迎撃専用艦は防衛に使えるのか?

防衛政策

うーん、地上イージスの混乱から、どういう訳か迎撃専用艦の建造の話が出てきたみたいだ。

迎撃専用艦の建造案を米に伝達

2020/9/5 21:04 (JST)9/5 21:09 (JST)

政府が、秋田と山口への配備を断念した地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画の代替策として、弾道ミサイル迎撃に特化した専用艦建造を有力案とする方針を米側に伝達したことが5日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。安倍晋三首相は退任前の今月前半に、敵基地攻撃能力保有の方向性も含めたミサイル阻止に関する安全保障政策の新たな考えを談話の形で打ち出す意向だ。

「共同通信」より

奇々怪々自衛隊というカテゴリーでタグを作るような話になってきたな……。

ただ、これが「奇々怪々な」「珍妙な話」という風に断じるのではなく、色々な情報と合わせて考えていくと別の絵が見えてくる気がする。先にお断りしておくが、本記事自体はかなり確度の低い話となる。それを承知の上でお付き合い願いたい。

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防空防衛に使うのか敵基地攻撃に使うのか

迎撃専用艦は本当にメリットがあるのか?

そもそも、地上配備型イージス、イージス・アショアは配備するのにどんな意味があったのだろうか?

イージス・アショア配備で得られるメリットというのは、2点あると言われていた。1つは増員が難しい海上自衛隊員の負担を軽減出来ること、もう1つは24時間体制で警戒が可能になることである。

実際に、現在運用中の護衛艦の搭乗人員は必要人数の8割だか7割で運用せざるを得ないような状況が続いているらしいし、新たな乗組員の確保もかなり困難を極めているようだ。そして、船である以上は定期的にメンテナンスを必要とするし補給も必要となる。つまり、イージス艦を運用する際には、ミサイル迎撃に必要な人員と、船を動かすのに必要な人員など多数の乗組員を必要とし、彼らの定期的な入れ替えが必要である。更に、広大な日本のEEZを弾力的に防衛する為には、イージス艦の絶対数が足らないとされている。

こういった状況を鑑みて、地上配備型のイージス獲得が提案され、イージス・アショアが2基国内に作られる運びになった。少なくとも僕はそう承知している。

しかし、このイージス・アショアの大きな問題は、飛んでみたミサイルを迎撃するというコンセプトから怪しい点である。何故ならば、弾道ミサイルが1発だけ飛んでくるなんて事は、想定してもあまり意味が無いからだ。

多数のミサイルが飛んできた時に、イージス艦や新たに獲得するイージス・アショアだけで果たして全部迎撃できるのか?全部迎撃できるだけのミサイルを用意出来るのか?という点を一切考慮していないことである。

地上イージスの代替案と、ミサイル攻撃を相手領域内で阻止する敵基地攻撃能力の具体化は次期政権に引き継がれる。年末に結論を出す見通しだ。

「共同通信”迎撃専用艦の建造案を米に伝達”」より

そうすると、イージス・アショアの代替案など考えたところで本当に意味があるのか?という事になるのは当然の帰結なのだ。

もちろん、「全部撃ち落とせる必要は無い」という議論は知っているし、「被害の減殺ができる意味はある」という点は理解はしている。しかし、「その後にされる攻撃」はどうするのだろうか。

単機能・迎撃専用艦はミサイル防衛だけしかできない

さて、イージス・アショアの計画の根底そのものへの懸念を提示したが、そういった中で出てきたのが敵基地攻撃能力であると承知している。

では、もともと日本が運用しているイージス艦はどんな装備を持っているのかを確認しつつ、迎撃専用艦を獲得した場合にどのような運用形態が考えられるのかを考えてみよう。

例えば「いずも型護衛艦」だが、大雑把に言って「砲熕」「ミサイル」「水雷」の兵装を用意している。

砲熕」は、54口径127ミリ単装速射砲が1基と高性能20mm機関砲¥が2基

ミサイル」は、Mk.41 VLS×90セルにSM-2, SM-3, VLAの3種類のミサイルが発射できるようになっている

水雷」は、3連装短魚雷発射管が2基 (97式 / Mk46)

