韓国で2022年からベーシックインカム開始?!

大韓民国

ちょっと面白いニュースが飛び込んできた。

チョ正訓、基本所得法足…「2022年からの最低30万ウォン支給」

送稿時間2020-09-16 19:19

時代の切り替えチョ正訓議員は16日、全国民に毎月一定の金額を支給する内容の基本的な所得法を代表発議した。

制定案は、基本所得の支給額と財源案などを議論するための基本的な収入の委員会を設置する内容が盛り込まれた。

「yna.co.kr」より

自動翻訳を使っているので、イマイチ頭に入ってこない文章なのだが、「全国民」に「毎月一定の金額を支給」とあり、いわゆるベーシックインカム構想と判断して良いのでは無いか。

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制度に関して

ベーシックインカムという考え方

スイスで実験をするとか国民投票をするとかいう話があったが、結局、否決されてしまったのでスイスでのベーシックインカムはしばらく難しいだろう。

ところが、ドイツで実験を始めるというニュースがあった。

120人に3年間、月15万円 独でベーシックインカム実験―新型コロナ

2020年08月23日07時17分

120人にほぼ無条件かつ非課税で3年間月1200ユーロ(約15万円)を給付し、労働状況や消費行動など生活全般に変化が起きるかを調べる社会実験が、ドイツで始まることになった。格差是正などのため現金を一律支給する「ベーシックインカム」(最低限所得保障制度)の有効性を調べるのが目的で、新型コロナウイルスによる失業が広がる中で大きな注目を集めている。

「時事通信」より

更にイタリアでも2019年4月から導入するという話があった。

さらにコンテ政権はイタリア版のベーシックインカム(最低所得制度)も4月から導入した。こうしたバラマキ政策に伴う財政負担は19年から21年の3年間で約1330億ユーロ(約16兆円)にも及ぶが、一方で財源には確たる当てがないのが現状だ。入りは増えず出ばかりが増えれば、年金や財政の破綻は当然早まってしまうことになる。

「PRESIDENT Online””年金開始62歳”で大混乱のイタリア経済”」より

他にも、オランダやらフィンランド、カナダなどでも導入する話があって、何れも「実験的に」「一部地域で」「期間限定」という感じでスタートしている。

ベーシックインカムとは、簡単に言えば毎月定額を国民に給付するというシステムで、基本所得を国民に与えようという試みの事である。

国民にしてみれば、定額所得が見込めることは喜ばしい事なのだが、この話をすると必ずついて回るのが財源の話である。

そもそも何故「ベーシックインカム」という話が出てきたか

この基礎的給付制度は、ある意味、貧富の差をならす目的があり、資本主義を経済システムとして採用している国にとって、資本を持たない人を救済しようという考え方でもある。資本主義の弊害として貧富の差が余りに行きすぎてしまったというところから、貧民救済という発想で産まれてきたシステムなのだ。

実際、歴史的な話をすると、1597年にイギリスにおける救貧法にそのルーツを見る事ができ、1601年にはエリザベス救貧法が制定されて国家単位で救済を行うに至る。こうした背景からイングランドの哲学者トマス・ペインとトマス・スペンスの二人がベーシックインカムの案を提唱(1796年頃)している。

今の形のベーシックインカムは19世紀になってからなのだが、何れにしろ古い時代から社会保障の1つの在り方として定額の現金給付をすべきだといh考えはあったようだ。

著名な経済学者のフリードマンも、自らの著書「資本主義と自由」にて「負の所得税」というのを提唱している。

ベーシックインカムのメリット

・社会保障制度の簡素化

さて、現金給付制度を整備するにあたって財源を確保する必要が当然あるのだが、これが社会保障の一助として提唱されている背景から、既存のシステムと被るような部分は、即ち、年金・雇用保障・生活保護などの社会保障制度の一部からまわすことで賄われる。

或いは、国民皆保険などの医療保障制度の一部からまわすことも検討されている。

つまり、社会におけるセーフティネットとして基礎的給付制度(ベーシックインカム:BI)を整備するならば、既存のシステムを見直さない限りは財源の捻出は不可能なのである。

