インドと関係を深める安倍政権

防衛政策

安倍政権も残り何日か?というレベルになってきたが、ここへ来て色々と動いているようで。

日インド、物品協定に署名 安全保障で連携強化

2020年09月10日17時36分

政府は10日、自衛隊とインド軍の間で食料や弾薬を融通する物品役務相互提供協定(ACSA)に署名したと発表した。安倍晋三首相は同日、モディ首相と約30分間電話会談。両首脳はACSA署名を歓迎した。日印間の安全保障面での連携強化が狙い。

「時事通信」より

もともと安倍氏が提唱したセキュリティ・ダイヤモンド構想だったが、これに賛同したのはなんとトランプ氏だった。

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2012年、英語論文で発表されたセキュリティダイヤモンド構想

英語論文『Asia’s Democratic Security Diamond』

安倍氏がセキュリティ・ダイヤモンド構想を示したのは2012年で、国際NPO団体PROJECT SYNDICATEに発表した外交安全保障構想である。

2012年と言えば、悪夢の民主党政権が既に国民に愛想を尽かされていた時期であった。

その後、2013年1月に首相となっていた安倍氏は所信表明演説で日米同盟の強化を謳い、日米安全保障協議委員会で新ガイドラインの見直しをし、日本の外交安全保障政策の大改造に載りだした。

そして、アメリカ大統領になったトランプ氏は、安倍氏のこの考えに賛同して2018年になって、「Asia Reassurance Initiative Act of 2018」に署名する。アジア再保証イニシアティブというヤツで、インド太平洋地域における軍事政策の見直しに踏み切ったのだね。

インドは信用出来るのか?

ただ、この構想では、日本、アメリカ(ハワイ)、オーストラリア、インドの4つの拠点の関係強化を図り、連携して支那を封じ込めるということになっているが、インドが果たしてこれに乗れるのか?という課題を抱えていた。

ただ、インドの第18代首相にナレンドラ・モディ氏が就任することで、この風向きは変わってくる。

モディ氏は安倍氏との個人的な友好関係を築いているだけに、親安倍派の首相が誕生したと当時は話題になったが、しかし支那に対して強硬姿勢を貫くというわけではなく、就任直後から難しい舵取りをしていた。

インド国内にも親支那派は沢山いる上に、経済的な結びつきが強いことも政権運営に大きく影響を及ぼしているようだ。

ただ、2018年には史上初の首脳会談が実現することに。

日米印首脳会談 「歴史的な会談」の一方で中国刺激避けたいインド

2018.12.1 19:43

ブエノスアイレスで11月30日に行われた初の日米印首脳会談について、太平洋地域での影響力を高めたいインドは重要な進展だと位置づけている。ただ、中国との関係改善を望むインドは、日米との連携が「中国牽制(けんせい)」という方向に働くことは避けたい考えだ。双方にバランスを取りたい意向がにじむ。

「産経新聞」より

インド国内では貧富の差や人権問題など様々な難しい課題を抱えていて、軽々に「日本と組む」と言えないところがなかなか辛いところだ。

そして、インドという国がそもそも信用出来るのかという面もあるにはあるのだが、しかし、軍事的な協力まで拒むほどではないというのが現状である。

更に、インドにとってオーストラリアの存在意義はそれ程強くないということも問題点として指摘されている。また、オーストラリアはオーストラリアで随分と支那に侵食されている事もあって、一時期、ターンブル氏がオーストラリアの首相をしていた時期には日本との関係もかなり危うかった。

それでもインドは腹を括った

しかし、支那の膨張政策が℃を越えたものになり、流石にインドもこのままではマズイと感じる様になったようで。

ファーウェイやTikTokなどをインドから締め出すなど、国境付近での争いが激しくなったことを切っ掛けに、水面下で調整していた動きを加速させることになった。

そして、先日説明したクワッドの話が出てくる。

米、日豪印と閣僚級会談へ インド太平洋周辺の安全保障巡り

2020年8月29日3:00 午前13日前更新

オブライエン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は28日、インド太平洋周辺地域の安全保障で連携する日本、オーストラリア、インドとの閣僚級会談を9月と10月に開催する計画を明らかにした。