他のイージス艦も大体似たような構成で、こうした複数の兵装を運用できるシステムにしているために、イージス艦は高価になりがちで、「こんごう型護衛艦」のネームシップの建造費は1223億円したとされている。また、日本が保有する最新の護衛艦は「まや型護衛艦」で、ネームシップの建造費は1680億円だと報じられた。

では、こうしたコストを迎撃専用艦は圧縮できるのだろうか?

弾道ミサイル防衛専用艦「BMDシップ」とイージスアショア代替案(JSF) - Yahoo!ニュース
弾道ミサイル防衛専用艦「BMDシップ」とは何か

この記事はJSFさんという軍事ブローガーが書いたもので、この艦に関する考察が書かれている。一部で彼の意見に批判的な方がいることも承知はしているが、間違い無く参考になる意見を言われていると思う。

で、それによると、実はアメリカでも造船会社からの治安という形で弾道ミサイル防衛専用艦という構想が示されたことがある様だ。日本で検討されているのもこの類のものと予想されるのだけれども、引用記事では船体の大きさがまや型と同等のままだとコスト削減ができないので、小型化するのではないか?フリゲート艦として建造する案が示唆されている。

小型化や兵装削減によって、2~3割のコストが削減できる見込みのようだが、それでも運用する人員削減などは期待できないという。

そして、記事でも示唆されているが、イージス艦という形で作られずに迎撃専用艦という形で作られた場合には、空母議論と同じく護衛する艦が必要となる。具体的には近接防衛に長けた随伴艦を最低2隻ほど用意する、或いは潜水艦もこれに随伴する必要がありそうだ。

となると、現実的に考えても人件費や運用コストはイージス・アショアを導入するよりも寧ろコスト高になることは避けられないだろう。建造費は抑えられたとしても、運用の面でコストがかかるのだ。

また、前述したように船を運用するという観点からすれば、間違い無く補給やメンテナンスでドッグに入らなければならない時期があるので、複数の同型艦の用意を考える必要がある。更に言えば、イージス艦の任務を迎撃専用艦では代替できないことを考え合わせると、果たして迎撃専用艦を手に入れる必要があるのか?との疑念が生じる。

敵基地攻撃能力が無いと意味がない

当然、そんなことは防衛省の方々は十分に理解された上で、今回の案を立案したということになろう。議員を始め、防衛大臣経験者の殆どは今回の迎撃専用艦の話は知らなかったと漏れ聞いている。そうだとすると、この案は防衛省の背広組あるいは制服組から出てきたのだろうと思われる。

防衛省・自衛隊|平成30年版防衛白書|特集3 備える 進化する防衛力|2 新たな装備品の導入など
内閣府の政策(経済財政、科学技術、防災、...

ここで、平成30年度防衛白書を確認してみると、「スタンドオフミサイル」の獲得という文字が見える。令和2年度の防衛白書にも同様の内容が書かれているのだが。

これを手掛かりに考えると、やはり敵基地攻撃能力を持った、名前は迎撃専用艦という名前だけれども、その実、敵基地を攻撃できる能力を持った艦である必要があると考えている節がある。

そもそも、迎撃専用艦にするにせよ、Mk.41 VLSなどのミサイル発射システムを備えて、迎撃用のミサイルを搭載する必要がある。であれば、目標を入力する手段を獲得する必要はあるものの、敵基地攻撃能力、例えばトマホークを撃ち出すことだって可能だ。

当然ながら、現防衛大臣の河野氏もそんなことは百も承知であろう。アメリカも又、日本の方針転換を容認した背景には、様々な思惑があったのだと思われる。少なくともアメリカの政治家はアメリカが不利になる様な選択肢は選ばないと思うので、今回のこの取引も十分に日本側に利益があると同時にアメリカ側にも得るものがあったと考えるのが妥当だろう。