しかし逆に言えば、国民全員に基礎的給付をすることが社会保障として機能するのだから、年金や雇用保障、生活保護、医療保険などの面倒な手続きを伴う部分の仕事をカットする事のできる可能性がある。

・行政コストの削減

社会保障制度が簡素化すると言うことは、そこにかかる手続き的な仕事が減るために行政コストの削減を図ることができ、小さな政府を目指すことができるというメリットが出てくる。

・小さな政府の実現

こうした行政コストの削減は、小さな政府に結びつくとされている。

・地方の活性化

基礎的給付が全国一律で行われる場合には、物価の安い地方へと人が流れる動機付けとなる。

・少子化対策

個人単位で基礎的給付が行われる結果、子供を増やす事は世帯単位で考えた場合に所得を増やす事に繋がるため、少子化対策に繋がる可能性はある。

・景気回復

直接的な現金給付が保障されていれば、将来的な不安が緩和されて、経済活性化に結びつく可能性がある。そして、貯蓄に回される分が消費に繋がるとされている。

・その他、風が吹けば桶屋が儲かる

書いていて、段々憂鬱になってきたな。この他のメリットとして、職業選択の自由に繋がるとか、文化の発展に寄与するとか、生活苦による犯罪の抑制効果があってトータルで犯罪が減るだろうとか、色々な事が議論されているのだが、この辺りは本格的に絵に描いた餅のような気がする。

だって、生活保護世帯から優れた文化人が産まれ、犯罪者は産まれず、職業選択の幅が増えた、なんて話は聞いたことが無い。一般的に言われているベーシックインカムによる基礎的給付の額よりも、平均的に高い保護を受けている生活保護受給者でこうしたメリットが見出せない以上、とても僕にはこれらの効果があるとは信じられない。

ベーシックインカムのデメリット

・富裕層に対する支給は逆進的効果を生む

当然ながら基礎的給付は富裕層であろうと、システム的に給付されるのだが、これが不公平だという考え方があるようだ。

・勤労意欲を失わせる

基礎的な考え方として、最低限の金銭的な補償をしようという考え方なのだから、働かなくても食べていけるのだと言う事になる。そうなると、一生懸命働かない人が増えるのでは無いか?という考え方がある。

・個人に対する責任を高く負わせる結果となる

システム設計的な話になるのだが、基礎的給付の枠内で医療、年金、雇用保障などの一部を賄うべきだという基本がある以上、これを個人で計画的に運用することが求められる。これは個人の資質に関わる話であるため、世帯に給付する場合には問題が起きそうにも感じる。

・賃下げ懸念

雇用主にとって「雇用者が生活できる給金を出す」という不文律があるが、これが崩れることで賃下げの雰囲気が出る可能性がある。これが景気に影響する懸念もあるとされる。

・国富の海外流出懸念

国籍要件など日本人に対する手当だという構造にすることが難しい為、子供手当問題で外国で扶養する子供も登録できるなどの不具合があったが、似たような問題が生じる可能性はある。また、海外で生活できない外国人が国内に流入する懸念はあると思う。しかしこれらも制度設計次第で、例えばマイナンバーに紐付けて窮するなどの手段を高じれば、ある程度は手当てできる可能性がある。

・その他、風が吹けば桶屋が儲かる

まあ後は将来不安とか福祉水準の低下や廃止などの懸念があるが、これは制度設計に絡む話である。また、犯罪の増加を懸念する声もあるらしいが、個人的には理屈はよく分からなかった。

制度設計が難しい

というわけで、古くからある考え方なのだけれど、致命的な問題も指摘されていて基礎的給付の制度の設計が極めて難しい。

各国で有望視されながらも社会実験から入っている背景にはそうした事情があるものだと思われる。

何よりも、全国一律定額給付という大前提がある為、その財源に纏わる不安というのはかなり大きなものがあるだろう。一度始めたら将来にわたって固定費が発生するため、国家基盤を破壊しかねない危険な制度だとも言える。

具体的な費用例については、日本国内で試算した人がいて、日本国民全員に毎月4万6千円支給したケースでは、年額69兆円の予算が必要となる。試算者は、社会保障給付費が年間総額100兆円弱あるため、ここから医療分の31兆円を差し引いて69兆円の財源が確保可能であるとしている。

