アルゼンチンを南下するバッタの大群

南米ニュース

……アフリカのヤツとは別口?

4千万匹のバッタ、アルゼンチンを南下 農作物に被害

2020年6月24日 11時24分

南米アルゼンチンの政府機関は23日、バッタの大群が同国北部に押し寄せ、農作物に被害が出ていると発表した。地元紙によると、大群は4千万匹ほどで、1日で牛2千頭分、3万5千人分の食料に相当する農作物を食い荒らしているという。

「朝日新聞」より

何というか、何故こんなにバッタが……。

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蝗害はイナゴではなくトノサマバッタ

日本だとウンカによる食害

イナゴの害と書いて「蝗害」と書くのだけれど、実際にはトノサマバッタの仲間が爆発的に増えることで、周辺の食物を食い尽くすなんてことになる。

で、このトノサマバッタの仲間は、通常は孤独相と呼ばれる体から群生相と呼ばれる移動に適した体に変化するようで、コレを相変異と呼んでいる。

相変異のトリガーになるのは「雨」であるようだ、とされている。元々、バッタ科のメスは産卵管を使って土や砂地に産卵するのだけれど、背が高い草が密集するような場所ではバッタが産卵しにくいため、空き地に産卵することになるそうな。

で、雨が多くて草が生い茂るような状況になると、密集した場所で大量に卵が産み付けられる結果になる。つまり、高気温・高降水量になった時にはバッタが産卵できる場所が限られると、密集した場所でバッタが産まれる事になる。この時の環境がバッタを「群生相」とするらしい。(注:バッタによって違うらしく、サバクトビバッタは逆、即ち降水量が減った時にエサを求めて集まって集団行動を起こすようになると説明されている)

で、「群生相」のバッタは群れて凶暴性を増し、とにかく手近にある植物を食べまくる。そして、移動して卵を産むというサイクルを繰り返すことになるようだ。今、アフリカから発生してインドを襲っているサバクトビバッタの寿命は3ヶ月から6ヶ月で、1年当たりの世代交代回数は2~5回だといわれている。傾向としては、群生相になると羽化後製造日数が減少し、産卵回数が増える傾向になるようだ。

日本ではこの手の災害は殆ど無いらしいのだが、過去の文献には蝗害の記録がある。これ、どうやらウンカが原因のようだ。この辺りは過去にも言及したね。

なお、近年でも日本国内でのトノサマバッタの大発生の

http://jppa.or.jp/archive/pdf/67_01_21.pdf

ともあれ、蝗害の理屈としてはそんな感じなんだそうな。

パラグアイで大発生したバッタ

さて、インドでも大騒ぎになっている蝗害だが、南米でも似たような事が。

え?別件?

アルゼンチンの農畜産品衛生管理機構(SENASA)の発表によると、バッタの大群は隣国パラグアイで発生、その後アルゼンチン北部に侵入し、風に乗って南下を続けている。地元農業専門紙によると、大群の帯は長さ10キロ、幅8キロほどに及び、毎日100キロほど移動。キャッサバ、サトウキビ、トウモロコシなどを食い荒らしている。

「朝日新聞”4千万匹のバッタ、アルゼンチンを南下 農作物に被害”」より

詳しいニュースは見当たらないので、どんなバッタが発生しているのかはハッキリしない。

ハッキリしないが……、アフリカで発生したヤツとは別件と考えるべきだろう。しかし、南米でも蝗害が発生するというのは、余り聞いたことが無い。

……と思って調べたのだが、どうやら南米にも褐色飛蝗、南米飛蝗などの種類がいて、蝗害を撒き散らすことがあるらしい。

 リオ・グランデ・ド・スル州農業拡張・技術支援公社(Emater)の農業技師[ダニエル・ダ・コスタ・ソアレス氏によると、これほど大量のバッタ襲来は、農家にとっても同氏のような専門家にとっても初めてだという。群れが本当に襲来するかやどの程度の被害が出るのかは、想像不能だという。Ematerや農務省は、バッタ襲来に目を光らせ、警戒するよう、農家に求めた。

「yahooニュース”《南米》雲のごとく押し寄せるバッタ4千万匹 パラグアイ、アルゼンチンに被害”」より

この記事では今回のバッタ襲来は「初めての事」ということになっているが。

バッタの発生で食糧危機?

多くの報道を見ていくと、南米でもアフリカでもインドでもバッタによる被害が拡大していて、食糧難に陥るのではないか?という予想を出している。

確かに、多くの国で作物が食い尽くされた結果、食料が足りなくなる可能性はあるだろう。だが、直接的には、日本が被害を受けるのは大豆くらいかな?

大豆

比較的南米から供給している食品は少なめのようで。

https://www.maff.go.jp/primaff/seika/attach/pdf/190304_2028_02.pdf

ただ、単純に南米から供給されている食べ物が少ないから大丈夫だという話にはならない。例えばブラジルやアルゼンチンで大豆がとれなくなったとすると、この2カ国で5割の大豆シェアをもっているので、足りない部分を他の作物で補うなんてことは起こってくる。

そうすると、この世界のバッタ騒ぎで少なからず混乱を招くことは間違いなかろう。

ただ、それ以上に酷いのが武漢肺炎騒ぎで、今年の世界経済は絶望的だろうと予想される。そこに加えての食糧不足ということになってくると……、本気でヤバい状況に突入する可能性が高いのだ。それがどの時点でどういう影響が出てくるかは予想できないんだけど。

追記

えっと、国連が警告を出していたので紹介しておこう。

バッタ襲来、食糧危機懸念

2020/6/26 08:19 (JST)

アフリカ東部からインドに及ぶ一帯で大量繁殖したバッタの襲来が続き、食糧被害が深刻化している。農業大国を抱える南米でも発生し、世界の食糧事情に影響が出る懸念が拡大。地球温暖化が一因だと指摘する声もあり、国連食糧農業機関(FAO)は「新型コロナと合わせ、甚大な結果となり得る」と警鐘を鳴らす。

「共同通信」より

国連は、「地球温暖化ガー」というお得意のフレーズも忘れていなくて、苦笑を禁じ得ない。

コメント

  1. こんにちは。

    おそらくコーヒーが高騰するかと考えております。
    不作、蝗害とかなり被害を受けそうですね。
    コーヒー中毒者なので高騰すると痛いです。

    • 珈琲豆は南米以外でもとれるようですが、ブラジルのシェアは高いですからね。
      ベトナム当たりからも珈琲豆は入ってきますが。

      どうなるんでしょうかねぇ。
      数年単位で影響が出そうですよ。

  2. 北米に影響が広がらないといいですが。
    大豆、それとトウモロコシが大きく影響でそうですね。

    関連するところとしては、身近な分野ではしょうゆ、みそ、豆腐。
    それと畜産酪農分野にビールなどの酒造分野……割と影響広がりそうですね。

    • トウモロコシはシェア的にそんなに大きくなかったのであまり心配していませんでしたが、色々と影響するのかな。
      大豆は……、日本としては深刻です。

      バッタではなく支那の洪水の影響も結構出てきそうなのが、怖いですよね。