もやは、迎撃だけに頼った防衛は限界に来ているのだ(そもそも不可能だったとも言えるが)。

東・南シナ海の現状変更認めず 日米防衛相会談

2020/8/29 18:15

河野太郎防衛相は29日、米領グアムでエスパー米国防長官と会談した。中国の海洋進出を念頭に、東シナ海や南シナ海の力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとの考えで一致した。新たなミサイル防衛の構築に関し、日米が連携して対処能力強化に取り組む方針も確かめた。

「日本経済新聞」より

当然、最近開かれた日米の防衛相会談でも話題に上ったはずだ。確認すると、確かに「新たなミサイル防衛の構築に関し、日米が連携して対処能力強化に取り組む方針」という風に報じられており、ここで既にこの話が出ていた可能性は高い。そこで了解が得られたからこその迎撃専用艦ということなのだから、単純に迎撃目的だけ取得という話では無かったことは想像ができる。

防衛費の削減を目指すのか、被害減殺を目指すのか

さて、引用したJSFさんの記事では、結果的にはイージス・アショア建設をやめて迎撃専用艦を用意する事を考えても、コストの削減には結びつかないだろうと結論付けている。確かにその通りなのだろう。

しかし……、そもそもこの話の前提は、ミサイル迎撃だけで支那や北朝鮮、ロシア或いは韓国などの国から弾道ミサイルが費消してきた場合に迎撃できるか?という点からスタートしている。

だが、その迎撃すべきミサイルの数が、多段で50発100発ともなってくると、そう簡単に迎撃できるワケも無い。そう、ミサイル発射してくる基地を叩いたり、敵艦を叩いたり、或いはその周辺を爆撃出来るオプションを必要とする事は誰が考えても分かる話。

もちろん、ミサイルの到達目標を選定して、飛翔コースを選ぶ事は容易ではない。

そして、イージス・アショアの為に選定されたと噂されているAN/SPY-7を採用して(採用を決定し契約した関係で、違約金を支払ってキャンセルするか、何かに流用するかを決める必要がある)どのように艦載を実現していくのか?という話まで検討する必要はある。

だが、メガフロート型はどの国も実績採用が無いために非現実的で、イージス・アショアのように特定の地域に配備する迎撃基地を建設するのは今回の事もあってかなりハードルが高い。だからこそ艦載型を選ぶという結論になったのだろう。

人員確保の面は目を瞑ってでも、日本の防衛の為の最善を考えれば、ただ迎撃するだけで被害が減殺できる状況ではなくなってしまった。いや、数十年前からそれは不可能だったのだけれど、ようやく重い腰を上げたと言える。

巡航ミサイルの取得

さて、話は少し変わるが、こんなニュースもあった。

長射程ミサイル、22年取得 離島防衛、「敵基地攻撃」転用も―F35搭載・防衛省

2020年09月07日07時08分

離島防衛などで敵の脅威圏外からの対処を可能にする「スタンド・オフ・ミサイル」と位置付ける射程約500キロのミサイルを、防衛省が2022年3月までに取得することが分かった。中期防衛力整備計画(19~23年度)に基づくもので、自衛隊の現有火力では最も長射程になるとみられる。航空自衛隊の最新鋭ステルス戦闘機F35Aに搭載される。

~~略~~

防衛省などによると、取得するのは、ノルウェー製の対地・対艦ミサイル「JSM」。開発が完了し、22年3月中旬が納期となっている。JSMはF35の胴体内部に搭載でき、レーダーに探知されにくいF35のステルス性を生かした対艦・対地攻撃が可能となる。

「時事通信」より

航空自衛隊がF-35A戦闘機を取得するという話は皆さんご存じの通りであるが、これに対地・対艦ミサイルJSMを搭載する話が報じられている。これに加えて、F-15Jの近代改修版にLRASMやJASSMの搭載が検討されていると報じられている。

