがほとんど取り上げないニュースですが、こういう細かな流れと積み重ねを知らないと日米台の連携の重要性議論はできないと思います。
        米中関係とリンクした米台関係の行く末は他人事ではなく、南西島嶼防衛という地政学的な現実を抱える日本もすぐに当事者となり得るのですから。

        P.S.
        >台湾は潜水艦の建造もやっているはずですが、ここは是非とも日本の潜水艦を投入して欲しかった。

        既に国産で建造中の様ですが日本を含め欧米諸国の技術者が関与しているとか...?
        海自の誇るそうりゅう型の技術も密かに導入されているのかも知れません。