ただ……、年金・生活保護・雇用保険・児童手当・各種控除を合算すると、一人当たり月額4万6千円というのは些か少ない。

例えば生活保護の基準額は年齢によっても異なるが、ザックリ基準額や付加分を加算していくと、30代独身男性で東京都在住というケースでは、総額7万9千円となりこれに医療扶助などがあるため、実質的には10万円程度相当のお金が割り当てられてる。高齢者単身世帯であれば東京都で7万4千円程度、若年者単身世帯であれば8万円程度となる。

ただまあ、標準三人世帯では東京都で16万円が支払われる計算になるので、そうするとBIで4万6千円の方が給付額が増える計算になる。母子加算のある母子世帯では18万円程度なので足りないが。

この額が適切かどうかという議論はまた別に必要だろうが、バランスがオカシイと言う批判は出てくるだろうし、特に単身世帯は暮らしていけないという結果になりそうだ。

そして、ここで問題となるのは年金などセーフティネットが削れていかないと財源の問題が解決できないので、別途手厚くするということも難しい。だって、仕組み的に簡素化することで財源確保しているのである。そこを諦めてしまったら制度を採用する意味が無いのだ。

そんな訳で、基礎的給付の一番の問題は制度的柔軟性が失われるという点だと、僕は思っている。

韓国では本当にBIが採用できるのか?

給付はなんと30万ウォン

さーて、そんな訳でいつもながら蛇足が多いこのブログなのだけれども、ベーシックインカム(基礎的給付制度)の制度の基本的なところを押さえておかないと、この話が続かないのでご容赦願いたい。なるべく短くしたつもりなんだけど。

ともあれ、こんな話だ。

法案には、基本所得の上の議論が進展していない場合などに備えて、2022年から基本所得を1人当たり最低月30万ウォンずつ支給して、2029年には支給額を最低月に50万ウォン以上で上げるの内容も含まれていた。

「yna.co.kr”チョ正訓、基本所得法足…「2022年からの最低30万ウォン支給」”」より

2022年から!

月額30万ウォン!(2万7000円相当)

……足りなく無いか?

2021年の最低賃金(時給)は8,720ウォンに

2020年08月07日

韓国の雇用労働部は8月5日、2021年の最低賃金(時給)を前年比1.5%増の8,720ウォン(約767円、1ウォン=約0.088円)と正式に決定した。2021年の最低賃金を月単位〔週40時間基準、有給週休を含む、月間209時間(注1)〕に換算すると、前年比2万7,170ウォン増の182万2,480ウォンとなる。韓国メディアは、1988年の最低賃金制度の導入以来、過去最低の引き上げ率となったと報じた(添付資料図参照)。

「JETRO」より

いやいや、一応、最低賃金換算で209時間働く前提だと月額182万2480ウォン(16.4万円程度)になるから、十分足りているね!ちょっと月209時間の計算が実態に合わない気はするが、そこはさておこう。

え?1/6しかない?気のせいだって。

最低賃金「韓国の大失敗」俗説を信じる人の短絡 | 国内経済
私はこれまでずっと、日本は最低賃金を継続的に引き上げるべきだと主張してきました。残念ながら今年は据え置きが決まりましたが、来年以降はぜひ、引き上げるべきだと考えています。私がこう主張すると、反対派が…

韓国で最低賃金を引き上げて失敗なんて言っているヤツは短慮だから。心配ないから。え?最低賃金は無関係?失礼しました。

ちなみに50万ウォンでも足りないね。

韓国経済のリスク

そして、韓国の社会保障制度は日本のソレに類似した制度を採用しているため、それなりに社会保障費にコストがかかっているのだが、その辺りはどうするんだろうか。

借金はやばいレベルだというニュースがあったんだけど。

韓国の民間債務の危険レベル、金融危機以来の「警報」に?=韓国ネット「日本を思い出して」

2020/9/16 12:53 (JST)

2020年9月15日、韓国・アジア経済は「韓国の企業と家計の借金が急速に拡大し、民間債務の危険レベルが『警報』の段階に一歩近づいた」と伝えた。

国際決済銀行(BIS)によると、韓国の対国内総生産(GDP)総与信ギャップ(credit-to-GDP gap)は今年1~3月期に9.4%となり、昨年10~12月期(6.6%)より2.8ポイント上昇した。昨年1~3月期(1.0%)と比較すると、1年間で8.4ポイントもの上昇で、世界金融危機の影響を受けた2009年10~12月期(11.2%)以来の高数値を記録した。