こちらに示されているようにJSMなら射程距離は500km。LRASMでもJASSMでも射程距離は900km程度である。

だから、これらのミサイルは、専守防衛もクソもなく離島防衛目的で取得するという理解で問題無いだろう。

ただ、将来的にF-35B戦闘機を取得していずも型護衛艦改修版に搭載し、この手の空対地・空対艦ミサイルを装備することになれば、話は随分と変わってくる。

憲法上許される自衛のための必要最小限度のミサイルは、どこまで保有できるのか。次期政権はミサイルの長射程化に向けた防衛力整備について、国民への説明責任を果たすことが求められる。

「時事通信”長射程ミサイル、22年取得 離島防衛、「敵基地攻撃」転用も―F35搭載・防衛省”」より

時事通信がバカっぽい記事を書いているが、憲法上許される自衛のための最小限度の兵力ということであれば、既に敵基地攻撃能力獲得までは認められるという見解が国会に示されている。

「最小限度」はその時々・時代によって変化する。敵対勢力である支那が日本を攻撃する意図を持っているのだから、これに対抗する為の最低限度の手段ということであれば、核シェアリングまで視野に入れるべき(それが有効かどうかはまた別だが)であり、スタンド・オフ・ミサイルなどという意味の分からない単語を使わずに、巡航ミサイルの獲得、具体的には「トマホークの購入も」とハッキリ言えば良いのだ。

軸となるのは巡航ミサイルの獲得

さて、こうやって2つのニュースを並べてみると、自衛隊としては巡航ミサイルの獲得は必須であると考えているようで、これを政府も了承しているようだ。

では、「敵基地攻撃能力の獲得」と言うことが言えるか?といえば、これは困難であると言わざるを得ない。何故ならば、誘導する手段が確立出来ていないから。

いや、ちょっとマテよ……。

内閣府、松尾・宇宙開発戦略事務局長、「みちびき」活用など解説

2020年08月13日

 内閣府の松尾剛彦宇宙開発戦略事務局長はこのほど、寺田稔総務副大臣のモーニングセミナーで日本や米国などの宇宙政策について講演した。海洋状況把握(MDA)や日本版GPS(衛星利用測位システム)である準天頂衛星「みちびき」などを活用するための指針を示した日本の「第4次宇宙基本計画」についても解説した。

「日本海事新聞電子版」より

エクスプローラ 測位補強サービスを用いた駐車位置確認システム実証

2020年8月15日

画像技術をコアにシステム開発を展開しているエクスプローラ(矢吹尚秀社長、函館市)は6月5日、準天頂衛星システム「みちびき」の新たなサービス開発の実証実験に参画し、「みちびき」の測位補強サービスを用いたトレーラシャシーや物流コンテナの駐車位置確認システムの実証に成功したと発表。

「物流Weekly」より

そういえば、誘導手段ならば順次実証が進んでいるな……。

もちろん、GPS誘導だけでは心許ない部分もあるし、寧ろ情報を得た上での分析能力の方が大切だ。現状ではその手の情報分析能力も欠けているのが自衛隊の実情ではあるが、みちびきを獲得することによって、日本周辺での精密誘導が可能になる意味は大きい。そして、前線に出て戦う部隊は確保が難しいが、分析班と言う事であれば採用のハードルは下がるだろう。

そして「みちびき」が巡航ミサイルの誘導に使えることはいうまでもない。

人員の拡充は難しいが……

となれば、やっぱりその方向に日本の防衛方針は動いているのだと理解すべきだろう。その上で、人員の問題を如何にやり繰りしていくか?という点を考えていくべきなのかも知れない。

おっと、そう言えばこんなニュースも。

日本財団/2025年に無人運航船実用化、5事業体へ34億円支援

2020年06月12日

日本財団は6月12日、無人運航船の実証実験を行う5つのコンソーシアムに対し、2021年度に総額34億円の支援を行うと発表した。

「LNEWS」より

流石に護衛艦を無人船に、ということは難しいだろうけれども、自動航行システムが実現できれば、省力化には貢献できるだろう。

まあ、今のところは絵空事に過ぎない部分もあるが、そうした話を総合的に視野に入れている可能性は高かろうと思う。

というわけで、疑問形式のタイトルで始めたわけだが、「迎撃専用艦は防衛に使えるのか?」という疑問に対しては、「色々前提を考えればあり」「敵基地攻撃能力の獲得は必須」という結論になりそうだ。