オブライエン氏は、自身が10月に日米豪印戦略対話(クアッド)の代表とハワイで会談する公算が大きく、ポンぺオ国務長官も9、10月に他3カ国の外相らと会談する見通しとした。

「ロイター」より

4カ国での閣僚級会談をやるというのである。

それ以前にも、日本との間で様々な調整が行われていたため、それほどこの動きに違和感があるわけでは無い。が、実際にクワッドが実現される話となると、より強い支那の反発を喰らうことは必至だ。

そして手始めにACSAを

で、冒頭のニュースである。

この、物品役務相互提供協定(ACSA)は、協定を結ぶことそのものに意味があるのだが、結んだからといって、現場で有利になるかというと、なかなか難しい面はある。協定内容は、自衛隊とインド軍の間で補給品やサービス(食料/水/宿泊/輸送/燃料/被服/通信業務/衛生業務/基地活動支援/保管業務/施設の利用/訓練業務/部品・構成品/修理・整備業務/空港・港湾業務)を互い融通しあうというもの。

ただ、ACSAの締結は、安全保障面での連携強化という意味では、大きな意味を持つ。

インドは日本と中東などを結ぶシーレーン(海上交通路)のほぼ中央に位置しており、「自由で開かれたインド太平洋」構想の実現を後押しするとともに、民主主義などの価値観を共有するインドとの協力関係を深めることを目指す。南シナ海への海洋進出を強める中国をけん制する狙いもあるとみられる。

「時事通信”日インド、物品協定に署名 安全保障で連携強化”」より

そう、単純に支那にケンカを売ったという意味あいが強いのだ。

署名は9日、インド・デリーで行われた。日本は既に米国、英国、オーストラリア、フランス、カナダとACSAを締結している。

「時事通信”日インド、物品協定に署名 安全保障で連携強化”」より

ちなみのこのACSAは韓国との間にも結ぶという話が何度も出ているが、韓国側はそれを忌避しているようだ。GSOMIAはアメリカに言われていやいや結んだが、ACSAは無理らしい。

実際に、銃弾の供与という事をやった事がある(国連南スーダン派遣団にて)のだから、結んでおけば良いのに。

軍需支援協定の締結  日本が韓国に提案か

Write: 2017-10-25 14:12:07/Update: 2017-10-25 14:14:09

今月18日にソウルで開催された韓日米外務次官協議で、日本側が、韓国軍と日本の自衛隊との間で食料や燃料を相互に融通しあう「物品役務相互提供協定(ACSA)」の締結を求めたものの、韓国側は明確な立場を示さなかったもようです。

~~略~~

物品役務相互提供協定(ACSA)は、韓半島有事の際、自衛隊の輸送機や艦艇を韓半島に投入できる法的根拠となることから、韓国政府は難色を示しています。

「KBS WORLD」より

韓国がそれを拒む理由は、北朝鮮との関係が悪化する為であると考えられる。いや、支那との関係も影響しているかもね。

GSOMIAやACSAの締結は、軍事的な同盟の必須条件とも言える。韓国にとってその一線を越えることは容易ならざる事らしいが、インドは日本との関係を強化するという意味でもACSAを結んだと言うことになる。

足並みを揃える日本

ちなみに……、日本としてもこんな話が持ち上がっている。

<独自>中国アプリ立ち入り検査も TikTok念頭 自民提言案判明

2020.9.10

動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を念頭に置いた中国発アプリによる個人情報の漏洩(ろうえい)を防ぐため、自民党の「ルール形成戦略議員連盟」(会長・甘利明税制調査会長)が近く政府に示す提言案が9日、判明した。問題発生時に国家安全保障局(NSS)や内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)などがアプリ提供者への立ち入り検査などを実施できるよう環境整備を求めるのが柱。10日の議連会合で取りまとめる。