「レコードチャイナ」より

まあまあ、民間負債だしね。

GDP比の民間債務、初の200%超

2020/06/26(金)

韓国銀行(中央銀行)が24日発表した資料によると、3月末時点で民間部門の債務残高は名目国内総生産(GDP)の201.1%に上った。200%を超えるのは初めてとなる。 家計債務が増え続けている上、企業も業績不振から資金確保を急いでいるためだ。

「NNA ASIA」より

こちらの方が衝撃な数字かな。民間債務も増えているが、政府債務も増加する上に軍事費はメガ盛りの予定だから、予算が幾らあっても足りない状況だ。その上でベーシックインカム導入である。流石だな!

文大統領任期最後の年、韓国の政府債務は大変なことに?=ネットから懸念の声

2020年6月13日 21:20

2020年6月12日、韓国・文化日報によると、韓国で文在寅(ムン・ジェイン)政権の最後の年となる2022年に政府債務が過去最高の1000兆ウォン(約89兆円)を超えるという政府の見通しが発表された。

「レコードチャイナ」より

レコードチャイナはその前にこんな記事を出しているのだが、注目すべきはムン君の任期だ。なんと2022年5月までである。ヤツはとんでもない置き土産をして大統領を辞める気らしいぞ。

支持率が落ちているムン君

さーて、そんな訳で、将来のことは未来の大統領に任せるつもりのムン君、支持率はかなり落ちているようだ。

文大統領の支持率45%に下落 与党も低下

2020.09.18 11:50

世論調査会社の韓国ギャラップが18日に発表した文在寅(ムン・ジェイン)大統領の支持率は前週より1ポイント下落した45%だった。不支持率は前週と同じ45%だった。

「聯合ニュース」より

ムン君が何を狙ってこの法案をぶち上げたかが透けて見える。

ただ、ベーシックインカムは上に挙げたように色々と問題を抱えたシステムであり、制度設計がかなり難しい側面がある。

そうそう、武漢肺炎騒ぎで国民に1人10万円を配ったことがあったが、これが定期的にやられれば、まさにベーシックインカムの性格を帯びてくる。つまり、制度設計を考慮しなければ現金給付というのは国民には大きな支持を得られるやり方と言えるのだ。

だからこそ、人気取りの為に法案を通しておいて、自分の時に問題が起きないように時間調整しているという事なんだね。流石ムン君だな!

コメント

  1. 木霊さん、おはようございます。

    大きなリスクを内包した禁断のポピュリズム政策まで使って、人気挽回しなきゃならなくなってきたんでしょうかねェ~。
    税収というか国の財力の範囲内であればまだマシな気がしますが、デフォルトもマジに噂される経済危機を抱えての施策はリスクが高すぎるでしょうに。

    まあ、GDPの2.6%の軍事予算を計画できるんですから、まだまだ体力はあるのかなとか思えてきますけど。
    ちなみに日本の防衛予算が過去最大になり軍事大国化してると批判してますが、大雑把に考えて国力としての指標であるGDP・国民数は半分以下なのに、軍事予算は実質日本と比較しての6倍近い訳で何を考えているのやら...、さっぱり判りません。(冷笑)

    P.S.
    菅新総理がやっと文クンの就任書簡に返書を送った様です。
    南朝鮮メディアが散々「無視された」と騒いでいましたが、数日焦らしてのタイミングで内容も社交辞令そのものでしたね。
    「重要な隣国」との文言は=そっちの都合で発生した問題を抱えており、出方次第では容赦ない「重要な措置を取る」って予告してるんじゃないかな。

    • 韓国の情勢はよく分からない部分も多いので、報道から見る情報と韓国政府が出す情報では随分と温度差がある気がします。
      もちろん、「大本営発表」的な話もあるかもしれません。

      ともあれ、多額の軍事費を注ぎ込む予定にしているのは事実。それが実行可能なのかは不明ですが、「実行されたならば日本の脅威になる」という認識で臨む必要はありそうです。