ただ、この話の大前提として防衛費のGDP1%枠等というマゾ縛りは撤廃する必要があると思う。時代に合わせて最低限2%にすることと、自衛官の人数を増やすために手当を増額することは間違い無く必要だろう。それを誰が決断するか?だが……、安倍氏が最後の置き土産でやっていくか、菅氏が思いきってぶち上げるか。これはなかなか興味深い。

あ、もちろん、本日のこの記事は随分憶測が混ざっている。だから、最初にも書いたが参考までに、という話でご理解頂きたい。

ただ、単純に迎撃専用艦の獲得なんて話になっていたとしたら、それこそイージス・アショア獲得の経緯を全て引っ繰り返す話になる。それは余りにも不誠実だし、理に合わない。故に、今回、何故冒頭の様なニュースが流れ、どのような動きがあるのかを考察してみたまでの話。実際には、どうなるのかはよく分からないのが実情ではある。その点はご了承願いたい。

コメント

  1. イージスアショアの所掌は陸自でしたのに、また迎撃専用艦となると海自所掌でしょうけど、陸自隊員を乗せるのですかね?
     観測気球というか、色々検討してみたけどやっぱりイージスアショアの代替無し、という結論に持って行きたいのかもしれません。そうして時間をかけていればブースター問題(?)(私はレーダ問題と思っていますが)も解決するかもしれませんし。
     ただ、それを相手、支那もですが、販売元の米国も待ってくれるかは?ですが。

     

    • うーん、結局、海上自衛隊に戻すと言うことなんだと思いますよ。
      それにこの話、よくよく考えたら迎撃専用艦を港に置いたまま運用するというのもありですから、案外、フレキシブルな運用ができるって事になるのかもしれません。
      僕自身は、敵基地攻撃能力も踏まえて船で、という案を推したいですね。

  2. 木霊さん、おはようございます。

    イージスアショア挫折を考える時(まだ完全中止ではないと考えていますが)、単純に何故陸自所管になっちゃったのかって事が一番の疑問でしたね。
    これまでBMDは第一弾は海自のイージス艦で迎撃→撃ち漏らしを空自のPAC3で迎撃という2段構えです。
    陸自も高射群に対空兵器の中SAM(射程60km以上)・短SAM(射程10km)があり、弾道ミサイル要撃できますから広義にはBMDの範疇であるのですが、巡航ミサイル迎撃対応能力など疑問なところもあります。

    似たような装備と見えますが決定的な違いは、主な防空警戒管制システムは空自所管である事で、索敵1000km以上と言われるJ/FPS-5(ガメラレーダー)×4基・廉価版とはいえ最新鋭で近・遠距離索敵可能なJ/FPS-7×6基が対空監視の要のはず。
    もちろん、イージスアショアの様に迎撃システム一体化ではない対空レーダーなんですが、これが支那への領空侵犯をいち早く捉えスクランブルに寄与していると思います。

    ならば、下甑島分屯基地(鹿児島県)・佐渡分屯基地(新潟県)にすでに配備されているJ/FPS-5(ガメラレーダー)にイージスアショアレーダー設備を併用で運用すれば電磁波問題も解決、射手であるランチャー(VLS)はいずれも海岸線にある芦屋基地(福岡県)と加茂分屯基地(秋田県男鹿市)に配備すればブースター問題は解決です。