「産経新聞」より

法整備する段で骨抜きになる可能性は否定できないが、それでもやって見せたというところに意義があるわけで。法整備まで行けば、間違い無く支那への牽制になるし、アメリカやインドと肩を並べるというアピールにもなる。

支那包囲網は確実に進めて欲しい。あ、そういう意味でも次の政権、防衛大臣は河野太郎氏、外務大臣は安倍氏、副総理は麻生氏で。

追記

さて、早速動きがあったようだ。

インド、中国の外相、国境軍の迅速な離脱に合意

2020年9月11日午前10時22分32分前に更新

インドと中国の外相は、両国の軍隊が国境のスタンドオフから迅速に離脱しなければならないことに合意した、と彼らは金曜日に発行された共同声明で述べた。

外務大臣S. JaishankarとWang Yiは木曜日にモスクワで会談の傍観者として会い、数十年で最も深刻な非境界の境界に関する数か月にわたる論争を終わらせようと試みた。

「両外相は、国境地域の現在の状況はどちらの側にとっても利益ではないことに同意した。したがって、両国の国境軍は対話を継続し、迅速に解放し、適切な距離を維持し、緊張を緩和することに同意した」と述べた。

「ロイター」より

力に屈する支那。

リスク管理としては当然であるが、支那がこの判断をした理由がクワッドの影響である事はほぼ間違いがない。

コメント

  1. 木霊さん、今晩は。

    今となっては悪夢以上の劣悪な旧民主党時代に、ズタズタになった日米同盟再構築&大改造が火急の課題だったんですよね。
    これが本当に安倍ちゃんのレガシーとなるかは今後の推移次第(もちろん支那の出方次第)で流動的ですが、アメリカ・インド首脳を結び付けたという歴史的事実は安倍ちゃんの功績の一番と思い評価してます。

    >実際にクワッドが実現される話となると、より強い支那の反発を喰らうことは必至だ。

    一触触発に近かったインド・支那国境紛争で支那が急に折れたのなら、クワッドの急速な動きに加え日印ACSAの締結は一役買ったかもです。
    何より「安全保障面での連携強化」とは口先だけでなく、こういう条約を積み重ね実績を示す事が最も効果があり重要なんですから。

    >GSOMIAやACSAの締結は、軍事的な同盟の必須条件とも言える。韓国にとってその一線を越えることは容易ならざる事らしいが、インドは日本との関係を強化するという意味でもACSAを結んだと言うことになる。
    >そして、インドという国がそもそも信用出来るのかという面もあるにはあるのだが、しかし、軍事的な協力まで拒むほどではないというのが現状である。

    国家間の協定や国際条約さえ守れない蛮族南朝鮮と、色んな対支那政策の軋轢があるにしても一応民主主義を標榜し、親日国として友好関係&経済的繋がりも深いインドと比べては失礼です。(微笑)

    P.S.
    支那が2日間で40回と台湾領空に異常行動をした様です。
    ハインリッヒの法則的には1~2件ニアミスが起こっておかしくない勘定、習キンペーいったい何を考えている!!

    • この頃、安倍氏の実績がポロポロと報道されるようになって、知っていることも多いのですが「報じられるようになったのか」と、ちょっと時代が変わったのだ、という風にも感じます。
      メディアが良い方向に変わった、というよりは、安倍氏が過去の人になったからこそ、なのかなとは思っていますが。
      何にせよ、インドとの準同盟に話が進んだのは単に安倍氏とモディ氏の実績であると思いますので、素直に評価出来るかなと、思います。インドに利用された側面は否定しませんが、日本としてもインドと手を組むことは大きな意味がありますから。

      インドと韓国と同列に並べることは確かに失礼ですね。が、インドが信頼できるのか?という点に関しては、ちょっと疑念はありますね。親日ばかりとも言えませんから。
      とはいえ、真っ当な外交関係が結べる国ではあると思っています。

      台湾の話もかなり心配ですね。