    BMDの議論でよくヤリ玉に上がるのが「マッハで飛んでくる敵ミサイルを迎撃できる訳がない」という根拠ゼロの与太話がありますが、PAC2/3&SM3の迎撃成功率を全く無視した話で論外と考えます。
    もちろん100%はありませんが(それはどんな兵器でも科学技術でも同じでしょう)、1発迎撃するのに2発で足りなければ何発必要なのか? そして迎撃ミサイル1発のコストを知り、何でも反対する前に限られた予算で「防衛的敵地反撃能力」=抑止力を実現する具体的な議論が火急の課題でしょう。

    >複数の同型艦の用意を考える必要がある。更に言えば、イージス艦の任務を迎撃専用艦では代替できないことを考え合わせると、果たして迎撃専用艦を手に入れる必要があるのか?との疑念が生じる。

    時々的外れはありますが興味のある分野なんで、JSFさんの記事は一応チェックしています。

    >そもそも、迎撃専用艦にするにせよ、Mk.41 VLSなどのミサイル発射システムを備えて、迎撃用のミサイルを搭載する必要がある。であれば、目標を入力する手段を獲得する必要はあるものの、敵基地攻撃能力、例えばトマホークを撃ち出すことだって可能だ。

    ご指摘通り導入するにして、少なくともトマホーク併用で盾と矛の機能を持たせないと、対費用効果でまた頓挫しちゃうんじゃないかな。

    >空母議論と同じく護衛する艦が必要となる。具体的には近接防衛に長けた随伴艦を最低2隻ほど用意する、或いは潜水艦もこれに随伴する必要がありそうだ。

    僕は横須賀基地・阪神基地を母港に太平洋側の沿岸配備し、常に哨戒潜水艦の行動範囲内で運用すればわざわざ護衛艦を警護に付ける必要なないと思いますけどね。
    支那戦闘機では長躯できない距離ですし、大艦隊が易々と近寄れない太平洋沿岸ですから、BMD専用艦の最終対艦攻撃用武器はSeaRAM・CIWSのみ装備でもいい。
    対艦ミサイル攻撃危機を察知したら自動運転で着弾までの時間を稼ぎ、乗員は「逃げるが勝ち」で優秀な脱出ポッド艦を用意しとけばいいのでは。

    20年ほど前にアメリカ軍がVLS×500セルというアーセナル・シップを計画し頓挫した様ですが、僕が興味深く注目したのが乗員50人(内女性隊員半数)という超省力部分です。
    もし、BMD専用艦が具体化されるなら(無理と思いますけど)、敵迎撃&敵地反撃システムをイージスアショアレーダーに任せ、専用艦は各種ミサイル発射のプラットホームに徹するなら少なくとも要員不足の問題は解決しそうですけど。
    でもそれなら、地上移動可能なVLSの開発に力を注いだ方がいいような...。

    P.S.
    BMD総合やイージスアショアについては、まだまだ考える事がたくさんあります。
    都度、話をしていきたいですね。(微笑)

    • いつもコメントありがとうございます。
      この件、個人的には青山繁晴氏の解説がスゴく腑に落ちました。まあ、青山氏といえば言説勇ましく尻すぼみになる、大風呂敷を広げる癖があるなど、癖の強い人物ではありますが、情報源としてはなかなか優秀だと個人的には感じています。

      さておき、氏の解説によると、ご指摘の通り陸上自衛隊所掌になった事が今回の話の躓きであったらしく、イージス艦などの運用とあわせて海上自衛隊管轄に戻すというのは、話を正常化する為の第一歩であるという風に割り切れば、海上を移動出来る迎撃専用艦という運用は悪く無いのかなと。
      海上自衛隊の基地にイージスアショアを作れば良かったのですけれどねぇ。
      ともあれ、港での運用を前提としていけば、陸上勤務の方が運用すると言う事ができるので、即応性という意味でもそれなりに意味のある事かなと。必要に応じて移動でき、移動する時は別途移動させるための人員を確保するような事で良い気がします。これだとメガフロート案と余り変わらない感じですが、VLSを使ってトマホークをぶっ放すことまで考えていれば、洋上に出て対応出来るわけですから話は随分違うのかなと。陸上で色々やると反対運動やら面倒ですからねぇ。

      それと、今回の迎撃専用艦の話が出た段階でほぼ確定事項なので、アメリカの了解が得られれば(これも防衛相級会談で決着がついていると思います)、先に進む話だと思いますよ。技術的に解決しなければならない話は幾つもあるのですが、いっその事原子力動力を搭載して移動要塞的な迎撃専用艦にしてしまった方が良いのかも?
      この案で一番違うのは地上移動型VLSであれば陸上自衛隊所掌ですが、洋上に出る以上は海上自衛隊所掌ということになり、運用ノウハウはある程度固まっている事でしょう。今回の様なブースター問題もほぼ解決しますしね。

      • 木霊さん、今晩はレスありがとうございます。

        >この案で一番違うのは地上移動型VLSであれば陸上自衛隊所掌ですが、洋上に出る以上は海上自衛隊所掌ということになり、運用ノウハウはある程度固まっている事でしょう。今回の様なブースター問題もほぼ解決しますしね。

        ここは現時点で考えると、MDの肝の部分なんですが、陸自ではなく空自所管とすべきと考えます。
        理由は地上長距離防空レーダー網を管轄しているのは空自だからです。

        つまり、地上BMDは空自で海上BMDは海自とすれば、ランチャーを有効的にどこに配備するだけと視点が絞られますから。
        そして、将来的にPAC2/3に替わるレーザーガンに置き換えれば(開発を急ぐ必要あり)、これが実現すれば領土侵入のミサイル・戦闘機・ドローンを最終段階で迎撃可能になります。

        残すは強烈抑止力を保持する「防衛的敵地反撃能力」のみ...、とりあえずトマホーク&アメリカ新型ミシアルを利用しつつ、空海陸自衛隊で共有可能な国内新型超高速攻撃ミサイルの完成を待つしかないんじゃないかな。

      • なるほど空自で、という選択肢も当然あるワケですね。
        まあ、そもそも陸自、海自、空自の縦割りというのが問題なのかもしれません。何処かに任務を任せるより他になりワケですが、どこが優れているか?という話では無く、どこが慣れているかと言うことなのかも知れませんね。長距離防空レーダーですか……。

        さておき、この話はしっかりと進んでくれると嬉しいです。

  3. 木霊さん、おはようございます。

    イージスアショアの代替案の行方と方法論はともかく、安倍ちゃん最後のGJと思います。
    メディアは退陣前の異例談話とか端から批判姿勢ですが、ネガティブで偏向したメディアなんか信用していない僕はそうは思いません。
    言葉の使い方がド下手で甘ちゃん(=頭悪い)と僕がいつも批判してきた、安倍ちゃんらしからぬ抑制の効いた謙虚な文脈でこの事案だけは、次政権に何としても引き継ぎ実現してもらわねばという遺言と思っています。

    アメリカとトランプ大統領との密接な関係から、益々アップする支那脅威への危機感を継続するのが大事と考えての談話でしょう。
    さっそく佐藤正久氏が感謝のエールを送っていますが、その輪を大きく広げて欲しいもんです。

    しかし、肝心の幹事長ポストは論功行賞により親中派売国奴が握るようで、菅氏の手綱の裁き手腕がさっそく試されますね。
    既にアメリカから強い警告を受けたにも等しい二階氏他の親中派を、菅総理がジワジワと排除する老獪な戦略を打てるのか?

    最大のネックは選挙の集票目的だけで、親中・親韓派多数で足手まといの公明党を利用してきた現実をどうするかでしょう。
    次期総選挙で維新の会が公明党の議席を凌駕するほど迫れば面白いと思っています。

    橋下は大嫌いですがコロナ対策で人気を得た吉村氏なら、野党的な姑息な考えで嫌なんですが今後の選挙への追い風が吹くやも知れませんから。
    公明党票を失うリスク覚悟で憲法改正・安保政策を軸に、維新の会と連立政権の手形を確約して、次の次総選挙で一気に憲法改正が望ましいと考えています。